うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

DESTINY第1話UP

2021年04月24日 16時58分03秒 | ノベルズ
C.E.72 11月初頭―――

第2次ヤキンドゥーエ戦ののち迎えた終戦。そして数か月ぶりに降り立った大地は、未だ戦火の燻ぶりを残していた。
復興作業は少しずつ進んでいるようだったが、やはり太い柱を失ったオーブは、かつて纏っていた、何物にも靡かず、凛としたその強さがどことなく消えかかっている。
(ううん、何を弱気になっているんだ。今度はその柱を私が担うんだ!)
そう自分を奮い立たせて、顔をあげる。
悩んでいる暇はない。やることは山積みだ。
国を、国民を、私が守っていかなきゃいけない。

そう、それに―――

「俺は・・・ここにいていいのかな…?」
私の一歩後ろから、少し控えめに、そして何だか申し訳なさそうに、彼が呟く。

『アスラン・ザラ』

ナチュラルだけではなく、地球そのものを滅亡させようとまでした、パトリック・ザラの息子。

プラントを離反した彼は、戦後身の置き場に苦渋していた。
自ら仕掛けた訳ではなくとも、これ以上の戦火を止めるために、同胞にも刃を向けざるを得なかった彼の心情は察して余りある。

(―――「だったら…お前も来ないか?オーブに・・・」)

何気なく誘ったのは、彼が、その…恋人(…と言っていいのか、未だ難しいところだが)だから、というだけではない。

彼に居場所を与えてやりたかったんだ。

プラントには戻りづらい。
そして地球では、あのザラ議長の息子というだけで、彼に対する憎しみの刃を向けられることは想像に難くはない。
でもオーブなら―――中立国のオーブなら、彼の身を守れるのではないだろうか。
何より、代表首長となるであろう私の身近に居れば、きっと彼を守ってやれる。

「何を言っているんだ?当たり前じゃないか!」
私は笑って彼に言う。
「しかし…」
視線を避けて、俯く。自信がない時の彼の癖だ。戦えばあれだけ強いのに、頭だって凄くいいのに、彼はこうして時々自信が揺らぐことがある。キラを討ったと思いこんだときなんて、もう身も心もボロボロで、誰も傍にいなかったら、今こうして生きていることさえなかった気がする。
そんな彼を見ていると、いつも私は自信を持てと発破をかけたくなる。
「お前、前に出ろ。」
「?」
面と向かった私の言葉に、条件反射のように一歩進み出る彼、そして
「手を出せ。」
「え…?」
訝し気に彼はおもむろに右手を差し出す。私はその手をつかんだ。
「ちゃんと手も足も持ってるじゃないか。」
「そりゃ、怪我もしていないし…」
まだ意味が分からなそうなアスランに、私は思いっきり笑顔で言ってやった。
「まだお前には掴む手も、一歩を踏み出す足もある。そして―――何より命があるじゃないか! 人は残ったんだ。無くなったとしても、また一から始めればいいさ!」
キョトンとしていた碧い瞳が、ようやく緩んだ。
「そう…だな。」
そう言って彼も微笑んだ。

オーブはまだ健在だ。
私は一歩を踏み出す。
ここで共に戦ってきた、キラやラクス、AAやエターナルのみんなもアスランと同じように、私が守ってやる!



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***


お久しぶりにお題SSをUPです。
最後のお題『DESTINY』、このシリーズ描き始めて早16,7年経っていますが、ようやく最後ですよ(苦笑)どんだけ放置…しかもショートにできずに続き物になってしまったという(ー△ー;)
とりあえず今週は導入だけで、ようやく次回から本題、というかオリジナルに入ります。
お題元が『運命カガリ』なので、本当は本編沿い、しかも運命の方で着目しなければならないのですが、まぁそれは自分設定ルールなので、16年も経ったから「もう忘れました」(笑)
一応お題の最終テーマなので、この先の未来に繋がる話にする予定。でもかもしたの「予定」はとっても狂うのは周知の事実よ(´∀`*)ウフフフフ♥
よろしければお目通しいただけましたらありがたいです。<(_ _)>

(※そういえば11番の「闇の中を一人」というSS,確実にUPしていたんですが、データが飛んじゃって、どこに行ったかさっぱりわかりません。多分原本はFDの中なんでしょうが、外付けHDもどこかにやっちゃったので、さてどうしたもんか…うん、「なかったことにしよう!」┐(´∀`)┌