今回は「岩船」
時の天皇は摂津の国住吉に市を立てて、高麗(朝鮮)と唐土(中国)と貿易を始め、彼の国の宝を色々買い取るべしと宣旨を下した。
勅使が市に行ってみると。
銀盤(銀の器)に玉を据えて持ってくるものがいた。
何者かと問えは「天の探女」だという。帝が宝を集めているというので、天の貢物(喜見城の宝物)を帝に捧げるのだという。
その貢物を運んできたのが岩船なのである。
岩船とは(岩のように堅固な、天空を行くという船)と手元の辞書に載っている。
前回に先生と一寸やりあった。
今回は、先生が反省したのか、私が指摘した通り謡っていた。
以前にならっていた先生がそのまた先生に盾を突いていたという。
普通は稽古でおかしな点を見つけても先生に遠慮して誰も何も言わない。
ところがその先生は嫌われるどころか教室で一番大事にされたという。
疑問に思ったことはたとえ先生に失礼なことでも正さなければいけない。
遠慮していたら決して謡は上達しないのである。
「先生、それは違うんじゃないか」と、そうすることで、先生も指導の仕方を学んでお互いに勉強し合ってより技術を高めることができるのだ。
小謡(祝宴などで使う謡を編集した物)の本を探していたがどうも見当たらない。そこで、宝生流18代宗家宝生英雄氏が吹き込んだテープがあったのを思いだした。
岩船の後半の部分である。