体が大分良くなったようなのでまた習字を始めようかと思います。
これは胆管癌になる前に書き溜めておいたものです。
増尾の春栄は宇治橋の合戦に深入りして遂に生け捕られ、高橋権の頭家次に預けられた。ここに春栄の兄種直は、弟の身を憫れと思ひ、存生中に今一度体面したく思ひ、家来一人を連れて伊豆の三島にある囚人奉行の高橋権の頭の面会して、弟春栄への体面を申し入れたのである。然るに春栄は兄の種直に禍を及ぼしてはならぬと思ひ、自分には兄はいない、見れば普代召し使ってきた家人で、吾をたすけやうと思い兄と名乗って訪ねて来たのだといって、兄を無下にも追ひ返そうとするが、権の頭の計らいにて春栄は兄に顔を合わす。けれども春栄はなおも家人だと言い張るので、種直はこれ、切腹をなさんとするので春栄も驚き、遂に兄弟は涙ながらに名乗り合うのである。始終の様子をいた権の頭も流石に哀れを催し、その上に自分は一子を宇治橋の合戦で失っているので、春栄が助かるものならば、貰い受けて一跡をも継がせたいと思っている。その所へ早打ち来たという。既に最期は到来したかと、今はと栓方もなくみな一同は力を落し、種直も春栄と共に死を覚悟して、家人小太郎に形見を持たせて故郷へ帰すことにしている。ここにまた鎌倉よりの早打ちが来ると告げる声、一同愕然として悲痛を催す時、早打ちは春栄の命を助けると知らせる。一同の悲涙は忽ち喜びに代わり、春栄は高橋権の頭の所望によって養子となり、目出度い 折なればとて、兄の種直喜びの舞をまい、親子兄弟睦まじく打ち連れて鎌倉へと立ち出づる。
高橋権の頭。春栄を預かている人。
(しなの)旧国名。今の長野県。
(たいめん)顔を合わせること。
(たねなお)春栄の兄。
(ゆんで)弓を持つ手。
(かまくら)。
(しゃけい)実の兄。
(ぎゃくざい) さかさまのつみ。
(いちせき) 跡継ぎ。
(らくるい)涙を落すこと。
(ちんりん)おちぶれはてること。
(とうせん)(せいりょくが)次第に次第に東方に進み移ること。
(じゅうだい)代を重ねること。
(もろとも)いっしょ。
(じゅうじ)仕事にたずさわること。
(しゃもん)。出家して仏門に入り道を修める人。
(きせい)。神仏に祈って誓いをたてること。
これらの漢字は謡曲(春栄)から拾ったものと思うがいくら謡曲本を調べても出てこない字がある。
大分前に練習した字なのでもしかしたら違う謡本なのかもしれない。
とにかく今日は疲れた。
いつまで迄も寒い日が続く、でも桜だけはちゃんと咲いている。
桜は温度を感じて咲くのではなさそう。
桜には季節を読み取る能力があるのかもしれない。
今日はいい天気だがもう花見の時期が済んだのかもしれない。
病身の身で外出を控えているので世間の動きが良くわからない。