横領
先日宮沢りえ演ずる「紙の月」を見て思い出した。
成績のいい銀行員が1億円横領したという話だったが。
「何億円横領したということが新聞に載っていたが、何と悪い奴やと思っていたが、そうでもないらしいね。先日銀行のおえらさんと飲む機会が合った時そんな話が出てねぇ、聞いてみると、それは特別なことではなく日常的に誰もがやっていることなんだって。要するに帳面が合えばそれでいいんで、借りても翌日にはちゃんと返しているんだって。借りてもすぐ返すの繰り返しなのだが、それがいけないんだってね」と、講師のお坊さんが言っていた。
たまたま運が悪かっただけとでも言いたげ。
最もこれは余談でこのことを話すために来られたのではない。ちゃんと仏様の話をされたのだが。
ATMへ行くと機械から自動的に出てくる明細書をろくに見ずに屑篭に捨てて行く人がいる。そのためか、ATMの下にはちゃんと屑籠が備えられている。
いい加減な人がいるもんだなと思って見ていた。
明細書もろくに見ないなら通帳の確認もいい加減なのでは。
まして行員が顧客の家まで出向くとなればなおさらごまかしが出来るというもの。
たまに銀行員が我が家を訪れることがある。
「わざわざ来ていただかなくても私どもがお預かりしていきますから」とか何とか言ってくる。
偽者ではないと思うが「いや、わざわざ来ていただかなくても窓口へ直接行きますから」と丁寧に断る。
最初は行員さんに気を遣っているつもりだったが、考えて見ればこういう所から不正が起こるのかもしれない。
行員達はそれぞれがノルマを抱えており、達成できなければ上司からおしかりを受ける。
そうなれば顧客の通帳をこまめにいじっていかにも成績を上げているかのように見せかけるという手もある。
そういうことで、必要でもないお金を顧客の通帳から引き出して翌日顧客の通帳に戻しておく、ということになる。
そうすれば銀行や顧客に一切迷惑かけることなく自分の成績に出来るという訳だ。
でも顧客の家に出かけることで初めて出来ることだ。
私のように確りと通帳を握っている人の前では出来ない。
最近企業の間でもお金の管理が厳しくなって。お客さんから現金を預かってはいけないとなっているらしい。
老人社会で自分でお金の管理が出来ない人も増えていくと思う。
こういういい加減な行員もまた増えていくということにならなければいいのだが。