昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星  67

2012年05月17日 | 日記
しばらく経って、店の中の変化がやっとわかってきた。以前はウェイターはいなかったのに、ウェイトレスらしき女の子が慣れた仕草で立ち働いている。お客も女性客が増えているようだ。カウンターからウェイトレスに次々とお酒や料理を渡している夏美さんの横顔には、以前は見たこともない輝きが感じられた。 カウンターから丸見えだったキッチンはカーテン一枚に遮られ、カーテンの向こうからは香ばしい匂いが漂ってきていた。溜 . . . 本文を読む