数年前に亡くなられた親戚の方の納骨で、住職と二人で南相馬の双葉町に行ってきました。
この方は10年前の震災で双葉町を離れ、帰りたいと願っていたのに避難先で亡くなられたのです。
双葉駅は新しくなっていて以前の面影はなかったなー。震災から10年目と言うことで報道の方の姿もありました。
私たちはそこを離れ、まだ除染の行われていない地区へ
前もって申請し、頂いておいた車両通行書をもってスクリーニング場へ、そこで線量計、防護服や靴カバー、ヘアーキャップ等を頂き墓地に向かう。
男の方達が早めに来て掃除をしてくださったので、きれいになっていました。
「帰りたいって言ってた双葉だよ。良かったね。」泣き声で話しかけながらお骨を墓地に納める娘さんの姿に、こちらもうるうるになってしまいました。
納骨が済んで自分たちの家にまわる。
「手入れをしていないとこんな風になっちゃうんだね。」松の木がすっかり伸びていました。「梅の木なんてなかったのに、梅の花が咲いている。」庭に梅の木はなかったらしい。
庭は草がぼうぼう。イノシシの糞が落ちている。カーテンレールは壊れている。
「これ集めていたんだ。もう廃版になっているんだよ。持って帰ろう。」息子さんが部屋から数個の缶を持ってきた。
もう住めない自分たちの家。辛いだろうなー
雲一つない青空、めったに車も人も通らないであろう家の近くの四つ角の信号機の点滅が悲しかった。
帰り道、車窓から見える田んぼや畑は柳の木とヨシが伸び放題。きれいになっている所は太陽光発電が設置されている。

違う田んぼには除染土が詰められた数え切れない黒い袋が積んである。
「ここはもう元にはもどれないね。」重い気持ちでその景色を目に焼き付けました。