常楽院

福島県南会津町 真言宗

小さなお寺の一番忙しい日

2018-03-31 | Weblog
 3月28日は常楽院の一番忙しい日。この日を挟んだ数日は体が2つも3つも欲しいと思ってしまうのです。
 本堂でお参りをし朝食もそこそこにだしをとる大鍋に火を入れる。お茶の準備。必要な物の確認。
 今日はお不動様を御本尊としている自坊の護摩供養の日です。
 護摩供養、御詠歌講の皆様と『常楽院の御詠歌』などのお唱え、涅槃会、寺総会、その後の懇親会と行事が続くのです。
 
 地区壇等さんの奥さんや御詠歌講の皆様にお手伝いを頂きその準備が大変。「Mさーん ○どこにありますかー」「Mさーん これでいいですかー」「Mーさん・・・」毎年の事なのに抜けていることが沢山、私はまるで運動会のように飛んで歩く。それでも皆さんすっかり慣れていて準備は着々と進む。頼りになるありがたい存在です。

 一連の行事が済み女の方々にお手伝いを頂き片付け、つつがなく済んだことに感謝。皆さんが帰った後は住職と2人で道具を元に戻したり掃除をしたりと夜まで続く。
 意識せずに家の中で動いて1万歩を超えるのは、一年の中でこの日くらい。ホッとすると疲れがドドット出てくる。

 でも、当日だけでなく前日も大変。
 涅槃会の為の団子丸め、食器の準備、お供物の袋詰めなどの仕事をお手伝いして頂きます。

 でも、数十年前までは懇親会の弁当は壇等さんの奥さんたちにお手伝いを頂き、煮物、卵焼き、香の物、煮魚などを自分たちで造り弁当に詰めていました。お赤飯は早朝から来てくださり炊き上げてくださいました。
 今はお弁当やお赤飯は業者さんにお願いしているので楽になったのですが、それでもやっぱり大変です。
 
 でも、檀家さんが来てくださり、寺の存在を感じていただける数少ない機会、大事に守って行きたいと思っています。

 
 狭い内陣での供養の様子 火事にならないようにと気をつけながらの住職たちの祈願の様子。煙がモクモクで目にしみる。

 
 以前は旧の2月15日に行っていたのですが、総会の日と近いので一緒にしました。
 今年は子供さんも来てくださり、賑やかな団子まきとなりました。団子の数も多く(従業員が粉を多く準備してしまったらしい)、皆さんに沢山拾っていただけました。
 
   今日のために住職とせっせと除雪をしていたら「ちおのどくさ」の花が咲いていました。
 春を感じ心が弾みます。
 
 

0(零)度が暖かい

2018-03-19 | Weblog
 朝目覚めて支度をし玄関に新聞を取りに行く。おや、今朝は暖かい。空気がふんわりと優しい。玄関を開け、軒下の寒暖計を見る。零度だ。
 3月に入り時々こんな朝を迎える。零度って暖かいんだ。今年は特にそれを感じる。例年より寒かったせいだろうか、それとも年を重ね寒さを強く感じたせいなんだろうか? どちらにしても空気がやわらかいのは嬉しい。

 我が家で一番初めに春を告げてくれるのは小鳥のさえずりと、軒下のクリスマスローズ。 
 今年もドッサリの雪を片付け残った雪が消えると、もう花芽を持ったクリスマスローズが顔をのぞかせ、数日たつと花が開いた。
 先日お出でになったお客さんに「この花は何て言うんだ。」と聞かれたので「クリスマスローズって言うんですよ。」と答えると。「正月も過ぎお彼岸になるのにクリスマスローズか。」と笑っていました。
 確かにそうよね。と言う事で調べてみました。

  名前の由来は、イギリスで「ニゲル」と呼ばれている花が、クリスマスの時期に咲く「バラの花」と言う事から「クリスマスローズ」と名づけられたとのこと。
  しかも、クリスマスローズはあくまでも呼び名で、正式の名称ではないんだそうです。本当の名前はヘレボレスで、バラ科でもない。

 とのことでした。
 でも、「ヘレボレス」より「クリスマスローズ」の方がステキですよね。

 軒先のクリスマスローズ

  
 住職はせっせと雪をいじり消しています。そんな中、雪に埋もれていた六地蔵さんも姿を見せてくれました。春ですね。

 

認知症もいいのかも

2018-03-02 | Weblog
 「水仙が匂い、チューリップの芽がにょきにょきと顔を出してきました。」そんなメツセージを下さったあやなみさんの所でも強い冷たい風が吹いているのだろうか?
 昨日から日本各地で大荒れの天気 ここ田島の地も冷たい強い風が吹き荒れている。
 
 こんな日も、もっともっと悪天候の日でもデイサービスのスタッフは通所者さんの送迎に出かけて行く。そして高齢の皆さんが「今日も寒いなー。」「ここがあっから俺らもわがい人もいいんだよな。」と集まってくる。
 
 昨年から私も週に2回程度ここに通っています。と言っても利用者さんではなく、スタッフの一員としてですが・・・
 でも、ドジで間抜けでオチョコチョイの従業員は利用者さんと大差ありません。皆さんの方がしっかりしている気もします。

 そんな利用者さんと付き合っている中で認知症に対する考え方が変わってきました。

 80代のAさんがいらっしゃいます。彼女のことは昔から知っていました。
 彼女は若い頃に旦那さんを亡くしました。その後一人で役場の掃除夫などをして数人の子供さんを育てました。子供さんが成長し結婚し孫さんも生れました。でも、娘さんが離婚し帰ってこられました。
 そんな辛いことがたくさん、たくさんあったAさんと本当に久しぶりにデイサービスでお会いしました。彼女は認知症と診断されていました。
 実家にはまだ親が待っていてくれていると思い、娘さんが離婚したことは忘れ家にいるのが当たり前のことだと思い、孫さんの話を嬉しそうにする。辛いことは忘れてしまって明るいAさんになっていた。

 おやつの時間、昼食の時間Aさんは必ず「こおだ んめえの食ったごとねえ。」「こおだ んめえの飲んだごとねえ。」と本当に美味しそうに飲んだり食べたりします。リハビリで身体を動かしてあげると「ありがとな。」と笑顔でお礼を言います。歩行訓練で長い廊下を歩く時「ここはツヤツヤ、ピカピカと光っていできれえだなー。ここの掃除やってみでなー。」ととても良い顔でいいます。やらしてあげたいなと思いますが、歩行器に頼って歩かなくてはいけない彼女にはちょっと難しいな。でも、いつか一緒にやれたらいいなと思っています。
 そんな彼女が時々ふっと悲しい顔をして「俺はみんなわっせっちまった。」と涙ぐみます。短い時間なのですがそんな彼女を見るとかなしくなります。でもすぐにそれも忘れまた明るいAさんに戻り、私もホッとします。

 そんなAさんを見ると、忘れてしまうことはAさんの旦那さんや神様からのプレゼントなのかもしれないと思います。
 そして認知症って悪いことばかりではないんだなと思わされている今日この頃です。

 従業員も可愛くボケたいなと思っています。今から「天然だ。」と言われてはいるのですが・・・