森 絵都 著。
先日里帰りした時に妹から
「これ読んで! 絶対いいからっ!」 と渡された本。
絵都さんの本、何冊目だろ。
妹が大好きなもんでよく回ってくる。
裏表紙に書いてるあらすじの一部・・・
「9年前、家族を事故で失った環は、大学を中退し孤独な日々を送っていた。
ある日、仲良くなった紺野さんからもらった自転車に導かれ、異世界に紛れ込んでしまう。
そこには亡くなったはずの一家が暮らしていた・・・」
ここを読んだだけで ウル・・って感じだったのですが
序章がね また・・・
十三歳で父を亡くしたとき、あの世はまだ遠かった。
やや時間差で母が逝き、弟の修がそのあとを追った。
そうして死が私のまわりで幅をきかせていくほどに、ふしぎと私は自分が一人ぼっちになっていくのではなく、
むしろ死んでしまった彼らの側へと近づいていく気がした。
あの世とこの世とが力関係を逆転し、今いるここよりもあちらのほうがリアルな重みを帯びていくような。
生者と死者とを隔てる壁が日増しに脆くなるような。
二十歳で奈々美おばさんを失ったときには、あと一息、というたしかな手応えがあった。
もう少し。
あと一度でも身近な死に立ち会えば、私はきっとこの壁を突破できるだろう。
そして、二十二の年にこよみが死んだ。
それが始まりだった。
*
・・・どうですか、この導入部。
ぐいぐい、引っ張られちゃいましたよ。
で、感想。
途中から、予想してたのとはちょっと違う展開になり、
本の題名 「ラン」 に つながっていきます。
青春ファンタジー小説・・??
だけど、なんかね、死がテーマなんだけど全然暗くないし
内容は全く違うんだけど 『ステキな金縛り』 を観た時みたいに清々しい余韻に満ちていました。
私ね、子どもを亡くしたっていうのに 今、毎日こんなに笑えてる自分に時々ゾッとすることがあるんです。
もしかしたら私ってものすごく無慈悲で冷酷な人間なんじゃないかって。
でも私が笑えてるのって『ステキな金縛り』を観て
〝あ、そうか、お兄ちゃんは消えて無くなったわけじゃなくて、こことは違う世界で生きてるんだ”
って自分で勝手に結論付けちゃった結果なんですよね。
私もいつかはわからないけどあっちに行くわけだから 必ずまた会えるんじゃん、て。
こんな風にあっさり腑に落ちてしまった私って、おかしいのかなぁ。
とにかくですね・・・
私にはこれはとってもありがたい本でした。
やっぱりね、って思わせてくれる本でした。
絵都さんは 『カラフル』 でも 死というものをテーマにしてますが発想が豊かですよね。
もっともっと自分を納得させる、そして解放できる本を読みたい。