今日のシネマ
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2004年 フランス
『みんな誰かの愛しい人』 っていう 邦題、すごく気に入っちゃいました。
すごくいい言葉だと思いませんかー?
毎日の生活の中で うまくいかなくて落ち込むことがあっても
自分の存在を誰か一人でもいいから認めて愛してくれる人がいたら
それだけで幸せな気分になれちゃう。
ちょっと話が逸れちゃうけれど 以前、私にないものをいっぱい持ってる友人がいて
彼女と話す度にその聡明さや頭の回転の早さを自分と比べて落ち込んでいたら
その 『自分では欠点だと思っていた部分』 を全て長所に変えて
「ジュリアちゃんのいいところ」 って箇条書きにしてファックスで送ってくれた!
本当にびっくりして うれしくて 読みながら大泣きしてしまいました。
彼女の広いものの見方と優しさに大いに感激したものです。
この邦題を見た時、私はその時の幸せな気持ちを思い出だしたのですが
残念ながら映画の内容と この邦題とは ちょっと温度差があるような気がしました。
英題の 「LOOK AT ME 」 の方がピッタリだったと思います。
コンプレックスのかたまりのロリータ(マリルー・ベリ )と 自己チューの父親との関係を軸に
彼女を取り巻く人たちの人間関係を描いています。
フランスらしい映画だなぁ って印象を受けました。 (うまく説明できないけど)
これを観て 主人公ロリータに共感できる人はあんまりいないかもしれない。
被害妄想が激しく 気に入らないとビービー泣き、観ててイライラした人も多いと思う。
でも 私は彼女の気持ちに寄り添える場面がけっこうあった。
とにかくこの父親がいけません。
こんな父親に育てられた (っつうか育てたと言えるのかどうか・・・) 子供は 絶対に満たされないと思う。
娘と年があまり変わらないような美人の奥さんと再婚。
この時点で私なら家を出るな。 (笑)
若妻との間には5歳になる女の子もいるんだけど
途中、ロリータと父親がレストランで食事してると 父親の携帯に誰かから電話が入り
娘を誉めている言葉を聞いて 自分のことかと喜んだら
その5歳の娘のことだったことがわかってガッカリする場面なんて
私はそこへ飛んで行ってロリータをハグしたくなったし。
他にも 声楽をやってるロリータが自分の歌を吹き込んだカセットを父親に渡すんだけど
いつまで経っても聴いてもらえなくて 父の部屋からカセットが入った未開封の封筒を見つけた時のロリータの気持ち。
ロリータ ハグハグ! 頑張るのだ! って言ってあげたくなりました。
まだまだいっぱいこんなシーンがあって そのたびに 彼女のちょっとひねくれた性格の元凶は
「おい、親父、全てお前のせいなんだぞ!」 と、心の中で叫んでしまった。 (笑)
だけど こういう人って けっこう多いのよねぇ・・。
リアルでも良く話に聞いたりするもん。 (苦笑)
結局、この映画に出てくる人は みんななんらかの不満を持っていて
そのもやもやを何かで埋めようとしているんだと思う。
でも何から何まで満たされていて 完璧な人生を送れる人なんていないよね。
要は 自分の生き方の及第点をどこにするか、と
やっぱり 「私は愛されている」 「必要とされている」 と実感できるかどうか・・・
それなんだと思うなぁ。
歌の先生役の アニエス・ジャウィ が 監督、脚本をしてますが
この作品、そもそも彼女の体験談が元になってるらしい・・・
冷たい父親役の ジャン・ピエール・バクリ も一緒に脚本を担当。
2004年のカンヌで二人共脚本賞を受賞してます。
二人は私生活でもパートナーらしい・・・?
ラストにボーイフレンドがロリータに言う
「疲れる子だよ」 の一言が なんだか胸の奥に優しく刺さりました。