21世紀はアジアとの時代(Jtiro🔴Jpn) SDGs.Webサイト(Editor: K.Yamada)

●Copyright © 2024.All rights reserved.●Since2008.
  

■チェンマイ慕情(8)

2018-01-17 | ●チェンマイ慕情

■■■■■■■■チェンマイ新幹線夢紀行■■■■■■■■
■「チェンマイから日本へ
最近、珍しい案内をいただいた。
日本政府観光局(JNTO)が、古都チェンマイで初の「訪日旅行博]」を19日
から開催するという。

日本政府観光局は、いままで世界の国々の拠点的な首都で「訪日旅行博」を
開催して
きたが、 なに故に今回、16万人ばかりのタイ北部のチェンマイで開催
るのか、いささか訝っていた。 
タイ新幹線建設計画の進捗状況を見て、当面する日本政府
のしたたかで柔軟
な戦略が読めてきた。


   
下記が、最近の「訪日国別統計」 と「訪タイ国別統計」である。
■「訪日外国人観光客数」2016年
1位 中国   553万5125人    
2位 韓国   459万3527人
3位  台湾   398万1559人
4位 香港
   179万3358人
5位 タ イ    83万8092人 
(総数     2104万9676人)

■「訪タイ日本人観光客数」2016年(タイ観光スポーツ省)
1位  中国          
875万7466人
2位  マレーシア    353万3826人
3位  韓国       146万4218人
4位  日本       143万9629人 
5位  ラオス      140万9456人
6位  インド      119万3822人
7位  ロシア            108万9992人
8位  英国          100万3386人
9位  米国        97万4632人
10位 シンガポール        96万6909人
(総数             3258万8303人)

■「タイ新幹線の建設構想
いま日本政府には、タイ政府(暫定軍事政権)との間に、足掛け4年がかりで
り組む「バンコクとチェンマイ間を結ぶ新幹線の建設計画」がある。
タイ政府は,既に
日本政府との間に、日本の新幹線技術を導入する覚書を締結
している。
昨年末には、国土建設副大臣がタイ政府を訪れ、最終の建設構想計
画をタイ政府側に提示したところだ。

●今回のバンコクとチェンマイを結ぶ新幹線構想では、日本側で当初の新幹線
収支を試算したところ、沿線人口や産業の動向から、巨額の建設費の償却が困
難と出たという。
このタイ新幹線は、日本の東京・大阪間を上回る距離があるが、バンコクを除け
ば、沿線都市は、みな
10万規模の小都市ばかりである。
そのために、沿線の産
業開発と人口の集積を意図しながら、高速鉄道の建設を進める事になると聞いて
いる。 
●これはあくまで私見だが、今回の日本政府開催の「チェンマイ訪日旅行博」は
今後のタ
イ北部の人たちの訪日旅行需要をどう推進するか、ひいてはタイ新幹線
構想を盛り上げるための
深慮遠謀の計画とみた。
 

■「アジア高速鉄道計画ラッシュ

●タイに限らずインドネシアやインド、ベトナムなどアジアの主要国でも 主要都市
間を結ぶ高速鉄道の建設計画が軒並みにある。そしてその建設について、鉄道先進国の
日本と中国が競合するのが、いまや
常識になっている。「


●中にはインドネシアのように、当初、日本に決まりながら、政権が交代後 中国
が建設
費を値下げして横取りするという、醜い商戦が展開される事例もある。
タイの場合、既に他の鉄道路線の建設を中国が受注しており、 タイ新幹線建設計画
に、いつ中国の横槍が入るか、危惧する向きが多い。



●特に中国の場合、「一帯一路」という2つの広大な経済ベルト構想がある。
・中国西部から陸路で欧州を結ぶ 「シルクロード経済ベルト」と
・中国沿海部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島からアフリカ東岸を結ぶ
 「海上シルクロードベルト

この2つの一路地域で、インフラ整備と貿易促進を集中的に進めていく
という。

この「一帯一路構想」には、いま気候変動で氷解が進む「北極海航路開設」という
海洋計画も含まれている。

●実は、タイの鉄道計画の中には、中国と連携して、中国南部の海南省から、
ラオスを抜けてタイの東北部でタイの高速鉄道とつながり、バンコクやミヤンマー、
マレーシアを鉄路で結ぶという雄大な経済流通構想もある。  

予てから21世紀以降の中国の覇権の台頭は、多くの識者が予想してきた。しか
し中国の政治基盤に対する危惧や、中国経済の不透明さから、殆どの専門家
は、中国の実態経済に疑問符を呈し、近い将来の中国経済の崩壊の危惧を伝
えてきた。それがどうだろう。政治基盤は固まり、経済は膨大な内需を主軸にし
て「一帯一路」戦略で世界経済の覇権を狙う勢いである。

(●導入が予定されるJRのE5系新幹線)

■「本流日本の逆襲
日本の場合、親米路線の下で今後、隣国中国とどのように付き合うか、
極めて微妙な
対応を迫られている。国の存立をかけての大きな駆け引きと、
高度な知恵が求められる所以だ。

またタイの場合も、中国からの売り込みについて、輸出相手先1位の中国を
念頭にして、総合的な外交対応をせざるを得ない
という難しい事情も垣間
見える。


●とはいえ日本の場合、外国への高速鉄道の売込みには、国土交通省が中
心になり、関連業界と協働して、ことに当る。
日本が誇る新幹線の最新技術は、成長戦略のためのインフラ輸出の大きな柱
となる。
日本政府の省庁部局スタッフの活動については、平素、国会の関係答弁でし
か知る由
もないが、国家間の売り込みプロジェクトでは、大臣を先頭に所轄省
庁の
スタッフが、国益をかけてその売り込みに当る。頼もしい限りだ.
   


私どもは、予てからチェンマイロングスティ・プロジェクトを推進するにあたり、
約15年前より、タイ政府に、TG(タイ国際航空)の日本からチェンマイへの直接
フライトを何度となく公式に要請してきた。 一時実現の話はあったが、いまだ実
現を見ていない。
そのためにも、1日も早い新幹線構想の実現を待ちたい。



■「チェンマイの盛運を占う
●現在、バンコクとチェンマイを結ぶ基幹交通の手段は、
・バンコクとチェンマイ間の航空路線(約60分)1週間にタイ航空はじめ7社450便
・バンコクとチェンマイ間の最安値の往復航空券は、約5000円

●因みに在チェンマイ日本総領事館による「チェンマイ県(チェンマイ市16万人を
含めて160万人)の概要」 (2015年) はー
・チェンマイのGDP 1841億バーツ(約5500億円) タイ国全体の1,4%
・産業構造の内容
 
1次産業       22,2%(農業など)
 2次産業        9,5%(工業など北部工業団地に日系企業35社が進出) 
 3次産業       68,3%(観光業など)

・観光客は       約280万人(ただし訪タイ観光客3258万人の約8、5%

このデータから見ると、チェンマイを訪れる外国人は、タイを訪れる外国人観光客
3258万人
の1割にも満たない事が解ってきた。
因みに昨年の訪日外国人の都市別来訪統計では、
・京都府 661万人 
・大阪府 993万人
だった。
それだけに、交通インフラである新幹線の開通にかける チェンマイの人々の期待の
ほどが、痛いほどよくわかる。


 

●バンコクの新聞は、タイ軍事暫定政権のプラユット首相が、タイ新幹線の整備費
4200億B
バーツ(約1兆④700億円)の予算を減額するために、最高速度の300キロ
を180キロに減速するようタイの運輸省当局に検討を指示したと伝え、大きな波紋を
呼んでいる。
これを伝えた19日の日経新聞は、速度を落とせば、ただの鉄道で新幹線ではない。
これでは開業後の収益性が期待できないと指摘し、交渉巧者のタイだけに、日本へ
の揺さぶりの可能性もあると伝えている。
チェンマイをよく知る私どもを含め、このようなゆさぶり情報に またかの危惧を
禁じえないが、タイやアジア経済の大局に立って、1日も早くタイ新幹線工事が着
手できるよう祈るとともに、
心から期待して止まない。              (まだまだ続く)

 

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■国を守るという事 | トップ | ■Head Line News Jan. »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿