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■シニアの学び直し

2018-07-07 | ●リカレント

■■■■■■■■■■リカレント■■■■■■■■■■
■「新しい波
利他」(rita ) 人間は自分だけを考えるべきではない。
・世の中もある。
・国家もある。
少しは人のために何かしなくっては 心持のわるいものだ。
御前だって, そう、ぶらぶらしていて 心持のいいはずはなかろう。
そりゃ 下等社会の無教育のものなら格別だが、最高の教育を受
たも
のが、決して遊んでいて面白い理由がない。
[学んだものは 実地に応用して  初めて趣味が出るものだからな」    
 夏目漱石 「それから」の一節(注)趣味=深い味わいの事     


漱石も言うように人間,よわい80歳を過ぎて、元気に前向きに
暮らしていると 「利他」の心境が少しは判ってくる。不思議であ
る。これが判ると 尚更の事、自分の浅学がほとほと情けなくなつ
て来る。

老いて学べば、死して朽ちず」(佐藤一斉)これが明治以来
の伝統的な日本人のカルチャーだった。
戦後この傾向は一端、すたれたに見えたが、人生百年時代を迎え
て生き生き学んで生きる、「リカレント」が台頭してくる。
私のような高齢者が,年をかまわず挑戦するのが「リカレント
である。リカレントとは 「学び直す」という事、いま元気なシニ
アにとって人気のスローガンになっている。


■「老乱の時代

シニアの専門家に聞くと、かって多くの高齢者は、 定年後に、
居場所を求めて高齢者セミナーや、高齢者大学や生涯学習セン
ーに集まったが、群れない性格の団塊
世代に交代してからは、こ
れらの高齢者の学習施設は、総じて低迷しているという。

いま話題の「リカレント」(学び直し)は、従来の高齢者学習
と異なり、定年後、改めて専門知識を修得するため、大学院に入
学するなど、極めて高度なものを言うらしい。
中でも立教大学大学院ビジネスデザイン研究科などは、社会人や
シニアの卒業生の活動実績も多く、このあたりが、今回の リカレ
ントのトレンドを主導している感じがしてならない。

最近、関西でも年齢に関係なく、定年の社会人にも門戸を開放す
る大学院が増える傾向にある。修士課程2年で学費は 私学入学金
ともで平均約200~300万円程度だという。
 
一方専門家は、いま高齢者の約9割が「下流老人」に陥る危機
にあるという。 3350万人を数える 日本の高齢者の さまざまな
生きざまは解らないではないが、その格差からくる老後の貧困は
ますます広がる傾向にあるという。

その格差の要因の中には、経済や学力や生活意欲や、体力や生活
環境などさまざまとされるが、どちらにしても、貧困から抜け出
すためには他力本願は許されない。
本題の「リカレント」を語るとき、この下流老人の貧困問題を無
視することはできないが 老後の「流される暮らし」から「考える
暮らし
」にシフトするためには、まず自分の暮らしの在り方を、
学んで前向きに変えていくことが、もとめられる。

 
老いの戦略

大手企業を定年しその後 JICAで活躍した私の知人の一人は、
最近、技術系大学院の博士課程を終えて 大学で教職につくという。 
能力と努力あっての結果とはいえ、素晴らしい第2の人生ではな
いか。
私の場合、ほぼ20年近く国際交流の活動を通じて、タイやア
ジアの人たちと交流を深めてきたが、一段落したところで 振り返
ってみると、その本質や、国際交流について 総論的な知識は ほぼ
頭に入っているが、各論の真髄に及ぶと、全く自信がない。

そこで これを機会に アジアやASEANの特に地政学的な見地や
歴史の視点からみた各論について、私なりの「リカレント」に挑戦
しようと考えている。
人生、何か目標のような確たる標的ができると、また毎日が楽しく
なるから不思議なものだ。
 
百年時代の波動

人生百年時代を迎え、教育、仕事、引退の 「3ステージ人生
から「マルチステージへの人生」へのシフトを提唱したのが、
英国ロンドンビジネススクール、リンダ・クラっトン教授の著書
ライフシフト」だった。
政府の働き方改革や定年延長や、長寿化に伴う高齢者の増加など
が背景あることは否めない。
しかし学びなおし(リカレント)が、一挙に台頭したのは、定年
後のシニアに、余後を生き生きと過ごしてもらうためだったので
はないか。

先日「政府は、広がる社会人の学び直しのために5000億円を予
算計上」と読売新聞が伝えたところ、そんな予算があるなら、ま
ず大学の完全無償化を優先しろとの、世論が巻き起こつた。
日本は予算の大半を高齢者のための年金や医療など社会保障費に
食われているだけに、確かに明日のための教育投資が後手に回っ
ているという現実がある。
リカレントも教育の一環ながら、高齢者対象という事になると、
なかなか難しい問題が出てくる。
かたや高齢者の貧困問題もある。
定年の70歳、延長問題もある。高齢者の認知症増加問題もある。


日本では、早く1990から政府の生涯教育の取り組みとして
生涯学習制度が発足し府県市町村を中心に社会教育が推進されて
きた。

今回の「学び直し」リカレントの波は、民間や教育機関やNPO
主導で沸き起こってきた気配がある。、

  
リカレントのあり方

リカレント、高齢者の学び直しは、いろいろ多岐にわたるが。
その学び方には、常識的ながらゼロから学べるものだが、出か
けて学ぶかIT時代に即応してオンラインで学ぶものまで、カレ
ッジや大学院、そしてオンライン講座まで大きく分けて2つの方
法がある。

考えてみれば、便利になったものだ。それだけに 受講者の完結
する意欲が試される事になる。

 
1)学教室方式
リカレントに取り組むか否かは、夫々の選択肢と実行力に委ねら
れる。去年までは、北朝鮮危機が目前にせまり、一触即発の危機
状況だった。お陰でそれも回避され、いよいよ本格の平和が、や
ってきそうである。
いまこそ、年金と怠惰に甘えている時ではない。頭脳をフルに使
い、何かの社会貢献を試みるべき絶好の時でもある。


英文学者で作家の外山滋比古さん95歳は、
高齢者の独創と新しい発想が社会を変える」と語る。
高齢者の永らくの人生体験は、社会の活力を生む源泉だという。
そして高齢者が自分たちで充実した生き方を創りだすようになれ
ば、社会全体の活力を引き出せる。
(因みに外山先生の著書「思考の整理学」は200万部を超える。
近著「老いの整理学」も好調、
なかでも「理を料する」 そして
流れる水は腐らない」が、
特に感動の一説である。)


86歳の作家五木博之さんは、NHKラジオの「ラジオ深夜便」
高齢者は 毎日最低6人の人と対話すべきと語っ

電話よし
コンビニでの買い物よし
隣人との挨拶よし
対話で世の中の現況が解かり、目と耳の確かな事の確認もできる。 
そして、出歩くことで
健康増進間違いなし。出来れば毎日, 新聞に
目を通し、寝る前にその日の出来事と収支を軽く日記メモに記す。

そうすれば、痴呆症など糞くらえだ。
考えればこれこそ実践的なリカレントそのものだと五木さんは言
う。

国は、2020年からの子どもたちの教育の新学習指導要綱の眼目
を「深い学びと定めた。いつになく味わい深い表現である。
いま百歳時代を迎えて、まずシニアに求められるのは、自分のた
めの「深い学び」ではないかと思う。 
その手段こそが 
学び直し」(リカレント)という事になる。
何はさておき、自分自身の「ライフシフト」のために、早速「リカ
レント」と取り組もうではないか。
どうあれ、日本のシニアには、元気な余後が期待されている事を忘
れては
なるまい。                                 


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