世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

貝の琴

2017-01-04 04:18:26 | 冬の日差し・夏の月

かのじょは、生きていたころ、貝のように、自分の心を閉じ込めていました。外には虚無の嵐が吹き荒れている。だが、きれいな貝の中に閉じこもっていれば、傷つく心配はない。

嘘の吹きすさぶ世界の中で、正しいことしかできない自分の魂を守って生きていくには、それしかなかった。

あなたがたが、影で何をしているのかを、知らないわけではありませんでしたが、何も見ないようにしていた。タンスの後ろに物を隠すように、何もわからないことにしていれば、生きていくことができる。

それほど、今のこの人間世界は、わたしたちにとって生きにくい世界なのです。

あなたがただとて、本当はそうなのですよ。今のあなたがたは、汚い糞の中を泳いで生きているようなものなのです。それが糞だと気づいていないだけです。目が覚めて気づいたら、とんでもないところに住んでいたと思って、慌ててそこから逃げるでしょう。

吹きすさぶ嵐の中を
生き抜くために
わたしは石の中に魂を隠す
そして小さな貝の琴を弾く

かのじょの武器は、たった一台のパソコンでした。それは見ようによれば、小さな二枚貝のように見えないこともない。たった一台のパソコンだけで、救済をやった。簡単に言っているが、ここまで来るのにどんなに大変だったか、わかりますか。一台のパソコンをもらうために、何度でも遠回りをせねばならなかった。感覚を麻痺させながら、かろうじて生きていた。

麻痺させていた感覚が目覚めてしまえば、あの人は自分がどんなことになってしまったかに気付いてしまう。そうなれば、どんなことになるかわからない。それがわかる前に、かのじょが倒れてしまったのは、それが神の愛だったのでしょう。そして獅子の星は、眠っているうちにすべてを忘れさせた。

もう二度とあの人を苦しめたくないから。

貝殻があれほど美しいのは、弱いものを守ってやろうとしてくれる、神の愛が美しいからでしょう。

まるで宝石のようだ。

それは、人間がかのじょのために決して作ってくれはしなかった、八重垣の代わりのようなものだったのです。




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