身はたとひ武蔵の野辺に朽ぬとも留め置まし大和魂
(吉田松陰「留魂録」)
たとえこの身が野に朽ちる骸となろうとも、愛するこの国を救おうと願うわたしの熱い魂だけは、この世に焼き付けておこう。
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世治まり民やすかれと祈るこそ我が身につきぬ思ひなりけれ
(後醍醐天皇)
この乱れた世が治まり、人民が心安らかに暮らせるようにと祈ることが、わたしのつきせぬ思いなのだ。
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平らけき道うしなへる世の中をゆりあらためむ天地のわざ
(野村望東尼)
このたびの江戸の大地震(※)は、このあまりに荒んだ人間世界を改めるためになされた、天地(あめつち)の神の御業なのであろう。そのように、世の中は今、あまりにも大きくゆれ動いている。
※1855年、江戸に起こった安政の大地震。