ヒルデブラント兄弟
20世紀はアニメの時代だった。技術を進歩させた人間は、絵を動かすこともできるようになった。
そこで、自分を託した仮想の存在に、全く違う自分を生きさせることもできるようになった。逃げられない自分という存在から逃げられる世界を、人間はアニメの世界に見出し、そこにはまりこむようになったのである。
現実にはいない女性をたくさんこの世界に創出し、それに夢中になるようにもなった。馬鹿はこの世界を使って、様々なことをやり始めた。阿呆のようなかっこいい人間を作る技術を研ぎ澄まさせ、それを実際の人間の肉体を作る霊的技術にも応用した。
21世紀になると、アニメキャラのような人間が、馬鹿にたくさん現れるようになった。人間そのものが、アニメになってしまったかのように、仮構のような人生ばかりが世の中に輩出した。嘘をつくことが、人間は平気になったのだ。
アニメは20世紀の終わりから21世紀にかけての時代には、実に醜い形に堕落したが、ディズニーがそれをやり始めたころにはまだ、優れたものがある。
この女王は、偽物の美人の見本のようなものだ。何もわからないままに馬鹿なことばかりしてきた、たまらないドブスを、醜い技術を駆使して何とか美人に仕上げたという女なのである。そういう醜い美人の表情というものが、見事に描かれている。
アニメでなければできない表現である。