共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

『幽霊の日』にベートーヴェンの《幽霊》を

2020年07月26日 17時46分03秒 | 音楽
今日は一日中、とにかく何もせずに過ごしました。一日寝ていると、こんなにも身体に負担がかかっていたのかと氣づかされます。

ところでラジオで言っていたのですが、今日7月26日は『幽霊の日』なのだそうです。何でも文政8(1825)年の7月26日に、江戸の中村座で四世鶴屋南北作の《東海道四谷怪談》が初演されたことに因んだものなのだそうです。

それで『幽霊』というキーワードで思い出したのが、ベートーヴェン作曲のピアノ三重奏曲第5番ニ長調Op.70−1です。



上の写真はその自筆譜です。御多聞に漏れず読みにくい楽譜ですね(汗)。

ところで、この曲は俗に《幽霊》の別名がつけられています。

何故にこんな別名がついたのか…一説には第1楽章のメロディにベートーヴェンがシェイクスピアの『マクベス』のために構想していた魔女の宴のシーンのスケッチが活用されたことや、第2楽章冒頭からの雰囲気が当時の聴衆にとってかなり不気味に感じられたことから名付けられたと言われています。ただ、いずれの説も信憑性が今ひとつ希薄なため、《幽霊》というタイトルの名付けの決定的な理由とはされていません。

この《幽霊》が作曲された当時、ベートーヴェンはピアノ協奏曲第5番《皇帝》や交響曲第5番《運命》、第6番《田園》といった名だたる大曲を次々と世に発表していた時期でした。そんな時期に作曲されただけにこのピアノ三重奏曲も室内楽ながら実に充実した内容の作品となっていて、今でもベートーヴェンの室内楽作品の中で人気の曲となっています。

ただし全曲を聴いて頂くと分かりますが、全体にはニ長調という調性らしく華やかな雰囲気の作品となっています。もしかしたら、ベートーヴェンがこの曲に《幽霊》というサブタイトルが付けられていることを知ったら怒り出すかも知れません(汗)。

そんなわけで今日は『幽霊の日』に因んで、そのピアノ三重奏曲第5番《幽霊》を、ダニエル・バレンボイムのピアノ、ピンカス・ズーカーマンのヴァイオリン、ジャグリーヌ・デュ・プレのチェロでの演奏でお楽しみ下さい(因みに、《幽霊》のタイトルになったとされる第2楽章は9:05辺りです)。



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