暖かだった昨日とは打って変わって、今日は朝から陽の差さない肌寒い陽気となりました。夕方頃からは予報通り雨も降ってきたので、昨日のうちに洗濯を済ませておいて本当によかったと思います。
ところで、今日3月5日はヴィラ=ロボスの誕生日です。
エイトル・ヴィラ=ロボス(1887〜1959)は、全9曲の《ブラジル風バッハ》などで広く知られているブラジル出身の作曲家です。
独学で作曲を勉強し、クラシックの技法にブラジル独自の音楽を取り込んだ作風を確立したことで知られているヴィラ=ロボスは、南米のみならず20世紀を代表する作曲家の一人でもあります。また多作家としても知られていて、交響曲から小品に至るまでヴィラ=ロボスの全ての作品数は1000を超えています。
ヴィラ=ロボスの作品といえば何と言っても《ブラジル風バッハ》が筆頭ですが、今回は彼が精通していたギターのための作品をご紹介しようと思います。それが《ギター協奏曲》です。
ヴィラ=ロボスの《ギター協奏曲》は、1951年に作曲された作品です。独奏ギターのバックにフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トロンボーン各1本ずつと弦五部という比較的小規模なオーケストラを伴うことから《ギターと小管弦楽のための協奏曲》とも言われる時もあります。
ヴィラ=ロボスはギターの作品も多く遺していて、1929年には
『ギターの神様』とも呼ばれている20世紀最高のクラシックギタリストのひとりアンドレス・セゴビア(1893〜1987)に《12の練習曲》を献呈しています。そして、後にセゴビアから
「ギターのための協奏曲を作ってほしい。」
という希望が出され、それに応えるかたちでこの協奏曲が作曲されました。
はじめ《協奏的幻想曲》として作曲された時はカデンツァが存在していませんでしたが、後にギター協奏曲に改められた時に新たにカデンツァが加えられて現在のスタイルになりました。初演は1956年2月6日に依頼者であるセゴビアの独奏により行われ、ヨーロッパ初演は1957年にBBC放送を通じて
セゴビアと共に20世紀最高のクラシックギタリストのひとりに挙げられ、後にリュート奏者としても活躍したジュリアン・ブリーム(1933〜2020)により行われました。
そんなわけで、今日はヴィラ・ロボスの《ギター協奏曲》をお聴きいただきたいと思います。マルコ・トプッチのギター独奏で、ラテンの香り高いギターのための協奏曲をお楽しみください。