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共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

安らかに…

2019年12月03日 23時58分00秒 | 日記
今日、小田原の放課後子ども教室を終えてから横浜市保土ヶ谷に向かい、御通夜に参列してきました。亡くなったのは私の友人の御子息、まだ7歳でした。

私も何度か合ったことがありましたが、幼稚園年少さんの時に小児がんを発症し、そこからは病院に入院したきりの治療生活を余儀なくされていました。小学校に行きたいと小さな身体で様々な治療に耐えて頑張っていましたが、遂に昨晩、眠るように彼岸に発ったとのことでした。

一度帰ってからでは間に合わないので、今日は喪服を着て教室に行きました。普段、緩めの格好で行くことが殆どの私が黒スーツで登場したことに子供たちは驚いたようで、次々と

「先生どうしたの?」

と聞いてきました。それに対してあまり明確な返答をせずにいたのですが、それでも、楽しげに過ごしている子供たちを見ているうちに、

『あの子もこんな風にして友達と遊んだり勉強したりしたかっただろうな…』

と、目頭が熱くなるのを堪えるのに苦心しました。

教室を終えて、そのまま斎場に向かいました。

受付を済ませて会場に入ると、二周りくらい小さくなってしまった友人夫妻がいました。その向こうの祭壇には御子息の遺影と、遂に使うことのなかったピカピカのランドセルと、あまりにも小さな棺が置かれていました。

許可を得て棺の中の御顔を見せてもらうと、真っ白で安らかな表情の御子息が横たわっていました。そして、闘病の経緯を聞いていたところ、奥様が上の写真の絵本を持ってみえました。

この《つみきのいえ》という絵本は私が御子息にプレゼントしたもので、入院中も、そんなにいろいろと持ち込めなかった中でも病室で読んでいてくれたそうです。そして、

「棺が小さいのであれこれ入れられないのですが、この絵本、棺に入れてやってもいいですか?」

と仰ったので、是非に…と申し上げておきました。

御通夜には、彼の幼稚園年少さん時代に同期生だった子たちの何人かが、親御さんに連れられて来ていました。焼香をして小さな手を合わせて合掌する姿を見ていると、彼もこんな風に普通に成長して小学校にも行きたかっただろうな…という思いがこみ上げてきてしまいました。

4歳で小児がんが発覚してから7歳で亡くなるまで、彼はその小さな身体で辛い治療に耐えてきました。私も何度か病室にお見舞いに伺いましたが、まだ直接面会がかなう頃に

「元気になったら小学校に行きたい。」

と言っていたことが忘れられません。そんな当たり前のことが、とうとう彼には出来なかったのです。

今、こうして健康で生きていられることは、決して当たり前のことではありません。そのことを、彼がその小さな身体で身をもって教えてくれたような気がしています。

せめて次に生まれてくる時には当たり前のように成長できる子として生まれてきてほしいと、心の底から願わずにはいられませんでした。

たっくん、またどこかであおうね。

合掌。
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