goo blog サービス終了のお知らせ 

付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「小春原日和の育成日記」 五十嵐雄策

2009-10-30 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「男の八割はご奉仕が好きなものだ。間違いない」
 カメラマン・厳島のおっさんの言葉。

 ダメ人間ばかり住むオンボロ下宿の管理人を務める高校生・晴崎佑介は、ある日中学3年の小春原日和から進路相談を受ける。
 しかし日和の志望校である姫乃宮は偏差値のむちゃくちゃ高いお嬢様校。一方、日和は地味を通り越して透明人間ではないかと思うほど目立たない人間で、自動ドアにさえ無視されることが頻繁という、類い希な才能の持ち主だ。さらに入試試験はテーブルマナーに楽器演奏に面談と、人見知りの激しい日和には絶対無理としか思えない難題揃い。
 だが、ここで下宿人のダメ人間たちが日和のために立ち上がった!

 ダメ人間は実は有能だということが明らかになって「すごいっ!」と言わせる王道パターンなんだけれど、同時に「ダメな人はやっぱりダメだよね」となるバランス感覚が秀逸。「実はスゴイ」という人が「普段は全然すごくない」のにはちゃんと理由があるのです。
 姿も見せない下宿人とか伏線をいろいろ引いて新シリーズとのことですが、これだけ読んでもまとまっていて面白かったです。
 やはり基本は他人の目を見て話すこと。自動ドアのセンサーはどうすればいいのか分かりませんが。

【小春原日和の育成日記】【五十嵐雄策】【西又葵】【お嬢様育成】【マタンゴ】【ケンタッキー】【テルミン】【俺の妹がこんなに可愛いはずがない】【タイラント】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ブルー・シャンペン」 ジョン・ヴァーリイ

2009-10-30 | 宇宙・スペースオペラ
「どんなに安定したタイプでも、ときどきは心の奥でべそっかきの子供になるのよ」
 セックスに失敗したレオに説くリンクスの言葉。

 70年代を代表するSF作家ジョン・ヴァーリイ3冊目の短編集で、ニュー・ドレスデン警察のアンナ=ルイーゼ・バッハの登場する「八世界シリーズ」2編を含む6編を収録。「ブラックホールとロリポップ」は『バービーはなぜ殺される』にも入ってましたね。
 面白かったのは「タンゴ・チャーリーとフォクストロット・ロミオ」かな。月面に衝突しようとしている、過去に廃棄された研究ステーション<タンゴ・チャーリー>で少女と犬が生存しているのが発見された。しかし、そのステーションは正体不明の病原体によって壊滅しており、最高の防疫体制で臨んだ救援隊すら罹患率100%で全滅していたのだ……。

 理論パートが難しくて頭が受け付けないのがハードSFとしたら、バーリイのSFは倫理パートが難しくて頭が受け付けないってところがあるかもしれません。
 ほんの半年宇宙に出ただけなのに帰ってきたら30年が経っているとしたら、男と女の性別が簡単に入れ替えられるとしたら、そんな世界での“あたりまえ”を受け入れるってのは面白いことであり、苦しいことでもあるのです。

【ブルー・シャンペン】【ジョン・ヴァーリイ】【ウラシマ効果】【ブラックホール狩り】【性転換】【疫病】【水球体プール】【全裸】【性夢】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする