付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「女学校と女学生」 稲垣恭子

2008-08-31 | エッセー・人文・科学
 うんと、中公文庫『女学校と女学生』稲垣恭子を読んだ。
 明治大正昭和の女学生の姿を、教育制度の変遷に沿って、実際の数字とか資料を引っ張ってきながら紹介しているところがミソ。
 「教育勅語とミッションスクール」とか「エス」とか、いろいろ面白いネタはあるけど、やはり上級生から下級生への手紙の引用がインパクト大。「どうか此の姉を信じて永久に交際して下さいね」とか手紙をもらうことって、本当にあるんだ……。どうしたんだろね?

【女学校】【女生徒】【少女雑誌】【裁縫】
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「骨の城」 アーロン・エルキンズ

2008-08-30 | ミステリー・推理小説
 環境会議に参加する妻の付き添いでシリー諸島までやってきた人類学教授ギデオン・オリヴァーは、暇をもてあまして見学に行った博物館で一片の骨を見せられる。ところがそれが歴史上、考古学上の収集品などではなく、数年前に殺されたらしい男性の一部だと気づいてしまったばかりに……。

 スケルトン探偵シリーズの第13作目。主役はちゃんと探偵しているし、かといって田舎の警察もバカではなく、きちんと仕事しているし、そう言う意味で安心して読めるシリーズ。一かけらの骨からいろんな事が判るんだなあという話。
 雑学も身につきますが、まあ、骨の変形とか人体の切断についての雑学なので役には立ちませんなあ。雑学だからいいけれど。

【骨の城】【エルキンズ】【ハヤカワ文庫】【スケルトン探偵】【クマ】【自然保護】【成功した移民】
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「スペース・オペラの読み方」 野田昌宏

2008-08-28 | 宇宙・スペースオペラ
 1944年刊行の『愛しのワンダーランド』を改題し、高千穂遥の追悼的な解説を加えたSF入門&日本SF黎明期のエピソード集。神保町で繰り広げられたペーパーバックSF争奪戦のこと、テレビの取材でアシモフに会ったときの話、ハインラインの葬儀に出席する矢野徹氏と共にNASAへ行ったときの話、アメリカの古書店主と繰り広げた丁々発止のトレード話等々。ソフトカバー版で持っているけれど(そしてすぐ目の前の本棚に入っているけれど)、反射的に買ってしまいました。
 スペースオペラといいつつ、真っ先に取り上げるのがアシモフ、クラーク、ハインラインであり、そうした作品の魅力を、こうした作品に初めて接した戦後のSFファンたちの姿を交えつつ紹介。そこからさらに「これをスペースオペラ作品として書き継ぐとしたらどうする?」と話を振るなど変幻自在。まだ戦後間もない頃、SF同人の先輩たちからまだ翻訳もされていない作品について(本物以上に)面白可笑しく語って聞かされたというエピソードが出てくるけれど、この本自体がまさしくそんな「サークルの先輩からのお話」的な愉しさにあふれていますね。

【スペース・オペラの読み方】【野田昌宏】【愛しのワンダーランド】【ベートーベン】【看護婦】
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「Aの魔法陣 ルールブック ~ガンパレード・マーチ篇~」 芝村裕吏/アルファ・システム

2008-08-27 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 TRPG版「ガンパレード・マーチ」が出ました。
 最速最軽量のTRPGとして2006年に刊行された『Aの魔法陣』のGPM特化したサプリメントですが、改訂した基本ルールも抑えていますので単体でちゃんと遊べます。
 前作の『Aの魔法陣』でもガンパレはプレイできたのですが、難易度が高すぎました。ぶっちゃけ、『スコードリーダー』級の戦術レベルの歩兵戦闘を、多人数プレイのTRPGでやろうとするものでしたから、そりゃあ無理ってもんです。システム的におかしいというのではなく、プレイできる素養のあるプレイヤーが少なすぎるんでないかい?という意味で。
 これが1コマ1兵士で道路横断も命がけなシミュレーションゲーム『スコードリーダー』、米軍の1分隊分の歩兵を動かして任務を遂行するソリティア(1人遊び用)『アンブッシュ!!』とか『ムーヴアウト!』とかが刊行された時代の流れで出ていれば良かったんだけど、ちょっと遅かったよね。
 でもそういうのをやりたい人には最適! 『アップルシード』の対テロリスト戦闘だって、その気になったら再現できちゃう。

 まあ、旧作の話はさておき、新版の話。
 そんなわけできみこさん(ガンパレとかは好きだけれど、細かい戦術とか武器の取扱とか判らないし、難しい計算は苦手という、想定女性ユーザー層のこと)でも遊べます」を売り文句に、武器や装備、状況による修正を足した数値が敵の能力を上回ればOKという簡易な戦闘ルールも導入。旧戦闘ルールはオプション扱いになったので、少なくとも「慣れることはできそう」とのきみこさんの感想でした。
 ただ、簡略化されたといっても戦闘センスというか基礎知識があった方が有利ではあるらしく、JGCでのプレイでも陣地設計が巧かったのはプロの仕事だったからだそうな。
 そしてロールプレイ面でも充実しているので、確かにこれならGPMがプレイできそうです。

 唯一不満は、せっかくの本文イラストがすべてモノクロなこと。
 いや、オールカラーにしろといっているのではなく、きむらじゅんこによる「原さんと森」とか広江礼威の「舞」なんて大判イラストあたりは原画がカラーでない? ちょっともったいないよ。

 あと、とりあえず気になったとこ。
 p022「戦場の支配者」とp024「前線の女帝」の解説が入れ替わってないかな? どちらも指揮官ではあるけれど、情報技能があるのは後者だけだから。

 2008年9月時点で、オンラインによるSD養成や体験セッションなどが続々と開催されているので、興味ある人はテンダイスとか関連サイトを覗いてみると良いよ? およそ2ヶ月開催される予定。MSメッセンジャーは必要だと思うけれど、ダイスチャットを使用するセッションもできるみたい。

【Aの魔法陣】【ガンパレード・マーチ】【芝村裕吏】【TRPG】
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JGC(横浜)&DAICON7(岸和田) 【共に不参加】

2008-08-26 | イベント・コンベンション
 タイトル通りです。いいなー、いいなー、いいなー。

 2008年夏は、大きなイベントには何1つ参加することなく、おとなしく過ごしておりました。
 SF大会くらいは参加しようと思っていましたが、嫁が参加したがっていたJGCが同日程で開催されたため断念して留守番に。
 ところが嫁がぐずぐずしていて申込みが遅れていたため、JGCの方が締め切られてしまい、一転キャンセル待ちに。こちらを諦めさせておいて、のんびりしすぎて定員オーバーって……。これでキャンセル枠を確保できなかったら許せないところでした。
 事務手続きはなんでもちゃっちゃとやれーっ! あれこれ理由をつけて先延ばしにするなっ!
(08.08/25)

 帰宅した嫁から聞き取り。
 新横浜界隈は、店が増えていて食事には困らなかったそうな。ラーメン博物館には行かなかった模様。なーんだ。留守番家族が牛丼を食べている間にステーキ丼を食していたらしい。ちぇっ。
 ホテルの部屋は会場となったフロアの1つ上なのに、階段が使えないのでやはり満員のエレベーター待ちだったそうな。
 ライブRPGは「万歩計が欲しい!」と思うくらい歩き回ったとか、Aマホ/ガンパレは「簡単とはいわないけど、やってけば慣れると思う」とのことだけれど、先行購入したルールブックは長男に取られたので未読。
 帰りの新横浜駅はサザンのライブ帰りの老若男女でごった返し。豪雨による新幹線遅延でとんでもない騒ぎだったとか。やっぱサザンは強いなあ。街は一色だったそうな。
 とにかく愉しんでこられたようでなにより。よかった、よかった。
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「ヴァージン・ブラッディ~妖しの女教師」 霜越かほる

2008-08-26 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 嫁さんが表紙を見て「これ、エッチな本?」と言いました。
 いや、半端にいやらしいところがどこぞの美少女文庫みたいですが、集英社スーパーダッシュ文庫です。2001年刊行かあ。けっこう古いですね。

 喜島浩二の高校生活は不吉な幕開けをした。少し話をしただけのクラスメイトが自殺したのだ。彼女は、工藤深雪は喜島に「明日お弁当を作ってきてあげる」と言ったのに。
 深雪が死んで2週間後。教育実習生としてやってきた女性、写真部OBの出間忍は、深雪の遺品を見て顔色を変える。そして喜島と共に深雪の実家を訪ねるのだが……。 

 うーん、消化不良。
 面白くはあったけれど、すっきりしない。朝松ちひろは余分でない? 少なくとも、この話の中では活きてないよね。

【ヴァージン・ブラッディ】【妖しの女教師】【霜越かほる】【吸血鬼】【蛟】【写真】
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「世界のSFがやってきた!! ニッポンコン・ファイル2007」 日本SF作家クラブ編

2008-08-25 | その他SF(スコシフシギとかも)
 北京オリンピックがやっとこさ終わったけれど、個人的にはオリンピックを日本に誘致できたかできないかという騒ぎより、世界SF大会ワールドコンを日本に誘致できるかどうかの方が大問題でした。 まあ、経済効果は雲泥の差ではありますけどね。
 さて、非英語圏では初の開催となった2007年夏のワールドコン、ニッポンコンの記録集ということでわくわくしながら読み進め、結果、うれしさ半分、がっかり半分。
 だって、本当に日本SF作家クラブが関与した企画しか紹介されてないんだもの。それでも60企画ですから十分といえば十分ですし、それらについては詳細なレポートが掲載されていて「不参加でも参加した気分が味わえる」ようになっていますが、企画数からいえばワールドコン主催の英語企画、ファングループが主催した自主企画、企業主催企画等があったわけで、感覚的には半分くらい、自分の参加した企画は1/3も含まれていません。
 「日本SF作家クラブ」であると同時に「日本SF作家クラブ」でもあるわけです。

 特撮怪獣映画のパネルディスカッションとか、19世紀イギリスのリージェンシーダンス講習会とか、すごい科学で守ったり針のむしろで横になったりとか、デンキネコとか、ジョージ・タケイのサイン会とか、ファンタジー系企画とかについてはすっぽり落ちてます。
 ほら、ロバート・シルヴァーバーグも「SFと古典」企画で「SFとファンタジーの区別には重要な意味はない」と言い切っていたのに、やはり正統派SF企画中心のアフターレポートとなってしまいました。まあ、表紙のイメージ通りの本です。
 あるいは参加してもよくわからなかった英語による企画についても、どんなことをやっていたのか知りたかったですね。巻末の寄稿でアイリーン・ガンが「ニッポンコンについて唯一不満だったのは、日本語企画と英語企画がそれぞれ別々に走っていて、たまにしかまとまらないという点だった」と指摘していたけれど、それは本当に最後の最後まで変わらなかったのでした。
 そこは日本SF作家クラブではなく、出版元の角川春樹事務所で何とかならなかったのかな。別巻、続刊は無理としても、時刊新聞やレジュメの再録で良かったのだけれど。

【世界のSFがやってきた!!】【ニッポンコン】【日本SF作家クラブ】
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「別冊図書館戦争II」 有川浩

2008-08-24 | 本屋・図書館・愛書家
 検閲と焚書をおこなう法務省メディア良化委員会に対し、図書館の自由を旗頭に広域地方行政機関である図書館が抵抗して、文字通り血を血で洗う抗争を繰り広げている原作のスピンアウト・シリーズの第2巻。
 緒形副隊長の過去話、堂上と小牧の新人時代の短編2本と、ストーカーにつきまとわれる図書館員・柴崎麻子の中編。

「いかなる低俗・劣悪な表現であっても、国民はそれを自分で見て判断する権利がある」

 平和な日本のど真ん中で、図書館と書店界隈だけ銃弾飛び交うというむちゃくちゃな設定のようだけれど、言葉狩り的にはかなり近いところまで来てますねえ。言葉だけ取り繕っても、個人個人の意識が変わらなければ言葉狩りをしたところで差別はなくならないのですけれど。

【別冊図書館戦争】【有川浩】【うさぎ】【就職】【アイコラ】【拉致監禁】
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「フレイアになりたい2~ハーデスが泣いている」 岡崎裕信

2008-08-23 | 超能力・超人・サイボーグ
「いつか人は必ず死ぬっていうことを学んで、その上で人生面白おかしく生きたいのよ!」
 メガネの委員長、小泉イズミの言葉。

 自主製作映画のヒロイン探しに奔走する風間瞳。彼女らに残された時間はもう5年もない。病魔に冒され命が尽きる前に作品を完成させることは、先に逝った桜井夕陽との約束でもあった。
 そんなある日。「いつだって相談に乗るわよー?」と言って別れた小泉イズミが、その直後に駅で飛び込み自殺をしたという。周囲の目撃情報は、どこから見ても自殺であったという。
 ならば、それはハーデス、人の悲しみを増幅して死に追いやる特殊能力者の仕業ではないのか……。

 岡崎裕信の『フレイアになりたい2~ハーデスが泣いている』を読了。これがデビュー4作目かな。面白いけど、ちょっとバランスが崩れかけてるかな。戦闘シーンの濃密さが持ち味なので、ストーリーを少し複雑にした分だけ勢いが削がれたかも知れません。
 でも魅力的なキャラを平気でどんどん使い潰せるのは良い度胸だなと思います。

【フレイアになりたい】【ハーデスが泣いている】【岡崎裕信】【因果応報】【性】【AV器材】【自殺】
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「竜と箒とひかりの彼方」 富永浩史

2008-08-22 | 魔法の学園
 今も魔法使いは存在するけれど、普通に生活する分には魔法より科学の方が便利。それに魔法使いのほとんどは10年前の革命の時に王侯貴族と共に消されちゃったし。でも隣接するライバル神聖帝国は竜騎士などを擁する魔法大国。軍事上の必要から、魔法使いは確保する必要はある……。
 そういうわけで、国家として魔法使いの免許制度を維持すると共に、士官学校で養成していくことになる。
 そして陸軍魔法士官学校飛行科に末席で合格した少女の名はエリーナ・ウェベジーナ。同期の男子よりも高い身長と、女子の誰よりも巨大な胸をもった少女だった。

 魔法学園ものを美少女ネタをふりかけつつ無難にまとめましたという感じ。うん。魔法学園ものであって、魔法士官学校ものじゃないよね? 士官学校が舞台だけれど、そういう意味での「らしさ」は足りない。『ポリス・アカデミー』の方がカリキュラムがきちんとしてる気がしますし、『ハリー・ポッターと賢者の石』の方が道具としての「箒」にこだわっています。
 メインストーリーは各地から集められた学生たちが、反発しあいながらも最後は協力して対抗戦に挑む……という王道パターンだけに、ディテールはしっかり押さえて設定と物語に説得力を与えて欲しいなあと思うのです。

【竜と箒とひかりの彼方】【富永浩史】【ドラゴン】【演習】【空中戦】【女風呂】
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「微細回路少女師団~マイクロサーキット・ガールズ」 山下卓

2008-08-21 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「世の中、みくびっちゃいけないよね。退屈のありがたみって、ある日突然思い知るんだよ」
 お水のお姉さんの言葉。

 お家が急にお金持ちになってしまい、ブルジョワ学校・私立鳳凰学園に転入することになった月島琴美は、パンフレットで見かけた第三園芸部に興味を持つが、それがすべての始まりだった。
 第三園芸部のたった3人の部員である女子生徒こそ、日本の政財界からマスコミまでを支配する財閥の令嬢であり、当主であり、学園生徒の憧れの先輩であり、そして学園の禁忌であった……。

 副題も通し番号も付いてなかったので油断したら、シリーズ物の導入部でした。全部の内容を要約しても、内容紹介のあおり文にしかなりません。うーむ。
 面白くはあるけれど、タイトルにふさわしい話にする気なら、少しテンポが悪いかな。
 あと、イラストは田沼雄一郎。いつの間にか、こんな画風に……。

【微細回路少女師団】【マイクロサーキット・ガールズ】【山下卓】【巨大学園】
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「AURA~魔竜院光牙 最後の戦い」 田中ロミオ

2008-08-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「世界に不思議なことはあってもいいんだ」
 アクセサリーショップの久米さんの言葉。

 中学時代はイジメに苦しみ、高校デビューで一般人の仲間入りをしてやろうと考えていた佐藤一郎の野望は早々に潰えた。青い魔女のコスプレをした少女と知り合ってしまったばかりに同類と見られてしまったのだ。あっという間に村八分。
 それだけなら慣れているから良かったが、電波系魔女の佐藤良子だけでなく、他の生徒も次から次に彼の前に現れてカミングアウトし始めたのだ。「俺のことが分からないのか、飛霊」「貴様は我と同じ誇り高き<邪星剣士ツヴァイ・ハンター>なのだ」「この白ランは英知を宿した賢者の証なのだ」「吸血本能が……」「アカシャ断章」「フハハハ! 盟友と書いて友と呼ぶ」……。
 気がつけばクラスメイトの半数は、転生だ前世だ真の姿はとか言い出すアッチ系のかわいそうな人ばかりと判明。しかも、クラスの最大派閥になってしまった危ない人たちの中心人物が、2人の佐藤ということになっていた……。

 田中ロミオって、ブラックカレーのようだ。毒があるのにやめられない。このピリピリッとした舌のしびれ具合がたまらないのだ。

【AURA】【魔竜院光牙】【田中ロミオ】【妄想戦士】【転生】【都市伝説】【不登校】
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「戦争は女の顔をしていない」 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

2008-08-19 | 戦記・戦史・軍事
「真実というのは我々が憧れているものだ。こうでありたいと願うものなのだ」
 執筆時の検閲官の言葉。

 第2次世界大戦、ソ連での呼称なら大祖国戦争だけれど、この戦争に参加したソ連の元・女性兵士たちへのインタビュー集。運転手、軍医、給食係、通信兵、整備兵、歩兵、狙撃手、戦車兵、高射砲部隊、土木大隊、政治将校……。やはり医療・通信が多いけれど、実戦部隊も少なくないし、その話は悲惨なものが多い。

 だいたい第2次大戦後に「男女平等」「マイノリティの権利向上」という考えが急速に進むのだけれど、それはこの大戦争によってそれまで社会の担い手であった成人男子が根こそぎ戦場へ動員され、それによって生じた空白を女性が埋めて実績を作ったことが大きいのですね。
 工場だって、公共交通機関だって、女子供がちゃんと何年も動かしてきたのだから、今さら「女子供は黙っていろ」なんて言わせないし、女性自身にも「もしかして、男と同じように働けるじゃない」という意識が芽生えます。
 もちろん一朝一夕に進むわけでないのは、歴史の証明する通り。
 でも、社会主義国、共産主義の国では、それこそ男女とも同じように働いて社会参画して当然というイメージがあっただけに、このインタビュー内容は意外でもありました。
 ぜんぜん、平等じゃないじゃん!

 確かに第2次世界大戦にソ連が100万人以上の女性を兵士として戦場に投入した話は有名。英米などの各国でも軍人として女性は加わっていたものの、補助要員ばかりで直接戦闘に加わったものはいませんし、日本などは補助要員でもせいぜい電話交換手とか看護婦(当時)といった軍属止まりです。
 ところが、国土が戦場となったソ連は、魔女飛行隊が知られているように、多くの女性兵士が実戦に投入されていました。けれども、たとえば生き残った女性エースパイロットでも、戦後の活動を追跡することはほぼ不可能。足跡を追えても活躍らしい活躍をしている人は皆無。アメリカのジャクリーヌ・コクランの暴れっぷりを思うと、嘘のように静かです。
 なんでかなあと思ってましたが、結局、ソ連も男性社会であって、戦争で活躍したからといって、むしろ活躍したからこそ、女性兵士たちは周囲の社会から疎まれたのですね。「男だらけの世界に潜り込んだふしだらな/人殺しの娘がいたら、他の姉妹まで嫁のもらい手が無くなる」「どうせ戦場でぴーぴー泣いていただけだろう」などと思われていたらしいことは、戦後何十年も経って実現したインタビューの端々からも伺えます。

【戦争は女の顔をしていない】【アレクシエーヴィチ】
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「桜ish 推定魔法少女~桜舞い降りた」 一肇

2008-08-18 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「心に翼 瞳に勇気 愛はすべての悪を断つ」

 魔道数式を操り、少年少女の恋粉を集めようとする次元犯罪者たちに立ち向かうため、正義の魔法少女が誕生した。
 次元を超えて世界を管理する刻時機構によって力を与えられた3人の恋天使。しかし、その正体は大渡城学園に通う3人の男子中学生だった……。

 えっと、どこのスーパーアスパラガスですか?
 突飛なようで、実はそれほど突飛でもないアイデアを無難にまとめた感じ。これは素直にエッチに走って寸止めにするくらいでちょうど良いかと。今のままだと、普通にテレビシリーズの魔法少女ものをノベライズしたときに感じるような物足りなさが残ります。
 なんで男子生徒だったのかという必然性も、この段階ではまったく見えませんしね。

【桜ish~推定魔法少女】【一肇】【変身魔法少女戦士】【七不思議】
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「ヴぁんぷIV」 成田良悟

2008-08-17 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「へー、そうなんですか!」
 ある意味最強のフェレットの言葉。

 ドイツ南部の山村で村人が、たった1人の少女を残してことごとく消え失せるという事件が発生した。
 これが吸血鬼の仕業であるとの噂が囁かれるようになり、これはいかんと「組織」は会議を招集。東欧の古城から、紛争地域の最前線から、神社の境内から、まさに世界中から組織に所属する吸血鬼たちがマーズ家の所有するカントリーハウスへと集結し始めた。

「必殺技を使う時に名前を叫んだり呪文を詠唱したりするのは、その……浪漫ですから!」
 浪漫なら仕方がないよなあ。銀輪舞台のお嬢様、ロミー・マーズの言葉。
 ちなみに“銀輪部隊”は、日本軍がマレー攻略で投入した自転車部隊のこと。自転車の輪っかがきらきら光るので銀輪……。名前の割にショボイものの代名詞。

 「ヴぁんぷ!」はあいかわらずスゴイです。キャラ造型がヒドイ。というか、作者自ら書いているけれど、こんな中二病みたいな設定の山というか、初めて作成したPBMのキャラ設定(それもシステムはこうもり城あたり)みたいなのというか、とにかく奇抜で無敵なキャラクターの群を、きちんと使いこなしてますもん。へたな作家なら、誰か1人使っただけでパンクしちゃうと思います。
 まったく「吸血鬼」の基本概念をひっくり返したような吸血鬼話です。こんなんでも吸血鬼なんですか!?というか吸血鬼の定義ってなに!?という、怪物体の数々。キャラクター紹介が怪獣怪人大百科になっているような騒ぎ。
 あー、面白かった。横綱相撲の壮快感でした。

 えっと、ガルダスタンスとガスダスタンスの誤植が1つ。

【ヴぁんぷIV】【成田良悟】【チワワ】【食鬼人】【ネブラ】
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