付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ステップファザー・ステップ」 宮部みゆき

2009-10-17 | ミステリー・推理小説
「親はなくても子は育つが、子どもがいないと親は育たねえ」
 柳瀬の親父の言葉。

 この作品は「青い鳥文庫」版やカバーイラスト違いも入れると5種類くらいあるのだけれど、いちばん組み合わせがしっくり来るのが荒川弘がカバーイラストを描いているやつですかね。双子を見てホムンクルスかと思わないでもありませんが、内容に合っているのでOKです。

 落雷にあったプロの泥棒が転落したのは、中学生の双子だけが住む家だった……。

 疑似家族を演じるはめに陥った泥棒が、本業もしっかりこなしながら双子の周囲に発生する事件の謎も解くというクライム・コメディ。さすが宮部みゆきというか、何回でも読み返してしまいます。イヤだイヤだといいつつ、いつしか双子との関係がしっくりきてしまうわけですが、やはり家族というのは単なる「血」ではないのだなあと思いました。
 第一話のお隣さんが以後登場しないのはちょっと気になったけれど、柳瀬の親父さんの暴れっぷりは怖いくらいに壮快です。状況は考えたくないけれど……。

【ステップファザー・ステップ】【宮部みゆき】【荒川弘】【遺棄児童】【偽札】【監禁】【誘拐】【87分署】【新聞】【授業参観】【籠城】
コメント (2)
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「俺の剣道(14) 旭のように爛々と」 左近士諒

2009-10-17 | スポーツ・武道
「どんなスポーツだってそう(野蛮)よ。元をたどれば狩りや戦争になんだから」 
 勝つか負けるかだから文化的じゃないわよねとキャプテン水沢由紀。

【俺の剣道】【旭のように爛々と】【左近士諒】【林律雄】【女子団体戦】
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「SF入門」 福島正実:編

2009-10-17 | エッセー・人文・科学
「世の東西を問わずSF漫画は雑草のような俗悪連続漫画をその母体とし、ツルシ上げられ、蹴ッとばされ、ふみにじられながらも図太く育ってきた」
 そしてSFというものを世に浸透させてきたと手塚治虫の論。

 日本にSFが定着していくのはこれからだという昭和40年に、「これがSFなんだ!」と当時の第一人者たちがSFとはなにか、SFの系譜とバリエーション、SFならではの専門用語の解説、SFの楽しみ方や書き方などについてとことん語った入門書というかSF学総論のテキスト。
 ギリシア神話からヴェルヌやウェルズを経由して共産圏SFまでの歴史を福島正実や石川喬司らが語り、SFの流行や批評性などを安部公房や小松左京らが語る他にアイザック・アシモフの文章を引用。SFのマーケットについては伊藤典夫が、コンベンションについては矢野徹が、マンガについては手塚治虫、スペースオペラのヒーローについては野田宏一郎(野田昌宏)が、SFファンダムについては柴野拓美がと、適材適所でじっくり解説。他にも光瀬龍、豊田有恒、小隅黎、星新一らがとことん、あらゆる角度からSFを語ります。
 名著だなあと思いますし、なにより執筆陣がこのジャンルが大好きなんだという想いが伝わってきます。

【SF入門】【福島正実】【サイボーグ】【ロボット】【タイムトラベル】【BEM】【ESP】【宇宙飛行】
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