付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「海将補のアフリカ奮闘記」 松浦光利

2008-11-29 | 伝記・ノンフィクション
 ザンジバルから新造船の訓練指導にあたる人材派遣が日本に要請されていたが、海運業界からはなり手が見つからず、やむを得ず退役直後の海上自衛隊の海将補が単身アフリカに送り込まれて四苦八苦した、1975年から6年間の記録
 なにしろ船長資格を持っている者がほとんどおらず、いても腕が悪く、乗り込んだ船のレーダーは故障しているし、灯台の大部分はガス欠で消灯しているし、荷役作業員は怠けていてちっとも働かないし、食事はまずいし、船長は指導半ばでいなくなっちまって、交代に来た船長は前の船長よりさらにヘタクソで人望が無く、水先案内人はあてにならない。しかも海員学校の設立やら緊急輸送だの、飛び込みの仕事が次から次へ……。

【海将補のアフリカ奮闘記】【松浦光利】【愛知万博】【烏合の衆】 
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「クロノス・ジョウンターの伝説」 梶尾真治

2008-11-28 | 時間SF・次元・平行宇宙
「そういえば、ゴジラもこのときはタイム・パラドックスものになっていたんだ」

 小説『この胸いっぱいの愛を』の原作となった同名映画の原案となった連作短編集です。
 でも、まあ、内容的には物質過去射出機クロノス・ジョウンターというアイテムが中核になったラブストーリーという点だけが共通で、ストーリー的には別物。どちらかというと、クロノス・ジョウンターのシステムの解明と改良に言及されているだけこちらの方がSF的。『この胸いっぱいの愛を』はクロノス・ジョウンター抜きのファンタジーでも成立する話だものね(時間の引き戻しの説明には手間取るかも知れないけれど)。
 自分としては、こちらはあまりツボにはまらないものの、普通に面白く読めました。たぶん表紙絵のもとになっているだろう冒頭の1篇とか、壮絶な恋愛ですよね。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」というか、浮かぶのは自分じゃないって話で、なぜそこまでできる?という物語。
 逆に読めば良かったかな。映画も機会が有れば観てみましょう。

【クロノス・ジョウンターの伝説】【梶尾真治】【タイムトラベル】【ラブストーリー】【虎よ虎よ】【たんぽぽ娘】
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「七姫物語」 高野和

2008-11-27 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「ねえ、トエ様、テン様……三人で、どこまで行けるんでしょうね」

 客観的に見れば、大陸の片隅、東和の勢力争いなど、コップの中の戦争である。
 とはいえ、そこで生まれ死んでいく者にとっては、幾つもの都市国家の中のどこが覇権を握るかは死活問題というのも事実だろう。
 7つの都市に7人の姫君がいた。
 いずれも先王の隠し子とされる姫であり、各都市国家にとっての錦の御旗である。
 その中の1人、都市国家カセンで名乗りを上げた7番目の姫、七宮姫は紛れもないニセモノであった。ウソしか言わない2人の男、将軍トエル・タウと軍師テン・フォウがそこらの孤児の中から見つけてきた娘でしかない。
 しかし、七宮姫カラスミは本物になろうとしていた……。

 東洋風というか和風ファンタジーのマイフェアレディ物語。
 諸都市の、姫たちの思惑で、さまざまな形でカセンに介入が試みられますが、それは戦争だけではありません。
 この3人がどこまで行けるのか、見守りつつ追いかけたいと思いますが、そもそも日本の歴史物というとライトノベルでは読者層が薄いんですよね。難しそうだから読者が手に取らないという話も聞きました。でも児童文学方面では最近頑張っているみたいだし、どうなんでしょうね。
 面白い本はジャンルを問わないし、多少の苦労は物の数ではないのですけれど。

【七姫物語】【高野和】【国盗り物語】【偽姫】
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「最後の鐘が鳴るとき」 電撃コラボレーション

2008-11-26 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 電撃文庫作家陣によるコラボレーション企画の第3弾。今回は「MW学園」を舞台にした学園伝奇アクションっぽい、連作短編集。

 歴史あるMW(マリー・ ホワイト)学園も今日の卒業式を最後に廃校。その1日で起こるさまざま事件や陰謀の顛末を断片的に描いていく、伝奇あり、オバケ話あり、スパイアクションありの1冊。

 封印された魔物があれば、いないはずの誰かはいるし、呪われた恋もあれば魔物の復活譚もあるという、またいつもに増しててんでんバラバラ。なんというか全10回PBMの第8回リアクション集かいっ!てな感じでしたが、これまた成田良悟が最後を締めて1つの作品に仕上げてしまいました。なんてこったい。つじつま合って、1本スジが通っちまったぞ。
 なんというか、このシリーズ企画。各作家の個性を愉しむというより、成田良悟の辣腕を確認する企画になっている気が……。

【最後の鐘が鳴るとき】【電撃コラボレーション】【天使】【人体模型】【僧侶】
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「うそうそ」 畠中恵

2008-11-25 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 しゃばけシリーズの5冊目にして、若だんなの長編旅行記で、病弱な若だんなが仁吉や佐助、それに松之介と湯治に出かけたところが、誘拐されるわ、殺されかけるわで、湯に浸かる暇もなく死にかけていくという話。合掌。

 病弱で寝たきりだけれど、それを許せる財力のある親と、なにくれと世話を焼いてくれる頭も良ければ腕っ節もいい妖しの手代がいて、それでも状況に甘えきるのではなく、1つずつでもできることを増やしていこうという若だんな。

「生まれてきた者は皆、強いとこも弱いとこも、どっちも身の内に持ってるもんらしい」
 謎の雲助・新龍の言葉。
 誰だって、みんなそれなりに弱い部分があるのだから、あせらずに1つずつできることを増やしていこうという話。

 なんか、それでいいのかというようなオチではあるけれど、謎の少女・お比女ちゃんに我が身を投影する若だんなも着実に成長しているなあと思いました。
 安心して読める、妖怪時代小説。

【うそうそ】【畠中恵】【家鳴り】【天狗】【雲助】
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「まぶらほ~またまたメイドの巻」 築地俊彦

2008-11-24 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「それで、どんな方法を使うのですか。核ですか。化学兵器ですか。生物兵器ですか」
「……市街地で使うわけにはいかないだろう」
「なんでです。相手も予想していないからこそ、効果的なんですよ」

 ヒロインにあるまじき言葉。

 パッとしない主人公に美女才女が群がるという今の王道路線を突っ走りながら、築地俊彦の作品が他とは違うのは、ヒロインに厳しいところかな。多少ヘンなことをしても、ヒロインだからと好意的に解釈してもらえず、常軌を逸している行為はちゃんとおかしいものと描写されるので、とっても黒いヒロインになってますね。

 で、メイドさん保護を目的に結成されたメイド集団MMM(もっともっとメイドさん)を主役にした外伝シリーズの5作目。ヒロイン宮間夕菜は完全にドス黒い悪役です。
 今回は第5装甲猟兵侍女中隊が経営する、メイド喫茶を舞台とした式森和樹争奪戦他の物語。もう魔法すら関係なく、『まぶらほ』である必要すら無い気もしますが、どこまで行ってしまうんでしょうか。

【まぶらほ】【またまたメイドの巻】【築地俊彦】【メイド】
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「いつわりの仮面~マーベラス・ツインズ契(3)」 古龍

2008-11-23 | 時代・歴史・武侠小説
 美少女美少年から渋いオヤジに醜悪な怪人や妖女まで次々に登場し、どいつもこいつもひと癖もふた癖もあって、剣や武術の腕もすごいけれどそれ以上に知略というか悪知恵の働くヤツばかり。悪党の英才教育を受けて育ち、あちらこちらで女を泣かせて回っている小魚児が、純真な良識人に見えるくらい。
 いや実際、なまじ純真だったり真面目な登場人物が出てくれば、暴れ牛の群の前に迷い出たウサギのごとく、あっという間に蹂躙されてしまいます。真面目で唯一生き残っているのは、ヒーローである花無缺くらい。でも、それも前回でとどめをさされかけているし……。
 そんな話で、武侠小説とかファンタジーとかライトノベルとか、そんなくくりと関係なく「面白い話」が読みたい人にお勧めのシリーズ。「契」からでも話は一応わかるけれど、哀れな美少女たちがいかに今の境遇に陥っているかを知るためには、最初から読んだ方が良いね。

 今回は人々の信頼厚く大人と讃えられつつ、実は権謀術策を駆使してライバルを謀殺していく江別鶴と江玉郎の親子が、それぞれ何度も窮地に陥りながらも狡猾に包囲網をくぐり抜け、世間知らずの少女を毒牙にかけていくという話。
 もちろん、3ヶ月後に殺し合って決着をつけるとの約束をかわした小魚児と花無缺の友情が本筋だし、大侠と讃えられる燕南天の活躍と真実とか、いろいろ見所はあるのだけれど、やはり目がいくのは聖人君子の皮をかぶった江親子の卑劣漢ぶり。
 しかし、慕容九妹を始めとして登場する美女美少女の不憫なことよ。

【いつわりの仮面】【マーベラス・ツインズ契】【古龍】【絶代雙驕】【乙女陵辱】
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「牢の中の貴婦人」 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

2008-11-21 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 放り投げられっぱなしの身も蓋もない話。

 突然イギリスから異世界に紛れ込み、気がついたら貴族の身代わりにされて牢獄に閉じこめられていたエミリーの日記の体裁を取った初期作品。

 え、ここで終わり?

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズの他の話だと、ここで折り返しというところで終わっているところがミソ。解説によると、史実の「幽閉された王がそこで遠くから見かけた捕囚の乙女と恋に落ちた」という話を、視点を入れ替え異世界の話にしたらしいけれど、身も蓋もないなあ……。
 納得できない理由で閉じこめられた女性が主人公ではあるけれど、読み終えると「立派な王さま」より「イヤミったらしい牢番」やら「残酷で小心者の貴族」の方に親近感を覚えているのはなぜ? 下働きの少年も気の毒にとか思うけれど、この国がこれからどうなるんだろうとか思えないんだよね。
 というか、エミリーはこれからどうなるの?

【牢の中の貴婦人】【ダイアナ・ウィン・ジョーンズ】【デイルマーク】【隠し文】
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「ホアズブレスの龍追い人」 パトリシア・A・マキリップ

2008-11-20 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 私らの世代ですと、マキリップという人はファンタジーの代名詞みたいなもんでしたが、そのマキリップの短編15編が収録された1冊。
 収録数でもわかるように、1つ1つの作品は短く、ファンタジー小説というよりは龍とか塔とか魔女とか幻想的なモチーフを扱ったスケッチという方が近いかも知れません。別の有名な作品をモチーフにしたものも多いです。『ロミオとジュリエット』『かえるの王さま』『雪の女王』……。
 5人の女戦士が女王の命令で、行方不明になった吟遊詩人を捜す『ドラゴンの仲間』が面白かったけれど、長編展開を短編でやってしまうので、読み終わっても「あれ、で、これからどうなるんだろう?」「これで終わり?」とオチの続きを求めてしまいます。
 まあ、短編集ですから。

【ホアズブレスの龍追い人】【マキリップ】【吟遊詩人】【魔法使い】【龍】
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「赤毛のレドメイン家」 イーデン・フィルポッツ

2008-11-19 | ミステリー・推理小説
「(演繹的精神ではなく)事実に事実をつなぎあわせるのが、わたしのもっとも得意とするところです」
 自分の強みは総合的思考にあるという、引退した探偵ピーター・ガンズ。

 マイクルとジェニーは、端からもわかる仲睦まじい夫婦だった。だが、突如としてのマイクル・ペンディーンは失踪してしまう。ジェニーの叔父であるロバート・レドメインによる殺害が疑われ、ロンドン警視庁の名探偵マーク・ブレンドンが捜査にあたるが、ロバートもまた完全に失踪してしまう。
 そして半年後。
 別の叔父ベンディゴ・レドメインのもとに身を寄せていたジェニーの前に、ロバート・レドメインは再び姿を現すのだが……。

 一般小説でもホラーでも何でも書いた英国の作家、イーデン・フィルポッツによる本格ミステリの古典。
 古典は古典なんで、今の目から見ると「いや、それは」という部分がないではないけれど、そこは古典なんで「目新しい部分がない」などと先駆者の苦労も知らない世迷い言は言わないように。
 ただ、昔の推理小説だけあって、証言と捜査の描写が延々と続きますが、今、読んでもそんなに苦痛ではなく面白いってのは流石です。

 でも、タイトルで「レッド・レドメイン」と掛詞になってはいても、それだけだったよね?

【赤毛のレドメイン家】【イーデン・フィルポッツ】【死体無き殺人】【恋は盲目】
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「不死なる侵略者~ドラル国戦史6」 デイヴィッド&リー・エディングス

2008-11-18 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「賢明な人間はゴリ押しすべきでない時期を心得ている。トラブルを起こすのは愚か者だよ」
 長弓の言葉。

 今回は槍使いの長・両手のトランターと女戦士のトレニシア女王を中心に話が進み、それぞれの視点からヴラーの昆虫人軍団との戦いの様子が描かれます。ということは、同じ話が何度も何度も再話されるってことですが。
 でもって、古き神々は自覚症状が出るほど耄碌し始め、昆虫人は少しずつ知恵をつけ始め……というか、人間の戦い方を真似始め、春までに決着をつけなければ数で劣る人類が勝つチャンスは失われると思われます。しかし、若き神々は静かに影響力を広げ、その神々を見守り操るマザーも少しずつ舞台の中央へと移動し始めるのです。

 まあ、精神的に老いぼれたと自覚のある神々は、嬉々として雑用を片付けるようになるので問題ないのですが、老いゆえか権力への妄執が強くなる神はみんなの嫌われ者。敵が無個性な昆虫人で描写が一方的になるゆえに、語り手の視点をころころ変えたというのかもしれませんが、そのせいで今ひとつ緊迫感が足りないところがありました。いくら「謎の疫病!」といっても、それ、100頁前で解決してたよねという感じで。
 緊迫感が出てくるのが、味方の内輪もめの予感でというあたりが悲しいなあ。

【不死なる侵略者】【ドラル国戦史】【エディングス】【砦】【煙】
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「夏休みは銀河」 岩本隆雄

2008-11-17 | ファーストコンタクト
 本当に寡作なので、嫁さんなんかもすっかり忘れていて、「ほら、あの『星虫』の」と言って、「あー、あー、好きだったのよ!」と言われてしまう岩本隆雄の6年ぶりの新刊。面白かった。
 でも、この朝日ノベルズって新書の位置づけがよく分からなくて、この本だけ読むとソノラマ文庫より青い鳥文庫に近いんでないかなあと思いました。主人公が、自分に自信が持てなくて最後まで後ろ向き。小学5年生という設定なので仕方がないし、小中学生の読者なら共感するかも知れないけれど、今の自分が読むと歯がゆいですね。「この期に及んでまだ逃げるかっ!?」と。
 かといって、小中学生を読者に想定しているなら、少し説明部分が細かすぎないかなあと思いました。考えた設定は全部書きたいというような、説明過多の傾向。もっと端折ってテンポ良く進めれば良いのにと思うところもあり、その分、終盤のクラスメートたちとの絡みにもう少しページを割いてくれたら嬉しかったな。あれはあれで良い話で悪くないけれど、もう少し活躍してもらう余地はあったんじゃないかな。

 内容的には、表紙から得られる情報の通り。
 黒犬が友だちのちょっと背の高い女の子(内田一希)が、いかにも元気そうな男の子(稚村保)、ボーイッシュな女の子か美少年か判りにくい男の子(三ツ谷翔太郎)、宇宙服みたいな防御服を着たアレルギー体質の女の子(山重風花)と、夏休みに銀河の運命を左右する事件に巻き込まれるという話。肝試しと花火大会もあります。

 鼻毛に鼻水は確かに小学生向けのネタだと思う。

【夏休みは銀河】【岩本隆雄】【悪ガキ三人組】【精神生命体】【月面の爆発】【移民船】【V】
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「英国特派員の明治紀行」 ハーバート・ジョージ・ポンティング

2008-11-16 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「日本の少女が近代的な教育方法の下で、控えめな態度をいくらか失ったとはいえ、女性としての優雅さと愛嬌までを失うことは決してあり得ないだろう」
 いやあ、さすがのポンティングも100年先までは見抜けなかった。

 特派員として日本を訪れた英国人写真家が見た、明治期日本の姿を文と写真で綴ったもの。京都の街並や七宝職人の工房から浅間山の爆発まで。

 ただし抄訳。
 同じ訳者で講談社学術文庫から『英国人写真家の見た明治日本―この世の楽園・日本』というのが最近になって刊行されていて、元本は同じと思うのだけれど、文庫が全訳かどうか一度店頭で確認したいと思います。新人物往来社版217頁、講談社版330頁……うーむ、微妙だなあ。
 ……と思っていたら文庫版も抄訳というブログのコメントを発見。

 南極で遭難したスコットの第二次探検隊にサポート隊として参加。こちらでも、素晴らしい写真を残しているそうです。
 親日的というか、今でも立派に通用する日本案内。「そりゃ、誤解だよ!」とか「深読みしすぎだよ」とかいうこともなく、ごく自然に「ああ、当時の日本の良いところをきちんと見て紹介してくれましたね」という1冊。

【英国特派員の明治紀行】【ポンティング】
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「七不思議の作り方」 佐竹彬

2008-11-15 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 学校には「七不思議」がつきものである。
 この私立桐ケ谷高校にも七不思議と呼ばれる謎は存在していた。
 だが桐ケ谷高校が他のケースと違うのは、学校の七不思議を制作し、管理している“謎の団体”が存在しているという噂も囁かれていることだった。
 新入生・秋月千秋はクラスメイトの春日未春とその謎を追いかけ始めるが、同時に生徒会や新聞部も動きだし……。

 面白かったけど、まあ、きれいにまとめましたねって感じの青春物。

【七不思議の作り方】【佐竹彬】【電撃文庫】
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「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」 アガサ・クリスティー

2008-11-14 | ミステリー・推理小説
「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
 そう言い残して男は死んだ。
 崖から転落して死んだ男は事故死と片付けられたが、いまわの際の言葉を聞いた牧師の四男坊ボビイは、その数日後に何者かに大量のモルヒネを盛られて九死に一生を得る。
 事件の真相を探るべく、ボビイは幼なじみのおてんば伯爵令嬢と探偵のマネを始めるのだが……。

「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」
 その答こそ、事件の真相の鍵。

 怠け者で不真面目と周囲には思われていて、本人は全くそう思っていない牧師の息子ボビイが、猪突猛進の伯爵令嬢に振り回されながら転落事故の謎を追う話。クリスティーのミステリとしては並。トリックも並。タイトルで勝利。

【なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?】【謎のエヴァンズ】【アガサ・クリスティー】【灯台もと暗し】
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