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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「陽炎の男」 池波正太郎

2025-02-13 | 時代・歴史・武侠小説
 鐘ヶ淵の隠宅を焼き討ちされて失った秋山小兵衛だが、それも早速に再建中。それまでは橋場の料亭「不二楼」に若い女房と仮住まいして朝寝を愉しんでいる。
 そんなところに大治郎が不思議な手紙を携えてやって来た……。

 「赤い富士」の絵を気に入った小兵衛がそれを手に入れるまでとか、攫われた医者の娘を大治郎が救い出す顛末とか、入浴中に襲撃された三冬が素っ裸で大立ち回りを繰り広げる話まで7篇収録。
 本当に父子で連携する話は少ないですね。お互い一人前の剣客と思っているので、息子が何か話を持ち込んでもそれはお前の仕事だよねとすげない老父(若い女房が愉しい)。それでも必要な時には陰から見守ったりと、この微妙な親子関係が面白いです。

【陽炎の男~剣客商売3】【池波正太郎】【中一弥】【新潮文庫】【東海道・見付宿】【赤い富士】【嘘の皮】【兎と熊】【婚礼の夜】【深川十万坪】
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「辻斬り」 池波正太郎

2025-01-31 | 時代・歴史・武侠小説
「大治郎よ。江戸はひろい。わけのわからぬことがいろいろと起こるものだよ」
 小兵衛が大治郎にそう語ったが、その直後に道場に入門希望者が現れた。

 男装の武芸者、佐々木三冬は田沼老中の妾腹の子であるが、自分より弱い男には興味が無いと持ち込まれる縁談をすべて破談に持ち込んでいる。そんな三冬は小兵衛に思慕の情を抱いて夜な夜な悶々としているが、まさか小兵衛と同居している自分と同い年のおはるが彼の妻であるとは気がついてもいないのだった……。

 剣の道に生きるからこそ勝った相手に恨まれて復讐を画策されることもあるし、道場破りが闇討ちに遭って闇に葬られることもあります。そんな単純な勧善懲悪では解決できない事件の数々に巻き込まれる小兵衛と大治郎の物語で、意外と2人揃って何かすることって少ないですね。小兵衛がこっそり後始末に回ることも少なくないのは、経験と人脈の差です。
 小兵衛って、強くて、人脈が広くて、金も自由に使えて、戦ってヨシ、情報収集してヨシとほとんどワンマンアーミーで、ただフルで活躍しないのは若い嫁とイチャイチャしている方が愉しいからなんですよ。
 大治郎に春は来るのか?

【辻斬り~剣客商売2】【池波正太郎】【中一弥】【新潮文庫】【鬼熊酒屋】【辻斬り】【老虎】【悪い虫】【三冬の乳房】【妖怪・小雨坊】【不二楼・蘭の間】【鰻】【鴨飯】
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「剣客商売」 池波正太郎

2025-01-30 | 時代・歴史・武侠小説
「つまりこれは、金を貯めはじめると際限もなく貯めこみたくなるのと同様で……政事をおもうさま仕てのけるためには、わが権勢をひろげ、ふくらませて行くことよりほかに道はないのじゃ」
 田沼主殿頭意次は秋山小兵衛におのれの行動原理を語った。

 剣客であった父、小兵衛の命に従い諸国を武者修行して回っていた秋山大治郎が故郷へ帰還し、道場の主となったのは25の歳であったが、門弟はおらず困窮しつつ鍛錬の日々をおくっていた。一方、そのとき59歳であった小兵衛は、奉公に来ていた40以上も年下の娘に手をつけて乳繰り合う毎日だった……。

 老中・田沼意次の時代を舞台に、剣客としての生き方を捨てられなかった男たちの物語を描いた連作短編シリーズ。テレビドラマ化もコミカライズも何度もされた有名作ですね。大柄な剣の達人だけれど堅物な息子と、老いてなお天下無双、金も人脈もいくらでも抱えているけれど普段は若すぎる嫁といちゃいちゃしている小柄な父親がそれぞれ巻き込まれる事件の数々。時には協力し、時には陰から見守り、快刀乱麻に解決していきます。

【剣客商売~剣客商売1】【池波正太郎】【中一弥】【新潮文庫】【女武芸者】【剣の誓約】【芸者変転】【井関道場・四天王】【雨の鈴鹿川】【まゆ黒の金ちゃん】【御老中毒殺】【田螺汁】
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「うちの旦那が甘ちゃんで~鼠小僧次郎吉編」 神楽坂淳

2024-07-01 | 時代・歴史・武侠小説

「幸せだと、盗みを働こうという気にならないのです」
 心に開いた穴を埋めるのに盗みは良いのだと鼠小僧次郎吉。

 文政八年、南町奉行所の同心、紅藤月也は妻の沙耶を小者にしていた。下っ端の助手である小者さえ、ぼんくら同心と揶揄されていた紅藤を見限っていたのだが、男装した沙耶を小者にして以来、不思議と仕事が巧くいくようになっていた。上司である奉行の筒井政憲はそんな紅藤に不思議な指示を出した。美味い深川飯を知りたいから、食べ歩いて美味い店を教えろというのだ。
 わけの分からない指令が出るということはきっと「訳あり事件」に違いないと、軍資金として5両を与えられた紅藤は沙耶と二人で深川界隈を食べ歩いていたのだが、そこで庶民に盗んだ金の一部を与える「義賊」の情報が耳に入ってきた……。

 夫婦同心の深川食べ歩き紀行。ちゃんと捕物帖になってオチがつきます。
 食べ歩きながらも、ちゃんと深川飯の意味を考えながら注意を怠らず、砂糖漬けの花を売る(女装の美少年)牡丹や売れっ子芸者の音吉、そして行く先々の店の看板娘やら女将らの協力を得て情報網を組み上げていきます。
 あれっと思ったのは、深川飯の材料がバカガイだったこと。今では深川飯といえばアサリですが、最初の頃はバカガイだったんですって。

【うちの旦那が甘ちゃんで~鼠小僧次郎吉編】【神楽坂淳】【丹地陽子】【講談社時代小説文庫】【夫婦同心、もう一つの物語】【深川飯】【羊羹】【かりん糖売り】【柚子茶】【葱粥】【葛湯】【盗人宿】【夜鯖】【足抜け】【スズキ豆腐】【丁稚蕎麦】

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「凶乱令嬢ニア・リストン 2」 南野海風

2024-04-08 | 時代・歴史・武侠小説
 魔法映像の普及を目指すニアの活動はまだ道半ば。なんといっても、頭を使う問題は苦手なのだ。失敗すれば何千という金額の損害では済まない。強いだけでは成り立たない世界は、げに恐ろしき。
 視聴者を増やすには裸体を映し出す恋愛ものか、血しぶき舞い散る戦いか、はたまた視聴者参加型のイベントか。学生の武術大会にカメラを持ち込んで試合を映すだけでなく、試合前後に選手のインタビューとか流したら親は絶対に観るよね。
 試行錯誤で思考を繰り広げるニアは天破流の師範代代理、ガンドルフを巻き込んだ。「私を闇闘技場に連れて行って」と……。

 まだ齢6歳の、貴人の娘を、危険な非合法な場所に連れて行かねばならなくなったガンドルフの運命やいかに!? そして闇闘技場の決勝に立つ謎の女戦士たち、ミス・サーバントの正体とは!!
 メイドが意地を見せる回。

【凶乱令嬢ニア・リストン 2~病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録】【南野海風 】【磁石】【HJ文庫】【武を極めたバーサーカー令嬢の最強転生ファンタジー】【天使のような凶乱令嬢が繰り広げる最強無双譚】【小説家になろう
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「凶乱令嬢ニア・リストン 1」 南野海風

2024-03-29 | 時代・歴史・武侠小説
『全てに感謝と敬意を示せ。
 それがなければ、武ではなく暴力である。』

 はっきりした記憶はないが、かつて戒めの言葉としてニア・リストンは、そんなことを言われた気がする。
 
 ニア・リストンは第4階級の貴人であるリストン家の末娘だが、病弱で生死の境を行ったり来たり……実際、一度は死んでいる。だが、そんな彼女はやがて血雨を歩く者、騎士殺し、暴虐の姫君などと呼ばれるようになるのだが、もっとも有名な異名は「凶乱令嬢」の名だろう。
 彼女はやがて英雄と呼ばれるようになるらしい……。

 死んでしまった病弱美少女を、治療に呼ばれた魔術師が生き返らせたふりをして別人の魂を召還したところから始まる、狂乱令嬢の戦いの記録。
 前世はよく覚えていないけれど武術を極めた英雄らしい。病弱の幼女の身ゆえにまだ万全ではないけれど、とりあえず街のチンピラなら100人同時に相手をしても服は汚さない……というところで、幼女のバトルがメインになるかと思いきや、意外にもテレビ番組製作メインで話が進みます。実家は高位の貴族ながら、新たに発明された魔法映像に資本投下したものの受像機「魔晶板」の普及が遅れて投資が回収できなく破産の恐れが……というところから、主人公が広報担当で知恵を巡らせ拳を振るう物語です。
 話は通じるけれど常識が通じない主人公と、主に忠実なようでいて実は自分の欲望にしっかり忠実なメイドの組み合わせは今回も健在。キャラクター設定と組み合わせの妙は巧いですね。

【凶乱令嬢ニア・リストン 1~病弱令嬢に転生した神殺しの武人の華麗なる無双録】【南野海風 】【磁石】【HJ文庫】【武を極めたバーサーカー令嬢の最強転生ファンタジー】【天使のような凶乱令嬢が繰り広げる最強無双譚】【小説家になろう
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「一夢庵風流記」 隆慶一郎

2023-12-23 | 時代・歴史・武侠小説
 戦国時代末期、前田家の跡取りとして養子に迎え入れられながら、叔父の利家が家督を継いだことで慶次郎は前田家というしがらみから解き放たれた。
 彼は死ぬも生きるも運まかせと朱柄の槍を振り回して単騎で戦場に斬り込む無類のいくさ人であり、茶の湯を好む当代一流の風流人でもあったが、なによりも「天下のかぶき者」として知られていた。世に彼を縛るものは何もない……。

 乱世を風に舞う花びらのように、美しくも自由奔放に生きた前田慶次郎の一代記。
 少年ジャンプでの原哲夫のコミカライズで一気に名前が広がり、この集英社文庫も表紙イラストは原哲夫です。カッコいいよね。でも、Amazonで検索すると、コミック『花の慶次』か新潮文庫版しかかかってこないので、グーグル検索にかけないと見つかりません。この小説だかコミックがきっかけとなったのか、戦国転生ものでは何かと便利に使われるキャラクターです。オールマイティー札。出世欲はなさそうなのに文武両道。興味の赴くままに風のごとくの流浪雲。なので、戦国もので主人公の隣に置きやすいのですね。

【一夢庵風流記】【隆慶一郎】【原哲夫】【集英社文庫】
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「将棋大名」 角田喜久雄

2023-03-17 | 時代・歴史・武侠小説
「運は忘れたころにやってくるというが、知識も忘れたころに役に立ってくる」
 若い頃に学んだ筆跡鑑定がこんなところで役に立とうとは……と平賀源内。

 安永8年1月、江戸の神田明神の境内で遠眼鏡を覗かせて見物人を集めていたのは、エレキテルなる奇怪な西欧魔術を行う奇人先生こと平賀源内。源内に同行している門弟の高島春作を迎えにきたお千代に、源内は遠眼鏡をのぞかせたのだが、彼女が見たものは湯島町の質屋の松の木から下がっている裸女だった……。

 動かせるはずのない位置に駒が置かれた、詰め将棋“死人詰め”の謎を軸に、妖怪若衆下村松之丞やら怪人将棋大名が策謀を繰り広げる中、連続殺人事件に挑む平賀源内の事件簿。そして紆余曲折あって好き合っている若い男女が結ばれるまで。男が先に動かなきゃいかんと言われたばかりだろう!?
 「角田伝奇の傑作」というふれこみだけれど、この7年ほど後には菊池秀行の『魔界都市〈新宿〉』、夢枕獏の『キマイラ・吼』の伝奇アクション2本が発表されるので、これらを読んだ後だと伝奇時代小説はちょっと食い足りません。

【将棋大名】【角田喜久雄】【小澤重行】【春陽文庫】【蘭学博士平賀源内先生大講義】【太閤秀吉】
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★老上海 図版あれこれ

2023-02-22 | 時代・歴史・武侠小説
 一頃、老上海・租界がマイブームで、あれこれ資料を集めていた時期がありました。
 さすがに家も手狭になってきたので、図版類は放出する事にしましたが、その前にどんなものがあったかだけメモ。

『上海歴史建築遊』 上海歴史旅遊事業管理局
 古代遺跡からバンド建築群、一般住宅まで、上海市内の邸宅から劇場など、今でも見られる建築物の新旧写真と地図の本。各建築物ごとに中日英対訳の解説付き。
 租界時代のミュラー邸のヴィクトリアン・ゴシック調邸宅とか雰囲気満点。なぜ「建物」ではなく「建築物」かというと、ピサの斜塔より1000年古く、傾きは1度23分大きい護珠の斜塔とかあるから。

『老上海広告』 上海画報出版社
 洋服や薬、コカコーラまで、上海の街にあふれていた広告図版のコレクション。でもいちばん多いのはタバコの広告。
 巻頭に広告の歴史が書かれているけれど、個々の図版についていつ頃のものかまったく記載がないので、広告そのものに日付がはいってないと、戦前か戦後かも不明となります。このシリーズ、全般にそういうところが残念です。

『老明信片・建築篇』 上海画報出版社
 上海に限らず、北京から香港・台湾まで、中国各地の建物や街並を題材にした絵はがきコレクション。
 カップルの座るベンチやら日本の陸戦隊の行進、日本人倶楽部とかいろいろ当時の様子がわかるのは絵はがきの強み。街をどんな人たちが歩いていたのかとか、人力車はどれくらい走っていたのかとか一目瞭然。建物もモダンなものが多く、上海日本高等女子学院なんか今の日本といっても通用しそうなデザインです。

『老香烟牌子』 上海画報出版社
 香烟、つまりタバコのこと。昔はタバコを買うと中におまけのカードが入っていたのですね。それをずらっと集めたカードコレクション。ジャンルは西遊記など古典文学のキャラから京劇、美人画、動物や魚類、ミリタリや船舶など多種多彩。
 「新兵器は全20種類だけど12種類しかそろわなかったぜ」みたいな主張がちらほら見えて、マニア心をくすぐります。一方、美人画だと名入りの有名人から水着、清朝スタイル、煙草を吸う女まで途端にバリエーションが豊富になります。

『旅順口近代戦争遺跡』 于植元
 日露戦争の主戦場となった旅順要塞とその周辺施設を中心に、今の様子と当時の写真を対比した写真集。行軍や陣地の様子とかもちらほら。
 当時の機雷の写真とか見ている分には平和だけれど、前文に「当時の中国軍人が祖国の土地を守ってきた功績がよくわかるものであるが、これと対照的に、日本軍の狂気染みて残忍なところも持て余すことなく暴露している」とあるように、かなりプロパガンダ色が濃い1冊。
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「雑賀のいくさ姫」 天野純希

2022-05-15 | 時代・歴史・武侠小説
 イスパニアの騎士(イダルゴ)の家に生まれたジョアンは、話に聞く東洋の神秘、黄金の、そしてサムライの国に憧れて船出するのだが、乗り込んだ船に叛乱が起き、嵐に遭い、なんとか日本にまで辿り着いたが座礁したところを海賊に襲われ捕虜となってしまう。サムライの国どころか蛮族の国であった。
 その海賊の元締めこそが紀伊雑賀のいくさ姫、鶴である。鶴はジョアンをひとまず奴隷扱いすることとして、鹵獲したカラベル船を修復して「戦姫丸」とし、南洋交易に旅立つのだが……。

 じゃじゃ馬娘と今ひとつ勇気を持てない騎士志願が主従で挑む大航海。やがて判明するのは、明国の支援で海賊が軍船500艘の大船団を組んで戦乱の九州に侵攻する計画を進めていること。それを阻止すべく各地の大名が盟約を結んで対抗することにしたのだが、生き馬の目を抜く乱世で恩讐を超えて手を結ぶことが出来るのか……というのが中盤まで。後半は島津、毛利を中心に雑賀、村上、大友と西国大名や水軍衆が南蛮交易路を護るべく大集結。海賊ファイトが繰り広げられます。

「まったく、こんなところで戦をしている場合ではないのだがなあ」
 小早川隆景は「安芸丸」の戦場でぼやいた。国元で信長の西進に備えねばならぬのに……。

 日本史でも巴御前、など、戦うヒロイン的な存在がときおりピックアップされますが、これもその1つ。三島村上の水軍にいたとされる「鶴姫伝説」、海賊姫ものですね。『村上水軍の娘』とか『村上水軍の神姫』とか『瀬戸内のジャンヌ・ダルク』とかの本があって、日本テレビ年末時代劇スペシャルにて後藤久美子主演で『鶴姫伝奇』のタイトルでドラマ化されたそうですが、どれも視てない。読んでない。意外な盲点。新島八重とか井伊直虎とか定期に女性主役の大河ドラマが出てきますので、そのうちやるかもしれませんね。

【雑賀のいくさ姫】【天野純希】【ホセ・フランキー】【講談社文庫】【傑作歴史ロマン】【戦国は海がイチバン面白いっ!!】【南無八幡大菩薩】
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「ラ・セーヌの星」 日本コロムビア

2022-04-29 | 時代・歴史・武侠小説
 映画『黒いチューリップ』でひとり勝手に盛り上がったので、ネットで『ラ・セーヌの星』のサントラを注文。
 「サントラ」と書いてあるけど、LPレコードで発売されたサントラ盤をそのままCD化した廉価シリーズ「ANIMEX1200」ではなく、その番外編の「ANIMEX1300 Song Collection」というソング集。昔はアニメが放送されると、主題歌以外にも挿入歌やらイメージソングを詰め合わせた音楽集を出していたのですね。当時も「歌なんかよりBGMを……」と思っていたわけですが、それは今も変わらず。
 「黒いチューリップ」が聞きたかっただけなので問題ないけど、全10曲すべて「歌」です。主題歌はアレーヌ版。LPレコードのジャケット裏表はそのままソングブックに再現されてますが、歌詞カード部分のイラストはなくなってます。ライナーノートとしては、この作品が『ベルサイユのばら』のアニメ化企画がポシャった時の代替企画だったことなど簡単に。

【ラ・セーヌの星~ANIMEX1300 Song Collection(2)~】【日本コロムビア】【アレーヌ】【堀江美都子】【水木一郎】【コロンビアゆりかご会】
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「水戸黄門サウンドトラック2」 アスタエンタテインメント

2022-02-24 | 時代・歴史・武侠小説
 1枚目に未収録だった「お馴染みの」曲を求めてもう1枚。
 「助格大立ち回り」のバリエーションに、光圀公が印籠と共に名乗りを上げられる「光圀」あたりが聞き所です。そして、1枚目でディスク1まるまるテーマ曲に費やしてもまだ未収録だった主題歌「あゝ人生に涙あり」の東幹久/的場浩司バージョン。

 『水戸黄門』というのは40年続くだけあってマンネリながら物語の王道パターンです。ある意味、知勇にカリスマ、権力(付随する財力)とオールラウンダーな主人公。技の1号、力の2号な側近が2人。裏の諜報担当が1人。物語の導入を担当することも多いコメディ・リリーフの総計5人パーティーという構成。隙がありません。そして物語は、新しい街の訪問、土地の名物・名勝・産業を観光しているうちに土地の住人と知り合い、彼らが陥っている陰謀や事件に関わってしまい、途中で武力で介入してくる小者をあしらいながら情報の収集・分析をし、いちばん悪いヤツを見つけて殴り込み、武力で蹂躙しなおも悪あがきする敵を権力で押しつぶしてとどめを刺すというもの。今のライトノベルの大半もこのパターン。そりゃあ、テレビシリーズの映画版まで入れれば100年続いたコンテンツですよ。

【水戸黄門サウンドトラック2】【アスタエンタテインメント】【木下忠司】【東幹久】【的場浩司】
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「水戸黄門サウンドトラック」 アスタエンタテインメント

2022-02-22 | 時代・歴史・武侠小説
 国民的番組として1969年の放送開始から40年以上続いていた時代劇の2枚組サウンドトラックです。
 初回から第43部まで劇場版も含めてテーマ曲は共通ですが、主演だけでも5人いるのでバージョンはたくさんあって、1枚目はまるまる主題歌集。同じ曲が杉良太郎&横内正から里見浩太朗&伊吹吾郎など延々と続きます。これでも全部ではないのだけれど、どれか1つは自分の聞き慣れたバージョンがあるはず。今まで他の時代劇テーマ・アンソロジーみたいなものを何枚か買いましたが「杉良太郎版が入っているけど、里見浩太朗のが聞きたいんだ」「自分が聞いていたのは西郷輝彦なのに」とかいろいろ不満があったりしたわけですが、これでほとんどすっぱり解決。
 2枚目はBGM集。旅立ちから立ち回り、コミカルなシーンからもの悲しい場面までお約束の曲がたっぷり収録。もちろん弥七のテーマも入ってます。
 ただ、作曲者に関するデータはまったくなし。

【水戸黄門サウンドトラック】【アスタエンタテインメント】【木下忠司】【杉良太郎】【横内正】【里見浩太朗】【大和田伸也】【伊吹吾郎】【あおい輝彦】【橋幸夫】【舟木一夫】【西郷輝彦】【原田龍二】【合田雅史】
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「わんぱく大名」 陣出達朗

2022-02-14 | 時代・歴史・武侠小説
 徳川御三家の一つ、水戸家35万石では、長子の春千代と武勇に優れた弟の万千代のどちらに跡目を継がせるかで藩中は二派に分かれていた。
 万千代は御家騒動を避けるため、18歳を機に脱城して出奔。道中で知り合った娘、津絵と共に江戸の町に出てきたのだが……。

 弓でも刀でも腕は立つが世間知らずの若様が、江戸の町でやくざの三ン下になったり魚屋の下働きでこき使われたりしながら、行く手に立ちふさがる敵を粉砕していく人情活劇の連作短編集。
 いろいろ理屈はこねても「バカにつける薬はない」と一蹴され、「おまえさんのいうことは、よくわかる。しかし、そんな理屈は世間に通るものではない」と無視されて大乱闘という、タイトル通りの「大名」というより「お殿様」です。

「きょうは水戸街道も、日本晴れである」
 こんなテレビドラマの時代劇のナレーションみたいなト書きで本当に終わる小説は初めて読んだよ。

 宗堯卿の息子、長男の春千代(後の宗翰)と次男の万千代(後の頼順)という設定なので、水戸藩四代藩主の徳川宗尭の時代の話らしいけれど、今はウィキで簡単にチェックできるのですけど、宗翰は第五代藩主で徳川宗堯の次男。頼順は宗堯の庶長子で家督は継がず分家したけど、子供が早世したため2代で断絶……とか知っちゃうと、時代劇は史実を知ったら面白くなくなるよねーと反省。

【わんぱく大名】【陣出達朗】【春陽文庫】
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「室町お伽草紙」 山田風太郎

2022-02-09 | 時代・歴史・武侠小説
 足利将軍家の姫君・香具耶は絶世の美女であり、その姿を目にした南蛮商人すら虜にした。その香具耶を南蛮人に引き渡せば銃300挺が代価だという。
 その話を持ちかけられたのは若き信長、謙信、信玄、そして松永弾正。さらに明智光秀や山本勘介らの思惑が交錯する中、その姫を護るために少年・日吉丸が奮戦するのだが……。

 登場人物が登場人物なだけに片っ端から死んでいくような陰惨にして奇々怪々な展開ではないけれど、最終的な歴史の流れは変わらないので、その行き着くまでの紆余曲折を愉しむ物語。その結末については表紙イラストから受ける印象そのまま……という感想でした。「伝奇」より「活劇」が主かな。

【室町お伽草紙:青春!信長・謙信・信玄卍ともえ】【山田風太郎傑作選 室町篇】【山田風太郎】【】【河出文庫】【無類に楽しい戦国オールスター伝奇活劇】【飯綱使い】【玉藻】
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