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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「竜を駆る種族」 ジャック・ヴァンス

2023-02-17 | 宇宙狩人・調教師
「推測なるものが、欲する限りいかほど多くでも成り立つ以上、その蓋然率の分母は変数となり、概念ぜんたいが数学的に意味を失うからだ」
 波羅門はジョアズ・バンベックにその問いは無意味だと指摘した。

 辺境惑星エーリスは、おそらく人類最後の生き残りが住む星だ。しかし、そこもまた平穏ではない。爬虫類種族ベイシックの棲む遊星コラリンがいつまたエーリスに接近しないとも限らないからだ。彼らはベイシックの捕虜を家畜とし、交配していくことで阿修羅や金剛などさまざまな竜を生みだし、使役することでベイシックへの対抗手段としていたが、長く続く時の間にベイシックの存在そのものが疑問視されるようになっている。そして再びベイシックの襲撃が迫る中、人間たちはジョアズ・バンベックが領主のバンベック平と幸いの谷のカーコロの間で一触即発の危機に陥っていた。
 襲い来るベーシックを竜の軍団で迎え撃とうとするジョアズたちだったが、人間たちが爬虫類の捕虜を交配して兵器としていたように、ベイシックたちも捕虜の人間を交配させて兵器として使役していた……。

 中世レベルの領主同士の小競り合いだけれど、騎士とか武士ではなく調整された竜で戦う物語で宇宙船付き。佐藤史生の『夢みる惑星』の設定が、この作品にインスパイアされているように読めるのだけれど、ストーリーとしては『夢みる惑星』の方が好き。こちらも面白いけれど、竜がディスコミュニケーションの物語で、夢がコミュニケーションの物語という違いかな。

【竜を駆る種族】【ジャック・ヴァンス】【武部本一郎】【ハヤカワ文庫SF】
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「惑星間の狩人」 アーサー・K・バーンズ

2021-12-02 | 宇宙狩人・調教師
 見失っていた『惑星間の狩人』を無事発掘できたので記録。こうやって見ると、原書と同じくモンスターイラストのコラージュですね。話は今読んでも面白いので、『地球への追放者』や『異世界の帝王』と並んで、今のラノベ風のイラストで、かつ新訳で復刊して欲しい作品の1つです。

【惑星間の狩人】【A・K・バーンズ】【創元推理文庫】
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「スターハンドラー」 草上仁

2008-06-19 | 宇宙狩人・調教師
 『スター・ハンドラー』『さまよえる海』『ゲートキーパー』の3部作でそれぞれ上下巻の計6冊が、今は無きソノラマ文庫から出版されました。これもソノラマノベルスに拾って欲しいシリーズですよねえ……。

 ちょっとしたトラブルから宇宙生物訓練士の養成所で最低の成績をつけられしまったミリ・タドコロは、なんとか卒業したものの職にあぶれそうになってしまう。
 たまたま草レースで活躍したことから、異生物ハンターの会社に雇われることになったが、クルーは人格異常者ばかりで、宇宙最強といわれる怪生物ヤアプを捕獲し調教しなくてはいけないという……。

 失敗する可能性のあるものは必ず失敗し、状況が悪化する可能性のあるものは必ず悪くなるというノンストップ・アクション・コメディで、一種のファースト・コンタクトものであり、ハードSFで、美少女活劇。
 血も涙もない美女やら悪の組織のボスやらそれ以上に胡散臭い自然保護団体やらが入り乱れ、宇宙空間では踊り子さんたちがラインダンスで群舞する……というと、いかにもいい加減なスチャラカもののようですが(それはそれで好きですが)、「生命と情報」を中心に据えたファースト・コンタクトものだったりして、なかなか侮れません。
 朝日ソノラマから刊行されていたシリーズなので、今は絶版状態。ぜひともソノラマノベルで再登場してもらいたいものです。

【BEMハンター】【異生物訓練士】【ファーストコンタクト】【歪んだ愛情表現】【コメディ】【演芸艦隊】
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「惑星間の狩人」 アーサー・K・バーンズ

2007-12-09 | 宇宙狩人・調教師
 書棚の整理をしたら、本がどこに仕舞ってあるか判らなくなりました。
 前はごちゃごちゃ山積みになっているならなっているなりに、この本は上から2列目の裏側にあるとか見当がついたのですが、棚を整理し、不要な本やダブった本は売り飛ばし、普段読まない本は梱包して押し入れに収納し、空いたスペースに平積みになっていた本を収納していったら、どこになにがあるのやら……。
 『惑星間の狩人』もつい先日までは、隣の部屋のいちばん手前の本棚の上から二段目か三段目にあったのに、英語版しか見つからないッてどーよ?

 『惑星間の狩人』はアーサー・K・バーンズのスペースオペラ。ロンドン動物園の専属として、太陽系を飛びまわる女ハンター、ゲリー・カーライルの物語。依頼された太陽系中の珍獣奇獣を捕獲せんと、宇宙船<箱舟号>で金星から彗星まで飛び回る生捕りカーライルを主人公とした連作短編ですが、この時代に主人公が女性のスペースオペラってのは珍しいし、捕獲しようとする怪物も環境も多種多様でなかなか面白い。
 まあ、ステロタイプな「勝ち気で行動的な女性」ではあるけれど、男だって同じようにステロな時代だからOK。けっこう姑息な引っかけも使うし、これはこれで良いヒロインですよ。

【惑星間の狩人】【A・K・バーンズ】【創元推理文庫】【太陽系】【動物園】
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