付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「デューン 砂の惑星2」 原作:フランク・ハーバート

2024-04-04 | ミリタリーSF・未来戦記
 砂の惑星デューンは産出されるスパイス「メランジ」の価値から、その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われている。
 アトレイデス公爵家はデューンの統治を任されていたが、ハルコンネン家と皇帝の策略と武力侵攻により殲滅されてしまう。その生き残りで公爵の息子であるポールは、閉鎖的な砂漠の民フレメンに受け入れられ、彼らと共にハルコンネン家とゲリラ戦を繰り広げることになるのだが、彼の母親であるレディ・ジェシカへのフレメンたちの態度がおかしい。レディ・ジェシカに彼らの宗教的指導者、教母の後継者となれというのだ。
 彼女は銀河系における最大の政治勢力のひとつ、女性修道会ベネ・ゲセリットのメンバーだが、なによりポールの母親であり、ポールが予言の救世主ならば、彼の母親も教母であるはずだというのだ。さもなくば死を……。

 確定申告が終わったタイミングだったので、家族3人で初日のレイトショーで観てきました。劇場の大スクリーンで観て正解。逆光のシルエットとか、たびたび砂の中から無数の兵士が湧き出るシーンはカッコいいですね。この作品ならでは。
 個人用シールドが発達しすぎて携帯火器が使い物にならなくなり、ガンシップみたいなオーニソプターとかロケットランチャーみたいな兵器も脅威だけれど、結局最後は剣戟による白兵戦が有効なので乱戦になるという世界の物語。なんとなく剣と魔法の世界みたいですが、カムラン・ブルームの核弾頭15発よろしく、ガーニイ・ハレックの核弾頭92発とかあれこれビックリドッキリを挟みつつ、サンドワームが暴れ回るクライマックスへと突入します。ひとことでまとめると「ポウルのミラクル大作戦」。
 ストーリー的には1984年のデイヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』のラストシーンに追いつきましたね。こちらはまだまだ続けられる状況というか、さすがに『砂漠の神皇帝』まではいかなかろうとか思いつつ、さらなる修羅場(複数)が生まれたところでのエンディング。大団円ではあるんだよ。ただ、その大きな輪っかがどこに向かって転がっているか分からないだけで。
 小ネタの感想としては「おにいちゃん大好き妹が存在感ありすぎ」「砂虫からの降り方がわからない」「あっという間に煙の中に消えていった皇帝親衛隊」「鬼の形相のゼンデイヤ」といったところか。ゆっくりとした語り口に反して意外とストーリー展開が速いのも魅力です。ただ、やっていることは派手なのに印象は地味。『スターウォーズ』のような英雄譚ではなく、叙事詩的に語られているからでしょうか。

【デューン 砂の惑星2】【ドゥニ・ヴィルヌーヴ】【ワーナー・ブラザース】【レジェンダリー・ピクチャーズ】【ティモシー・シャラメ】【レベッカ・ファーガソン】【ゼンデイヤ】【ジョシュ・ブローリン】【オースティン・バトラー】【フローレンス・ビュー】【デイヴ・バウティスタ】【クリストファー・ウォーケン】【レア・セドゥ】【スエイラ・ヤクープ】【ステラン・スカルスガルド】【シャーロット・ランプリング】【ハビエル・バルデム】【アニヤ・テイラー=ジョイ】【地雷】【核弾頭】
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「プライベートな星間戦争」 森岡浩之

2024-02-25 | ミリタリーSF・未来戦記
「生まれたときから、目的が決まっているなんて、つまらないだろう。人生はもっと汎用性があるんだ」
 平成生まれのタルルティア国王こと2-4C4368AA。

 人類がテクノロジーの力によって「半神」に進化した近未来、神を守るために人工子宮で生まれ育った天使は、集団ごとに家族となって生活し、神を狙う悪魔との決戦に備えて訓練を繰り返し、戦いにあっては家族単位で立ち向かうのが常だ。
 天使候補生エスクは厳しい訓練を乗り越えて新人天使となり、エスケルの名を与えられた。そのエスケルたちに襲来する悪魔と戦うという指令が与えられたが情報が錯綜し、ついには上との通信が絶たれる状況に陥ってしまう。これはいつもの訓練なのか、それとも実戦が始まっているのか、不可解な神の命令に言い知れぬ違和感を覚えていたエスケルだったが、あきらかに悪魔と認識される敵の中にかつての仲間や家族の姿を見いだした……。

 戦うために生まれ、育てられてきた天使たちの戦いを描く第一部と、そこまでの経緯を悪魔から俯瞰した第二部から構成された、タイトルままのスペースオペラ。ファーストコンタクト的な宇宙戦争と、仮想現実空間にまで広がってなお狭い人類の未来史が描かれます。

【プライベートな星間戦争】【森岡浩之】【木野花ヒランコ】【星海社FICTIONS】【人間が半神に進化した未来、神を守り悪魔と戦う戦闘天使たちの新しいスペースオペラ】【人格アップロード】【仮想世界】【テラフォーミング】【群体性情報生命】【半神ネメシス】
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「『宇宙戦艦ヤマト』大クロニクル」 監修:松本零士

2023-04-28 | ミリタリーSF・未来戦記
 1974年に放送開始のTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を、1作目を中心にまとめたムック本。時期で言うと、西崎VS松本の権利裁判が決着仕掛け、そこでキムタクの実写版ヤマトが公開間近という2010年。
 企画当初の豊田有恒版「コスモシップ」から藤川桂介版「宇宙戦艦コスモ」、そこからの「宇宙戦艦ヤマト」への変遷も分かります。さいとうたかを風のクルー原案とかまでフォローされてたので購入。
 「宇宙戦艦ヤマト完結編」あたりまで網羅はしていますが、松本零士不参加の復活編は入っておらず、8割は1作目の企画から完成までのプロセスを緻密に語っていくという、「松本零士が参加したからこの形になったんだ」と暗にアピールしている形の資料集。
 好きだったのは「さらば」までなので、この構成に何の不満もなし。ただ、このタイミングでこんなムックを出して良かったのかという不安はあります。もう詮無きことですが。
 
【『宇宙戦艦ヤマト』大クロニクル】【松本零士】【グライドメディア】【伊藤秀明】【ヤマト松本メモ】【松本零士氏インタビュー】
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「デューン 砂の惑星」 原作:フランク・ハーバート

2021-10-30 | ミリタリーSF・未来戦記
 有力諸侯の筆頭であるレト・アトレイデス公爵が、皇帝より砂漠の惑星アラキスへの転封を命じられた。アラキスは宇宙航行に必須のスパイス「メランジ」の唯一の供給源であり、その管理は膨大な富を約束されていたが、同時に反抗的な原住民勢力や過酷な環境によって統治が極めて難しい星でもあった。
 アトレイデス公爵はこの仕置きに皇帝の陰謀を察知していた。デューンの前統治者であるハルコンネン男爵との軋轢を生み出し、争わせることで両者を疲弊させようというのだ。しかし、ハルコンネン男爵側もそれを理解しており、この機会を利用して公爵家を滅ぼさんと陰謀を画策していた……。

 『デューン』は日本では古いSFファンのバイブル程度だけれど欧米では何作も映像化が試みられていて、『スターウォーズ』の製作の際にもあれこれインスパイアされている、そっちのジャンルではメジャータイトル。日本でいうと『銀河英雄伝説』あたりに位置するのかな?
 とりあえず二部構成の1作目ということで、作品を見終えてテーマ曲を口ずさみながら帰路につく……というような爽快感はなく、ただただ砂の世界とそこに生きる人々の生き様、生き馬の目を抜く銀河帝国内部の権力闘争にズーンと打ちのめされて、ただ「早く続きを!」という飢餓感に駆られての家路でした。
 同行の家族には一様に好評。けれど、「この重要な設定については、このシーンの台詞と描写でサッと説明するから、あとは察しろ」みたいな構成が日本の一般的な観客に受けるのかなあと不安がってました。代表的なのは、銀河系をまたにかけた文明なのに戦争が剣と格闘でけりがつくのはなぜ?というあたり。あれは、個人シールドが普及しちゃって、銃弾なんかの高速の物理攻撃は弾くし、ビームを使うと誘爆して敵も味方も吹き飛ぶので……という設定を映像だけで説明するんですよね。見て、主人公がなにをしているか理解した上で分かれと。
 あと、すぐ間違えるのだけれど「デューン」って星の名前じゃないんだよね。星の名はアラキス。英語で砂丘の意味だから、直訳すれば砂球というあたりかな。地球が水の星ならアラキスは砂の星なのだ。

 主人公のポール・アトレイデスを演じたティモシー・シャラメがかつてのイタリア映画を彷彿とさせる美男子で妻は喜んでいたけれど、剣士ダンカンが『アクアマン』のジェイソン・モモアで、男爵の甥のラッバーンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のデイヴ・バウティスタで、フレメンの謎の少女チャニが『スパイダーマン』のゼンデイヤでと脇を固める役者がなんとなく見たことある個性派ぞろいなので、なんとなく『マイティ・ソー』のトム・ヒドルストンの若い頃に見えてきてしまって困りました……。

【デューン 砂の惑星】【ドゥニ・ヴィルヌーヴ】【ワーナー・ブラザース】【レジェンダリー・ピクチャーズ】【ティモシー・シャラメ】【レベッカ・ファーガソン】【オスカー・アイザック】【スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン】【チャン・チェン】【ジョシュ・ブローリン】【ジェイソン・モモア】【ゼンデイヤ】【ステラン・スカルスガルド】【デイヴ・バウティスタ】【ハビエル・バルデム】【シャロン・ダンカン=ブルースター】
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「メカオペブック」 園田健一

2021-05-22 | ミリタリーSF・未来戦記

 連休の大掃除シリーズ。
 園田健一が『GunSmith Cats』の漫画を描く前、『ガルフォース』『バブルガムクライシス』『ウォナビーズ』などの企画やキャラクターデザインに参加する以前の同人活動時代に「STOL」に描きためた、美少女キャラクターやメカニックが描かれたイラストエッセイ「メカニカル オペレーション ルーム」をまとめ、それに模型店「ムサシヤ」のラムロイドの設定を載せた体裁。
 イラストエッセイは宇宙機やパワードスーツのデザイン考で、ここでの女性型アンドロイドから、複眼のラムロイド、模型店「ムサシヤ」のラムロイドへと変遷していった過程が見て取れます。ラムロイドは黒目のある方がオリジナルなのね。スーツ系はアンダーウェアや付属パーツから運用まで図解化されているのが、いかにも設定向き。シンプルな線ではっきり引かれて構成された宇宙船は、今見ても格好いいですね。

【メカオペブック】【園田健一】【FIVETH.PRINT】【ラムロイド】【メカニカル オペレーション ルーム】
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「この地獄の片隅に」 編:J・J・アダムズ

2021-04-09 | ミリタリーSF・未来戦記
 パワードスーツをテーマにしたSF短編のアンソロジー。昨今では珍しく、各作品毎に加藤直之のイラストが付いてます。
 「パワードスーツ」というと「=未来の戦場で活躍する兵器」みたいなイメージになりますが、20世紀初頭から未来まで時代も用途もさまざまなスーツが登場します。日本だって、快傑ズバットからゴレンジャー、特警ウインスペクターにデルパワーX、さなだ十勇士、ナイトセイバーズまで用途や機能や物語のカラーがいろいろあるんで、SF短編に限ってもミリタリーからスチームパンクっぽいものまでよりどりみどりです。

【この地獄の片隅に】【パワードスーツSF傑作選】【J・J・アダムズ】【この地獄の片隅に】【ジャック・キャンベル】【深海採集船コッペリア号】【ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン】【ノマド】【カリン・ロワチー】【アーマーの恋の物語】【デヴィッド・バー・カートリー】【ケリー盗賊団の最期】【デイヴィッド・D・レヴァイン】【外傷ポッド】【アレステア・レナルズ】【密猟者】【ウェンディ・N・ワグナー&ジャック・ワグナー】【ドン・キホーテ】【キャリー・ヴォーン】【天国と地獄の星】【サイモン・R・グリーン】【所有権の移転】【クリスティ・ヤント】【N体問題】【ショーン・ウィリアムズ】【猫のパジャマ】【ジャック・マクデヴィット】【加藤直之】【創元SF文庫】
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「デスペレーション・アンド・ガントレット」 TEX-MEX

2020-09-22 | ミリタリーSF・未来戦記
「我は……篭手とならねばならぬ。パンドラより絶望を搔き出す為の、灼熱の篭手に……!」

 PSゲーム「ガンパレードマーチ」の実質的最終ステージである、特別大演習「銀杏」こと「杏一号作戦」こと熊本城攻防戦を題材にした、2001年刊行の同人誌。この熊本城攻防戦ネタは小篇が他にも幾つか発表されていて、アンソロジー集とかで読めるものもありますが、まとまったものはないようですし、このDAGも前編。後編は……。
 長田馨の「アナザー・プリンセス」を読んでいて、これはこれで最高に面白いガンバレのコミカライズではあるけれど、最終章の熊本城攻防戦がやや駆け足気味でもの足りなくて、そのまま古い本を引っ張り出しました。全4巻だけれど、本当なら攻防戦をしっかり描いて全5巻にしないといかんだろう!と憤りながらDAGを読み、「あー、こっちも前半だけだったあ!」という嘆き節。
 うん。20年前のゲームの20年前の同人誌でも、たとえ前半だけであっても、面白いモノは面白いのだ。学園祭ノリの学生のドタバタと、その友達や周りの人間がちょっとしたことで死んでしまって戻ってこないシビアな戦争が同居しているのが魅力なんですね。

【熊本城攻防戦】【DAG】【デスペレーション・アンド・ガントレツト】【DESPARATION AND GUNTLET】【TEX-MEX AND AGUA-VELDE】【広江礼威】【絶望作戦】
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「起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない」 Reppu

2020-07-14 | ミリタリーSF・未来戦記
 また、しばらく隔離状態。街に出たいよー……ということで、まだ書籍化されていないウェブ作品を読み返しています。ウェブ小説投稿サイト「ハーメルン」は二次創作が多めで、あまり興味が無かったのだけれど、たまたま目にした「起きたらマ・クベ」が面白かったのです。

 久しぶりの連休に浮かれて酒を飲みながらガンダムのBOXを見ていたのが最後の記憶、次に気が付いたらマ・クベだった、訳が分からない。時に宇宙世紀0079、4月15日のことである。
 ガンダムが大地に立つまであと6ヶ月……。

 陰気で気障な政治家気取りの鉱山基地司令が、如何に清濁併せ持って重力戦線の要となり、ザビ家からは信頼され、前線の兵士たちからは支持され敬愛を受け、女性兵士からは思慕の情を寄せられる一方で、連邦軍からは「オデッサの怪物」と蛇蝎のごとく忌み嫌われるようになったか……の物語。
 RPG世界や乙女ゲー世界転生ものというのは、つまり「あらかじめ決まっていたバッドエンドを後知恵で回避し、不幸な運命に陥るはずのNPCを救う」のが目的であり、醍醐味なんだけれど、その元となる作品を読者はそもそも知らないのね。そこを面白く読ませるのがテクニックではあるけれど、元ネタは知っていた方が面白い……のは確かなのです。
 いろいろ報われない人生で鬱屈していたり、才能を見いだされないまま埋没していたり、生真面目すぎて思考が硬直したりしていて破滅していったキャラクターたちに救済が与えられていく真面目な戦場コメディ。
 果たしてアッザムやアッグはトンデモ兵器なのか、シャア・アズナブルの性根はたたき直せるのか、宇宙世紀におけるラプラスの箱の存在意義は?……等々、オリジナルキャラに、オリジン・外伝OVAやゲーム・小説版まで加わっての大長編を(ファースト世代に)飽きさせずに読ませます。
 いやあ、ガンダムのパロ小説を読むのなんか「ムーミン谷の赤い彗星」以来だわ……。

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「無双航路03」 松屋大好

2019-07-30 | ミリタリーSF・未来戦記
 ローマ帝国はオクタヴィアヌス帝が掌握した。
 ソハイーラは失脚し、すべての記録が抹消されて存在しなかったものと扱われ、その“名前をいえない女”に似ているというだけで女たちは捕まり処刑されていく。
 アサガヤシンは事態を打開すべく皇帝の暗殺さえ試みるが、皇帝の人格は電子化され、暗殺されても次の肉体にデータが転送されて蘇るだけだ。憑依による事実上の不老不死だった……。

 ノンストップのジェットコースターアクションSFだけれど、このジェットコースターって全然停まらないんだ。停まったかと思うとまたすぐに動き出して急降下するのです。

【無双航路03】【転生して宇宙戦艦のAIになりました】【松屋大好】【黒銀(DIGS)】【レジェンドノベルス】【月の興亡】【仮想世界】【小説家になろう】
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「彷徨える艦隊ジェネシス」 ジャック・キャンベル

2019-06-12 | ミリタリーSF・未来戦記
 新コロニー設立をめざす移民団に加わった退役士官ロバート・ギアリーは、近隣のスカザ星系との防衛戦に駆り出されていた。スカザの戦闘艇は、ここに植民するなら自分たちに保護料を払えというのだ。
 しかし、まだ到着したばかりの移民団の防衛隊は20名。防衛隊長に任命されたギアリーは、救命服と殺傷力のない麻酔銃だけを武器に戦闘艇に立ち向かわなければならなかった……。

 あっちのギアリー大佐がまだ少佐で脱出カプセルの中で凍結していた頃の物語。ギアリーの名を継いだ者は、誰でも大なり小なり逆境に追い込まれるのが常なのです。

【彷徨える艦隊ジェネシス】【先駆者たち】【ジャック・キャンベル】【寺田克也】【ハヤカワ文庫SF】【戦争SF】
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「モニュメントの謎」 高橋昌也

2019-05-18 | ミリタリーSF・未来戦記
 ひとことでいうと、『S.F.3.D』に登場するマシーネンクリーガーのようなパワードスーツが活躍するSFシミュレーションゲームをゲームブックでやりたい!というもの。
 1頁1パラグラフで80年代パソコンゲームのモニターを彷彿とさせるイラストと選択肢が掲載されていて、ミリタリーSFのバトルゲームが体験できるという、当時のゲームブックとしても異色で、今となっては家庭用コンシューマでもっと高度なことができるよ、という時代の徒花的な1冊。

【モニュメントの謎―撃突!第7機装兵団】【ハローチャレンジャーブック(6)】【高橋昌也】【横山宏】【朝日ソノラマ】
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「SF3Dオリジナル」 横山宏

2019-05-15 | ミリタリーSF・未来戦記
 タイトルに「.」は入ってません。

 2807年に勃発した第四次世界大戦によって地球の大半は汚染され、高等生物もそのほとんどが死滅。生き残った人々は植民星へと去り、地球は死の星となったが、それから半世紀で人類の居住可能な状態にまで回復していた。しかし、植民者たちが再び地球へと帰還し始めたが治安は悪化。銀河連邦委員会より委任統治権を与えられたシュトラール共和国は派兵してテロリスト掃討と治安維持活動にあたるが、それは一方で第一次植民者たちとの対立も生じさせることとなる。
 2882年、地球は10年続いた銀河系の平和によって職を失った傭兵たち、その多くは地球からの難民の子孫たちを陣営に引き入れて独立を宣言。シュトラール軍との戦争に突入したのだが……。

 タイトルどおり、オリジナルのミリタリーSFを3Dのプラスチックモデルで創り上げていく企画。
 29世紀末の地球を舞台にした独立戦争を、モデルを使った戦場写真や記事、戦記マンガ、小説などさまざまな方法によって表現し、編成や装備の開発史をあたかも実際の戦争、実在の兵器であるかのように語り尽くした1冊です。いかにも実現しそうな、戦車の延長線に見える未来兵器の数々のデザインは、周囲にいろいろ影響を与えたんじゃないかと思います。同時期のアニメ『特装機兵ドルバック』あたりに顕著。
 当時の模型史「ホビージャパン」の人気企画であり、横山宏の出世作。後にプラモデルが発売されたり、パソコン用シミュレーションゲームが発売されたりしました。パソコンゲームの方は時代が時代だけにマシンに重く、別売りの追加シナリオも途中で止まってしまったかのように記憶しています。

【SF3Dオリジナル】【ホビージャパン別冊】【横山宏】【渡辺誠】【ホビージャパン】【加藤直之】
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月刊OUT「宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち特集号」

2019-03-13 | ミリタリーSF・未来戦記
 「月刊OUT」をいきなり1号だけ復刊させてヤマト2202の特集をしようというもの。かつてのヤマト特集をした2号を思うと値段が5倍超だけれど、特集の濃さも5倍。ドラマCDの脚本や月刊ニュータイプに掲載された単行本未収録外伝を掲載していたり、創刊2号のヤマト特集を担当した元アニメック編集長の小牧雅伸へのインタビューもあったり、はたまた旧執筆者やOUT作家たちのコメントやら寄稿やら対談やらあってお祭り騒ぎ。読者投稿コーナーも「From 飯田橋」「ミックスサンド」「よたろうランド」と二段構え三段構えの布陣です。
 ただ、欲を言えば、ゆうきまさみに「受けは世界を救う」と言って欲しかったし、せっかく2202スタッフが読者投稿に答えるというなら、なぜ芹沢参謀長は失脚しないで偉そうなんですか?とか、アンドロメダ級空母はどうしてデザイン変えちゃったんですか?とか、コスモリバースシステムは遊星爆弾症候群を二次感染させるわ時間断層を作るわとほとんど欠陥品でイスカンダルの製造者責任はどうなってるんですか?とか、いろいろ聞きたいことはあるよね。
 逆に特集がきれいすぎて「OUTの革をかぶったニュータイプ」っぽいところも感じられるけど、巻頭の下品ポスターに最初にがつんとやられるので、そこでおしまい。周囲で受けていたのはイエスノー式で2202のラストを予想する「妄想大予想」。みんなことごとくAとかBとかの結果にたどり着かず、エンドからこぼれていくあたり。ちゃんと書いてくれてありがとう。やっぱり、2199でめざしていたことをご破算にしすぎだよ。

【月刊OUT】【宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち特集号】【KADOKAWA】【浪花愛】【ときた洸一】【やぎざわ梨穂】【ことぶきつかさ】【umegrafix】【中北晃二】【羽原信義】【福井晴敏】【岡秀樹】【玉盛順一朗】【皆川ゆか】【むらかわみちお】
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「さらば宇宙戦艦ヤマト」 監督:舛田利雄

2019-03-06 | ミリタリーSF・未来戦記
 ていとくが『さらば宇宙戦艦ヤマト』のDVDを購入したので、みんなで鑑賞。

 思ったより映像はクリア。でも、今見ると、艦隊戦とかの演出はショボイよね。良いデザイン、良いシーンはあるけれど、客観的に作品として面白いかと訊ねられれば「?」と答えるしかない。ヘボ将棋の譜面みたいなもので、敵味方交互に相手のコマを取っていくだけ。面白くしようは幾らでもあるだろうし、「戦闘における駆け引き」とことならアニメンタリー『決断』の方が燃える余地があるかもしれない。
 そういう演出の古さも辛いけど、なにより1作目『宇宙戦艦ヤマト』の根幹にあった、「明日のために今日の屈辱に耐えるんだ」という何が何でも生き残るんだ、生き残ってこそナンボだという思想部分がすっぽり抜け落ち、「男だったら、戦って戦って戦い抜いて、一つでも多くの敵をやっつけて、死ぬべきじゃないんですか!」という特攻ばんざーい!に変調しているように見えるのが辛い。
 リアルタイムで観た世代には愛憎相半ばする作品なのだけれど、これは「大事な青春の思い出の作品として金庫に詰めて二重三重に鉄鎖で縛りコンクリで固めてしまっておきたい」という感覚。ロボットや怪獣の出てくるアニメはあっても、少しでもまともに「戦争」とか「兵器」とか「SF」を扱った作品が無かった時代に(いや、個別にみればそれなりにあるんだけど)やっと出会った作品。その前年に公開されている『スターウォーズ』が多少とも日本の映像の影響を受けており、その影響をさらに受けて『さらば宇宙戦艦ヤマト』が制作され、その影響がさらに……という連鎖の大きな基点。そういう流れの上での評価なり感慨があるわけで、いちばん若いU君には理解できないのも当然。(2007/09/20)

 始発電車で劇場(シネラマ名古屋)のある名古屋まで出かけても、ローカル線だからどうしても到着が7時過ぎになり、そのときには劇場前には長蛇の列。それでも座席指定もなければ定員もあってなきが如くで、通路に座ったりしながら観たもんです。
 劇場で前売り券を買うときにもらったリーフレットが出てきたのでペッタン。(2017/03/28)

 沖田艦長が悪魔のささやきを始めたのともう1つ、この作品には大きな歴史の書き換えがあります。「デスラー戦法」です。
 総統デスラーが瞬間物質移送機による短距離ワープ攻撃を仕掛けてきたのを見たヤマトクルーは「デスラー戦法だ!」とか叫びますが、これを前回やったのはドメル将軍なんですね。それはみんな知ってるはずなので、本当なら「ドメル戦法だ」もしくは「ガミラス戦法」になるはずですが、なぜか「デスラー戦法」と呼ばれ、それによってそれまでドメル将軍が持っていた宇宙の狼、武士(もののふ)という評価がそのままデスラーに付与されて、狂気の独裁者という評価が、敵ながらあっぱれな人物に上書きされてしまい、それが以降の評価となってしまいます。
 だから2199のときにあった「デスラーがおかしい」という感想は、「さらば宇宙戦艦ヤマト」で上書きされたイメージと違うという意味で、2202で再び上書きされていくのでした。せっかく2199でアップデートされた物語が、ことごとく2202で台無しにされていくのは辛いですね……。(2019/02/18)

【さらば宇宙戦艦ヤマト】【愛の戦士たち】【西崎義展】【松本零士】【舛田利雄】【愛】【白兵戦】【艦隊戦】【空間騎兵】
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「無双航路02」 松屋大好

2019-01-25 | ミリタリーSF・未来戦記
「ぼくは人間ですから。人間はほかの人間を守るものなんです」
 AIアサガヤシンはAI規範に縛られない。

 ボロボロの艦隊で連合の防衛網を打ち破った皇女ソハイーラは帝都であるローマ星系へと帰投する。
 しかし、それは始まりに過ぎなかった。元老院派によるクーデターで皇帝が暗殺され、裏切り者イムマクが新皇帝として即位していたのだ……。

 新皇帝やら前皇帝やら権力争いで帝国の体制はぐちゃぐちゃだし、AIを司るローマの月は1000を超える人格がわきゃわきゃしているし、裏切りはあるし暗殺者はいるし地球のバックアップはできないし……と、スピーディーな展開で2巻だけでもストーリーが二転三転する勢いが止まりません。
 AIの扱いという一点だけでも面白いよね。

【無双航路02】【転生して宇宙戦艦のAIになりました】【松屋大好】【黒銀(DIGS)】【レジェンドノベルス】【勇敢なる特攻】【廃棄艦の墓場】【仮想世界】【無双世界】【小説家になろう】
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