付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「うかつに復活!!~邪神大沼2」 川岸殴魚

2009-10-31 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「世の中にはお金で解決できない問題もある。だが、おまえが思っているより、お金で解決できる問題も多い」
 勇者・露都の言葉。教会へ行くのは基本です。

 邪神としての第一歩を踏み出した大沼くんも、ついに中級段階へと進みます。邪神の道は険しく、ペン字だってテーブルマナーだって身につけねばなりません。しかし大沼くんのまえには神聖光十字騎士団や黒魔導師が立ち塞がります。
 そんなとき、クラス委員長の夏葉がちらしを持ってやってきた。
『邪神は治る!』
 どう考えても怪しいと思いつつ、のこのこと出かけてしまう大沼くんだが……。

 難しいことは考えず、ゆるゆる~っと読むべき『邪神大沼』の2巻です。
 新キャラが続々登場し、ラクダやゾンビの出番が減って美少女が増えてきたのが残念。

【うかつに復活!! 邪神大沼】【川岸殴魚】【Ixy】【コスプレイベント】【通信教育】【ディアゴスティーニ】【絵文字】【天狗料理】【説明口調部】【教会】
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「G戦場ヘヴンズドア(2)」 日本橋ヨヲコ

2009-10-31 | その他フィクション
「私はね、守りたいプロの人が沢山いるの。生かすべくは、自分より面白いことを企んでくれる人間。震えさせてくれるならさ、敵とか味方とか関係ないと思わない?」
 自分が本物ではないことに誇りを持っているという、稲熊宗一郎の言葉。 

【G戦場ヘヴンズドア】【日本橋ヨヲコ】
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「色褪せた太陽」 C・J・チェリイ

2009-10-31 | 宇宙・スペースオペラ
 『ケスリス』『ションジル』『クタス』の「色褪せた太陽」3部作で、購入したのは大学時代。分厚いなあ、重いなあ、戦後処理から始まるなんて少し地味な話でないかい?などと思いつつ、いったん読み始めたら一気呵成にノンストップ。気がついたら夜が明けていて、ちゅんちゅん鳴くスズメの声を聞きながら隣の喫茶店にモーニングを食べに行ったのは良い思い出。体力的にも気力でも、今ではとてもできないことです。

 銀河宇宙に進出した人類は老獪な商人である星間種族レグル族と遭遇。全く異なる思考体系をもつ2つの種族は全面戦争に突入した。科学兵器を使いこなし集団戦に長けた人類に対し、レグル族は戦闘種族であるムリ族を傭兵として投入し、激しい戦闘は40年以上におよんだ。
 そして、人類=レグル戦争はかろうじて人類の勝利に終わり、全権公使スタブロスは随員としてSTダンカンを伴い、レグル族から譲渡されることとなった惑星ケスリスに向かったが……。

「旅立ちそのものがわたしたちの使用料なのです。わたしたちを賢明にお使いなさい、人間のセン。わたしたちはあなたがたのために<闇>を切り開く鋭い剣だからです」
 手にした剣は投げねばならない。ムリ族を使うためにはゲームをしなければならないのだ。

 終戦から始まる人類、レグル族、ムリ族による三つどもえの攻防の顛末で、「ハードSFだなあ」というのが読み終えた最初の感想。別に宇宙航法や惑星や異種族について凄く詳細な設定があったわけではありません。なんというか、物理化学や数学ではなく「文化人類学」的にハードだなあと感じたのです。それくらい、人間と異なる種族についての生活や風習についてとことん書き込んであり、しかもそれが物語の鍵となってストーリーを大きく左右していたのです。
 まあ、交渉の余地がある程度の異質ではありましたが。

【色褪せた太陽】【ケスリス】【ションジル】【クタス】【キャロリン・ジャニース・チェリイ】【回転ナイフ】【記憶】【嘘】【ダス】【ショナイ】
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「小春原日和の育成日記」 五十嵐雄策

2009-10-30 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「男の八割はご奉仕が好きなものだ。間違いない」
 カメラマン・厳島のおっさんの言葉。

 ダメ人間ばかり住むオンボロ下宿の管理人を務める高校生・晴崎佑介は、ある日中学3年の小春原日和から進路相談を受ける。
 しかし日和の志望校である姫乃宮は偏差値のむちゃくちゃ高いお嬢様校。一方、日和は地味を通り越して透明人間ではないかと思うほど目立たない人間で、自動ドアにさえ無視されることが頻繁という、類い希な才能の持ち主だ。さらに入試試験はテーブルマナーに楽器演奏に面談と、人見知りの激しい日和には絶対無理としか思えない難題揃い。
 だが、ここで下宿人のダメ人間たちが日和のために立ち上がった!

 ダメ人間は実は有能だということが明らかになって「すごいっ!」と言わせる王道パターンなんだけれど、同時に「ダメな人はやっぱりダメだよね」となるバランス感覚が秀逸。「実はスゴイ」という人が「普段は全然すごくない」のにはちゃんと理由があるのです。
 姿も見せない下宿人とか伏線をいろいろ引いて新シリーズとのことですが、これだけ読んでもまとまっていて面白かったです。
 やはり基本は他人の目を見て話すこと。自動ドアのセンサーはどうすればいいのか分かりませんが。

【小春原日和の育成日記】【五十嵐雄策】【西又葵】【お嬢様育成】【マタンゴ】【ケンタッキー】【テルミン】【俺の妹がこんなに可愛いはずがない】【タイラント】
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「ブルー・シャンペン」 ジョン・ヴァーリイ

2009-10-30 | 宇宙・スペースオペラ
「どんなに安定したタイプでも、ときどきは心の奥でべそっかきの子供になるのよ」
 セックスに失敗したレオに説くリンクスの言葉。

 70年代を代表するSF作家ジョン・ヴァーリイ3冊目の短編集で、ニュー・ドレスデン警察のアンナ=ルイーゼ・バッハの登場する「八世界シリーズ」2編を含む6編を収録。「ブラックホールとロリポップ」は『バービーはなぜ殺される』にも入ってましたね。
 面白かったのは「タンゴ・チャーリーとフォクストロット・ロミオ」かな。月面に衝突しようとしている、過去に廃棄された研究ステーション<タンゴ・チャーリー>で少女と犬が生存しているのが発見された。しかし、そのステーションは正体不明の病原体によって壊滅しており、最高の防疫体制で臨んだ救援隊すら罹患率100%で全滅していたのだ……。

 理論パートが難しくて頭が受け付けないのがハードSFとしたら、バーリイのSFは倫理パートが難しくて頭が受け付けないってところがあるかもしれません。
 ほんの半年宇宙に出ただけなのに帰ってきたら30年が経っているとしたら、男と女の性別が簡単に入れ替えられるとしたら、そんな世界での“あたりまえ”を受け入れるってのは面白いことであり、苦しいことでもあるのです。

【ブルー・シャンペン】【ジョン・ヴァーリイ】【ウラシマ効果】【ブラックホール狩り】【性転換】【疫病】【水球体プール】【全裸】【性夢】
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「はやて×ブレード(11)」 林家志弦

2009-10-29 | スポーツ・武道
「独りではなく背中を預ける仲間が居る。勝ち星が勝ち星として認められる。何より--望めばいつまででも剣を振るっていられるのだ。これ以上の冥利があるものか……!」
 全生徒の標的となった高等部3年D組、柳生真の歓喜の言葉。さすが剣の心得もないのに、剣豪への憧れだけであらゆる流派を見よう見まねで昇華させてきた少女。

【はやて×ブレード】【林家志弦】【オリエンテーリング】【レイダース】【バトルロワイヤル】
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「生徒会の一存」 葵せきな

2009-10-29 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人間って、おかしいから面白いのですわ。理解できないからこそ、人間なのですわ」
 新聞部部長、藤堂リリシアの言葉。

 私立碧陽学園の生徒会は「生徒会の仕事くらい誰でもできる」「誰でもできるならカリスマの高い=人気のある生徒にやらせればいい」という流れから、人気投票で選ばれた美少女ばかり。例外は学年トップという成績枠で参加した副会長・杉崎鍵だったが、唯一の男性である鍵は「俺は美少女ハーレムを作る!」と叫んだことから以後は最低人間の扱いに……。

 「これ、どんな話?」と読んでいる長男に訊いたら、「生徒会役員が生徒会室でダベっているだけの話」と教えられ、実際に読んだらその通りでした。伏線っぽいものもあるけれど、少なくとも1巻については説明の通り。見事なくらい。こういうのも目先が変わってたまには良いよね。理由はあるのだけれど、やたらメタフィクション的な言動をするのはどうかと思うけれど。
 でも、みんな優しいよね。青い春と書いて「青春」と読むのだけれど、なんのかのといっても青臭く春うららなポヤヤンとしたピンクな展開はまさに青春小説。自分も中学・高校と生徒会に参加したけれど、こんなに女子生徒と楽しくやっていけなかったなあ……と指をくわえたりして。

 あ、うちの子に確認したら2巻以後も基本こんな話だそうです……それはそれですごいや。

【生徒会の一存】【碧陽学園生徒会議事録】【葵せきな】【狗神煌】【富士見ファンタジア文庫】【生徒会】【日常】【怪談】【トランプ】【壁新聞】【ゆるゆる】【ギャルゲ】
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「ヘキシーの星のライオン~サターン・デッドヒート2」 グラント・キャリン

2009-10-29 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
「生きている方が、生まれてこなかったよりおもしろいことはたしかだからね」
 17%の確率で生まれた土星研究ステーション出身の天才少年ジュニア・バディルの言葉。ただ出版社のあらすじには「少年」と書いてあるけれど、1作目の初登場時点で20歳。本作では20代後半。もう青年と言って良いと思うよ?

 異星人が太陽系に残したメッセージは彼らからのプレゼント、太陽から850億キロの距離に置かれた恒星船の座標だった。その宇宙船に乗り込めば、謎に包まれた異星人ヘキシーズの母星に到達し、進歩した彼らのテクノロジーを人類のものにすることも夢ではなくなる。しかし、ヘキシーズ遠征隊の主導権を巡って地球とスペースホーム社の激しい対立が水面下で激化繰り広げられていた。
 一方、メッセージの発見と解読に大きな貢献をした考古学者クリアス・ホワイトディンプルは遠征隊への参加を希望していたが……。

 太陽系を舞台にトレジャー・ハンターものをハードSF的な考証で描いた傑作、『サターン・デッドヒート』の続篇。こちらも設定をしっかり作り込んであるという意味ではハードSFだけれども、物語としては冒険小説・探検旅行記に近い。
 ホワイティとジュニアの友情物語であり、前半は人類内部の対立をいかにホワイトディンプル教授が乗りこえて遠征隊を編成していくかというプロジェクト構築の物語。後半はヘキシーたちとの接触で彼らが隠しているものにいかに気づき解決していくかというあたりが見所になりますが、「ファースト・コンタクト」というより「カルチャー・ギャップ」を楽しむ話かもしれません。
 主人公である中年男のホワイトディンプル教授ことホワイティは考古学者。なにかと自分を卑下しがちだけれど何か緊急事態が起こったときの判断力は正確かつ迅速。何か思い立ったときの行動力も一心不乱にしてパワフル。運転免許を取得すると決めたら原動機付自転車をすっ飛ばして大型特殊をとろうとするタイプです。インディー・ジョーンズが大学の授業と発掘現場でイメージがぜんぜん違うようなものですね。
 これに対して小鬼のようだと表現される青年ジュニアは学問においては不得意分野がなく、どの分野でも一流とみなされる天才。賭け事でも負け知らず。けれども気分屋でユーモアたっぷりのひねくれもので、天才の代償として老化が急速に進む小さな肉体に押し込められています。
 この2人がコンビを組んだらどこまでもいけるし、どんな敵にも負けやしないと思わせてくれるのです。旅の果てがヘキシーの星であろうとリリパット国であろうとハリ湖だろうが月光洞だろうが、ちゃんと切り抜けて隊員全員を連れ帰ってくれるという気がします。
 忙しくても、手に取ったらつい最後まで読み直してしまう1冊です。

【ヘキシーの星のライオン】【サターン・デッドヒート2】【グラント・キャリン】【ファースト・コンタクト】【ジョーク】【六進数】【冗談劇】【陶磁器】【飾り時計】【システム・エンジニア】
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「聖おにいさん(4)」 中村光

2009-10-28 | その他フィクション
「ネトゲなんて非生産的なことが労働にはいると思うのかい?」
 安息日にマンガ喫茶に向かうイエスの言葉。

【聖おにいさん】【中村光】【イエス】【ブッダ】【バレンタイン】【降誕会】【ジーンズ】【100円ショップ】【ネタバレ】【盆踊り】
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「鳳凰堂みりあは働かない!」 石川ユウヤ

2009-10-28 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 鳳凰堂みりあは富豪の娘。だが、このお嬢さまが自己紹介で言い放った言葉は「働いたら負けだと思ってる」
 そんなみりあに目をつけられたのは、実直だが金銭のことになると目の色が変わり超人的な動きを見せる火車ヒイロだった。みりあはヒイロをハローワークとして時給480円で雇い入れ、自分が立派なニートになるよう指南せよと命じるのだった……。

 最初に「ニートとは何か」ときちんと説明しながらも、ぜんぜんニートじゃない方向に突っ走るのは誰が間違ったからだ!?とか、大富豪のお嬢さまなんだから最初から働かなくても良いってばさ!とか、焼きそば売るより画商で稼げよ!とか、いろいろツッコミながら読みました。こういうテンポ命のバカ話は好き。
 ヒイロが金以外にも大事なことがあると知り、少女たちが勤労の貴さを知るという展開になれば、非常にすばらしい道徳の教科書になるのだけれどな……と思いつつ、そんな殊勝な話にはなりそうにありません。
 まだ筆慣れしていないというか、ニート志望の怪しげな女たちがわらわらと登場するあたりのテンポがちょっと悪い気がするのと、自分のプライドのために家族に犠牲を強いたヒイロの父親に共感できないのが欠点。中高校生あたりならそのあたり気にせず笑って読み飛ばすだろうけれど、自分の立ち位置だとそこは疎かにできないポイントです。騙されたり失敗するのは仕方がないけれど、好きこのんで家族に苦労を背負わせるのは一家の大黒柱としてどうよ?

【鳳凰堂みりあは働かない!】【石川ユウヤ】【ニート系】【ラブコメディ】【水玉】【火曜市】【ペヤング】【ああ勘違い】
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「語り女たち」 北村薫

2009-10-28 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「空気は生きている人間には、平等に吸える。1万倍の金持ちだって、一度に一万倍吸って吐くわけにはいきません」
 みんな同じ空気を共有しているのだと髪の短い女が。

 かなりの資産家でしかも事業はしっかり者の弟任せという、大金持ちの若だんなが暇つぶしに始めたのは人の話を聞くこと。
 新聞広告を見て集まってきた女たちが彼に語る、少し不思議な経験談の数々……。

 都市奇譚だったり単なる惚気話だったり、さまざまな種類の短編が詰め込まれた1冊。

【語り女たち】【北村薫】【眠りの森】【プレゼント】【駱駝】【竹林】【桜の木】【水虎】
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「ブラッド・ミュージック」 グレッグ・ベア

2009-10-27 | 宇宙・スペースオペラ
「情報は常に失われる。それが闘争だ」
 そして、そのために常にバックアップが用意されているのだ。

 黙っていては他人に自分の気持ちは伝わりません。言葉にしたところで理解してもらえないかも知れないし誤解されることもあるかもしれないけれど、言葉にしなければ最初から可能性はゼロです。
 言葉無しで分かり合えれば便利でしょうが、あのガンダムにおけるニュータイプだって、レビル将軍に「戦争なんぞせんでも済む人間のことだ」と切って捨てられたように結局はエゴをぶつけ合っているだけですしね。
 だからこそ、言葉は大事だと思うし、たとえ永遠に理解し合えなくても問いかけ続けることに意義があると思うのだけれど、そんなもの面倒くさいとすっ飛ばしたくなった先に見えてくるのが「個と全」のテーマです。

 ヴァージル・ウラムは遺伝子工学の天才だったが、データ改ざんするは違法実験するはと「やりたいからやる」「自分に必要だからやる」というマッドサイエンティスト的な行動が露見。実験結果を破棄して研究室から出て行けと通告されたウラムは、事もあろうに白血球から作りだした生体素子、知性ある細胞を自分の血管に注射することで持ち出してしまうのだが……。

 『ブラッド・ミュージック』(1983)はアーサー・C・クラークの『幼年期の終り』(1953)に始まり諸星大二郎の『生物都市』(1974)を経由した「個と全」テーマの代表作。これがやがて『新世紀エヴァンゲリオン』の人類補完計画に至るということになりますが、そもそも読もうと思ったのはこの作品が「サイバーパンクの代表作」と聞いたからです。
 サイバーパンクといったら、士郎正宗の『攻殻機動隊』とかウォルター・ジョン・ウィリアムズの『ハードワイヤード』みたいなのだと思ってから、読後感は面白いか否かに関係なく「これ、違うだろ?」というものでした。まあ、科学技術の発展がもたらした個人の認識空間の拡大による社会変化が入っていればサイバーパンクらしいので、これもOKみたい。そうすると『ナノセイバー』はサイバーパンクアニメの最高峰ということになりますね。

【ブラッド・ミュージック】【グレッグ・ベア】【ヌーサイト】【情報力学】【ナルニア】
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『ダイナ★コン20』 2009.10/24-25

2009-10-26 | イベント・コンベンション
 名古屋のローカル・コンベンション「ダイナコン」が2年ぶりに開催されるというので高校生の長男と参加してきました。
 受付開始直後に到着するくらいのタイムスケジュールで出発しましたが、途中寄り道した本屋の駐車場で車のバッテリーがあがってしまって修理待ち。購入して3年くらいでいかれることが多く、最近のバッテリーはいったんあがったら充電してもあがりやすくなるので交換した方が良いとのことで2万5千円なり。
 それでも、なんとか夕食開始直後には会場入り。会場となった五色園のフロントのおじさんには「最近ご無沙汰ですねえ。イベントはやられませんか? Tさんは?」と話しかけられ雑談しばし。プロはちゃんと顔と名前を覚えているなあ……。以下、敬称略。

 1コマめは「スゴイ科学で守ります」。スーパー戦隊シリーズを中心に、特撮番組の設定のつじつま合わせを他人が勝手にやると言う企画です。ゲストは長谷川裕一、環望、重馬敬、こやま基夫。
 最近は2チャンやmixiでさんざん語り尽くされているし、戦隊シリーズの矛盾も少なくなっているのであまり大ネタはないねということで始まりました。志葉家の出自についてあれこれ詮索。大陸方面にも話が飛び、赤穂浪士にまで波及するなど波瀾万丈な展開でしたが、やはり雰囲気は低調。最近は平成ライダーの方があれこれ矛盾して破綻して、夏の映画は金返せという出来だったけれどまだ冬があるし……と仕切り直し。キーワードは石文明とカード文明。次回は変形合体の系譜について語るというのも面白そうというあたりで幕。

 その頃、PXではダイナコンも20回ということで記念の巨大ケーキがカットされていました。フルーツたっぷりで美味! でもうちの長男はアレルギーだからメロンが食べられないのだ。

 休憩を挟んで2コマめは「マップス・シェアードワールドを語る」というもので、ゲストは引き続き長谷川裕一、重馬敬、環望。『マップス』のシェアードワールドの企画は実はダイナコンのPX(酒場)の呑み話から生まれたもので、SF作家・マンガ家やアニメーターにもファンが多いのです。
 ということで、その執筆陣募集の経緯や原稿の到着順とか今後の展開とか、表に書けない話も含めてアレコレ。やはりあろひろしの「アマニさん」は大ウケ。やはり玉子スライサー最高。ちゃんと本編のストーリーに合わせながら、ギャグでオチを付ける技量に絶賛。
 最後に、6月に亡くなられた中里融司氏は、まだまだマップス小説を企画されていたらしく、どんなマップスを書こうとしていたのか、断片的な情報から全体像を模索しますが、結局、「あの人はいつもみんなの予想のはるか斜め上を行ったよね」という結論。もっと作品を読みたかったですね。

 一方、PXでは名古屋の中華料理店「四川」の麻婆豆腐が振る舞われていて、みんなその辛さにヒーヒー泣いています。
 ぼくはそんなに気にせず「辛いけど、泣くほどじゃないよね」と平らげましたが、これもかなり冷めていたせいかも。その後に食べたカップラーメンが、ただのあっさり醤油味のはずが、口の中で激カラ唐辛子味に変わって困惑。食べ終わったら涙ボロボロ。閉口しました。

 3コマめは架空戦記部屋に行ったのだけれど、雑談・フリートークといいつつ、いきなり日英同盟についての検討が始まり、門外漢には手に負えそうになかったので早々に退散。「おぼろげ絵画教室」へ移動。
 そこは「お題に従って参加者全員に記憶だけを頼りにイラストを描かす」という企画で、プロも一般参加者もテーマとヒント3つだけで5分ほどで絵を描き、全員で合評会をしてテーマ毎に1番を決めるというもの。たとえば『テーマ:金田伊功の決めポーズ。ヒント:すごいパース、キラキラ光る効果、ヘンな方向に顔や手が向いている』という感じで、いちばん評価が高かったものが一番となり、描いた人が次のお題を決めるというもの。今回のテーマは他に「大鉄人17」「沖田艦長」「不思議の海のナディア」「黄金バット」「オスカルのヌード」。ただし巧すぎても「ふうん」「そうそうこんな感じ」であっさりスルーされるので、「ぜんぜん違う」「でも何を描いたか分かる」というのがポイントみたいです。総合優勝の賞品は全員の作品(門外不出)です。ゲストの長谷川裕一、一本木蛮、田中浩一、環望、こやま基夫らの描く「大鉄人17」とかの「沖田艦長」のイラストも当然含まれています(うろ覚えの5分描きだけれど)。

 そのあたりから、腹にたまった四川麻婆豆腐が暴れ始めて七転八倒。あなどりがたし四川!

 あとは特別に観たい企画もなかったので、ナーフとかいう玩具の銃のシューティングにいる長男の見学。それからファミコン時代のクソゲー体験コーナーの見学。3時に寝て7時起き。
 長男は他に2人しかいない大広間で黙々と『マイケル・ジャクソンのムーン・ウォーカー』をプレイしていたら、いつの間にかクロージング参加者が集まってきて羞恥プレイ状態に。
 クロージングも無事に終了。お土産に横山信義先生の「烈日」上下のサイン本をもらってほくほくで帰還。途中、長男のリクエストで新作オンラインゲームのロケテストをやっているというネカフェに寄り道。着いてみれば、昨夜車が故障した本屋のすぐ裏手で苦笑い。つき合ってネカフェで仮眠のつもりが、そのまま週刊誌を読みふけり、3時帰宅。

 今年もみのり多いダイナコンでした。できれば、毎年開催して欲しいものですが、無理は言えないのが残念です。
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「新編 懐古的洋食事情(1)」 市川ジュン

2009-10-26 | 食・料理
「最初は誰でもわからないのがあたりまえでしょ。知らない新しいものと出会うたび、新しい考え方でやっていけばいいのよ。それが“開化”よ」
 岡倉喜介の母の言葉。

 YOUコミックから出ていた『懐古的洋食事情』をエピソードの年代順に並び替えて文庫化した、その第1巻。明治10年冬から大正8年秋までの9編を収録。
 いちばん好きな話は、見栄と勢いで華族による慈善夜会の主催を引き受けてしまった望月伯爵家の七転八倒と若奥様のマイペースぶりを描いた『大夜会始末記』。洋画家紹月と農家の次男坊の物語『西洋野菜主義』も好きだけれど、こいつは先が見えている、作品中では語られなかったその後が容易に推測できる話だからなあ。紹月、かわいいのに……。

【新編 懐古的洋食事情】【市川ジュン】【ビュッフェ】【西洋料理店】【トマト】【洋画家】【西洋野菜】【アイスクリン】【チョコレート】【コロッケ】【カステラ】【ビール】
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「まぐろ土佐船」 斎藤健次

2009-10-26 | 食・料理
「絶対、人に憎まれんようにしいよ。一度、睨まれたら助かる命も助からんきに」
 甲板長の助言。1回の航海が600日とか800日続き、食べることしか楽しみのない世界で、食べ物で人間関係がこじれたらタイヘンだ。

 刊行されたのは2000年、文庫版は2003年。ところがこの2009年の春に名駅前大型書店で特設コーナーができてたのでびっくり。特にドラマ化とかいう話はなかったと思うし……で、あらためて読み直してみる。

 出版関係の仕事で行き詰まり、なんとなくマグロ船の仕事なら今までと違った生活ができるんじゃないかと思いつきで飛び込んだものの、力仕事の経験もない都会の男がいきなり行って採用されるような世界じゃない。板子一枚下は地獄の航海で、一度船出したら1年は戻れない。そんな航海に生半可な気持ちの役立たずは連れていけないのだ。
 料理を覚えながら港町で待機して1年半。なんとか船員として採用され、シケの日も海に縄を入れて縄を上げる作業を繰り返して1日15時間労働の世界へと飛び込み、1年後に体調を崩したコック長と交代して以後はひたすら美味いと言われるもの作ろうと奮闘する。自分がこの世界で生き残るためにはそれしかなかったのだ……。

 マグロをマヨネーズで食べるのに慣れなくて苦労したり、余った刺身の処分方法にミリン干しを思いついたりと孤軍奮闘しつつの3度の航海1770日の記録です。
 
【まぐろ土佐船】【斎藤健次】【カシキ】【マヨネーズ】【フォークランド紛争】【転落】【排他的経済水域】【漁業権】【いごっそう】【目玉焼き】
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