「フォレストクラウン」 広井王子

「金を借りるなら、ヤツ（金貸し）じゃなくて友人から借りろ。金を貸すなら、くれてやる気で貸せ。友人から借りた金は、死ぬ気で返せ。おしまい」
　名無しの船長の言葉。この言葉の意味を本当にかみしめられるようになったら大人です。

　学校の帰り道に出会ったしゃべるウサギにさらわれるように、桜木風子は緑に覆われた世界フォレストクラウンへ連れていかれてしまった。
　森の底には恐ろしい植物が蠢いており、森の上ではクジラのような怪物と帆船が戦いを繰り広げている世界だった……。

　緑の海が比喩ではなく海として存在している異世界で暴れ回る森の海賊「バッテン団」に加わった風子のハラハラドキドキの大冒険。児童文学のファンタジーには小難しい理屈は要らないんだということを思い知らされました。
　思えば、高度に発達したＳＦと区別のつかなくなったファンタジーばかり読んでいたから、新鮮だなあ。確かに芦田豊雄のキャラデザインでアニメ化するのが似合いそうですね。

【フォレストクラウン】【森の海賊】【広井王子】【芦田豊雄】【オナラ】【アマゾンドット】【大黒様】【日本語】【携帯電話】【ラーメンつけめんチャンポンめん】

「ばいおれんす☆まじかる！～九重第二の魔法少女」 林トモアキ

「メリーサ様、人間は……人間は、侮りがたい存在です！　ラビティアに限ったことではありません！　純粋な力の強さではなく……様々な意味で恐ろしい存在かと！」
　追い詰められた人類は何をするかわからないから怖いぞー。

　千年に一度の魔族の人間界進出期。
　しかし、魔族から人間界を守るために天界から派遣されたのは、落第生の天使ミウルスのみ。天界の唯一神は、既に人間を滅ぼすことを内々に決定しており、ミウルスはいわば失敗するために派遣された使者だったのだ。
　そして、天使ミウルスが正義の代行者として力を授けた美少女こそ……

　凶悪なヒロインが魔法のスティックで魔界からの侵略者たちをどつき回す話。
　中学生だった長男がお気に入りでついに既刊を揃えてしまった林トモアキのデビュー作。確かに面白い。
　深遠なテーマとか微妙な感情の揺れ動きとかそんなこととは関係なく、ひたすら勢いとノリで突っ走るノンストップ・バイオレンス・アクション魔法少女もの（特撮風味）。たとえばＯＶＡ90分くらいで面白くまとまりそうな感じ。
　この話とか『滅びのマヤウェル』とか、こういう単純なノリでまっすぐ突っ走る話が好きだなあと最近思うようになりました。基本的な設定はかなり重いのだけれど、それを重いと感じさせないテンポは巧いと思います。一度失速したらおしまいだもの。

【ばいおれんす☆まじかる！】【九重第二の魔法少女】【林トモアキ】【広域暴力団】【チャカ】【撲殺】【マッドサイエンティスト】