付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「死想図書館のリヴル・ブランシェII」 折口良乃

2010-10-31 | 本屋・図書館・愛書家
 女神の風邪が治らない。神様に効く薬を調合するため、逃げ出した本を追いかけて京都へと向かうのだが……。

 修学旅行で向かった京都で鬼退治……というと『鬼切り夜鳥子2』なんだけれど、こちらも逃げ出した本の潜伏先が京都と判明したのだけれど、たまたま修学旅行で京都へ行くことになっていて……という話。もう少し「修学旅行」ならではのエピソードを強調して欲しいと思いました。新キャラが手帳に記録している理由もちょっと強引。
 ところで「高校生が修学旅行で京都までバス旅行」というと、どのあたりの学校なんでしょうね。

【死想図書館のリヴル・ブランシェII】【折口良乃】【KeG】【修学旅行】【餓鬼】
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「猫物語(白)」 西尾維新

2010-10-30 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「親が子供と仲が悪いというのはね、もうそれだけで虐待みたいなものなんだよ」
 阿良々木家の母の言葉。

 周囲には完全無欠の委員長と思われている羽川翼だが、彼女自身は自分が欠点の多い人間だと自覚している。自分の心さえ、自分のものではないようだと。
 そんな彼女が2学期の初日、1頭の巨大な虎に睨まれ「白々しい」と吐き捨てられた……。

 黒に続き白ときたので続きかと思いきや、『偽物語』の続きで新章突入。忍野の先輩やら阿良々木さんちの両親やら、これまで存在が仄めかされていただけの人たちが登場します。なんというか、これまでの話で解決したと言いつつ実は決着を付けていない部分をはっきりさせていくような展開になるのでしょうか。
 戦場ヶ原さんは憑きものが落ちたようにデレ期に突入したとかいわれていた気がしますが、あれは元がひどかっただけで、まだ十分に尖っている気がします。しかも変な方向にねじ曲がっているようで、不審な性癖や特技が明らかになって……よかった、よかった。
 
 とりあえず夏の猛暑が続いて、「エヴァ破」後の話なので、この話はおそらく2010年8月末の話(直江津高校は夏休みが短いらしいし)。登場人物がメタな発言をしまくるので、年月の特定は無駄なことだとは思うけれど……。

【猫物語】【白】【西尾維新】【エヴァ破】【シャワー】【ルンバ】【カリオストロの城】【洗いっこ】【萌やしっ子】【ハガレン】【失恋】
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「ランジーン×コード」 大泉貴

2010-10-29 | 超能力・超人・サイボーグ
「人間はどいつもこいつも、程度の差はあれ、自分にとって都合のいい真実を選びたがる傾向にある。その真実でもって、世の中を解釈しようとする」
 福地警部の言葉。

 遺言詞(いごんし)性統合失調症候群の罹患者は脳神経に障害が発生し、世界の認識が常人とは大きく異なってしまう。そして彼らは同じ症状の者同士でコミュニティを築き、第三者から見れば発音も文法もデタラメな言葉で会話をかわしながら、それぞれの認識する世界で生き始める。重力が反転したと思いこみ、自分を天井から宙づりにしたり、暗闇の世界で聴覚だけを頼りに生活したり。
 そんなコトモノと呼ばれる罹患者が増え始めた時代。自然の流れのように、他のコトモノを捕食する存在が出現する。全国各地でコトモノたちのコミュニティが襲撃され、壊滅するという事件が相次ぎ……。

 言語というOSが変われば情報処理速度も処理内容も変わるというのがディレーニイの『バベル-17』なんだけれど、これもそんなような話。
 コトモノたちの言動は一般人から見れば奇異だけれど、彼らの世界の中では正常であり、むしろ一般人には得がたい力を本能的にというか自然に身につけていて、利用しようと思えば宝の山に見える……というシチュエーション。神林長平の作品が好きな人には、こういう自己認識が世界を変えていくという話は取っつきやすいかも知れません。

【ランジーン×コード】【大泉貴】【しばの番茶】【このライトノベルがすごい!文庫】【鏡の国のアリス】【美術部】
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「猫物語(黒)」 西尾維新

2010-10-28 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 最近、妻が“暦ちゃん”に萌えているようで困っています。そういうキャラの人ではなかったと思うんだけどなあ……。

 阿良々木暦にとっても、周囲の他のすべての人間にとっても、羽川翼は完全無欠の委員長だった。
 しかし、ゴールデンウィーク初日に車に轢かれた1匹の猫を一緒に埋葬したことから、暦は翼の恐ろしい真実を知る……。

 人が獣と化した“悪夢の九日間”の物語。

「中学生女子に乙女なんかいない!」
 恋愛相談の成功率100%という阿良々木月火の言葉。

 こういうエピソードがあったんだよーとこれまでさんざん臭わされつつも語られていなかったエピソードなので、かなり思っていたのとニュアンスが違います。あとがきでもことわりが入ってますね。なんというか、ルウム戦役当時のエピソードとかが語られるのと似たような感じ。そう思えば無問題。
 しかし、本編の1/4が阿良々木家の朝のエロトークに費やされてしまうという、噺の枕が長い落語家のような本ですね。あいかわらず。そして、その先は下着姿の猫耳女子高生の大暴れ。

【猫物語】【西尾維新】【妹虫】【恋愛圧力】【黒】【マシュウは勝ち組】【アシュラマン】【セーラーマーズ】【彦摩呂】【石塚英彦】【げんしけん】【いなかっぺ大将】【るろうに剣心】
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「麺の甲子園」 椎名誠

2010-10-27 | 食・料理
『客はバカではないのだから従業員全員が「いらっしゃいませえええ」と叫んでいても「実」は感じないのである』
 この意見には納得。ただ、ラーメンマニアが無言で食べていれば「気持ち悪い」、家族連れやカップルがいると「うるさい」という評価なので、なかなか著者に満足してもらうのは難しそうです。

 日本一の「麺」を決めようと、椎名誠やカメラマンたちが日本全国を食べ歩いてランキングをつけようという無謀企画の顛末。「ラーメンのうまさなどは超個人的な尺度で決まる」と著者自ら言い切っているし、腹減っているときに食べれば何だって美味いし、満腹のときに食べれば美味いものでもたいして美味いと思えない……というあたり前の前提に基づいて、気軽に読むことが秘訣。自分の大好きな麺があんなものと比較しては足蹴にされるなんて許さない!!と思ってしまう人は読まない方が良いです。

「何かみなさんの発言が怖いもの知らずですね」
 若いカメラマンの言葉。

 なにしろ「麺」といっても小麦が原材料のものもあれば米やジャガイモでできているものもあるわけで、ここではついにモヤシや糸コンニャクまでが適当に長くてすすれるなら良いと麺に含まれてしまいました。なんでもありだなあ。そりゃあ、名古屋文化圏の人間としては、きしめんを軽くスルーされ、マウンテンの抹茶小倉スパなどと一緒にカオス扱いされたら文句の1つも言いたいけどねえ……。
 そもそも名古屋といえば「味噌煮込みうどん」になるわけですが、それにしても私の周囲では「特定の店の商品を代表扱いされたくない」「あんなものより××の方が美味い」と品評会を始めたら止まらないのですから……。

【麺の甲子園】【椎名誠】【もやし】【コンニャク】【イカソーメン】【くらげ】【もずく】【くずきり】
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「スーパーロボッ娘 鉄刃23号」 舞阪洸

2010-10-26 | 超能力・超人・サイボーグ
 正体不明の差出人から届けられた腕時計をはめたそのときから、春日井鷹斗は、スーパーロボっ娘「鉄刃23号」の操縦者となった。美少女タイプで無敵の人造人間が堕天使になるか悪魔になるか、すべて鷹斗次第なのだ……。

 突如押しかけてきたミニスカ美少女ロボのエロトークに翻弄されながら、されながら……されているうちに話が終わってしまったよね? まあ、平穏な日々を維持することには成功しているけれど、このままあっちこっちの事件に首を突っ込む羽目になるのか、はたまたぬるい学園コメディに走るのか、どっちの方向へ行くのかシンシンキョーミであります。
 ネタ的にはかなり古め。別に本筋には関係ないですけども。

【スーパーロボッ娘 鉄刃23号】【舞阪洸】【ゴロボッツ】【エロトーク】【全裸】【TPO】【美少女仮面ポワトリン】【マジンガーZ】【セクサロイド】【ヴォーカロイド】【バトルスキンパニック 】
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「化物語(下)」 西尾維新

2010-10-25 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 え~、DVDの出来が良かったので、サントラCDとか欲しいなあと思ったら、限定版のおまけにCDが付いていて、それ以外はエンディング・テーマのシングルカットしかないと知って絶望した!

「頭のいい人間は勉強する前から頭がいいのよ。成績って言うのは、要するに理解力と記憶力のことなのだから」

 戦場ヶ原ひたぎの言葉。そんな学年7位のひたぎですら羽川とは世界が違うと言います。

 結局、『偽物語』『化物語』を講談社BOXで揃えてしまいました。本棚にもうスペースがないから、文庫落ちまで待ちたかったのに……きっと『猫』とか『傷』も買ってしまうのだろうな……。

「愛するっていうのは、求めるということだからね」
 娘は重過ぎる子だと戦場ヶ原父の言葉。

 羽川の様子がおかしくなっていた。
 記憶を失ったゴールデンウィークの事件が再来しようとしているのだろうか

「暦お兄ちゃん……ちゃんと見ててね。撫子のこと……ちゃんと見ててね」
 恥ずかしがり屋で人見知りの中学生、千石撫子が同級生に呪われる「なでこスネイク」。

「わたしの見たところ、羽川さんは優しいお姉さんでしたが……戦場ヶ原さんは、そう……悪意の塊です」
そして、猫に憑かれた委員長・羽川翼の「つばさキャット」の2編を収録。

 阿良々木くんを「暦お兄ちゃん」と呼ぶ千石撫子が登場して、ますます阿良々木ハーレムが充実してきました。

【化物語】【なでこスネイク】【つばさキャット】【西尾維新】【気まずいオレンジロード】【乙女買い】【最終回】【達急動】【変態】【大長編ドラえもん】【初デート】【黒岩涙香】【虹色町の奇跡】【猫部ねこ】【メイド】【ラブandベリー】
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「もろこし銀侠伝」 秋梨惟喬

2010-10-24 | 時代・歴史・武侠小説
「この世は関係のみで実体はないのだ」

 神話の時代。世界を治める黄帝はいずれは訪れるであろう暗君愚君の統治を憂い、それによって世界のシステムが乱れ、滅びるのを阻止するため、破邪の符を彫り込んだ1枚の銀板、銀牌を生み出した。
 その銀牌は武勇・知略に優れ、正しき心を持った者から者へと受け継がれ、世界の裏側で世界の秩序を守るために戦い続けることが宿命づけられるのだが……。

 一口で言うと水滸伝を元ネタの一部に繰り広げられる「武侠ミステリ」。
 神話の皇帝より殺しと探偵のライセンスを与えられた名探偵が、北宋から明代まで、迷宮入りしそうな、あるいは無実の人間が犯人に仕立て上げられそうな事件を快刀乱麻に解決していく話です。
 とりあえず近刊という続刊を楽しみにしています。

【もろこし銀侠伝】【秋梨惟喬】【三木謙次】【水滸伝】【密室殺人】【毒殺】【暗殺】
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「ホテル・ジューシー」 坂木司

2010-10-23 | ミステリー・推理小説
「人生はたまに、他人の手でかき混ぜられた方が面白い」

 なんとなく本屋で読む本を探していて、なんとなく作者名に覚えがあって手にとって、「ああ、ひきこもり探偵の人だ」と気がつき、ぱらぱらと中身を見て購入。

 仲良し女子大生2人が夏休みにバイトをすることにした。1人は都会の病院の受付、もう1人は沖縄のリゾート。ところが沖縄へ行ったしっかりもののヒロちゃんは、あまりにしっかり仕事ができるものだから、ヘルプで別のホテルへ飛ばされてしまう。
 しかし、新たな勤務地であるホテルジューシーは、あまりにもあまりな超アバウトで怪しげな路地裏の小さなホテル。オーナーは正体不明で、オーナー代理は昼夜で二重人格。まかないや掃除のおばちゃん・おばあちゃんたちもいかにも沖縄といったマイペースぶり。しかも、お客さんときたらどいつもこいつもワケありばかり……。

 ああ、確かにこういう話を書く人でした。
 ちょっと変わり者だけれど、暖かな人たちが寄り合い、助け合う話。でも、誰でもいつでも助けられるわけじゃないし、悪いやつだからといって罰せられるとは限らない。
 連作短編だけれどミステリというより青春小説に近く、怪しげな同僚やお客に翻弄されながらも、1人の女子大生が小さなホテルをきりもりしていく話です。細腕繁盛記(ミステリ付き)。
 もう1人のバイト話も出版されているらしいので、こいつも近々手に入れることにしましょう。 

【ホテル・ジューシー】【坂木司】【日常系ミステリ】【那覇】【公設市場】【詐欺】【台風】【強盗】【大震災】【弁当】
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「遠回りする雛」 米澤穂信

2010-10-22 | 学園小説(ミステリ)
 ここ最近ずっと、書店や出版社が大々的に売ろうとしているのが面陳の充実ぶりからうかがい知れる米澤穂信の代表作の1つ、古典部シリーズの第4弾。
 頭の回転は良いけれど省エネを最優先にのんべんだらりと暮らしていたい折木奉太郎と、旧家のお嬢さまだけれど好奇心旺盛な千反田えるが高校入学し、古典部に入部してからの1年間に起きた出来事のあれこれを語った短編7本。
 謎の1つ1つは(難問かどうかは別として)本当にたいしたことはなくて、まさに日常系ミステリ。ただ、大事なことはそうして解かれていく謎ではなく、それぞれの事件をターニングポイントにして揺れ動く少年少女の心なのです。
 そういう意味ではミステリというより青春小説と呼ぶ方がふさわしいのかもしれません。

【遠回りする雛】【米澤穂信】【古典部】【学校の怪談】【合宿】【校内放送】【大晦日】【バレンタインデー】【ひな祭り】【日常系ミステリ】
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「ゾーイの物語」 ジョン・スコルジー

2010-10-21 | 宇宙・スペースオペラ
 「老人と宇宙」シリーズの4作目というか、前作「最後の星戦」の裏話。やはり、どうやってジョンとジェーンの養女のゾーイはあんな超テクノロジーを手に入れてきたの?とか、植民地を恐怖に陥れていた狼男たちはどこへ行ったの?とか、読者はみんな思っていたみたいです。作者としては必要充分な説明はしていたつもりらしかったのだけれど、やっぱりアレだけではなんだよねえ?……ということで、完全に前3作を読んだ人向けの1冊です。前半は要らなかったというか、面白いけれど分かりにくい再話です。でも、やはり狼男とゾーイの旅のためだけでも読む価値はありました。
 イラストはいつもの前嶋重機ですが、今回はゾーイらしい少女の顔が細く潰れていて邪悪に見えます。こういう話こそ、川原由美子みたいな表紙で読みたいな……。

【ゾーイの物語】【老人と宇宙4】【ジョン・スコルジー】【前嶋重機】【トラップ】【詩】【暗殺】【クロマニョン】【意識】
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「月神祭」 夢枕獏

2010-10-20 | 時代・歴史・武侠小説
 古代インドの退魔師アーモンとその従者の物語。退屈、退屈と言いながら関わらなくても良い事件に巻き込まれてはドカンドカンッと敵を叩きのめして事件を解決する巨漢……というと旗本退屈男のように思えます。
 収録されている作品の何編かは読んだ記憶があるけれど、SF大会でサイン会に並んだこともあって、あらためて通読。はじめて読んだ夢枕獏作品が『幻獣変化』で、そのあと『キマイラ・吼』とか『魔獣狩り』とかまったく読んでいないので、なんとなく夢枕獏=古代インドの武闘作品を書く人というイメージなのです。

【月神祭】【古代インド怪異譚】【夢枕獏】【寺田克也】【闇狩師】
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「化物語(上)」 西尾維新

2010-10-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「線引きは必要だよ。ルールってのはそのためにあるんだ。ぬるぬるのぬくぬくは、ぬけぬけとよくない」

 アニメを視て面白く、続編を読んで面白かったので、ここであらためて『化物語』原作を購入。こちらの方が書かれたのが2~3年古いだけあって、なんとなく読んでいて引っかかったけれど、とりあえず面白く読了。

 春休みに吸血鬼と遭遇して以来、阿良々木暦の周囲には怪異が起きる。
 ある日、バナナの皮で足を滑らせて階段から落ちた美少女・戦場ヶ原ひたぎを助けた暦は、彼女にカッターナイフとホッチキスを突きつけられ脅迫される……。

「好奇心というのは全くゴキブリみたいね」
 蟹に行き遭った“ツンデレちゃん”の物語「ひたぎクラブ」。

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」
 迷子になったツインテールの小学生・八九寺真宵の「まよいマイマイ」。

「私はネコだから、攻めにはなれない」
ひたぎの後輩であり、弱小バスケ部を全国クラスに押し上げた直江津高校のスター・神原駿河と“猿の手”の物語「するがモンキー」。
……の3篇を収録。

 続編の『偽物語』から読んで良かったのかなあと思ったけれど、よくよく読んでみれば、 春休みに起こった吸血鬼との一件とかゴールデンウィークの猫の事件とか、そんなことがあったとしか言及されておらず全貌は闇の中。1冊目からこういう飛ばし方をしていたなら、シリーズの途中から読み始めても、刊行順に読んでも、関係ないということですね。いきなり第2シリーズかよ。
 さまざまな怪異に出会い、それによって起きた事件を解決するような話だけれど、妖怪退治の話ではないのですね。『偽物語』もそうでしたが、いざ本当に戦うとなると阿良々木くんは傷だらけです。

【化物語】【西尾維新】【蕩れ】【ソロレート婚】【ハートフル軍曹】【恋愛契約】【猿の手】
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「奇想の江戸挿絵」 辻惟雄

2010-10-18 | エッセー・人文・科学
 「ライトノベル」というものの定義はいろいろあるのだけれど、僕は単純に「アニメやマンガのイラストを多用し、中高生を主なターゲットとした文庫の小説」くらいで充分だと思っています。ジャンルではなく「パルプフィクション」と同様、書籍の装幀の形式区分を表しているだけだし、それ以上の定義はできません。中身をあれこれ分析して区分しようったってできないじゃないですか。
 「ラノベ」とくくられても駄作もあれば傑作もあり、ミステリやSFもあれば学園ユーモアや戦記もある。ラノベとしてくくられた作品が装幀を変えて一般文芸として売られることも珍しくありません。主人公の特徴や物語の構造からパターンを読み取ろうとしても、例外はいくらでもあるのです。
 そんな話をしていた流れで「なら『化物語』みたいな講談社BOXはラノベにならないのか」と訊かれ「ならない」と断言しました。だって、あれをいれたら児童向け新書はもちろん江戸時代の絵付き貸本までラノベにいれなければいけなくなり、歯止めが利かなくなるからです。
 そんなこんなで確認するために『奇想の江戸挿絵』を買ってきました。

 おーおー、あるある。
 荒唐無稽でエログロ満載の読み物が、さまざまな工夫を凝らしたイラスト満載で刊行され、時にはエライ人たちからケシカランと弾圧されたりしています。
 まあ、萌えはないけどねえ……。

【奇想の江戸挿絵】【辻惟雄】【黄表紙】【合巻】【読本】【葛飾北斉】【妖怪】
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「AKUMAで少女」 わかつきひかる

2010-10-17 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 心臓に欠陥を持つ少女、如月ゆり絵は容姿は天使のごとくの美少女ながら、性格は悪魔そのもの。そんなゆり絵が、クマのぬいぐるみの姿をした本物の悪魔を拉致してしまい、大好きな幼馴染の僚と恋仲になれるようにと脅迫するのだが……。

 ジュブナイルポルノ作家のライトノベル進出第一作。とはいえ、大きく路線変更しているわけでもなく、寸止めになっただけのようです。
 とりあえずということで手には取ったけれど、私の求める面白さではありませんでした。巧い拙い以前に、性格の悪いキャラがメインキャストを務めるというだけで、既に2アウトというだけなんですが。

【AKUMAで少女】【わかつきひかる】【高階@聖人】【トランスセクシャル】【×××】【百合】【赤飯】【合わせ鏡】
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