付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「オーバーロード6~王国の漢たち」 丸山くがね

2014-02-28 | VRMMO・ゲーム世界
「恩には恩を、仇には仇を返すべきだと思っている。同じように、受けた借りはしっかりと返すべきだと」
 アインズ・ウール・ゴウンは、自らの判断の指針を示した。

 支配者であるアインズ・ウール・ゴウンの許可を得ないまま人間の少女ツアレを救い、かくまったセバスに謀反の疑いが掛けられた。
 忠誠を示すため、その娘を今この場で殺して見せよとアインズはセバスに命じた……。

 王都を影で支配する犯罪組織「八本指」との戦い、そして彼らを支援する貴族派閥との駆け引きと、慈愛に満ちた無邪気な仮面の下に酷薄な瞳を隠したラナー王女の戦いは佳境となりますが、ここに悪魔の群れが乱入し、混沌に拍車がかかります。この巻は確かに上下巻通して読みたいところです。
 アインズ陣営は完全に世界征服を企む悪の組織で、ナザリックの戦闘メイドは化け物かっ!?……いや、本当に化け物なんです……の後半戦。
 人間の生死など虫けらほどにも興味が無く、感情の起伏も自動的に抑制された主人公は完全にアンデッドの魔王と化していますが、それでもときおり人間時代のサラリーマン根性のような思考が走るところがギャップ萌え。「がんばれ、ももんさま」と急に乙女になってしまったイビルアイも絡んでなかなか楽しい展開でしたが、悪の組織としてやることはやっていて死屍累々なので、楽しいラブコメにはなりそうでならないんです。

【オーバーロード】【王国の漢たち(下)】【丸山くがね】【so-bin】【エンターブレイン】【WEB小説】【MMORPG】【抱き枕】【無双】【戦闘メイド】【蟲使い】【薄い胸】【蘇生魔法】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「豚は飛んでもただの豚?3」 涼木行

2014-02-27 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 高校生男子の青春小説は、これにて完結の3部作。
 長く続刊が出なかったので、2巻完結かと思っていたのだけれど、作者が病気をしていたようです。とにかく最後まで読めて良かったです。

「当たって砕けろだよ。どうせ砕けたってやり直しゃあいいんだしさ。死ぬわけじゃねえんだから」
 逢人の気持ちは周囲には筒抜けだと、野球部の上沼は笑う。まず愉しめと。

 夏休みになった。
 藤室瑞姫にとってはプールで泳がない初めての夏だ。幼なじみを誘って、昨年まで通っていたスイミングスクールへと足を伸ばす。
 一方、真宮逢人は風太郎に誘われ、同級生4人で市民プールへと出かけることになった。ケンカとボクシング以外知らなかった彼にとって、友人とどこかへ遊びに行くなど考えたこともなかった……。

 高校1年生男女の夏の物語。水のように流れにさからわず、縛られず、自然に任せ、そしたらなるようになる……かも。
 自分なんかと卑下するのはやめようと思いつつ、なかなか自分を肯定できないのも青春の形の1つかな。できれば中高生のうちに読んでおきたかった青春小説。でも、藤室姉妹が三つ子である必然性はなかった気がするよ……?

【豚は飛んでもただの豚?3】【涼木行】【白身魚】【MF文庫J】【青春×初恋×ぽんこつ】【夏休み】【夏祭り】【かき氷】【それは言わない約束でしょ】【ラジオ体操】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「夢いまだ成らず」 尾崎秀樹

2014-02-26 | 伝記・ノンフィクション
 山中峯太郎という人物についてはよく知らず、かろうじて本郷義昭という、和製ジェームス・ボンド中佐みたいなスーパーヒーローが活躍する冒険小説を書いた人……くらいの前知識だったのだけれど、その日東の剣俠児こと本郷義昭が登場するのは、全592頁の本の564頁になってからです。この人、自著の主人公以上に波瀾万丈なんです。

『少年読者は自分の夢を仮託できる主人公に強くひかれる。いや強くひかれる主人公だから自己の夢を託し得るというべきかもしれない』
 それでも、山中峯太郎はあえて少年を主人公に選ばず、それでいて少年読者の喝采を獲得したと著者は指摘する。

 幼年学校から近衛聯隊に士官候補生として配属され、そこから陸軍士官学校というエリートコースを進むはずだった峯太郎。しかし、家計の足しにしようと書いた小説が売れたことから進路がブレ始め、キリスト教に迷ったり禅に走ったりしつつもなんとか陸軍歩兵少尉として任官。さらに陸軍大学校へと進んで軍人としてのエリートコースを邁進します。
 ところが、そこで清からの留学生と親しくなり、やがて勃発するは辛亥革命。これにはせ参じて助力したいと思ったものの、軍にいては何もできないと、朝日新聞社の通信員として大陸へ。そこで、かつての友人等と共に反乱に身を投じるのだが……という、自身が冒険小説の主人公みたいな展開ですが、ここでまだ序盤です。
 孫文とのあーだこーだとか、林彪の身代わりを演じてどーのとかの末に軍から完全に切り捨てられ、食べるために作家となったけれど、少年向けの冒険小説のみではなく、婦人雑誌の家庭小説からユーモア小説、はたまた心霊小説で大ヒットを飛ばしたところで評伝は終わるのですが、ここから死没までまだ30年あるのです……。

【評伝 山中峯太郎】【夢いまだ成らず】【尾崎秀樹】【中公文庫】【敵中横断三百里】【林彪】【226事件】【東条英機】【孫文】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「インポッシブル・ハイスクール」 葛西伸哉

2014-02-25 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「信頼とかそういうのが一切なくても、女は男を顎で使うモンなんだよ」
 秋月凱は女性というものを信用していない。
 でも、誰でも権力は与えられた分だけしか持っていないのだと、ルソーも言ってます。

 秋月凱は<キャビネット>の捜査官<ヴィジランテ>だ。
 少子化対策の教育制度改革によって、ちまたにはさまざまな個性的カリキュラムの高校が乱立するようになっている。それがまともなものならいいが、光の聖戦士を養成するとか、詐欺のテクニックを教えるとか、不正やトラブルの種は尽きない。
 そこで学生による問題解決の自治組織として<キャビネット>が設立されたのだが、今回の凱に与えられた任務は恋愛教育をセールスポイントとしている清恋高校。しかし、凱には恋人がいなくて作る気もなく、恋愛がらみのイベントや場所が多いので任務遂行は難航。
 行き詰まる凱の前に現れた少女は、テンガロンハットに白いギター、白馬にまたがっていた……。

 真っ先に思い浮かんだのは超常現象を抜いたPBM『特命転攻生』。でもよく考えたら、島本和彦の『炎の転校生』の方がピンポイントかな。

【インポッシブル・ハイスクール】【葛西伸哉】【了藤誠仁】【MF文庫J】【ハイスクール・ラブ・ミッション】【公認恋人】【生徒会長】【委員長】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ルー=ガルー」 京極夏彦

2014-02-24 | その他SF(スコシフシギとかも)
「真似はいいんだ。オリジナルがあって、それをコピーしたってことなんだから。コピーは絶対にオリジナルを超えられない」
 美緒の言葉。

【ルー=ガルー】【忌避すべき狼】【京極夏彦】【徳間書店】【近未来少女武侠小説】【非合法/超法規的措置】【バイオ産業】【連続殺人】【合成肉】【アニメージュ】【キャラ】【双方向】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「さて、異世界を攻略しようか。」 おかざき登

2014-02-23 | 異世界転移・召喚
 ゲーマー高校生の志度義弥は、いつものように妹とゲームをしているうちに異世界へと飛ばされてしまう。
 妹も巻き込まれていないかと心配する義弥だが、そこで出会ったのは同じ学校に転校してきたばかりの美少女・柚比坂杏奈だった……。

 杏奈は戦闘において天才的なセンスを発揮するけれど、義弥は何をやらせても今ひとつ。でも、このゲームのような壁の中の世界においてはゲームオタクならではの発想が無双ぶりを発揮し、さまざまな難関を知恵で切り開いていくことになります。
 ゲーム嫌いで裏表のある杏奈や、大技ばかりで燃費の悪い魔法使いや大ぶりばかりで当たらない戦士とのパーティーが……って、スキルだけはあるけれど使い物にならない残念な美少女たちと戦う話が続いている気がします。残念美少女グループの再生ものというジャンルが成立するほど増えないとは思うけれど。
 イラストレイターに背景を描く気の無いのが残念。かわいいキャラ絵ではあるけれど、情報量が少ないよね。

【さて、異世界を攻略しようか。】【おかざき登】【ぺこ】【MF文庫J】【異世界なのに日常系ラブコメ】【ダンジョン攻略】【クエスト】【冒険者学園】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ソード・オラトリア」 大森藤ノ

2014-02-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 しょっぱなの狼人ベートの印象が好ましくなく、その延長戦であまり良い印象の無かった【ロキ・ファミリア】の迷宮攻略を中心とした日常と、そこでただ己を鍛え上げ続ける【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインを描いた物語であり、外伝というか、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の主人公ベルの知らないところで何が起きていたか……という、B面ストーリー。
 普通にダンジョン攻略ものの冒険ファンタジーとして読んで面白いし、ソロプレイだった本編と集団プレイの違いを同じ作者の同じストーリーの中で比較するのも面白いです。

【ソード・オラトリア】【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝】【大森藤ノ】【はいむらきよたか】【GA文庫】【もう1つの眷属の物語】【ダンジョン攻略】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「福家警部補の挨拶」 大倉祟裕

2014-02-21 | ミステリー・推理小説
 連続ミステリードラマ『刑事コロンボ』に惚れ込んだ著者らが、そのTVプログラムに倣って警察官らしからぬ刑事を主人公に据え、手がかりや伏線を詰め込んだ倒叙形式のミステリ短編集を書きました。
 その中でも4篇めの『月の雫』は、いかにも刑事コロンボ第19話「別れのワイン」を意識してますよね。酒造りに全身全霊を賭けていた酒造家が酒を守るために殺人を犯し、酒を愛しているが故に犯行が露見するという構図が同じです。もっとも、犯人を特定する決め手になったのが、同じく第28話「祝砲の挽歌」におけるリンゴの密造酒ネタだったりするので、単純な倒叙ミステリというより、コロンボという作品のパスティーシュとして愉しんでしまいます。
 ただ、このシリーズが『信濃のコロンボ』とか『古畑任三郎』のような、同じくコロンボをパスティーシュした先行作品と違うのは、探偵役が小柄で童顔な女警部補というあたりで、いかにも今風ではあるけれど、現場に駆けつけては検問の警察官や容疑者から警察官と思われなくて一騒動というあたりのお約束はきっちり押さえてます。
 そして、あえて違いを指摘するなら、このシリーズではまだ犯人役のセレブ度が低いです。まだまだ庶民的すぎます。

【福家警部補の挨拶】【大倉祟裕】【町田暁雄】【くまおり純】【創元推理文庫】【図書館長】【元科警研主任】【女優】【酒造会社社長】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド」 五十嵐雄策

2014-02-20 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 一ノ瀬渉は偶然から、美人で性格も良く運動にも秀でている胸の大きな女子高生・城ヶ崎奈央の秘密を知ってしまった。
「あたし……ライトノベル作家になりたいの……っ!」
 彼女は作家になりたかった。それも電撃文庫で。
 彼女が過去に引きこもりになっていた時期に、電撃文庫の作品で救われたのだ。しかし、彼女の作品の出来は今ひとつ。
 渉は彼女の力になることを決意し、同居している従姉の編集者から執筆上のメソッドを入手して、2人で1つずつ課題をクリアしていくのだが……。

 時雨沢恵一の『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。』と対になって、電撃小説大賞に応募しようか迷っている少年少女の背中を押す1冊。あえていうなら、こちらが入門編で、時雨沢が初級編。中級・上級はひたすら書くことだけ、実戦のみ……なんじゃないかと思います。
 マンガの描き方は手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄などいろんな人がいろいろな本を出しているし、小説も古今東西さまざまな書き方の本があります。『すごいライトノベルが書ける本』なんてのもある。ただ、今ここで、電撃文庫が小説形式で、電撃大賞に的を絞って出してきたところに意義があるんだろうな。
 ただ、本当に電撃文庫作家入門になっているので、肝心のストーリーが引っかかります。クラスメイトの目の前で、みんなが注目する美少女が卑猥なことにも聞こえる台詞を大声で口にして、それまでつきあいがあるとも思えなかった男子と2人で姿を消し、その後もしばしば2人きりでどこかへ消えてしまって……誰も追求したり後をつけたりしなかったの? そりゃ、そういう展開になったら創作技法の話をしている暇は無いけれど、それならそんな回収する気のないネタふりしちゃダメだよ。それに「文章力とか構成力なんてものは後からでもどうにかなる」と振っておいて、いきなり書式から始めるというのも説得力がない。
 そこだけ気にしなければ、ライトノベルの書き方もわかるラブコメとして愉しめます。

【城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド】【五十嵐雄策】【翠燕】【電撃文庫】【作家を目指すキミを応援する物語】【とある魔術の禁書目録】【電撃小説大賞】【黄昏暗黒神の憂鬱】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「“世界最後の魔境”群馬県から来た少女」 日下一郎 

2014-02-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
このやっつけ仕事のガイドブックのようにも見える表紙構成がいいよね!?

 “世界最後の魔境”群馬県から聖バイオG・ドルドーネ学園に転校して来た、コヨトル・ウェウェコヨトル・ショチトルコヨトルと名乗る少女は、血まみれの大斧を背負い、毛皮だけを身にまとっていた……。

 その少女と学校の名前とどちらがあり得ないか?、というところから始まる、群馬の名物・名産・名勝旧跡・郷土の偉人が大集合して、群馬王復活の秘密をめぐっての秘宝争奪戦が繰り広げられるハチャメチャ冒険活劇ファンタジー。

「最近は『秘境グンマー』のように群馬県を面白おかしく語る風潮があるが、あれも実は政府による一種の観測気球だ」
 政府も群馬の動向には注視しているのだと、少年特殊スパイソルジャーな少年の説明。

 なにかのパロディだとあえていうなら、高垣眸? 昭和初期の冒険小説の語り口を意識した、濃厚で大仰な言い回しの物語。内容的にはテレビのバラエティー番組のコントみたいなもので、クレージーキャッツとドリフターズとSMAPとAKB48を足してミキサーにかけて、魁!男塾をふりかけたような……感じ?
 寺生まれで霊能が強いことで有名な美少女こと丁さんの、役にたたなさぶりが好きです。

【“世界最後の魔境”群馬県から来た少女】【日下一郎】【6U】【スマッシュ文庫】【群馬県協力のご当地小説】【上毛カルタ】【三波石】【富岡製糸工場】【秋蚕】【ウルトラセブン】【頭文字D】【焼きまんじゅう】【北斗の拳】【上州馬子唄】【花山公園】【D51】【利根川水系】【デンジ星人】【速水堅曹】【ケツァールコアトル】【ウェウェコヨトル】【分福茶釜】【草津温泉】【子供洋食】【ぐんまちゃん】【尾瀬国立公園】【ジャンボ春巻】【みそパン】【タルタルカツ丼】【サンデン】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「新戦艦高千穂」 平田晋策

2014-02-18 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 北極探検へと向かう帆走汽船「北斗丸」の船上には、給仕として乗り込んだ少年・小川寛の姿があった。
 北極には、まだ人類が足を踏み入れたことのない秘密境があるという。それを探し求めていた、寛少年の大祖父である小川保大尉の乗り込んだ巡洋艦「畝傍」も、祖父である小川重行大佐の「多聞丸」も、北氷洋で姿を消していた。北海の秘密を解き明かすことは小川一族の悲願でもあったのだ。
 しかし、日本より先に秘密境を手に入れようと、A国やB国は戦艦を中心にした大艦隊を送り込もうとしていた。
 危うし! 日本の探検隊!
 神業というべき日本の造船技術が生み出した、新戦艦「高千穂」は果たして間に合うのだろうか!?

 昭和初期の少年少女向け小説を、かなづかいを現代風に直し、今風のイラストをつけたらまだまだいけるんでない?……というコンセプトのパール文庫。他にも海野十三の『海底大陸』やら菊池寛訳の『小公子』とかが並んでいます。
 この『新戦艦高千穂』も男勝りのパイロットでありながら可憐な少女でもある勝山一枝をヒロインに、航空戦艦の大活躍と極地探検という魅力的なプロットです。でも、日本良い国強い国、世界に冠たる神の國♪……みたいな調子で、白人は傲慢で乱暴者、それを正して世界に平和をもたらすのは日本の使命!……という話がヒットしたらそれはそれで怖いですね。それに今となっては、「誰も行ったことの無い秘密境の存在をどうしてみんな確信してるのだろう?」とかツッコミどころも少なくなく、この際、超訳でも良かったんじゃないかと思わないでもありません。

『喧嘩をしても、なぐられるとすぐに鼻血を出して悲鳴をあげるような者は、とても勝てやしない。どんなになぐられても、それをこらえて相手をなぐりかえす者が、最後の勝利者である』
 戦艦は防御力だと言いつつ、アウトレンジから敵をたたきつぶす新戦艦。やっぱり火力じゃん。

 肝心の極地探検はというと「北極秘密境を見つけるまでの苦しみと冒険は、到底諸君には知ってもらうことは出来ないだろう」とあっさり省略。秘境探検小説というよりは、仮想戦記といったほうが近いかな。

【新戦艦高千穂】【平田晋策】【市川実希】【パール文庫】【少年向け海洋軍事国家主義小説】【平賀造船中将】【植芝武道】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「のうりん8」 白鳥士郎

2014-02-18 | 食・料理
「農業は国土の30%しか利用することができねぇ……だが林業は、残りの70%をも使うところに極意がある…」
 林業工学科の頂点を決する戦いに林太郎は臨む。

 秋の大祭に向けて四天王を中心に5つの学科が動き出すが、行く手には幾つもの難関が待ち構えていた……。

 学園祭に突入かと思ったらそこまでとてもたどり着かず、緑園祭開催までの波瀾万丈な数日間の話と相成りました。
 今回もイラストと文章のコンビネーションは調子よく、病虫害やその対策を阻む役所の壁とか独居老人層の増大などの真面目なテーマも盛り込みつつ、のりはあくまで明るく下品に。そしてトキ篇かと思ったらラオウ篇で聖帝サウザーだったという顛末。
 でも、守銭奴な金上、かわいいなー。

【のうりん】【白鳥士郎】【切符】【GA文庫】【農業高校ラブコメディー】【北斗の拳】【抱き枕】【恋愛シミュレーションゲーム】【ストーカー】【ネットアイドル】【ナシヒメシンクイ】【フェロモントラップ】【マネーの虎】【賭博黙示録カイジ】【ジェンガ】【カイヅカイブキ】【イケメン市長】【ブラック・ジャック】【BL漫画】【電子入稿】【ドラゴンボール】【独居老人】【高校生レストラン】【ハローフーズ】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「夢でも会えたら」 ルーシー・ゴードン

2014-02-17 | その他フィクション
 布団でごろごろしていて起き上がる気力もなく、手の届く範囲にある本がこれだけだったので読んでみた。軽くサラッと読めてしまって、まあ、娯楽としての読書というのは、読者の日常生活では体験できないような出来事を味わわせるというのが大きな役割の1つなのだよなあと痛感。

 仲間たちとアルプス登山をしたアマンダは、悪天候で避難した山小屋でガイドのレンゾと結ばれるが、直後にレンゾは谷底へ消えてしまう。
 だが2年後、死んだはずのレンゾが生きていたことを新聞記事で知ったアマンダは、イタリアへと向かうのだが……。

 中高生男子の読むライトノベルやコミック(あるいはゲーム)で、空から美少女が降ってこようが、いきなりかわいい義母義妹ができようが、平々凡々な主人公になぜか美少女が群がろうが、まあ、そんなことはたいしたことじゃないよね。中年オヤジが読む新聞小説やマンガで精力絶倫の男に美女が集まり仕事はいつも大成功……というのも同じ。知的好奇心を満たすのと願望を充足させるのは娯楽の二本柱です。
 ライトノベルで宇宙人や魔法使いや超能力者の美少女が主人公のもとに集まってくるように、ロマンス小説では、ギリシアの海運王、アラブの族長、IT企業のCEOってあたりが集まってきます。イタリア人も人気。SEAL隊員とかFBI捜査官というのもポイント高そうです。ハンサムで、お金や地位があって、たくましく、最初は無愛想だったり傲慢でイヤなやつに思えるけれど、実は情熱的で一途です。ツンデレってやつです。
 そうやって思うと、娯楽作品としてのベクトルは一緒ですが、男性向けの願望充足小説との大きな違いが1つあります。いや、わたしはぜんぜん読んでいないのですが……こういうロマンス作品の男性は“理想の男”なので濡れ場では避妊具を必ず使用し、それをしないシチュエーションは妊娠の伏線……勉強になるなあ……実は子煩悩というのも“理想の男”の条件の1つのようです。

【夢でも会えたら】【ルーシー・ゴードン】【ハーレクイン】【シャモニー】【ミラノ】【一発必中】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(3)」 大森藤ノ

2014-02-16 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「罪悪感なんて、結局自分が自分のことを許せるかどうかでしかないんだ」
 女神ヘスティアはリリを許さない。

 冒険者は冒険しちゃいけない。
 ウェイトレスのシルはベルにそう告げる。
 レベルはぐんぐん上がっていくけれど、中身がその成長に追いついていくのはたいへんで、そんな少年のがんばりをみんなが見守っている。
 もちろん美の女神フレイヤも……。

 巨大な地下迷宮と巨大な塔をいだき、神々でさえ何が起こるか解らない、世界で一番気まぐれな都市の物語。
 剣姫アイズと少年ベルの間にかすかな絆が生まれ、フレイア神の干渉が少年の身に降りかかりますが、ありがた迷惑の加護や迷惑千万な試練を与えるのが神様というものですな。
 そして、じいさんの洗脳は成功していたようで、無意識の天然ぶりながら着々とハーレムの基盤作りに成功しているようです。

【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3】【大森藤ノ】【ヤスダスズヒト】【GA文庫】【眷属の物語】【ミノタウロス】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「へっぽこ鬼日記」 田中莎月

2014-02-15 | 異世界転移・召喚
 自宅へ帰る途中の自販機でコーヒーを買おうとしていた藤見恭は、次の瞬間見知らぬ森の中に立っていた。
 服もいつの間にか和服になっている……と思う間もなく忍者に襲撃され、無我夢中で森の中を逃げ回る。それは自分でも驚くほどの持久力だった。
 そして時折、頭の奥から聞こえる声によって導かれた先は……。

 タダの学生が異世界に転移したら、鬼の一族の末弟になっていた……というもので、入れ替わり・身代わりの話でもありますね。
 鬼といっても普段から頭に角の生えている赤鬼とか青鬼とかではなく、いざという時に化身して戦闘モードに入る、仮面ライダー響鬼のタイプで、基本この世界には人間は存在しないのだとか。
 ビーンズ文庫ですが、レーベル関係なく最後まで面白く読めましたが、なんというか見事なまでにヒロインが出てきませんね。モブキャラ以外に女性の影なく、あとは見合い相手が存在を示唆されているだけなので、とりあえずこの巻は、見た目切れ者・中身へっぽこの剣士をめぐっての家族や主従のツンデレな会話やドM・ドSのやりとりを愉しむことになります。
 ウェブ版は「勘違い系の恋愛ファンタジー小説」だそうなので、鬼姫の登場までは見た目キュートで実はエグイことやる従者の陽太の忠義者っぷりを生暖かく見守りましょう。

【へっぽこ鬼日記】【田中莎月】【伊藤明十】【角川ビーンズ文庫】【ネット発・ブッ飛びバトルコメディ】【土地神】【見合い話】【トラップ一家】【アルファポリス】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする