付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「極めて傲慢たる悪役貴族の所業3」 黒雪ゆきは

2024-06-29 | 異世界転生

「俺は、俺が最強であることを疑ったことなどない。だが、強者が常に勝者となり得るかは……分からない。弱者が強者を喰らう。それは往々にして起こることだ。弱者が付け入る僅かな隙を埋める作業。それこそが『努力』であると俺は思う」
 ルーク・ウィザリア・ギルバートは傲慢ではあるが、油断はしないし、努力も怠らない。

 これがバタフライ効果なのかとルークは理解した。
 何処まで連鎖していくのか、才能に溺れて努力しなかった者が努力をし始めたことによる影響で、ルークの知識にあったストーリーは狂っていく。彼が氷竜を従えたことでミレスティア王国の勢力争いは貴族派に大きく傾き、学園の序列1位のエレオノーラは性癖がねじれ回って病み始め、婚約者アリスは寝取られ属性に目覚め始めていく。
 王国を狙うミュラ神聖国は新たな手を打ち始め、イスプリート大森林に拠点を持ち、エルフによる独立国家樹立を目論むテロ組織「ヴリトラ」はルークの解析能力に恐怖した。
 そんな中、冒険者として密かにグレン帝国に潜入するはずだったルーク、気がつけば使節団の一員としてへと赴くことになっていた。これすべて主人公アベルの仕業であった……。

 ルークがあくまで「極めて傲慢たる悪役貴族」スタイルを徹底しているのに、努力を怠らず、手駒を増やして油断も隙もないため、しっかり主人公ムーヴが揺るぎません。体格がもう倍もあったらラオウになれたかも。
 悪役が変にイイヒトになったりすることなく、真面目にしっかり野望を突き詰めていく傍ら、彼の周囲のヒロインたちの闇堕ちぶりが酷いとか、気の毒ではなく、草生えるあたりがギャップで笑いになります。だってそれで頭を抱えるのがルークだけなので。あと本来の主役であるアベルも別に意味でおかしくなりつつありませんか?

【極めて傲慢たる悪役貴族の所業3】【黒雪ゆきは】【魚デニム】【角川スニーカー文庫】【悪役転生の金字塔】【ハーメルン】【カクヨム】【ドM】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「公爵家の三男が征く己の正道譚Ⅱ」 虚妄公

2024-06-20 | 異世界転生
「この世で勝者の言い分ほど正しいものはねえからな」
 敗者が何を言おうとなんの道理も価値も生まれないと。

 公爵家の三男、アーノルド・ダンケルノはワイルボード侯爵の娘によって侮辱された。奉公に送り込まれてきたものの、アーノルドの母親が娼婦あがりということから自分以下の存在と、彼の指示に従わずあざ笑ったのだ。だからアーノルドは首をはねた。
 相手が平民であれば問答無用で死罪だが、貴族の娘であればまだ他の方法もありそうなものだが、こと公爵家においては許されない。三人の子供が後継者争いで競い合っている現状、舐められたら殺す以外の選択肢はないのだ。そして、子供の不始末は親の責任と戦争が始まる。
 執事クレマンとコルドーととも領に進軍を開始したアーノルドは、フォグルの森を突き進んでいくのだが……。

 まるで鎌倉武士のような公爵家。
 加筆したり少し削ってみたりとした結果、720ページ超で第一章「幼少期」は完結です。胸糞悪い前世編はやや増量。もうちょい削れた気がするくらい厚めで、片手で持っていると腱鞘炎になります。

【公爵家の三男が征く己の正道譚2】【虚妄公】【真空】【エンターブレイン(ファミ通文庫)】【成り上がり逆転無双ファンタジー】【公爵家の三男に転生したので今度こそ間違えない〜黯然の愚者が征く己の正道譚〜】【カクヨム】【小説家になろう】【傀儡士】【エルフ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「無職転生~蛇足篇~2」 理不尽な孫の手

2024-06-16 | 異世界転生
 ルーデウスとザノバは試行錯誤の繰り返しの末、やっと満足のいく自律人形(オートマタ)完成させるところにまでこぎ着けていた。狂龍王カオスの手記を参考に、甲龍王ベルギウスから魔法陣と精霊召喚の教えを受け、龍神オルステッドには材料到達に助力してもらった。
 ただ、あまりに出来が良すぎた。定期的に長い眠りについているナナホシこと七星静香の存在をこの世に刻み続けるため、彼女をモデルにする事は本人も了承していた事だが、興に乗りすぎ、胸部には乳首をつけ、股間部は実用に耐えうる造形にしてしまったのだ。
 これはさすがに妻たちに怒られそうと正気に返ったルーデウスだが、その直後にオートマタがいなくなってしまった。逃亡したのだ……。

 物語そのものはルーデウスの生涯からヒトガミとの対決まで含めて26巻できれいに完結しているのだけれど、ビヘイリル王国での決戦から後の彼と彼を取り巻く人々のその後を描く蛇足編の2です。ルーデウスの子どもたちに自分と彼が殺し合った顛末を講談調に語る北神カールマン三世とか、祖母との和解とか、本編の余韻に浸りながら新しい物語を垣間見ます。ルーデウスの下っ端、三下ぶりに磨きがかかってます。
 自律人形ナナホシの逃走劇『オートマタを作ろう!』、家族全員がそろう今のうちに思い出を作ろうとミリス神聖国へ旅行し、実家のラトレイア家を訪問して半ば喧嘩別れした祖母クレアと再会する『ミリス旅行記』、未来のヒトガミとの戦いの布石のため狂剣王エリスと剣の聖地に向かうはずが上司の龍神オルステッドや北神カールマン三世が加わって殴り込み同然になってしまう『剣の聖地に住まう神』、そしてルーデウスの子供たちの日常譚『グレイラットの子供たち』の4編。ただ、『ミリス旅行記』の終盤はタルハンドが炭鉱族の里に帰還する別ストーリーなので、実質5編かも。
 しかし、長編の大河ラノベの主人公で、曲がりなりにも妻を3人迎えて子宝に恵まれながらも、独立独歩で頂点に立っていないキャラは珍しいかもしれません。ルーデウスは魔力量こそ多いし、魔術でも武術でもなんでもできるけど器用貧乏。一流かもしれないけれど結局トップにはなれません。つまり、敵はみんな最後まで彼より強いのです。
 でも、そんな彼がなりふり構わず家族のために戦い働く姿こそ「無職転生」のあるべき姿です。人を信じられなくなり、好意をはねのけ、家族すら拒絶して引きこもった男が、最後は家族に拒絶されて無職のまま死ぬところから始まる物語。その前世を反省し、家族を大切に、人と人の絆を大事にして生きていく様こそが主題です。だから、他の作品のように俺ツエーで無双して、誰にも従わず自分の思うままに生きていく……なんて展開にはなりませんが、そこがイイ!のです。上司にへいこらしつつ、命じられるままに仕事であちこち飛び回るのも、つまりは家族のため。家族のためならなんでもする男の物語でした。

【無職転生~蛇足篇~2】【オートマタ!を作ろう!】【ミリス旅行記】【剣の聖地に住まう神】【グレイラットの子供たち】【理不尽な孫の手】【シロタカ】【MFブックス】【人生やり直し型転生ファンタジー】【ロボット三原則】【家族風呂】【アンパンマン】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「小さな妖精に転生しました1」 fe

2024-06-13 | 異世界転生
「ま、いっか」
 自分が何者なのか、何者だったのか、ここはどこなのか、なにも分からないけれど、小さな妖精さんは気にしない。

 どうも前世は人間だった気がするけれど、自分の名前も覚えていない状況で小さな妖精に転生していた。
 森の中から出てきて、野盗に襲われている王女の馬車を助けた事から《王都》にたどり着き、最終的には王宮に棲み着いてしまうのだが、言葉も通じないので王女やら侍女たちが何を言っているかも理解できないけど、そこは適当で。とりあえずエラそうな人には媚びを売り、王宮の内外から王都まで観光して愉しく遊び歩くのだが、お城も街も大騒ぎ。
 この王国は隣国の帝国に狙われていて、破壊工作は仕掛けられているし、物流は滞るし、干ばつが続いて飢饉が予想されていたのだけれど、妖精が飛び回ればそれだけで周囲の人たちの怪我や病が癒やされるし、雨は降り出すし……。

 小さな妖精には前世の記憶もないし、言葉も分からないので周りの人が何を言っているか分からないけれど、ポジティヴシンキングで適当に日々愉しく遊び回っているだけなのだけれど、それが回り回って良い人は報われ、悪い人には報いがある物語。
 疲れている夜に、軽く呼んで愉しく寝るための1冊。

【小さな妖精に転生しました1~好き勝手に過ごしていたら色々問題が解決していたようです~】【fe】【riritto】【アース・スターノベル】【超ポジティブ思考の妖精さんがおくる、無自覚救国ファンタジー】【下水道】【大浴場】【冒険者ギルド】【聖剣】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「元英雄パーティの荷物持ちおっさん、転生して現世ダンジョンを無双する」 とーわ

2024-06-10 | 異世界転生
「自分の人生の主役はいつだって自分だけ。そうじゃなきゃ面白くないでしょう」
 かつての仲間、アンゼリカの言葉。

 各地にダンジョンが出現している日本に作られた探索者学校に入学してきた新入生、藤原司には異世界で荷物持ちとして迷宮に潜っていた前世があった。今期も探索者として目覚めた職業は『荷物持ち』で、最低ランクのE評価で入学早々に周囲から蔑まされる存在に。
 しかし、前世で仲間を守って死んだ藤原には、女神から荷物持ちにふさわしい2つのスキルが与えられていた……。

 異世界でバチバチにやりきった現代日本から来た勇者が、なぜかダンジョンが出現している日本にスキルや高スキルを持ったまま帰還する……という話は多いのだけれど、これは異世界で荷物持ちをしていた男が、なぜかダンジョンが出現している現代日本に余分なスキルを与えられて帰還する話。通常の異世界転生の逆パターン。

【元英雄パーティの荷物持ちおっさん、転生して現世ダンジョンを無双する~二回目の人生は『荷物持ち』を極めて学園ランキングを駆け上がる~】【とーわ】【オウカ】【電撃の新文芸】【『荷物持ち』だった彼は、二度目の人生で“所持限界なし”の最強となる!】【爽快ダンジョン攻略ファンタジー】【小説家になろう】【カクヨム】【学生寮】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「化物嬢ソフィのサロン2」 紺染幸

2024-06-08 | 異世界転生
「殿方のサプライズで喜ばれるのは、高齢になってからのピンピンコロリだけですのよ」
 ソフィは門番のクロロ・ロム・ムクロの選択に怒る。

 原因不明の奇病によって全身の肌が醜くただれているソフィは、ささやかに皮1枚分だけを癒やす力を使って予約制のサロンを開いている。自分の顔のただれは治せなくても、困っている人の火傷痕を癒やしたり、刺青を消したりするくらいはできるのだ。
 そんな彼女のもとにこまめに顔を出すのは癒やしのエリート、三級癒師のオズボーン。だが、その日彼が訪れた理由はしばしの別れを告げるため。ドラゴン討伐のため、支援職のリーダーとして最前線に赴くというのだ。オズボーンはソフィに大事な認識票の片方を預けていく。もし、彼が死んでしまった場合、遺族恩給を受ける資格を証するものなのだが、普通なら配偶者か家族、せめて婚約者にしか渡さないであろうものだった。
 しかし、オズボーンは帰還予定を過ぎ、1ヶ月経っても2ヶ月経っても戻ってこなかった……。

 『化物嬢ソフィのサロン』2巻で完結です。ハッピーエンドです。続編の余地はありますが、もう嬢ではありません。紆余曲折ありながら、最後は今までの登場人物のほとんどが顔見せしての大団円。さまざまな人々の人生を優しく見守り癒やし続けてこそのフィナーレでした。未読の人も安心して読んでください。
 話も面白いですが、イラストも良い仕事をしていました。この話が書籍化すると聞いたとき、ヒロインをイラストにできるのか?!と心配しました。醜く膿ただれたヒロインの顔を表紙にできるのか、描けたとして物語のイメージを損なわないのか、そもそもヒロインを絵にするのだろうか……。
 でも、この作品は、醜くなったヒロインの顔をちゃんと描きながら、木漏れ日とか光のグラデーションとも見える処理で、逃げずに描いて、かつ優しいイメージを伝えてくれました。人々が厭う傷や痕に正面から向き合いつつ癒していく本編をまさに象徴するイラストだったと思います。
 総評としては、オズボーンのダサさとそれを意に介さぬメンタルの強さに脱帽です。

【化物嬢ソフィのサロン2~ごきげんよう。皮一枚なら治せますわ~】【紺染幸】【ハレのちハレタ】【MAG Garden NOVELS】【ぽかぽかハートフルファンタジー】【小説家になろう】【この戦争が終わったら俺結婚するんだ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ゲーム世界転生〈ダン活〉09」 ニシキギ・カエデ

2024-06-04 | 異世界転生
「もちろん、良い意味でだよ?」
 1年生トップギルドとなった〈エデン〉だが、その実態を知ったみんなは素晴らしいと褒めてくれるのだが、なぜか最後にひとこと付け加えるのだ。

 〈エデン〉は支援課の生徒を中心としたサブギルド〈アークアルカディア〉を立ち上げて、人員を充実させると徹底的に育成を開始した。1年生ばかり、まだ入学して3ヶ月そこそこの〈エデン〉だったが、早くもDランク昇格をかけた試験に挑むこととなったのだ。
 対戦相手のDランクギルド、〈花の閃華〉は女子のみで構成されたギルドだったが……。

 Dランク昇格試験から始まりますが、それくらいでは勢いは止まりません。そして〈エデン〉だけではなく、他の生徒や教師に対しても育成の指導や攻略のヒントを与えることに(ネタバレでがっかりさせない程度に)積極的です。特別講義も盛況。こういう、俺たちはどんどん前に行くけど、おまえらも追い抜くつもりで付いてこいよという姿勢が青春ものです。
 そしてメンバーも今回でどかんと増えました。ますます登場人物紹介が充実していくことでしょう。
 もしかしたら、アイドルグループものと物語の構成は似ているかも知れません。1つの目標に向けて集まった少年少女ですが、それぞれの個性は違います。それぞれグループに分かれながらも互いに切磋琢磨していくことになります。アイドルものよりはメンバーの組み替えは多そうですが。

【ゲーム世界転生〈ダン活〉09〜ゲーマーは【ダンジョン就活のススメ】を〈はじめから〉プレイする〜 】【ニシキギ・カエデ】【朱里】【TOブックス】【ダンジョン攻略ファンタジー】【小説家になろう】【カクヨム】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「剣と魔法と学歴社会3」 西浦真魚

2024-06-03 | 異世界転生
 アレンが久しぶりに王都の子爵邸へ帰って姉ローゼリアの怒りを叩きつけられたり友人たちとBBQを愉しんでいた頃、王国の貴族たちは他ならぬアレンの動向に揺れ動いていた。
 田舎から出てきた下級貴族ロヴェーヌ家の末っ子が王立学園にAクラス合格、創部1ヶ月で部員数が100名を超える大組織を立ち上げるなど指導力を発揮。かと思えば探索者協会では副会長を手玉にとり、王国騎士団に入団して軍団長に弟子入りしたなど真偽の怪しい噂が乱れ飛んでいるのだ。
 この12歳にしてユグリア王国で頭角を現したアレンをめぐって、王国中の情報機関がアレは何者だと右往左往している中、ドラグーン侯爵の影響下にある貴族が集っての定期総会が開催された。父親であるロヴェーヌ子爵に注目が集まるのは当然の流れであったが、もとより連絡も取れていない息子のことを聞かれても、研究者気質の父親には何も答えられないのだ……。

 脳筋少年に前世ガリ勉が融合して誕生した、フリーダム問題児の学園冒険譚。今回は気に食わない相手は片っ端からぶん殴って粉砕する戦闘能力極大にして生活能力皆無の天才的魔道具士のローゼリア登場から、貴族派閥の総会でロヴェーヌ夫妻の評価、夏休みの採取旅行から海辺の街で食べ歩きからの命がけ帆船競争まで。このあたりからダンの見せ場が増えていきます。
 アレンのやりたい放題はますます加速。無自覚に色々歴史の転機を生み出しながら、新たな目標を見つけ出します。

【剣と魔法と学歴社会3~前世はガリ勉だった俺が、今世は風任せで自由に生きたい~】【西浦真魚】【まろ】【カドカワブックス】【小説家になろう】【カクヨム】【謙虚・堅実】【ベルヌーイの定理】【湯治】【シャチ退治】【炊き出し】【わさび】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「クズレス・オブリージュ2」 アバタロー

2024-05-29 | 異世界転生
 18禁ゲームのクズ悪役に転生したウルトスだが、破滅エンド回避に原作主人公のジークと仲良くしようとあの手この手のアプローチをするのだが、ことごとく失敗してしまう。そもそもウルトスはジークが男だと思い込んでいるが、ゲームは開始時に主人公を男女セレクトできるのを忘れているのだ。もちろん周囲がジークのことを娘とか言っても聞き流しているし、スカートをはいていても女装趣味としか思っていないのだ。
 そんなウルトスが好感度UPを狙って一緒にお風呂に入ろうと突入しても……やっぱり気がついていなかった……。

 帝国と王国の外交の場に放り込まれたと思ったら、最強の死霊魔法使いエルドが王都強襲する2巻。
 周囲から主人公への評価が勘違い的に高い一方、本人や周囲の人間への主人公の評価が不当に低すぎ、しかもあからさまなヒントに気がつかない弩級鈍感系主人公の冒険譚。この鈍感さにはそろそろ腹が立ってきましたね。なのに、それぞれの勘違いが一周回って主人公の高評価につながっていきます。

【クズレス・オブリージュ2~18禁ゲー世界のクズ悪役に転生してしまった俺は、原作知識の力でどうしてもモブ人生をつかみ取りたい】【アバタロー】【kodamazon】【角川スニーカー文庫】【最強悪役転生×勘違いコメディの錯綜成り上がり譚】【最強無双×悪役転生×勘違い】【カクヨム】【モブ人生】【友情フルコンボ】【バニースーツ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「異世界王朝物語1」 横山ひろと

2024-05-27 | 異世界転生
 日本の大学生ヒロはトラックにはねられそうになった子供を助けようとして死んでしまい、無駄な努力ではあったが少しは報いてやろうと異世界に転生することになった。しかし、臨死体験をしたせいで「幽霊が見える、会話ができる」体質となり、そんな人間は死霊術師(ネクロマンサー)と呼ばれるらしい。
 そんなヒロは浄霊師(エクソシスト)フィリアに監視されながらギュンメル地方の田舎、クマロイ村から新都へと向かうことになるのだが、道中で同じく除霊を生業とする説法師(モンク)の千早と出会う……。

 コミカライズのみなのでコミックを購入。
 正直、面白いけど、人に勧めるのが難しい作品です。そもそもスロースターター。1巻だけだと王朝の「お」の字も出てきませんものね。いかにも典型的なファンタジーっぽい異世界に転生して、異能スキルを手に入れた主人公がツンデレっぽいヒロインと出会い、旅をしながら大きな街の学園を目指す……まででたぶんこのペースなら3冊か4冊。そして、学園で事件とか解決しながら学友たちとの交流を続けていくうちに北族との大戦争に巻き込まれます。死屍累々の争いが終わって学園も卒業となり、男爵に任じられて西の王都へ向かってから、やっと「王朝」っぽい展開になります。コミックでいくと20巻くらいで王都到着かな。そのあたりから、また雰囲気が変わります。
 都のありようが西洋ファンタジー風から東洋、むしろ王都は左京と右京に別れていてとか、正四位下の式部卿宮が立花典侍の元へ通っているとか平安京っぽくなります。特に恋愛やつきあいで歌を読めないとダメというあたり。武功だけでも知謀だけでもダメで、雅さが足りない……とか言われる主人公の活躍に乞うご期待!(コミック換算で何十巻になるんだろう?)

【異世界王朝物語~転生したらネクロマンサー扱いされているわけだがそれも悪くないかと思い始めた~1】【渡辺進】【横山ひろと】【文藝春秋】【小説家になろう
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「モブだけど最強を目指します!1」 反面教師

2024-05-26 | 異世界転生
『けど、足を止めちゃいけない。自分だけが特別であるはずがない。いつかは負けるし、いつかは越えられる。
 そこで諦めずに歩み続ける奴が最後には強いのだ』


 R18ながら高い難易度を誇り、アクション好きもRPG好きもギャルゲ好きもエロゲ好きも沼へ叩き込んだ恋愛アクションRPG〈ラブリーソーサラー〉。略してラブソー。攻略サイトを自ら運営するほどハマった男が、このラブソー世界に名前も聞いたことがないモブ貴族に転生してしまった。しかし、モブといっても公爵子息。さらにヘルメス・フォン・ルナセリアは最強が視野に入る〈全属性適正〉持ちだった。
 転生させてもらえるほどの何かをした覚えはないけれど、ゲーマーとしての血が燃え上がり、細かいことは気にしないことにした。このヘルメスを最強キャラにしてみようじゃないか……。

 アルテミスとダンジョンに挑み、誘拐されそうになったミネルヴァを助け、苛められているセラに手を差し伸べ、そしてフレイヤが指導を求めてきて……と、着実にヒロインたちとのフラグを立ててますね。
 目立たぬはずのモブキャラが、いつの間にか学園で注目の的になってゲームのヒロイン達まで集まってきて大混乱する一方、本来ならヒロインたちと積極的に関わりながら鍛錬に励んでいるはずの主人公がなぜか目立たず……という1巻。ウェブ版とは大筋そのままであれこれ文章が書き直されていたり、構成が変わっていたり。

【モブだけど最強を目指します!~ゲーム世界に転生した俺は自由に強さを追い求める~1】【反面教師】【大熊猫介】【MFブックス】【極めたゲーマーの最強キャラ育成譚】【カクヨム】【壁ドン】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バスタード・ソードマン3」 ジェームズ・リッチマン

2024-05-22 | 異世界転生
「耳の長いファンタジー定番のエルフもいるっちゃいるけど、別に寿命長くないし……人間より20年?くらい長いそうだけど……なんか食生活とかそこらへんで生まれてる誤差って感じがするんだよな……」
 ドワーフは女性の設定以外おおむね共通概念ができあがっているのに、エルフに関しては意外と作品毎にばらつきがあります。

 春になればライナと2人きりで一泊二日の春キャンプ。でも不思議と色っぽい雰囲気にはならないのだ。
 弓の練習かたがたウルリカとも仕事でキャンプしたりするのだけれど、ライナとだって何も起こらなかったのだから、ウルリカで何か起きるはずもないのだ。つい後ろ姿に見とれてしまったけれど……。

 春キャンプから墓参りまでの、モングレルの日々つれづれ異世界スローライフ譚。
 モングレルはスラストがすごくカッコいいので、これなら普通にモテてもおかしくないよね。

【バスタード・ソードマン3】【ジェームズ・リッチマン】【マツセダイチ】【エンターブレイン】【カドカワの新文芸】【中途半端な適当男の、あまり冒険しない冒険譚】【ハーメルン】【小説家になろう】【猥談バトル】【タンポポコーヒー】【コーンパイプ】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「悪役令嬢はしゃべりません1」 由畝啓

2024-05-21 | 異世界転生
「国を守り民を生かすためには、犠牲を出すみとを厭うてはならぬ。独りを助けるために他を犠牲にするのではなく、一人を犠牲にしても数多を救うのが国王が使命」
 病床にあって余命幾ばくもない国王ホレイシオが王太子に伝えられるのはこの言葉だけ。先王が最後の最後まで自分で采配を振るい、王太子にも期待していなかったため、王家の極秘情報が何も伝えられていなかったのだ。

 宰相の娘、リリアナ・アレクサンドラ・クラークは、6歳の時に流行り病に罹った。しかし、高熱から回復した時、リリアナは前世の記憶を取り戻し、代わりに声を失っていた。
 彼女は王太子の婚約者候補になっているけれど、声が出なくては婚約者候補から外されるのは必然。これから学ぶはずの魔法も唱えることはできなかろう。そして彼女は前世でやった乙女ゲームの悪役令嬢。どのルートを進んでも待ち受けるのは身の破滅だけだった……。

 乙女ゲームの悪役令嬢バッドエンド回避のために、チートなスキルや知恵を駆使して最強が暗躍無双する話。
 リリアナが正体を隠して大暴れしている頃、王太子たちは誰が敵か味方か分からず一歩ずつ手探りで動き出していますが、誰が敵か味方かわからないのもリリアナも同じ。父親だって直接に嫌ったり虐待はしていないけれど、リリアナの病気だか呪いをなんとかしようとはしていないし、むしろ婚約者候補から外したがって王家と綱引きしている始末。わかりやすいのは明らかに殺しにかかって来ている義母だけど、とにかく父親の政敵が多いので暗殺者入れ食い状態です。
 悪役令嬢もので、ロマンスよりは権謀術数が乱れ飛ぶ国内の勢力争いとかバトルとかがメインかな。個人の悪巧みとかのレベルではなく、国の内外にさまざまな勢力が張り巡らせた罠や陰謀に、誰も信用できないのでただ同年代の友人1人を支えに挑む王太子と、積極的にはかかわらないけど行く手に立ち塞がるものは力任せに蹂躙していくヒロインの二極で話が進みます。

【悪役令嬢はしゃべりません~1.覚醒した天才少女と失われたはずの駒】【由畝啓】【ミユキルリア】【オーバーラップ文庫】【異世界転生×暗躍バトルファンタジー】【ヴァスティータス英雄譚】【小説家になろう】【無詠唱魔術】【スタンピード】【人身売買組織】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「私の心はおじさんである2」 嶋野夕陽

2024-05-06 | 異世界転生
「ハルカさん、若々しくいるコツはね、自分に素直になることと、子供心を忘れないことだと、私は思うね」
 実はレジオン国の重鎮らしい商人、コーディは開き直った。

 商隊の護衛を引き受けたハルカたちは、途中立ち寄った村が何者かによって壊滅させられているのを発見。誰かに隠されるように生き残っていた、唯一の生き残りである謎の赤ん坊ユーリを連れてオラクル教の総本山、神聖国レジオンにまで辿り着いたのだが、その街の学生たちの間では「ダークエルフは破壊の神の使徒」ということになっていた……。

 気がついたらダークエルフの美人になっていた元おじさんは、美女になっても気弱な引っ込み思案は治らず。男に興味はないけど女性に囲まれても居心地の悪い思いをしてます。そもそも人間関係を巧く構築できないのです、なので、コリンたちにぐいぐい引っ張ってくれる仲間たちはありがたいですね。
 そんな仲間たちと今回も商隊とか貴族のボンクラ息子の護衛とかちまちま冒険者仕事してますが、ちまちま……といいつつ、何者かによって滅ぼされた村から生き残りの赤ん坊を助け出したり、破壊神の使徒とか言われて少年少女に襲われたり、武闘祭に参加する仲間と物見遊山したりとなかなか波瀾万丈になってしまいます。そういうちょっとしたイベントが大きく転がっていく展開はまさに王道。縁に縁がつながって、狭かったおじさんの世界が少しずつ広がっていきます。
 イラストもツボを押さえた良いイラストで安心。次巻はキャラ紹介が欲しいですね。

【私の心はおじさんである2】【嶋野夕陽】【NAJI 柳田】【PASH!ブックス】【歪だけど王道な冒険の物語】【小説家になろう】【カクヨム】【TS転生】【武闘祭】【加齢臭】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「不遇皇子は天才錬金術師3」 うめー

2024-05-05 | 異世界転生
「争いを起こさせるのは欲だとか名誉だ。だが争いを呼ぶのは、あからさまな隙や弱者への優位だ」
 ワゲリス将軍は捨て身や受け身のままでは争いは避けられないとアーシャに忠告する。

 今まで軟禁状態で兄弟に会うことすら難しかったアーシャ皇子に、いきなり公務で外へ行けという話が舞い込んできた。
 国境地帯にある帝国所属の村とロムルーシ側の村で紛争が起きており、それを平定してこいというのだ。辺境の村同士の争いながら、国境を挟んでの小競り合いなので、一歩間違えれば戦争にまで拡大しかねない。しかも、以前から何度も衝突が繰り返されている地域で、前回軍が派遣された時は7年ほどかかったという(そしてすぐ再燃する)。
 皇帝はアーシャを送り出すのには反対だが、皇帝の支持基盤が弱いので反対することで足をすくわれかねない。父親のために波風を立てないを第一にしているアーシャは出陣を受け入れるが、軍を指揮するワゲリス将軍とは折り合いが悪く、彼の指揮下にあるはずの部隊はサボタージュどころか反乱を起こす気満々の近衛が選抜されていた……。

 長子だけれど庶子なので、軟禁状態にあるのに我が儘とか弟たちの暗殺を謀っているとあらぬ噂を立てられている皇子に転生、魔法が便利すぎて衰退しちゃった錬金術(科学)の復権を模索しながら、自分を謀殺しようとする宮廷勢力に立ち向かっていきます。
 側近たちのみならず、事情を知らない平民のモリーたちですら「子供の不遇を放置して大事にしないなら」とうちの子にならないかと心配させちゃう状況ですが、弟たちが大切だから我慢するのです。なまじ半端になんとかしちゃうのがいかんのです。

【不遇皇子は天才錬金術師~皇帝なんて柄じゃないので弟妹を可愛がりたい〜3】【うめー】【かわく】【TOブックス】【ほのぼのブラザーズファンタジー】【小説家になろう】【火山地帯】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする