付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「はやて×ブレード(11)」 林家志弦

2009-10-29 | スポーツ・武道
「独りではなく背中を預ける仲間が居る。勝ち星が勝ち星として認められる。何より--望めばいつまででも剣を振るっていられるのだ。これ以上の冥利があるものか……!」
 全生徒の標的となった高等部3年D組、柳生真の歓喜の言葉。さすが剣の心得もないのに、剣豪への憧れだけであらゆる流派を見よう見まねで昇華させてきた少女。

【はやて×ブレード】【林家志弦】【オリエンテーリング】【レイダース】【バトルロワイヤル】
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「生徒会の一存」 葵せきな

2009-10-29 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人間って、おかしいから面白いのですわ。理解できないからこそ、人間なのですわ」
 新聞部部長、藤堂リリシアの言葉。

 私立碧陽学園の生徒会は「生徒会の仕事くらい誰でもできる」「誰でもできるならカリスマの高い=人気のある生徒にやらせればいい」という流れから、人気投票で選ばれた美少女ばかり。例外は学年トップという成績枠で参加した副会長・杉崎鍵だったが、唯一の男性である鍵は「俺は美少女ハーレムを作る!」と叫んだことから以後は最低人間の扱いに……。

 「これ、どんな話?」と読んでいる長男に訊いたら、「生徒会役員が生徒会室でダベっているだけの話」と教えられ、実際に読んだらその通りでした。伏線っぽいものもあるけれど、少なくとも1巻については説明の通り。見事なくらい。こういうのも目先が変わってたまには良いよね。理由はあるのだけれど、やたらメタフィクション的な言動をするのはどうかと思うけれど。
 でも、みんな優しいよね。青い春と書いて「青春」と読むのだけれど、なんのかのといっても青臭く春うららなポヤヤンとしたピンクな展開はまさに青春小説。自分も中学・高校と生徒会に参加したけれど、こんなに女子生徒と楽しくやっていけなかったなあ……と指をくわえたりして。

 あ、うちの子に確認したら2巻以後も基本こんな話だそうです……それはそれですごいや。

【生徒会の一存】【碧陽学園生徒会議事録】【葵せきな】【狗神煌】【富士見ファンタジア文庫】【生徒会】【日常】【怪談】【トランプ】【壁新聞】【ゆるゆる】【ギャルゲ】
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「ヘキシーの星のライオン~サターン・デッドヒート2」 グラント・キャリン

2009-10-29 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
「生きている方が、生まれてこなかったよりおもしろいことはたしかだからね」
 17%の確率で生まれた土星研究ステーション出身の天才少年ジュニア・バディルの言葉。ただ出版社のあらすじには「少年」と書いてあるけれど、1作目の初登場時点で20歳。本作では20代後半。もう青年と言って良いと思うよ?

 異星人が太陽系に残したメッセージは彼らからのプレゼント、太陽から850億キロの距離に置かれた恒星船の座標だった。その宇宙船に乗り込めば、謎に包まれた異星人ヘキシーズの母星に到達し、進歩した彼らのテクノロジーを人類のものにすることも夢ではなくなる。しかし、ヘキシーズ遠征隊の主導権を巡って地球とスペースホーム社の激しい対立が水面下で激化繰り広げられていた。
 一方、メッセージの発見と解読に大きな貢献をした考古学者クリアス・ホワイトディンプルは遠征隊への参加を希望していたが……。

 太陽系を舞台にトレジャー・ハンターものをハードSF的な考証で描いた傑作、『サターン・デッドヒート』の続篇。こちらも設定をしっかり作り込んであるという意味ではハードSFだけれども、物語としては冒険小説・探検旅行記に近い。
 ホワイティとジュニアの友情物語であり、前半は人類内部の対立をいかにホワイトディンプル教授が乗りこえて遠征隊を編成していくかというプロジェクト構築の物語。後半はヘキシーたちとの接触で彼らが隠しているものにいかに気づき解決していくかというあたりが見所になりますが、「ファースト・コンタクト」というより「カルチャー・ギャップ」を楽しむ話かもしれません。
 主人公である中年男のホワイトディンプル教授ことホワイティは考古学者。なにかと自分を卑下しがちだけれど何か緊急事態が起こったときの判断力は正確かつ迅速。何か思い立ったときの行動力も一心不乱にしてパワフル。運転免許を取得すると決めたら原動機付自転車をすっ飛ばして大型特殊をとろうとするタイプです。インディー・ジョーンズが大学の授業と発掘現場でイメージがぜんぜん違うようなものですね。
 これに対して小鬼のようだと表現される青年ジュニアは学問においては不得意分野がなく、どの分野でも一流とみなされる天才。賭け事でも負け知らず。けれども気分屋でユーモアたっぷりのひねくれもので、天才の代償として老化が急速に進む小さな肉体に押し込められています。
 この2人がコンビを組んだらどこまでもいけるし、どんな敵にも負けやしないと思わせてくれるのです。旅の果てがヘキシーの星であろうとリリパット国であろうとハリ湖だろうが月光洞だろうが、ちゃんと切り抜けて隊員全員を連れ帰ってくれるという気がします。
 忙しくても、手に取ったらつい最後まで読み直してしまう1冊です。

【ヘキシーの星のライオン】【サターン・デッドヒート2】【グラント・キャリン】【ファースト・コンタクト】【ジョーク】【六進数】【冗談劇】【陶磁器】【飾り時計】【システム・エンジニア】
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