付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「砂のなかの扉」 ロジャー・ゼラズニイ

2023-04-30 | ファーストコンタクト
 大学側とフレッド・キャシディの戦いは今回もフレッドの勝利に終わった。なんとしてでも彼を卒業させたいとあの手この手で来る大学だが、フレッドは膨大なカリキュラムの網をかいくぐり、学部と専攻の変更を続けることで単位を取り続けても卒業しないことに成功していた。彼は大学に在学している限り、叔父からの膨大な奨学金が給付され続けるのだ。
 ところでその頃、地球は銀河文明と接触しており、徐々に交流が始まりつつあったが問題は山積み。いろいろ火種を抱えているところに、友好のために贈られた貴石が行方不明になるという事件が起きる……。

 高い建物の屋根に上るのが大好きという永遠の大学生を主人公にしたドタバタアクションSF。
 ゼラズニイといえば、ギリシア神話やインド神話からクトゥルー神話まで神話を素材にした叙情的でSFとファンタジーの境界線のような話で評価が高いのだけれど、自分はこれと『燃えつきた橋』が好きかな。
 ドタバタなんだけれど時系列が入り乱れる上に、現実か妄想か分からないイマジナリーフレンドやら人語をしゃべるウォンバットとかカンガルーとか出てくるので読みづらいと言えば読みづらい。正直、コミカライズしてくれたら、そっちを読む。拍子もおしゃれな80年代SFテイストだけれど、内容的にはライトノベル的なマンガ絵の新訳で復刊してくれると嬉しい。

【砂のなかの扉】【ロジャー・ゼラズニイ】【ハヤカワ文庫SF】【モラトリアム】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする15」 流優

2023-04-29 | 異世界転生
『博愛や慈愛の心などといった、それ自体は大事なものであっても、国家を運営する上ではクソ程にも役に立たないものではなく、もっとわかりやすい目に見えた利益と、わかりやすい位置に見える拳が、互いに必要なのである』

 これからは人間も魔族も、ドワーフやエルフや獣人とも分け隔てのない社会を創りたいものだが、人の気持ちはままならない。権力欲とか名誉欲もある。
 それでも融和を目指して多種族参加の競技会開催に向けて慌ただしく突貫工事は進むのだが、それを妨害しようというテロ工作、そしてそれを利用して権力を奪い取ろうという二重三重の陰謀も見え隠れして、魔王ユキも忙しい。ただ、正直、彼がそこにいるだけで暴力的妨害のほとんどは霧散してしまうのだ……。

 皇帝になりたくなかった魔王のイベント運営。ただ、暴力で全て解決できてしまう魔王ユキと、知謀で全てを掌握している魔界王フィナルがタッグを組んでいるので、たいていのことは片が付いてしまうのです。
 そして、妻たちの出産、子供たちの学校生活と盛りだくさんの15巻。幼女たちももう幼女ではなく、少女になろうとしています。

【魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする15】【流優】【だぶ竜】【カドカワBOOKS】【トラック転生】【自由に暮らしたい魔王黙示録】【小説家になろう】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「『宇宙戦艦ヤマト』大クロニクル」 監修:松本零士

2023-04-28 | ミリタリーSF・未来戦記
 1974年に放送開始のTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を、1作目を中心にまとめたムック本。時期で言うと、西崎VS松本の権利裁判が決着仕掛け、そこでキムタクの実写版ヤマトが公開間近という2010年。
 企画当初の豊田有恒版「コスモシップ」から藤川桂介版「宇宙戦艦コスモ」、そこからの「宇宙戦艦ヤマト」への変遷も分かります。さいとうたかを風のクルー原案とかまでフォローされてたので購入。
 「宇宙戦艦ヤマト完結編」あたりまで網羅はしていますが、松本零士不参加の復活編は入っておらず、8割は1作目の企画から完成までのプロセスを緻密に語っていくという、「松本零士が参加したからこの形になったんだ」と暗にアピールしている形の資料集。
 好きだったのは「さらば」までなので、この構成に何の不満もなし。ただ、このタイミングでこんなムックを出して良かったのかという不安はあります。もう詮無きことですが。
 
【『宇宙戦艦ヤマト』大クロニクル】【松本零士】【グライドメディア】【伊藤秀明】【ヤマト松本メモ】【松本零士氏インタビュー】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「田中家、転生する。5」 猪口

2023-04-27 | 異世界転生
 皇国に蔓延るオワタを一掃した田中家は、皇国が贈ろうという褒賞を名誉も辞退して慌ただしく帰国することに。彼らはやらかすことは派手だけれど、内心は根っからの小市民なので、とにかく目立ちたくないのだ。
 ところが王国に戻ってみれば、学園は聖女に沸いていた。みんながエマを聖女と讃えていたけれど、いつの間にか出現した令嬢を教会が正式な聖女と認定したのだ。もともと目立ちたくないエマは、自分が聖女でないのは当たり前と落ちついたものだったが、その聖女を目撃した途端に倒れてしまうし、他の兄弟たちも驚愕してしまう。
 その聖女とやらの姿は、転生前のエマそっくりだったのだ。そんな若くもない女を聖女と讃えるとは何が起こっているのか……?

 ウェブではそこそこあるけど書籍化は少ないのが「家族そろって異世界もの」。『スイスのロビンソン』とかいいよね。『田中家、転生する。』も一家そろって転生し、そろって覚醒し、小市民的な大貴族ファミリーの「毎回派手なことをやらかしているのに、当人たちは目立つのが嫌いで地味に生きようとしている」のが面白いのだ。好き勝手やってそうなのに、いざとなったときの家族の手を振り上げての一致団結ぶりとか最高。
 あと、毎回名場面を的確にイラスト化しているのに、なぜか(当然のように)あの「絶対に検索してはいけない」虫だけは絵にならないんですよ。大活躍してるのに……。

【田中家、転生する。5】【猪口】【kaworu】【ドラゴンノベルス】【転生一家の異世界奮闘記】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「異世界転移、地雷付き。8」 いつきみずほ

2023-04-26 | 異世界転移・召喚
「結婚なんて打算です。若い人にはそれが解らんとです」
 結婚して課せられる義務を「好き」だけでなんとかできるとは、ユキは思っていないのだ。

 拠点に戻ったナオたちだが、子供たちの手前ゆっくり休んでもいられない。そのメアリとミーティアの姉妹が自分たちも冒険者になりたいと言い始めた。面倒をみられるだけでなく、自分たちも働きたいということになったら、それが一番の早道なのだ。
 冒険者を続けるかどうかは別として、ステータスを上げておくのは悪くないと経験を積ませる場所を検討したナオたちは、結局、あの避暑のダンジョンがいちばん効率が良かろうという結論に至ったのだが……。

 階層ごとに環境が変化する摩訶不思議なダンジョン攻略譚。獣人の姉妹の(そこそこ)大活躍です。
 番外編の「翡翠の翼」篇では、別の街で生き残ってそれなりに生活基盤を築いている女性チーム、〈オーク・イーター〉〈小さな処刑人〉〈深紅の抹消人〉の3人にも動きがありました。続きが楽しみですね。

【異世界転移、地雷付き。8】【いつきみずほ】【猫猫猫】【ドラゴンノベルス】【ほのぼの開拓スローライフ】【カクヨム】【小説家になろう】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「幽落町おばけ駄菓子屋」 蒼月海里

2023-04-25 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「迷うなら行動しなさい。逃げれば君が知るはずだった真実を一つ、喪うことになる」
 亡くなった彼方の祖父の言葉。

 大学進学して独り暮らしを始めることになった御城彼方が紹介された物件は、有楽町という一等地にあって月4万円という格安家賃。ちょっと疑いながらも間取りも知らずに案内の不動産屋に連れて行かれた先は、池袋から徒歩至近、有楽町ならぬ幽落町だった。傘おばけや一つ目小僧が闊歩する常世の世界、浮世と隣り合わせの境界にあるアパートの大家は「水無月堂」の看板が掛かった駄菓子屋の店主、女性かと見間違える美貌の若い男性、水脈だった。
 彼は不動産屋のまねをして彼方を連れてきた猫目を叱りつつも、1年だけでも住んで欲しいと頼むのだが……。

 妖怪が跋扈し幽霊がさまよう町の古いアパートに下宿することになった大学生が、未練を残して狭間をさまよう死者の悩みを解決することになる幽霊小説。
 三男がお薦めで持ち込んできた本。まだ積ん読の山は高いのに。

【幽落町おばけ駄菓子屋】【蒼月海里】【六七質】【角川ホラー文庫】【ほっこり懐かしい謎とき物語】【東京都狭間区幽落町】【豆腐小僧】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた6」 七斗七

2023-04-24 | アイドル・声優・芸能
「やはり人はなんだかんだ誰かとのつながりを感じたときに幸せを感じる生き物だと思う」
 だからシュワちゃんはリスナーとの雑談配信が楽しい。

 最底辺ライバーの定評は定まったけれど、心音淡雪ことシュワちゃんのV活動は順調だ。背徳の都と化したワルクラ配信をしたり、一般常識テストをコラボでしてみたり。
 ところが、そんな淡雪にコラボ企画が持ち込まれた。VTuber黎明期からの人気チューバーにしてV業界の重鎮である星乃マナの卒業配信で「最後に会いたい人たち」というコーナーに呼ばれてしまったのだ。
「おかしいでしょ? なんで感動的な卒業配信に初対面の私呼ぼうとしてるの!?」
 何を考えているのだ、星乃マナ……。

 今までほとんど語られていなかったシュワちゃんのリアル事情に言及されての、「これが最終巻でもいいんじゃない?」というクライマックスに続きます。でも、まだまだ続くんですよ。

【VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた6】【七斗七】【塩かずのこ】【ファンタジア文庫】【衝撃のVTuberコメディ】【ななとなな】【ハーメルン】【カクヨム】【カバディ】【通常攻撃が精神攻撃で2回攻撃のお母さん】【バブリエル】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「貧乏騎士に嫁入りしたはずが!2」 宮前葵

2023-04-23 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 貧乏騎士に嫁入りした田舎育ちの野人令嬢で終わるはずが、3人いた王子が戦死病死と相次いだことから一臣下として育てられていた庶子のセルミアーネにまでお鉢が回ってきて、妻であるラルフシーヌも当然皇室入りすることに。あんな娘に皇族は務まらないと、侯爵家は大騒ぎで付け焼き刃のマナー講習からフォロー役の侍女の選出やらなんやら大わらわなのだが、なってしまえば野生育ちで腹の据わったラルフシーヌは社交や外交を思わぬ形で切り抜けていくのだが……。

 田舎育ちの暴れん坊令嬢が皇太子妃、のちには皇妃としてまっすぐな心で立ち塞がる困難を正面から打ち破っていく痛快冒険譚。周辺諸国の帝国編入から侵略戦争までエピソードはいろいろあるけど、個人的には皇妃室立ち上げのためにスタッフを駆り集めていく人材起用のくだりがツボ。竜狩りは見せ場満点の2巻の山場だったのたけれど、こちらも1巻に引き続いてイラストにドラゴンの影も形もなし。しょんぼり。
 全2巻で引退後の老後編まで語られていて、その奔放な半世紀を堪能できるのでお薦め。

【貧乏騎士に嫁入りしたはずが!2~野人令嬢は皇太子妃になっても熊を狩りたい~】【宮前葵】【ののまろ】【PASH!ブックス】【暴れん坊令嬢×身分を隠した最強騎士】【溺愛成り上がり冒険譚】【小説家になろう】【御前試合】【出産】【狩人協会】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「貧乏騎士に嫁入りしたはずが!1」 宮前葵

2023-04-22 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 侯爵令嬢といっても11番目ともなると教育に金もかけられなくなってくる。そこでそれならいっそと田舎で育てられたラルフシーヌは、近所の悪ガキを腕力で配下に納めたり、山賊のアジトを襲撃して一網打尽にしたりと、自由すぎるくらい自由に生きてきた。
 それでも、13歳の年には帝都で皇帝陛下に成人のお披露目をすることになったのだが、そこで案内役を担当した騎士セルミアーネにその素朴で無骨な姿が見初められてしまう。腐っても侯爵令嬢。貧乏騎士のアプローチに侯爵も最初はいい顔をしなかったが、どうせ彼女の相手は田舎の平民くらいだろうということもあって嫁入りが認められるのだが……。

 田舎で育てたら野放図に育ってしまい、その姿に惚れ込んだ貧乏騎士に嫁入りしたところから始まる物語。ところが皇室で王子が相次いで死去したことから玉突きで皇室入りすることになり、後に「規格外皇妃」と呼ばれることになるラルフシーヌの半生記。全2巻で同時発売! スラップスティックかと思いきや、野人令嬢が何万もの人々の生命財産に責任を持つ怖さを自覚するあたりメリハリついてます。
 1巻の山場は、果たされていなかったプロポーズの際の約束の1つ、念願のクマ狩り!! 面白い作品の、ここぞという見所なんですが、体長7メートル超えのグリズリーの姿はイラスト化されてなくてションボリ。川口浩探検隊でのサスカッチか原始猿人バーゴンかという、シルエットだけがちらり。

【貧乏騎士に嫁入りしたはずが!1~野人令嬢は皇太子妃になっても熊を狩りたい~】【宮前葵】【ののまろ】【PASH!ブックス】【暴れん坊令嬢×身分を隠した最強騎士】【溺愛成り上がり冒険譚】【小説家になろう
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「1978年のまんが虫」 細野不二彦

2023-04-21 | 伝記・ノンフィクション
「面白い作品、いい作品ってのはねー、ハッとするシーンやセリフが必ずあるんだよ」
 少年サンデー編集部、米内デスクは細納青年にそう語った。マンガならそのコマ、小説ならそういうフレーズに辿り着く過程ができれば面白い作品になると。

 この覚え書きでもそういうセリフを書き出そうとしてますが、そういう言葉が印象に残る作品は面白いのです。

【1978年のまんが虫】【細野不二彦】【ビッグコミックス・スペリオル】【自伝的青春の軌跡】【スタジオぬえ】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「グリッドマンユニバース」 監督:雨宮哲

2023-04-20 | 時間SF・次元・平行宇宙
 1回目でよく分からないところがあって、なおかつテーマ曲がいまだに脳裏にこびりついているので『グリッドマンユニバース』の2回目を観に再び劇場へ。こういう気分の時は見に行った方が後悔しないで済む。ちなみに『ダンジョンズ&ドラゴンズ』も2回目を観に行くつもりが早々に公開枠が狭まって、もはや仕事を休まねば観に行けるスクリーンがないのだ。許すまじ、コナン&ドラ。
 さて、次男と2人で出かけて、4週目入場者プレゼントのA4クリアポスターは、ダブりなしで新条アカネと宝多六花の確保に成功。ヨシ!

 落ち着いた状態で2回目を観れば、ろくに元のシリーズもスピンオフも知らない自分は、観客として記憶喪失の響裕太と同じ立ち位置なのだと納得。なので、劇中で語られるグリッドマンとダイナゼノンの大雑把なあらすじで納得できたし、とりあえずそれで面白く最後まで観たのだから劇場作品として完結していたといって良いんじゃないかしら? でも、終盤のクライマックスからクライマックスへの連鎖はちょっと疲れたかな。本編ファンには歓喜の連続だろうけど、「この一発で決着だな」と思ったところがスタート地点なのだから。
 そして再確認。やっぱりカニの脚が多すぎ。
 中盤の、いろんなキャラが宝多家に集結してわいわい愉しく合宿する日常パートが、いつしか不穏な空気を帯びていく様は1984年の映画『ビューティフルドリーマー』にも似て、気持ち悪くも愉しく懐かしい。虚構の上に築かれた世界が合宿やら学園祭を経て崩壊し、再構築される物語というところくらいが共通点なのだけれど、こういうお祭り騒ぎの話はとにかく好きなのだ。なぜもう1回観たくなったのか理由が確認できました。妻いわく「文化祭の準備していて、なにかがおかしいって時点でもうアレよ、アレ。結局、誰かの夢だったという所まで含めて」という話で夫婦の見解が一致。ヨシ!
 
 平日のレイトショーで小さめのスクリーンに40人近い観客。公開開始から4週間目でまだまだいけそうね。

【劇場版『グリッドマンユニバース』~GRIDMAN UNIVERSE~】【雨宮哲】【円谷プロ】【新世紀エンタテイメント】【TRIGGER】【鷺巣詩郎】【天野正道】【丸山 浩】【西川伸司】【野中剛】【長谷川圭一】【坂本勝】【中村真由美】【マルチバース】【絵心ない】【学園祭】【期末試験】【緑川 光】【広瀬裕也】【斉藤壮馬】【宮本侑芽】【榎木淳弥】【若山詩音】【梅原裕一郎】【安済知佳】【濱野大輝】【高橋良輔】【小西克幸】【悠木 碧】【松風雅也】【新谷真弓】【三森すずこ】【鬼頭明里】【鈴村健一】【高橋花林】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「北海の堕天使」 吉岡平

2023-04-19 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 各国海軍が拡大し、国家間の軍縮条約でせめぎ合う1930年代、スカンジナビア半島のはずれに位置する小国、トルステイン公国は無尽蔵の石油を持ちながら戦艦建造のための技術と船渠を持たない。だから、トルステインが戦艦を建造する技術はあるが軍縮条約によって造れない日本と手を結ぶのは当然の成り行きだ。
 しかし、トルステイン公国を親善訪問するためにノルウェー沖を北上していた帝国海軍の軽巡洋艦〈石狩〉を謎の巨大戦艦が撃沈してしまう。
 その巨大戦艦こそ、日本がトルステイン公国のために建造した戦艦〈ビフレスト〉の姉妹艦にして、回航中に行方不明となった〈ヨツンヘイム〉だった……。

 46サンチ砲を搭載した世界最強の戦艦〈ヨツンヘイム〉がさらに密かな改装を施され、無敵の原子力戦艦として列強海軍と渡り合って大暴れする仮想戦記……というか、ノリは昭和初期の軍事探偵小説。実は密かなクーデターによって傀儡政権が樹立され、軍事国家への道を歩み出していたトルステイン。亡国の公女インゲボルグ姫の運命やいかに!?みたいな話なのかも、視点次第では。
 2016年にはミューノベルから新書として復刊されてます。

【北海の堕天使】【吉岡平】【安田忠幸】【吉田文則】【ソノラマ文庫】【軍艦小説】【原子力光線】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「朝起きたら探索者《シーカー》になっていたのでダンジョンに潜ってみる」 いかぽん

2023-04-18 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 現代社会に突如としてダンジョンができて30年。高卒のフリーター、六槍大地はある朝、自分がレベルやステータス、スキルなどを持つ特異能力者「探索者」になったことに気付いたのでダンジョンに行ってみることにした。そういう人間は10万人に1人程度の割合で出現し、ダンジョンに挑んではその戦果で稼ぐのだという。
 初めての大地の手取りはなんとか最低時給をクリアする程度のものであったが、同年代の女性探索者である小太刀風音に出会ってパーティを組むことになってから、互いの欠点を補い合いながら着実に成果を上げるようになっていく……。

 なんとなーく探索者になって、いつの間にか女性の探索者仲間もでき、仲良く冒険を続けるぞーというあたりが「ダンジョンが出来て30年」という時代背景。なにもかもあたりまえで普通なんですね。
 ウェブで言う「第83話 第九層へ」あたりをまとめて、俺たちの冒険はこれからだ!で幕。ナンバリングはしてないので、これで全1巻の作品としてまとまってますが、ウェブ連載は180話は超えてますので全2巻くらいになると良いですね。

【朝起きたら探索者になっていたのでダンジョンに潜ってみる】【いかぽん】【tef】【ファミ通文庫】【カクヨム】【小説家になろう
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「悪人面したB級冒険者01」 えんじ

2023-04-17 | 異世界転生
 B級冒険者のグレイは剣の腕だけでなく魔法も使える凄腕だが、どう見ても悪人にしか見えない強面なので親しくする者は少ない。そんな彼には1つの秘密があった。彼は転生者であり、おそらくこの世界はゲームの世界、コマンド式RPGの『ブライトファンタジー』と同じではないかと考えている。
 しかし、彼はこのゲームを積みゲーにして1度もプレイしていないため、この人生では何の役にも立っていない。ところが、彼がつい行きがかりで助けてしまった孤児の1人が、ゲームの主人公のデフォの名前と同じだったのだ。
 本当にゲームの主人公の幼少時かどうかはともかく、身を寄せ合って暮らしている孤児たちが明らかに栄養不足だったため、ついまとめて引き取ってしまう……。

 悪人面なので誘拐犯と疑われることも多いけど、家族仲良しです。あと悪即斬なグレイの強さが魅力かな。
 久々のハラカズヒロのイラストです。かわいい子供達から悪役との剣劇まで旨い絵をしっかり堪能させてもらいました。

【悪人面したB級冒険者01~主人公とその幼馴染たちのパパになる】【えんじ】【ハラカズヒロ】【エンターブレイン】【カクヨム】【ゲームの悪人面したB級冒険者に転生したら、主人公とその幼馴染みを拾った。】【巫女】【世界最強の親バカ参上!】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「原作開始前に没落した悪役令嬢は偉大な魔導師を志す」 桜木桜

2023-04-16 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 現代日本で仕事に追われていた女性会社員が心の癒やしだった恋愛ゲームの世界に転生。彼女が前世知識やゲーム知識を活かしてあれこれ始めた影響が波及して、ゲーム本編が始まる遙か前に悪役令嬢の家は没落してしまっていた。そのアルスタシア家の娘であるフェリシアは、国を追われ、父親は妻子を置いて逃げ出し、生活能力のない母親に代わって盗みや物乞いをしながら生きようとあがき続け……性格もかなり変わった。
 自分のせいで悪役令嬢が貧困にあえいでいたことなど知らない主人公アナベラは、ゲームシナリオの流れを変えているフェリシアもまた転生者ではないかと疑うのだが……。

みんなあんたのせいやで?

 2020年にソフトカバーで刊行された(そして打ち切られた)作品が、大幅に改稿されて文庫化。今回はコミカライズも控えて万全の体制で挑みます。20年版の「乙女ゲーム? 何それ、魔術用語? 原作開始前に没落した悪役令嬢は偉大な魔導師を志す」の副題もなくなった分、すっきりしましたね。きらびやかな背表紙に細かなタイトル文字が詰め込まれるのは、目が悪くなるとツラいよね。もう字がきっしり並んでいるのを見ただけで読むのを脳が拒否するんです。
 物語は性格が激変したフェリシアの男前っぷりが見物です。

【原作開始前に没落した悪役令嬢は偉大な魔導師を志す】【桜木桜】【閏月戈】【ファミ通文庫】【没落令嬢から世界最高の魔導師に成り上がる異世界学園ファンタジー】【誰にも予測できないファンタジーラブコメ】
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする