【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

【 朧気ナ 夜ノ満月 】

2007年11月28日 23時34分26秒 | 幻想世界(お伽噺) 




招かぬ心が 招かぬ物の怪 此方にへと呼び寄せました


濃紺がモットモット濃いぃ色の 大和の妖かしどもがイッパイ住んで居そうな

怖がり想像が募るよぉなぁ 朧気な月夜の晩



天に星々が煌く晩 歩き疲れて見上げます

人肌に 冷たさだけがぁ在る晩なので

独り者には 冴え冴えな感じな 星の輝く天でした


如何にも往き場もなくと 所在なさげに月様

今宵は由りによって 薄暗い明かりバッカシ降らせてる


冬の初めの 満月の夜


お月さま仰ぎ観れば 妖しげなのをと モットな感覚憑かんで寂寥妖精

知らずな想い お迎え致します 心 何処かに逝かされながら


ふたりは 同じな気持ちなんでしょうかと 疑いながら

互いに確かめの腕組み繋がり 求めました

そうでしょうかと 疑いながら


だから疑心は 心を狂わせ 嫉妬紛いの焔ぉぅ 

そして暗鬼は 諦め感覚な失望ぅの其処 掻きたてますぅ 

だけど最初は 覗いてませんでした

お月さん 雲の向こう側にぃ おいでゞした


風も吹かない 何の想いも届かない 夜の高みな暗中に

重たげそうな銀の光玉みたいに ポッカリ っと浮かんでいるはず


冬の凍てつく晩 墨汁みたいな真っ黒な雲さんは 自分でも知らずに

我が背に載せてる月の明かりで雲の縁 金色輝きな淵陰にしてました


夜に気を遣られ取られ 視えずな地面を覗き歩いてます

だから何かが 道を何かが此方にと

観えない暗さの奥から何かが 此方にと

迂闊にも其れには まったく気づきません


只タダぁ 早く家に帰りたくって 急いで歩いて往きたい暗がりがぁ

夜道の歩きにくさの暗さな為に 怖さを想像する事の怖さから

兎も角 早く闇から逃げ出したかった


闇で暗くって恐々と歩く砂利道 先はよくは見えないけれど

冬場の田圃は水を溜め 宙を映し お月さまと星で輝きしています

田圃の真ん中突っ切るように 何かが潜んでいそうな鎮守の森の大鳥居まで

視えない道は伸びている 筈でした 昼間視た時の景色の様ぉぅにぃ



新しく向こうの山裾まで延びている 新道

其の途中の小さき川に 新設されし渉り橋

御目出度い親子三世代続きの 渡り初め神事祭 


橋桁下川原から 魑魅な妖かし者ども不思議そうに見上げます

闇で朧気な欄干傍に佇む 魍魎な妖かし姿も 観たのかもなぁ


想像視界 怖さが怖くって 怖がります


暗闇に必死っなで 脚を一歩 ソロリと差し出しました

続けてと歩く一歩が 怯え気持ちの一歩に為りました

だけど暫くは 歩いて行きます 仕方がないから


っで ぁと少しぃで 渉り橋 

ぁと 一歩ぉぅで 橋の上


!フット ・・・ 敏感怯え耳に 微か聴こえ音ッ!


ぉっと 何かを聞きつけ立ち止まり 後ろを振り向き

怯えながらも猫背になって前屈み 闇を透かして覗きます


「確かぁ なんかの音がぁ・・・・!!ぇ!ッ 」

背中を撫でられました 何かに


刹那 凍る寒さで 躯が元に戻れません

怖気な物が撫でました 突き出したわたしの首の後ろの筋

引き攣りまして 其の儘 堅く強張り固まり

わたしの猫背で丸めた背中 浮き出た背骨の凸凹

小さき突起の一山ゴトに 何かに 判らぬ何かに擽られます


其れ 寒さ笑いを誘発させました

両の脚の膝皿関節 小刻み震えに寒さ笑い


首ぉぅ元の位置にぃ 戻したらぁ !

わたくしは 何を知りましょうかとぅ!

知りたくも無いのに 何を知りましょうかとぉぅ!


観ればわたくしの影 乾いた土の道に伸びてました

お月さま 雲から出てきたのでしょうかぁ!

黒い影が 月明かりのぅ 白い道にぃクッキリトぅ!


ぅ!・・・・・其のわたくしのぅ 影の横にぃ!!

陽炎みたいな 煙ぃみたいなぁ揺れる影がぁ!

段々とわたしの影をぅ 呑み込まんとぉぅう!

包み込まれんとぅ 


わたくしの悲鳴声 幾ら叫んでも出てきません!

わたしの笑う脚ぃ なんともっ! 動かん!

意識ぃ ハッきり醒めすぎてますぅ!


段々とう全部ぅ 影になって真っ黒にぃ

瞬き出来ずにぃ 凡て 此の世の真っ黒 

視続けさせられながらぁ 頂きました


なんだか 心ぅ ストン! 堕ちますなぁ!


解らんかったけど何処かから 何かが 

何かぁ やったんですかなぁ?


自分の何かのせいでの、呻き声でしたね。  

其れで目覚めてしまい、気がつけば、お布団から飛び出ていました。

髪もベッタリっな脂汗塗れの、うつ伏せな姿勢で、畳の上に寝転がってました。

多分、寝ながら悶えていたのでしょう、掛け布団は向こうの壁際に。 

汗に濡れた厚手の毛布は、無意識に蹴られてしまったのか、

此れも汗を吸って湿気た敷布団の足元で 丸く纏まっていました。


「・・・なんやぁ!夢かぁ・・・・ 」

っと、何気にぃ気が抜けたら、喉が渇いてました。


水をと、求めてヨロケながらも起き上がり、部屋の電気を点します。

チョット昨夜は、呑み過ぎましたかもなぁっと、襖を開け暗い廊下に出ました。


廊下は静かさで暗いけど、春先の緩い優しいぃ空気が、

自然にぃ躯に纏いつくよな感じ、していました。


渡り廊下を歩く途中、昔の落とし込み式の和風便所が御座います。

便所の入り口には、戸板の引き戸が嵌まってます。


っで、其処の角を曲がりますると 台所の暖簾が。

暖簾ぉぅ潜って、直ぐに左手に古い戸棚がありました。

戸棚の前には、天板の厚さ五ッ寸ばかりの木の調理台。 

縦横、四尺の大きさで、台所の真ん中に居座っております。

其の上に、白木の俎板が載っていて、其の俎板の上にでした。


白木の板の少し右端よりに、チョコン って載ってます。

夢の中でわたくしが、ギュと握り締めていたはずの、あの女の右手が。

その赤い爪で、わたしの手を握っていた拳が ユックリト開きかけた其の儘ですぅ

途中で固まった様になった、白蝋細工ぅみたいなぁ

右の手首がぁ 載ってました。


俎板の左側には、和包丁の菜切り包丁、刺身包丁、出刃包丁。

右側には、平たく大きな四角い中華包丁、大中小の牛刀。

向こう側には、鉈、鎌、細い鋭い切っ先の錐、鋸。


切り場の料理に用いる 諸々刃物がぁ!


恐怖に駆られたわたくしは 眼の前の刺身包丁取り上げます。

逆手に握り直しながら振り上げて、其の儘力の限りにッ!

蒼白い血の気も全く感じない、俎板の上の手首に、振り下ろしました。


刺身包丁、難なく俎板まで突き通りました。


難なく、わたくしの、右掌は、刺身包丁で、突き刺されました。


右手を仄暗い豆電燈の明かりで、眼の前に翳すと

突き通った刺身包丁の鋭い切っ先には、掌から赤い血の細い筋が伝わり下りて

次第にぃ段々と血の玉が産まれ、赤く輝きながら雫となって、堕ちてゆきました。 

わたくしは其れを、瞬きもしないで、魅入られたように視ていました。

赤い血の玉は、ユックリ ット 空気に浮かびながら、堕ちて逝きました


わたくしの、寝巻きの裾を何かが触りました。

見下ろしまするとわたくしの、赤い血の滴を白い皮膚に被りながら、

手首がですよ、ソロリっと わたくしの脚を攀じ登ってきています。


恐怖なわたくしの悲鳴は声には為らず、

わたくしの懸命な喘ぎは、甲高い笛のようになって

知らずに家中に響き渡ったのかもぅ!


「あなた!どうしたの!! 」 甲高き妻の声

突然 台所の明かりが燈りました。


其れよりも、脚の手首を払い除けなければと、払ったらッ!

刺身包丁の切っ先で、右太腿がぁ! 横にパックリとぉぅ!!
 
背中の向こうで、妻の悲鳴がぁ!


噴出する血を、左手で押さえつけながら振り返ると

女が此方にと、両腕ぉぅ差し伸べてぇ・・・・!

腕の手首の先が無くなったぁ 女がぁ!


寝苦しくって目覚めたら、窓から朝の日が差し込んでいました。

眩しくて、目蓋を閉じたら夢の中の出来事が、脳裏に蘇りました。

急に怖さが戻ってきて、飛び起きました。

慌てて襖を開けて踏み出すと、階段を踏み外し、其の儘下まで階段堕ち。!

尻が連続で、打たれ続けながらでした。


直ぐに妻が飛んできました!


「あなた!なにしてますのぉ~! 」


「ワァッ判らんよぉ!ナニがもぉ・・・・! 」


妻じゃぁ無くって、あの女がぁ傍らに立ち、ワタクシをぅ見下ろしていました。

其の右手にはぁ、刺身包丁が突き刺さっておりました。

切っ先からは、赤い血球がぁ ポタポタタ っとぅ!

わたくしの右脚のぅ膝にぃ 血がぁ ポタポタッ とぉぅ!


恐さで女の足首を蹴ってやると、女が倒れて階段の角で顔をぉぅ!

狭い二階への階段空間 っの斜め空間に湧き響きました。


!!!トッテモ 物凄い悲鳴がぁ!


妻の、今までに聴いたことも無いような、悲鳴でした。
  

慌てて起き上がり、妻を抱き起こします。

妻の顔面、凄くぅ! 嗚呼ぁ~!


妻は、長き舌で、先っちょが二股の蛇の舌で、

自分の顔の裂傷から湧いてる血を、嘗めていました。


夢が永くぅ 醒めないんでしょうかぁ



悔やむぅ 夢ぇ !



    

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