【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

  nostalgie 

2006年08月10日 21時01分57秒 | 無くした世界 
 

  ・・・・nostalgie・・・・♠
  

棄てゝ来たはずで、嫌いになっていても想い出してしまいます。


おまえの国は何処か、っと訊かれて、何処もっと。

言いたくもないし想い出したくも。だから許してほしい。

幾年も忘れようとして諦めきれずに、再びぃ徒然に。

幾度も胸の奥の闇の其処で、幾度も。

だからあの日から、想いで煉獄。



「なんやねん!それがどないしたゆぅねん、アホかッ! 」

「ァッアホってッ!・・・・ぁ~!そぅもぉぅわかった、もぉぇぇッ! 」


後姿に怒りを載せ、遠ざかって逝った今朝までの二人の歴史の片割れが。 


今更でした、今更帰れるもんか故郷(クニ)ぅ!

口から出る言葉は、意地と知らずの何かがと。
 
たぶん思い上がりがのとゞのつまりの畢竟。
 
胸の中は存分な啼き声悲鳴が、満々とでした。


「なぁあんたぁ、踊ってた時ナァ、ウチぃどんなん? 」

「どんなんって ? 」

「ぇ? ぅん! 」


知りたかったけど、聞けず終い。



スポットライトに照らされた、舞台の上のお前はぁ、ホンマニ肌が綺麗やった。

華やかにぃ映されてなぁ、輝いてたわぁ !


「あんたぁ観ててくれたんかぁ 」

「ぁぁ綺麗でなぁ、巧かった(踊りがぁ)でぇ! 」

「ぅん、おぉきにぃ、ぁんたの為になぁ踊ったんやぁ 」

「ぅんっ! 」

「あんたぁ捨てたらあかんよぉ、うちのこと大事にしてなぁ 」

「なんやッアホか、ほかすぅ想うてたんかぁ、ァホッかぁ! 」


「泣くなッ!大丈夫や、捨てへんッずぅっと一緒や、ずっとなっ 」 


この時はたぶん、先の事をです、感じ取っていたのかも。


「ウチの生まれたとこ大きな波止場があってね、近くに魚河岸があるねん。

店ぇしたらなぁ、仕入れが今みたいに早ぁにぃ出んでもえぇさかいにな

ぁんたも楽になるわぁ 」

「そっそぉかぁ、ぅん 」

「どないしたん?あかんのん? 」

「ぇッあかんことないよぉ、わいのこと想ってくれるんやなぁ 」

「そぉやぁ、いっつもあんたのこと想ってる、いっつもなぁ 」

「ぉおきになぁ 」

「なにぃミズクサイやんかぁ 」



此の時ぃ自分の故郷(クニ)を、想い描いていました。

心の中が、其の想い描く懐かしいぃ風景で、イッパイにぃ為っていました。

自分でも、想いもよらないことでした。

だから返事が、巧いことぅ出来ずに、でした。


上の空やったんですよ。


たぶん此の時期からでしょぉ。

自分とあいつとのです、何かが入りかけてたんやろなぁ、っと。

二人の間には溝とかぁ、隔たりとかぁ、意見の相違とかぁ、

性格の不一致っとかぁ、ッがあるとかぁじゃぁない。

他の何かゞです。視えないなにかゞやった。



「今日なぁ、言われたぁ 」

「なんおやっ?」

「スキぃやって 」

「ハァ?・・・・誰がや?」

「マネ~ジャァにぃ 」

「ぇッ!木元にかぁ?」

「ぅん、そぉ 」

「ッ!  」

「なに?なんもぉ言うてくれへんのん? 」

「なっなにぃ言うねん 」

「ワテのことぉ、好きとちがうんかぁ、愛しるんとちゃうんねぇ? 」

「ァホッかぁ、なにお今更ぁ言うねん、ッタクゥ! 」

「ぇッ!・・・・ソォ 」


この時も突然ッ!胸の心の中が郷愁でイッパイにぃ!

小さな子供の自分が、胸の暗さの其処で暴れていました。

心臓を止めそうでした。



「あんたの心な、おかしいねんッ! 絶対ぃおかしいわッ!」

「ぁあ~ケッコウや、おかしぃってケッコウやッ!・・・・ッヶ! 」

「ぁんたぁ可哀そぉやなぁ!」

「ぇッ! 」


泣いてたあいつ、こっちを見つめて泣いてた。

涙がポロポロ堕ちてた、古畳の上めがけて。


「なにぃ泣くねんっ!ァホかッ 」

「ぅん、ウチぃアホやったなぁ、ウチぃ・・・・ 」




「ぁんたぁ、近くまできたらなぁ、寄ってくれるんかぁ 」

って、出て行くときゆうてた。そして子供が出来たら、

オシメ入れにしようって造っていた、キルティングの布袋、

ワイに差し出しもって、ゆうた。


「此れぇ、とっといてんかぁ 」


たぶんアイツ、顔ぉ伏せてたと想う。


「なんや? 」


ワイ、顔ぉそむけもって聞いた。  


「ぁんたが一番気に入ってゝくれたもんやぁ 」

「ぁ~そぅか、はよぉいかんかいッ!」


横向いて受け取りぃ、背中で言いましたわぁ


「ぅん  」 


背中で、いっつも閉まり難かったドア、静かに閉まりよった。

外の鉄の階段をぉ、降りる足音がぁ、遠のいて逝ったぁ。

自分、あの時もぉこんなんやたなぁ っと。


暫くぅ ぼぉ~ っとしてたと想う。

狭い台所の窓から、晩い西陽が照らしてた。

だからね、奥の部屋が茜色してた。

クリーニング屋の針金のハンガーがイッパイ、部屋の中に渡した物干し竿に並んでた。

あいつぅ、ギョウサン服っもってたんやなぁ ッテ。
  


キルティングの袋の口ぃ開けて覗いた。

逆さにして中身を落とすと、畳の上に落ちた。

其れに、夕日が反射して眩しかった。 

綺羅綺羅ッ!ッテ、スパンコールの、金色ラメが輝いてた。

小さな下着の様な、賑やか華やか舞台衣装ぅ。

扇情的な程の、小さな踊り衣装。


夕陽が沈むまで照らしていました。

畳の上が、自分が観た最後の舞台でした。


もぉねッ、わぁ~!やった。

膝を揃えて座り、太腿ぉ何回も叩いた。

両手でぇ何回もッ! 拳骨でぇ何回もッ!


ごめんなぁ 堪忍なぁ ごめんなぁ あほやぁ~!

アホやぁ!! アカンネンっ! 堪忍やでぇ !

もぉ堪えてぇなぁ ! ごめんやでぇ! 

甲斐性がぁのぉてぇ かんにんやでぇ !


ず~ぅとぉ、こない言うてぇ叩いてた。



部屋がだんだん暗くなってきてた。

上着の両袖も、ズボンも、濡れてました。

涙ぁゆうたらなぁ、あんがい出るもんねんなぁ!って。


随分後になってアイツかて、ワイと一緒になるよりわぁ。

もっとあいつぅ幸せになるで~

っと、無理やり納得させました。



 心をぅ 自分の心を





  
 

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