天の月が 蒼い光を 眼の前の山に降りかけていた
なだらかな なだらかな勾配の山肌が 月の光を浴び
深い藍色に染っている
仄かな薄影のような雲 時折 光を隔てる
その時 蒼きな光で輝くお月さま 朧気に銀色瞬き
夜の暗い空気は 漆黒な 色が粘るかとナ夜陰の空気なんです
ふたりは今 黒の中の隙間を抜けて歩いてる
天空の なにかを望めればと
幻の影ぉ 求め探しで観ているその白き人顔
互いに見交わせば 互いの額濡らすは 粒の汗
まるで闇に暗く輝く ビーズ な硝子玉
夏の夜中の山歩き 薄闇に土の階段 仄白く浮きあがってます
闇には ふたりの息遣い 微か聴こえしましょうかと
深海かと 暗く沈んだ山の頂
そこに佇み とぉくの山の陰間 望めば
彩り蛍の群れて瞬くような街の灯かりと
久遠の闇に捨てられし鏡面かとな 滑らかな川面に映るは
天の星と 月の輝きと 叶わぬかとの影光 映す
暗さ透かしで見つめれば 時折 橋を渡る車の灯かり 横切る
魔法瓶にて持参の熱燗酒 静か酌み交わし
尚更の汗 噴きだす汗 裸の肌に流れるゝ汗
昂る胸の鼓動 なにを求めてかと 奔る想い
恥ずかし隠しの月光 濡れ肌に浮かびし汗の粒 綺麗に真珠化粧
月の翳 ふたりの肉躯を露にし 夜の中でと艶を魅せまする
暫らくは流れる汗 と 激しき無音ナ呼吸の世界
夜の虫たち 声を潜めて聴き入った
時が止まりました
世界が 夜の輝く闇に散りばめられて 何処かにと消えました
夏の輝く闇が ふたりを置き去りにしましょうかと
此処に 此の山に
ふたりの寂しく儚い夢に 情けをかける為
汗が流れて 想いが溶け合い絡まる
情けの夜が巡って やがては東の空 茜色
奔る夜明けの赤色光 山に刺さって朝が来る
目覚める情けの山の頂 唯の剣呑な山
濡れた地面に転がるは 蓋ない 古びた魔法瓶
朝日を背に 振り返るふたり
顔に白く浮き出るは 汗の乾き痕
満ちたらぬ想いが 帰郷につく往き足を 鉛の如く遅くしている
その脚の重さが 遅さが 未来を暗示していましょうかと
止まらない 刹那な時が生まれて 消えて逝く
裸足の脚 なにぉ踏むのかと
わたくしには 観えませんでした
なにも