自動車学校の教習車
”53年間の良品質のサービス”って書いてあるけど、この街で自動車運転の練習とは、まさに命がけ。走っているクルマの3割くらいは接触を防ぐためにバックミラーを倒しているような街なので、ここで合格したら、世界中どこでも走れそう。
ハイデラバードに来て3日が過ぎた。ホテルの部屋の砂埃にも慣れたが、車、バイクや人の流れは何回移動してもスリルがありすぎる。とにかく、誰も道を譲らないし、人や自転車はもちろん、バイクや時にはクルマが車線を逆走してくるのはたまらない。交差点で止まると、物乞いの子供達が寄ってきてクルマのガラスをドンドンたたいて、中にはドアを開けようとしてくる(もちろん運転手が鍵をかけているが)。
でも、それは単に慣れるだけなのだが、ここで困るのは、次の行動や予定が全然見通せないことである。
チェックインした初日、私に「1時間待ったら迎えに行くから」と告げた招聘元の人は、2時間経っても来てくれない。携帯電話番号を教えてもらっていないのでどうしようもない。仕方が無くメールを手当たり次第に送ったら、3時間近く経ってから電話があり「ゴメンゴメン、使いの人が、ホテルのフロントの人から”あのゲストはもう出かけた”と聞いて、よく確認せずに帰ってしまったんだ」と。う~ん、珍道中の予感。
予感は的中する。このホテル、26日にチェックアウトの予定なのだが、どう間違ったのか24日になっていて、フロントで私が26日まで宿泊したいと言っても「No room sir!」の一点張りで途方に暮れる。招聘元の人に頼むと、第一声が「No problem」。真に受けてはいけない、これはせいぜい「あきらめるな」程度の意味のようだ。その後、その人がフロントと電話や直接会って何度も押し問答して、結果的に24日の朝になって26日まで滞在できることになった。あ~あ、ヒヤヒヤする。
それとは別に問題がある。誰がどこに泊まって、何時どこに集まるべきなのか、という情報が全然無い。信頼できるタクシーが希少な都市なので、招聘元が手配した、いわゆる「ハイヤー」に頼るのだが、それが朝何時に迎えに来て、夕方何時に帰るのかは、その直前にバタバタと決まるのだ。たまたまカンファレンスの会場で、手配している人に会って聞くと「じゃあ何時にしようか」で決まる。だから、同行の人とその情報をまめに交換し合って、裏を取っておかないとはまってしまう。
会合のアポもそんな感じで、朝「3時半から会議があるから参加しないか?」と誘われ、その時間にOSGeoブースで待ち合わせしても、その人はいない。あちらこちら歩いて探していると、突然どこからともなく現れ、「もう始まるよ!部屋はこっち」と。オイオイ、それはないだろう、、、などと野暮なことを言ったらこの地では務まらない。
ラガワン先生はさすがインドの人だけあるのか、いつの間にか自分で情報を入手して自由自在、生き生きしている。1分先がわからない日本人の私は心配するばかり。タイから大阪市立大学に来ているSarawutさんすら「タイ人でもとても心配だ」と。人生、先のことはわからないとは言え、仕事で来ている私には相当なストレスになる。
クルマの運転もこれと通じるところがある。みんな好き勝手に運転している。それでもあうんの呼吸で、まずぶつからない。人やバイクがクルマの陰から何台も連続して飛び出してくる。先のことは考えても全く意味はない。ひたすらクラクションを鳴らして、ブレーキとハンドルを器用に扱うのみだ。運転の仕方について招請元の人が言っていた「これは日常生活だから」。そう、クルマだけでなくて、こういう発想が全てのことに浸透している。
で、まだ決まっていないのは、明日の朝どうやって会場まで行くかという手配である。ま、明日の朝になれば何とかなるだろう。