巴里の中心で、ワンとさけぶ

笑いながら一気に読んでください! 愛犬・ラブラドールとのドタバタ巴里暮らし

ソルドの季節

2006年06月29日 20時16分08秒 | Weblog
 パリの街は昨日からウキウキしたムード。28日の水曜日から一斉に春夏もののバーゲンがはじまったから。それに予想外(?)で、フランス代表がワールドカップでベスト8入りしたから、パリッ子はすっごくハイな気分なんです。
 さて、倹約家のフランス人たちはバーゲンのときにしか洋服や家庭雑貨を買わないって決めてる人が多いんですよ。誰よりも早く流行の服を着たいなんてのは、ごく一部のファッション関係者ぐらい。フツーの人々は、30%オフ、50%オフを待って待って、そしてねらいます。
 エルメスなどの一流ブランドもシーズン商品はバーゲンになるので、こういうとこは初日のオープン前は行列になります。在仏日本人向けのアノンス紙には「深夜からエルメスに並んでくれるバイト募集」なんてのも、よく見かけますよ。ねらったアイテムをゲットするには、やっぱ一番のりしなきゃ、ってことみたい。
 はてさて、ぜんぜんリッチじゃない、私の場合は、あと3週間は待ちますね。で、ラスト1週間になった頃に最後の掘り出し物を見つけるんです。最初は30%オフだったものが、50%オフとか、ものによってはさらに値下げになるんですもん。
 ところでパリは、これからしばらくウィンドーショッピングは楽しめなくなります。秋冬のニューモードがウィンドーを飾るのは8月25日くらい。夏のパリは見るより、買う! です。

勝手知ったる他人の家

2006年06月28日 17時20分05秒 | Weblog
 先日、家族全員に用事があって、だあれもジュエルの面倒を丸々一日みれないって日があり、知り合いのお宅に預けました。在仏年数の長い日本人家庭で、ラブラドールの大先輩フィドちゃんちです。
 そもそも私たちがイエローのラブラドールを飼おうと決めたのは、フィドに出会ったからなんです。娘はそれまでチョコレート色のラブがほしいって言ってたんですが、フィドの愛嬌の良さ、賢さにふれ「やっぱし、サーブル!(=砂色、フランスではイエローラブはこう呼ばれてます)」となったわけ。
 フィドちゃんが9歳のとき、2ヶ月のジュエルと出会ったんですが、なんとジュエルは雄のフィドをママンと勘違いして、おっぱいを探す探す。フィドは「何だ? 何だ?」状態で逃げまくってたっけ。あれから3年……、おてんばジュエルがフィドを振り回しちゃうのは、今でも変わってなかったのよねぇ。
 よそのお宅に長時間おじゃまなんてはじめてだったので、フィド・ママに「どうでした? ウチの子?」って訊いたら、「うん、ジュエルちゃんは元気いっぱいだったわよ。フィドのが、小さくなってたくらい」と言われてしまいました。でもって、その証拠写真をいただきました。よそのお宅なのに、どで~んとリラックスしてるじゃあないですか!!! そして、かわいそうなのはフィド、ほんとに部屋のすみっこから様子をうかがってる~……。
 ゴメンネェ、フィドちゃん! まったく飼い主がずうずうしと(私のこと)犬までそうなる。……反省。
 さて、フィドは今11歳、もうおじいちゃんです。フィド・ママにとってはつい昨日まで赤ちゃんだったのに……、という感覚だと思います。でも、フィドちゃん! 人生(じゃなくて犬生か)はこれからだよ。大型犬だって15歳、16歳って長生きできるんだから、ずっとずっと私たちのそばにいてね。ジュエルもフィドのペースを乱さないように気をつけるから。そう、ここがいっちばん大事なポイントよね、肝に銘じておかないと。

娯楽の少ないフランスの週末

2006年06月26日 17時30分22秒 | Weblog
 フランス人の日曜日は超ヒマです。デパートもショッピングセンターもブティックも、バーゲンとかクリスマス商戦とか特別の時以外はみ~んな閉まっちゃいますからね。だから日曜日には、シネマに映画を観に行くか、森の中を歩き回ったり、ピクニックするしかないんです。
 ……でも、パリにはディズニーランドもあるじゃない? って日本人なら思いますが、そこがフランス人は違います。ケチな彼らは入場料なんて払いたくないって思ってるし、第一、アメリカ文化の象徴であるディズニーがあんまり好きじゃないんですよ。だから行かない!
 なので、無料で楽しめるイベントなんかが週末にあると隣の地域からでもワンサと人々が集まってきます。昨日おとといとわが町に、無料の移動遊園地がやってきました。写真のような巨大風船のアスレチックやトランポリン、メリーゴラーンドなど8つのアトラクションが公園に設置され、土日に市民に開放されました。市が子供たちのために企画したイベントですが、実は大コーフンしちゃったのが大人たち。「オイオイ、子供を押しのけてまで行くなムッシュ、マダム」って、つい叫びたくなるようなフランス人がいっぱい。日頃、つまんない日曜日を過ごしてる彼らだから、ここぞ! とばかりに無料のアトラクションに夢中になっちゃったらしい。はっきり言って童心に戻り過ぎ!
 トランポリンなんか1時間待ちの列で、こんなとこだけがディズニーランド並みでしたね。
 で、娘は待ち時間の長さにため息をつきつつも、そこそこ楽しみました。が、それとはウラハラにふてくされてたのが、ウチの犬ジュエル。普段ボール遊びを楽しんでる芝生はアトラクションに占拠され、走り回こともできず、リード付きでお散歩になってしまったから……。うらめしそうに、大勢の人々と遊具を睨みつけてましたね。
  

カフェの犬はひとりで散歩する!

2006年06月25日 17時13分37秒 | Weblog
 犬も人間の子供とおんなじで、お友だちとじゃれ合って遊ぶのがいちばん楽しいみたいです。ウチのラブはドッグランには子犬時代からまるでファミリーのように仲良くしてる犬友達がいっぱいいます。
 でもそれだけじゃありません。夜の散歩のとき、近くの公園の芝の上で、いきなり通りすがりの犬と遊ぶこともしばしば。この写真がその図。でもって黒ラブのほうは、実は飼い主不明。捨て犬じゃありません。耳の裏にはしっかり登録番号のタトゥをしてるし、首輪には名前の頭文字「A」と電話番号が書いてあります。でも携帯から電話を入れても飼い主は出てくれません! フランスは生まれ年で名前のイニシャルが決まってるから「A」なら2歳ってことはわかります。黒ラブは雌でウチのジュエルとはまあまあ相性がよくって、追いかけっこやあま噛み遊びをして楽しそうなので、まぁ、いいか……って思ってるわけ。
 そうなんです、フランスにはこの黒ラブみたいに、ひとりで勝手に散歩する犬がいっぱいいるんです。代表的なのはカフェやビストロ、それとブティックなんかで飼われているワンコたち。ご主人様は店番で大忙しだから、朝も昼も晩も、ひとりで勝手に排泄をかねた散歩にでかけるんです。でもってフランス人は犬を怖がらないので、人とすれ違うのと同じ感覚で、ひとり歩きの犬の脇を通り抜けて行きます。こういう光景を見てると、人と犬が共に暮らしてきた歴史が長いんだぁ……ってしみじみ思います。だって日本じゃ、リード離して散歩してる姿すら珍しんでしょう?
 さて、2匹の雌ラブが遊んでるところにやってきたのが、左の雄のゴールデン。一緒に遊びたいのかな? と思いきや、ただの、のっかかりたいだけ犬でした。すきあらば2匹の女の子のうちのどちらかと……、と考えたみたいなのでが、すんごい剣幕で走ってきた飼い主のマダムに叱られあえなく、この直後に御用。
 毎日毎日、繰り広げられる犬たちのドラマ(大袈裟か)、おもしろいし、飽きませんね。

子供の誕生会で一喜一憂

2006年06月23日 17時33分39秒 | Weblog
 フランスの子供たちが、一年でいちば~ん楽しみにしてるのが自分の誕生日。
正確に言うと本当の誕生日じゃなくて“誕生会を開く日”です。学校に行く日やヴァカンス中はクラスのお友だちを呼んでパーティができませんから、みんながきてくれそうな週末の午後を選んで招待カードを作り、送ります。招待客を決めるのは子供自身で、だいたい10人くらいを呼ぶのが一般的。パーティは午後のおやつの時間4時をはさんで行なわれます。だから用意するのはケーキとお菓子とジュースだけでいいから準備もラクラク。食事付きのパーティってのはめったにありませんね。で、呼ばれた子は、日本円にして千円から二千円のプレゼントを持ってお祝いにかけつけます。
 で、フランス人って寛容だなぁと思うのは、親同士が仲良しじゃなくても、子供は招いたり招かれたりするってこと。なんか日本の友達に聞くところによると、そちらでは母親の付き合いで子供同士の付き合いも決まっちゃうんですって??? それはこっちでは考えられないことです。
 それでも、フランスのママンたちも人間、我が子が招かれるかどうか、あるいは呼んだら何人きてくれるかで一喜一憂してしまいます。
 先日、幼稚園の年少組からのお友だちのアリシアの10歳の誕生会がパリ16区のマクドナルドで行なわれ、うちの娘も招待されました。そう、アパルトマンを解放したくない家庭ではマクドナルドを会場に選ぶ人が意外と多い。費用は安いし、ノリのいい店員がパーティのホステス役になって約2時間ずっと場を盛り上げてくれるから親がラクチンなのです。
 ところが、このアリシアの誕生会、フタを開けてみたら、この寂しさ……。10人招待したのに、きてくれたのはたった3人! パパのアランさんとママのミレイユさんは憮然とした表情。トーゼンです。かわいい娘の晴れの日をすっぽかされたら、そりゃ悲しい。が、マクドのお姉さんがすっごくいい人で、アリシアが悲しまないように、実にうまくパーティを演出してくれたおかげで、この笑顔(アリシアは黒のTシャツの子です)がでて、ひとまずホッ。
 実は、うちの娘の去年の秋のパーティも危なかったんです。ちょうど本当の誕生日が土曜日だったので、その日に設定して招待状を発送したら、なんとクラスメートのひとりが同日にパーティを開くことが判明。その子のママンから電話があり「ごめんなさいね」と言ってきました。あやまってはいるものの、あちらはフランス人家庭ですから自信満々、あきらかにウチらの負けを意識した口ぶりでした。しかたなく娘にも諦めるよう説得しました。
 が、しかし、当日になったらわが家には招待した全員がやってきました。寂しいパーティになったのは、フランス人家庭のほうだったんです。さて、その勝因はどこにあったかというと、“犬”です! みんな娘と遊ぶのも楽しいけど、からかっても怒らないウチのジュエルと駆け回って遊びたくてしょうがなかったんです。子供好きのラブを飼っててよかった! この日はしみじみそう思いましたよ。
 

犬もよろこぶ音楽祭!

2006年06月22日 17時43分44秒 | Weblog
 昨日、6月21日は“フェット・ドゥ・ラ・ミュージック”(=音楽祭)でした。毎年この日は、パリはもちろんフランス全土が音楽一色! 公園でも、カフェでも、広場でも、路上でも、あっちこっちで、ありとあらゆるジャンルのコンサートが一日中開かれてたんですよ。もち、すべてのコンサートが入場無料。プロのミュージシャンも、アマチュアも、それからフツーの人々も踊って歌って大騒ぎ。若者も子供も、それからジイちゃんバアちゃんもノリノリ! 普段はちょっと気位が高いフランス人だけど、こういうイベントでの陽気さは、やっぱラテンだなぁ……って思います。
 お洒落なパリジャン、パリジェンヌはパリの真ん中の市庁舎前広場とか、サン・ミッシェル広場あたりに繰り出しますが(私は音楽オンチなので、よくわかりませんが、わりと有名なアーティストの演奏や歌が聞けるらしい)、子連れ犬連れは地元で、この音楽祭を楽しみます。
 写真は、わが町の公園でのコンサート。手前に座ってるのが娘とその相棒のラブ。のどかでしょ~。まるで村の演芸会のノリであります。ここの広場ではアマチュアのミュージシャンたちが、順に仮設ステージに上がり、レゲエ、ラップ、ロックなどうるさいだけの曲を披露してましたね。そうそう、これで夜の8時なんですよ。フランスは今、一年でいちばん日が長くて10時すぎまで明るいんです。
 この近所のカフェと魚屋の間の広場では、ジャズのコンサート。教会の前ではバロック音楽とコーラスをやってました。お祭り好きの娘はときどき「ブラボー!」なんて叫びながら満喫してましたね。
 で、ジュエルはというと、ときどき曲に合わせてシッポを振ってたから、まぁ、たまにはいいんじゃない……って感じたと思うんだけど。う~む、しかし犬は聴覚がいいから、うるさい音楽はたまんなかったかも? ステージに顔向けてないのはそのせいか???
 

「フレンチ・オープン・テニスに出てみたい!」

2006年06月21日 17時25分50秒 | Weblog
「みてみて! このテニスボール、ぜ~んぶアタチが拾ったのよ」とでも言いたげな、このジュエルの得意顔。そう、ウチの子の趣味はテニスボール拾い。んで拾ったボールはすべて自分のコレクションになっちゃいます。現在、玄関のバケツに貯めこんだボールは70個。
 わが家の近くの公園には大きなテニスクラブがあります。で、フランスではテニスボールが安くて1個1ユーロ程度なので、外に飛び出したボールは、みんな放置して帰ってしまいます。ケチなフランス人にしては珍しく……。もっとも草むらやコートの脇を流れる川に落ちたボールを人間が回収するのは大変だから「まぁ、いいや」のノリで諦めて帰って行くのでしょうが。
 そこで登場するのが水陸両用犬のラブ。テニスを楽しんだ人々が帰ってしまった夜の散歩で、クンクン鼻を利かせて隠れたボールを見つけてくるんです。「ジュエル、今日はボール何個見つけた?」ってのが、現在のわが家の1日の締めくくりの言葉になってる。
 というわけで、テニスボールを近頃買った記憶がない。自給自足みたいなもんですね。ただラブの口でくわえられるボールは1個なので、その状態で新しいのを見つけたときは、それまで持ってたのは置いてきちゃうからプラス・マイナスはゼロ。だから、これまで拾ったボールの累計は、はじめに書いた70よりずっとずっと多いんです。
 さて、この秋から娘はテニスクラブに入る予定なんですが、コートの外からそれを見学することになるジュエルはきっと大コーフンになってしまうはず。他人のボールには見向きはしなくても、“お姉ちゃん”のテニスボールは絶対にキャッチしたい! するぞ! って思ってますから。コートの中より外野がうるさくなりそうな予感……。

「おかあさ~ん、抱っこ!」

2006年06月19日 17時44分04秒 | Weblog
 これ、ジュエルお風呂から出るの図です。毎日ドロンコになって遊ぶので1日に最低2回はシャワーを浴びます。
 んで、私の重労働が実はこのときなんです。フランスのバスタブは日本のみたいに深くないし、ラブのジャンプ力を持ってすればピョンッと楽勝で越えられるはずなのに、超甘ったれなので、こんなポーズで「おかあさ~ん、抱っこ」の状態で待ってるんですよ。このあとに私が両腕を差し入れて「ヨシ!」ってかけ声をかけると後ろ足を跳ね上げて腕に乗っかり、そんまま抱え込んで出してやるんです。なんたって体重32キロ、これがメチャ重たい。入るときのがまだ簡単、後ろ足を持って、ほら昔、体育の時間にやった手押し車の要領でピョンッとバスタブに入るので、それほどの力はいりません。大変なのは出すとき!
 はてさて、今からちょうど3ヶ月ほど前、私は軽いギックリ腰になってしまいました。原因はこの抱っこ! なんと、そのときはジュエルがワンテンポ早くジャンプしてしまい、すんごく不安定な姿勢で抱えるカタチになってしまった。で、グキ! が、母は強し、我が子を床に落っことすことはありませんでした。「イテテテ……」と叫びながら、無事にジュエルをマットの上に乗せたとろこでダウン。幸い、おとうさんが家にいて「お~い、助けておくれ~」で、なんとかなりましたけど。
 いっぱい芝の上や川で遊ぶのはいいし、シャワーを何回も浴びるのはいいんだけど、この“おねだり抱っこ”だけが問題。まっ、甘やかしてるのは私なんだけど……。おかあさん、あんまり若くありませんから、そろそろジュエル専用の踏み台を用意して、自分で出入りする練習しないとなぁ……。
 

いちばん頭のいい犬”プードル”

2006年06月18日 13時31分14秒 | Weblog
 数ある犬種のなかで、いちばん頭がいいのは何か知ってます? 
 それは、すばり、プードルなんですって! 自分がラブラドールを飼ってるし、ラブは介助犬や盲導犬としても活躍してるから「一番に決まってるじゃん」と思ってたんですが、残念ながらラブは上位ではあるけどトップじゃないとのこと。
 さて、プードルはご存知、フランス原産のワンコで、フランスでは“カニッシュ”と呼ばれてます。プードルって言い方は英語なんですよね。日本でも小さなトイプードルとか大人気みたいですね。こっちにも大小のさまざまなプードルが暮らしています。で、飼い主たちは口を揃えて言います。「ウチの子はとっても忠実でお利口さん」と。でも、そのあとこう付け加えます。「でもね、知らない人が手を出すと噛むから気をつけてね」って。
 そう、プードルはとってもお利口さんだけど、その分、警戒心も強いし、飼い主を守ろうとする気持ちもあるから、うかつに手を出すとガブッっていっちゃうケースも多々あるみたい。でも、飼い主にしてみたら愛犬が心を許してるのはご主人様だけってのも、そんなに悪い気分じゃないんじゃないかな? 人なつこいラブなんて初対面の人にもしっぽ振って喜んじゃうし、きっと泥棒に撫でられても喜びそうだもん、……ああ、情けない。
 ところで昨日、とあるブティックのウィンドーをひとりでながめていたら、2匹のトイプードルを連れたマダムが、その脇をゆっくりと通り過ぎました。で、私はワンコたちに「ボンジュール」って声をかけたら、マダムが「噛むから手を出さないでね」と、わりとキッとした表情で言ってきました。んで「ダコール(=わかりました)」と答えたんですが、犬たちは私のことを遊んでくれる日本のオバチャンって思ったらしく、前脚をピョンって上げて、足にしがみついてジーンズをペロペロ。だから撫でてあげたら大喜び! 毎日ドッグランに通ってるから、いろんな犬たちのニオイがジーンズにしみついていたのが、いきなりなついてしまった理由と思われます。
 さて、飼い主のマダムはいちおう微笑んでいたけれど、口元がちょっと引きつってたのも私は見逃しませんでしたね。飼い主の心理はいっつも複雑。人見知りが激しくても、反対に人なつっこすぎても戸惑っちゃうみたいな……。
 そのあたり、当のワンコたちのほうが感情表現が実にストレートですよね。

ラブの瞳に恋してる!

2006年06月16日 20時47分51秒 | Weblog
「ちょっと! そこの子犬! 予防接種はちゃんと済んでるわけ?!」
 牛乳瓶の底みたいなメガネをかけたマダムが、当時3ヶ月だったチビラブを指差して、激しい口調で捲し立ててきました。気が強い典型的なフランス女って感じで、や~な感じでした。マダムは小さいわりには気が強くて攻撃的な雄のジャックラッセルを連れてました。
 が、世の中わかんないもんです。初対面でヤナ感じだったフランス人が、180度変わって、急に親日家になる確率って案外高いんですよ。件のマダムが、オールドミス(いや、この言い方はよくない。そう、シングルでいいのでした)のミレイユさん、愛犬は当時2歳のレオ。
 飼い主同士は、わりとすぐに打ち解けて毎日、ドッグランのベンチでお喋りするようになりました。ミレイユさんはひとり暮らしなので、飼い犬が死んでしまうと悲しいけれど寂しさに耐えられないから、すぐに次を飼うんですって。でも、さすがに同じ犬種はだめだそう。ジャックラッセルの前は、ビーグルのトミー、その前はラブラドールのマックス……、と代々の犬たちとの思い出を聞かせてくれました。で、フランス人は犬を溺愛しない、ドライに付き合うって思い込んでる人がいますが、そんなことありません。ミレイユさんはレオを息子みたいに思ってて、いっつも添い寝してるんですって。……よかったウチとおんなじ。それに小型犬はバッグに入れればバスにもメトロにも乗れるし、デパートにもカフェにも入れるから、ふたりはいっつも一緒です。
 さて、攻撃的なレオはしつこいチビラブに噛み付いてばかりいました。そのたびにミレイユさんが叱りました。「レオ! 男の子でしょ、ジュエルにやさしくしなさい!」って。んで、やられてもやられても鈍感なのか楽天家なのかジュエルはレオにちょっかいを出すので、また噛まれて「キャヒン」と悲鳴。
 ところが、ウチのジュエルが1歳になった頃から、とつぜん立場が逆転してしまいました。レオが、ブスじゃなくて“ラブの瞳に恋しちゃった”んです!
 6ヶ月で卵巣摘出手術を受けて子供の産めない身体になったジュエルも、いちおう雌としてのフェロモンを発してるのか、レオはもうラブラブで夢中。が、体格がレオの5倍くらいになったジュエルは、ボール遊びにしか興味がないので、毎度、のっかかろうとしがみつくレオを軽く振り払っちゃう。怒りもせずに、シカトでレオを蹴散らす毎日。で、レオも振り払われても振り払われてもあきらめずにアタック。んで、ミレイユさんは「も~っ! レオ! いいかげんにしなさい!」って叱かる毎日。ただ、ジュエルはレオを友達だとは思ってるみたいです。その証拠に、勝手にのっかかってこようとするほかの雄犬に対しては大小にかかわらず、牙をむきだして「ウ~!」とすんごい血相で追い払いますが、それをレオにだけは決してしませんもの。ジュエルにとってレオは友達以上恋人未満ってとこかしら。