巴里の中心で、ワンとさけぶ

笑いながら一気に読んでください! 愛犬・ラブラドールとのドタバタ巴里暮らし

日曜日はお馬の稽古

2006年04月30日 21時37分03秒 | Weblog
今日4月30日、京都競馬場では天皇賞でディープインパクトが圧勝したというニュースが伝わってきました。で、同日、パリのロンシャン競馬場ではディマンシュ・ギャロップ(Dimanche galop)が開催されてます。ディマンシュ・ギャロップは“日曜日の競馬”。ビッグレースではなくて、まぁ、普通のローカルな競馬ですが、フランス人ファミリーがわんさと詰めかけてますよ。
 なぜって、今日は入場無料。ついでに子供が無料で楽しめる体験乗馬とか、メリーゴーランド、騎手の格好をして写真撮影などなどのお楽しみが、ぜ~んぶタダ! 馬の人形とか風船とかお土産もタダでもらえちゃう。そう、フランスの競馬場には、ギャンブル目的ではなくて、馬を見るため、遊ぶためだけに来る人がほんとうに多いんです。もちろん、馬券片手に血眼になってるムッシュたちもいますけれど。
 フランス人は大人も子供も馬がとっても好きみたい。それは、気軽に馬に親しめる場が多いからかもしれません。
 娘は小学生ですが、クラスの女の子の半数近くが乗馬クラブにはいってますね。もちろん、馬命の、わが娘もポニークラブに通ってます。毎週日曜日はお馬の稽古ってわけです。え~っ! 乗馬なんてすんごくお金かかるでしょう? 
と思った方、そんなことないんですよ。
 授業料は週一回一年間で、400ユーロちょっと(55,000円くらい)。月にしても5,000円くらい。自分で用意するヘルメットが30ユーロくらい、ブーツは15ユーロ、鞭は3ユーロ、だからぜんぜんお金がかかりません。高い革の鞍とかはクラブで貸してくれますから、自分専用を買う子なんていません。
 娘にとって馬と触れ合える日曜日は至福の時間のよう。本人も親も将来は騎手にとか乗馬競技の選手にとか、そんな野望はまるっきりありません。厩舎で馬にブラシをかけたり、蹄のお手入れをしてあげたり、そこんとこから楽しいみたい。
 ところで、子供の習い事にムキになっちゃう親はフランスにもいますよ。「もっと手綱を強く引け、もっと早く走れ! ……ああ! だめだだめだ、あと10センチ外側のラインを行け! アレー! アレー!!!」なんて猛烈パパがいます、娘のクラスにも。で、その子供はかわいそうにベソかきで馬にまたがってたりするのよね。
 かくいう私もたまには、声をかけたくなる瞬間はあります、もちろん日本語で。でも娘はフランス人の子供ほど親に従順ではないので、きっぱり言い返されます。「おかあさんは、お馬に乗れないしょ! だまって! シーッ!」だって。

つっぱりパリッ子はブルテリアが好き

2006年04月29日 17時44分09秒 | Weblog
 パリもやっと、春まっ盛りになりました。今年は冬が長くって、例年より芽吹くのも開花も一ヶ月近く遅かったんですよ。
 ポカポカ陽気になると、カフェは、一斉に歩道にテーブルと椅子を並べて、パリッ子も観光客も、日当たりのいい席を奪い合い、お茶を楽しんでます。フランスでは、ほとんどのカフェがワンちゃん連れOK。寒い時期だって店内に堂々と入れますが、それでも、やっぱりこれからの季節のほうが、テラス席で犬連れを多く見かけます。で、おもしろいんですよ観察してると、人間のタイプと連れてる犬種の関係が。
 お年寄りは、プードル、マルチーズ、ヨークシャテリアなどの小型犬が圧倒的。中年のお洒落なマダムは、ロングコートのミニチュア・ダックスとか、ウエスト・ハイランド・テリアなど。で、ウチみたいなラブラドールは赤ちゃんをベビーカーに乗せたママンとか、子連れファミリーと一緒が多いですね。もちろん、例外はありますけれども……。
 しばらく前にパリの友達が呟いていたんでんですが、「ブルテリアとか、ほら闘争本能が強い犬って、自分を強く見せたい、つっぱりのお兄さんやお姉さんがよく連れてるわよね」って。で、確かにそうなんです観察してると。本当はこういった類いの犬種は散歩のときの口輪が義務づけられてますが、つっぱり
パリジャン、パリジェンヌはつけてませんね。なんたってカッコよくみせたいわけですから。だから、犬をよく知っているフランス人たちは、手を出したり近寄ったりしませんね、彼らを見かけても。
 が、社交的すぎるウチのジュエルは、どんな犬にもしっぽフリフリ挨拶に行く。で、攻撃されてノックアウトが一度や二度ではありません。女ターミネーターみたいなお姉さんが連れていた二匹の大型の真っ白なアルゼンチン・ブルドックには、あっと言う間もなくころがされ、首とお腹をくわえられ「キャーン!」。このときは、私の悲鳴にまわりのフランス人たちの目がいっせいに集まり、女ターミネーターの顔が歪んだ。でも自分の飼い犬を手で動かせないらしく、ケリを入れて引き離していたっけ。また、あるときは、カフェの飼い犬の若いロットワイラーに背後から忍び寄られてお尻をパクッで「キャーン!」 幸い血が出るほどの怪我はしてないのですが、懲りないジュエルは相変わらず怖いワンちゃんに近づいていくので、ヒヤヒヤです。
 まあ、つっぱりパリッ子はラブなんか連れてると、やられっぱなしだから自分まで情けなくなるんだろうなぁ……。でも、そうやって強い自分を演出する人って、実は根が弱いってこと、バレバレだと思うけど……。


フランスの英雄は永遠か?

2006年04月28日 06時03分55秒 | Weblog
 おととい、ワールドカップ終了後に引退することを表明したジダン。国民的英雄だからテレビニュースも新聞もジダン一色でしたね。
 ちょうど4年前のこの時期、日本のある新聞社に、フランス代表チームの情報を毎朝、データ原稿で送るという仕事の手伝いをちょこちょこしてたんですよ。日韓共同開催のワールドカップ直前で、日本はありとあらゆる情報をほしがってましたから。もっとも、私はまったくのサッカー・オンチで、プレイなど専門的なことは、からっきし! つまり私が集めてたのは裏ネタばっかり。選手の誰それが結婚したとか、パリのディズニーランドに行ったとか、日本食が好きらしい……、なんて類いの。
 そんなある日、雑誌にジダンとあるジャーナリストの対談が載っていたので、仏和辞典を片手にヒッシで訳しました。その中で、「選手を引退したあとは指導者としてフランスを引っ張っていくんだろ?」という問いに、ジダンは「それはない。自分は選手だけで終わるつもりだ」と。さらにジャーナリストが「なぜ? 君なら第二のプラティニになれるだろう」と続けると、ジダンはきっぱりこう答えてた。「なれないね。なぜなら僕はフランス人ではないから」と。
 生粋のフランス人たちっていうのはメチャメチャ自尊心が強い。語学学校なんかでもフランス語を喋れないやつは人間以下って態度をとるムカツク先生だっているし。そんな国にあって、移民たちはどうしたら差別されなくなり、崇められるようになるかっていうと、そりゃあ、有名になるっきゃない! 他を圧倒する実力でその分野の星になれば、フランス人たちの態度もコロリです!
 そういえば、ルイ・ヴィトンの現デザイナー、マーク・ジェイコブはアメリカ人で、フランス語なんてまるで話せないみたい。だってテレビでのインタビューとか、いっつも米語だもん。そう、頂点を極めた人は、いいんですきっとそれでも。
 さて、話はジダンに戻って、引退会見をテレビで観ていたら、彼はどんな第二の人生を歩み出すのかとっても気になったんですよ。アルジェリア移民の子としてマルセイユのスラム街に育った貧しい少年が、サッカーで頭角を現し、そして頂点にまで上り、フランスの英雄となった。ジダンは今でも4年前と同じで気持ちで指導者への道を歩むつもりはないのかしらん? 潔く去り、伝説の人になるつもりかしら?
 それと、そもそもそっち系の移民が嫌いなフランス人たちは、引退後のジダンをいつまでも、ずっとずっとフランスの英雄だって思い続けてくれるのかなぁ……。なんてことも、ふっと考えたりした今日一日でした。
 

ダ・ヴィンチ・コードの舞台から

2006年04月27日 06時30分26秒 | Weblog
 今日27日から、六本木ヒルズには「レオナルド・ダ・ヴィンチ」のデジタル・ミュージアムが出現するそうですね。あの世界44カ国で翻訳され、累計で3600万部という超ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」が映画化され、その世界同時公開が、目前ですもの。そりゃあ盛り上がりますよ。
 そして、こちらフランスではカンヌ映画祭で、ダントツのぶっちぎりで注目を集めるのは間違いないでしょう。
 じゃあ、「ダ・ヴィンチ・コード」の舞台、パリは今どうなってるかというと、それ関係の特別イベントはないみたい。パリ名物の映画広告塔にはモナリザが微笑んでるくらいで。だって、こっちには本物があるんだもの。
 ルーヴル美術館は、去年から入場者数がグングン伸びていて、5月20日に映画が封切られたあとは、さらにメチャ混みになると予想されてる。それに、それまでは観光客がそれほどは多くなかったサン・シュルピス教会にもワンサと人々が押しかけてる状態ですから。
 さて、パリに暮らす私たちは、毎月第一日曜日は美術館めぐりと決まってる。なぜかって、その日は国立の美術館はぜ~んぶ入場無料なんですもの。行かなきゃ、観なきゃ、損。9歳になった娘も近頃やっと、作品をじっくり、おとなしく観賞するようになってくれました。ホッ……。
 が、しかし!
「ルーヴルはこわいぞ~! 行かな~い! 死んだ者があるよ」とルーヴル行きは断固拒否! 別に、館長の死体がころがってるわけじゃあないんです。実は昨年の秋、古代エジプトやメソポタミア文明とか、そのあたりの古代美術が好きな友人が日本から来て、それで、みんなで出掛けました。そこで見ちゃったんですミイラを! ご丁寧に友人がミイラ保存法なんかを説明してくれちゃって、そのときは娘も平気そうな顔してフムフム聞いてたのに、あとですんごく恐ろしくなったらしい。今じゃルーヴルの建物を見ただけで「おお、こわ!」なんてさけんでる。
 というわけで、先月はオルセー美術館に出掛けました。名立たる印象派の画家たちの名画を観賞していて、「あ、これいいじゃない」と娘が呟くのは、すべて犬か猫か馬が描かれている作品だけ。有名な画家とか、有名な作品とか、そういう先入観がないから、子供の率直な感想は、けっこう笑えます。
 ちなみに娘が「このオジサンは絵がじょうずだよ~」と絶賛した唯一の画家がピカソ。今月のはじめは、ピカソ美術館に行ったのです。“オジサン”って呼んじゃうのが大胆だけど、ピカソの才能を見抜いてるんだったらスゴイ! ……んなわけないか? ただの好み? その理由は3年後か5年後に訊いてみましょ。
 
 

フランス人はお風呂が嫌い?

2006年04月26日 06時30分09秒 | Weblog
 パリのメトロに、6号線と12号線が止まるパストゥール(Pasteur)という駅があります。19世紀の後半に、医学、細菌学の分野で偉大な足跡を残したフランスが誇る、パストゥール博士の名をつけた駅です。
 パストゥール博士は、人間の皮膚にたまる垢は病原菌の温床になるってことを、フランス人たちにはじめて説いたお方。実は、フランスではそれ以前はお風呂に入る習慣がなかったんですって! 身体を洗うことが身体に悪いって信じられてたので、 あの太陽王のルイ14世ですら入浴は年にたったの一回だったとか。つまり庶民は生まれてから一度も入浴することなく一生を終えてたらしい。いや~ん、きたな~い!
 でもってパストゥールは人々に清潔にすることを教えたんだそう。そして現在、パストゥール駅のホームには、どうやって清潔を保てばよいのかが、絵解きで示されてます。「食事の前には手を洗いましょう」、「トイレの後も手を洗いましょう」など、日本人なら幼稚園児でも知ってることばかり。で、その先で、ん? 私はかたまった。「お風呂は週に一回は入りましょう」とあったから。
「せめて三日に一回とか、、一日おき、できれば毎日って書いといてほしいよ」
と思わず、ひとりごちましたね。
 今でも、フランス人には風呂嫌いが多いみたい。ある日、娘のクラスメイトのフランス少女がわが家へお泊まりに来ました。夜、お風呂の準備をしていると彼女はまるで一大イベントがはじまるみたいにコーフン。不思議に思った私は訊きました。「おうちでは、どのくらいお風呂に入るの?」と。すると彼女、ちょっと恥ずかしそうに「月に一回」だって! あ~訊かなきゃよかった、と思いつつ、ならばとばかりに私は彼女の頭の先からつま先までを洗いまくりました。だって、ウチのお布団に入るんだもん。そしたら後日、彼女のママンから「お風呂に入るのはいいけど、髪を洗いすぎるのはよくないわ」とやんわりと言われてしまいました。やれやれ……。
 そんな国ですから犬のシャンプーなんて、みんな年に一回だそう。毛足の長い小型犬などは一生洗うな、と指示するブリーダーもいるんだとか。
 しかし、ウチのジュエルの場合。一日最低二回はシャワーを浴びます。なんたって水を見たら無視できないラブラドール。パリ市内の噴水にはことごとく飛び込み、ブローニュの森では池にジャボン、道路の水たまりにもゴロンゴロン転がっちゃいます。散歩の出掛けはイエロー・ラブでも、帰りはグレー・ラブに変身。これで家の中をウロウロされたら、たまったもんじゃありません。犬のほうも心得ていて、帰宅するとひとりでお風呂場に直行!
 というわけで、ウチの犬、フランス人よりず~っとキレイ好き! 今度、パストゥールのホームに「ウチの子を見習って」って張り紙してこようかなぁ……。

パリを歩けば「運」がつく?

2006年04月24日 18時43分14秒 | Weblog
 日本に帰省したときに、何にいちばん感心するかっていうと、歩道がキレイだってこと。「これだけ清潔なら裸足でも歩けるじゃん」と思わずさけびたくなります。さすが! 清潔大国ニッポン!
 なにしろパリの路上には、犬たちの落とし物が、地雷のごとく散乱してて、汚いったらないんです。特にひどい地域は、リッチな人々が暮らす山の手16区。裕福な家庭が多いということは、それだけ飼ってる犬の数も多いってわけ。それから8区の世界一美しいといわれる花のシャンゼリゼ大通りだって、油断は禁物。凱旋門をボーッと眺めながら歩いてたら「グニュ」と踏みつけ、靴を汚すことも……。フランスに暮らしていると、靴底洗いなんて日常茶飯事なんですよ。
 だいたいパリの街、18世紀には、各家庭に下水はおろかトイレすらなかったんですって。で、人々は壷のなかに排泄して、それを窓から道路にぶちまけていたというから驚き!!! ハイヒールの靴はカッカ(ウンチのこと)を踏んづけても大丈夫なように、ってことで生まれたなんて説もあるくらい。
 そういう歴史があるせいか、フランス人たちは路上のカッカなんて、ま~るで気にならないらしい。だから、飼い犬のカッカを拾うというマナーもぜんぜん身についてません!
 いちおう法律では、路上に犬のカッカを放置した場合、457ユーロ(約6万円)の罰金を取られることにはなってます。が、専門の取締官がいるわけでもないし、犬の数が多すぎて、現行犯で捕まる確率は限りなくゼロに近いのが現状。
 これでは世界一の観光都市の名が泣くと、パリ市では「私の街が好きだから拾う」という標語が書かれた黒いビニール袋の束を各所に設置。だけど、その効果もあんまりないみたいです。
 さて、私は日本人だから、もちろん拾います。中華街で1000枚2ユーロのビニール袋を自分で買って。すると、ときどき拾う様子を目撃したフランス人は「よっ、ブラボー、マダム!」なんて拍手してくれます。ウンを拾っただけで、こんな褒められるのは、たぶんパリだけでしょうね。
 ついでに、子育ての延長線上で犬を飼いはじめた私は、出たあと、お尻を拭かないと、どーも気がすまないんですね。で、ポケットから人間の赤ちゃん用のお尻拭きを取り出して、ゴシゴシ。ジュエルも子犬時代からの習慣なので、拭き終わるまでは、しっぽをピーンと立てて待ってるんです。
 当然、そこまで見たフランス人には大爆笑されてますけど……。

ダメ犬でもやさしければいいんです

2006年04月23日 16時25分56秒 | Weblog
 犬の雑誌や育て方の本を見ていると、とにかく訓練が大事だ、ってなってますね。「ついて」、「おすわり」、「ふせ」、「まて」、「ハウス」などを、きっちり教えて機敏に従わせましょう、と。ふむふむ、飼い主にしてみれば、愛犬に命令したときに、ビシッと動いてくれた、そりゃあ鼻高々だよね。
 でも、だからどうした? って私は思うんです。ウチのジュエル、子犬時代は強力破壊マシンのごとく家中を荒らしまくって、た~いへんでした。が、子育てでも、どっちかというと放任主義の私は、犬のことも放っておきました。訓練なんてぜんぜんしないで。
 喜ぶと飛びつくし、リードはグイグイ引っ張るし、人間様のベッドにもソファにも乗っかり放題……。まあ、マニュアル本に出てくるダメ犬の典型みたいなラブってわけです。
 それでも、一緒に暮らすうちに、家庭内のルールはいつの間にか犬のほうが覚えました。粗相は絶対しないし、台所の食品やテーブルの上のお菓子や果物を盗み食いしたことは一度だってありません。ワンワンうるさく吠えることもないし、睡眠のリズムもしっかり家族に合わせてくれてます。
 そもそも、娘の妹となるべくやって来たジュエルは、自分の役割もしっかり心得てるみたい。リードを持つと引っ張るくせに、放して自由にしてあげると、娘のそばにピッタリ! テニスボールを投げると、川の中に飛び込んでもきっちり娘の足元まで運んできます。教えたんじゃなくて、遊んでるうちに勝手にルールを覚えてたって感じ。
 娘の友達が遊びに来ると、もちろん一緒に遊びます。ヘアアクセを付けられても、マントをかぶせられてもされるがまま。お菓子の横取りもしません。ヨダレをたらしながら「ほしいなぁ……」って見つめてるだけで。ほ~んと、従順な妹のよう。
 家庭犬なんて、それでじゅうぶん。路上で迷惑をかけたり、人様に噛み付いたりしなければ、それでいい。訓練より、「愛情」ってところかしら。

ウルトラ・ジュエル参上!

2006年04月22日 18時48分18秒 | Weblog
 フランスでは、犬の名前でその年齢がわかるってこと知ってますか?
アルファなら1歳、ヴィタリなら2歳、ウノなら3歳……という風に。
 この国では犬の戸籍みたいなものがあって、それを管理しているのが農林省に属するソシエテ・サントラル・カニンヌ(Societe centrale canine=犬の協会)ってところ。
 日本とは比較にならないほど、たくさんの犬が暮らす、このお犬様の国では、情報がゴチャつかないように、犬の生まれ年で頭文字を決め、整理しているんです。2003年はU、2004年はV、2005年はA、そして今年2006年はB、と。
 さらに、犬たちの耳の裏には6~7桁のコード番号のタトゥーが刻まれています。もし、犬が迷子になっても、記号から飼い主がすぐに割り出せ、頭文字で犬の情報も迅速に把握できるってわけ。
 な~んて、エラそうに解説してますが、私も子犬を受け取るその日まで、そんなシステムがあることは、ま~るで知りませんでした。
「ワンちゃんのお名前はジュエルだよ!」子犬を待ちわびていた娘は、その1年も前からJではじまる名をチビラブにつけることを、一人で勝手に決めてました。
 でも、子犬の耳にタトゥーを施し、登録用紙に犬の生年月日、犬種、毛の色などを記入し終えたブリーダーはきっぱりと言いました。「で、犬の名前はどうします? 今年はUのイニシャルでつけてくださいね」と。
 エーッ! そんな急に言われても……。それでも、規則には従うしかありませんから、その場でヒッシに考え続けました。そして私と夫は、ほぼ同時にさけびました。
「ウルトラ!!!」
 日本人の私たちにとって、Uで浮かぶ名といったら、ウルトラマンとその兄弟たちしかないじゃありませんか。
 というわけで、ウチの犬、戸籍上はウルトラ・ジュエルになってます。もっとも、この本名は、健康手帳や予防接種の証明書、それからパスポートなどに記されるだけ。普段は使ってなくても何の問題もありません。呼ぶのはいつも「ジュエル」だから、犬本人もウルトラなんていう正式名があるなんて自覚はゼロ。試しに、今、「ウルトラ」と呼んでみましたが、知らん顔されました。
 今年、3歳になったウチのウルトラ・ジュエル。すんごい名前をつけちゃったせいか、かなりのオテンバです。今日も、テニスボールをジャンピングキャッチ!

フランス流こだわりの犬選び

2006年04月22日 18時44分37秒 | Weblog
 娘の相棒になるために、イエローのラブラドール・レトリバー(メス)を家族の一員として、わが家に迎えたのが今から3年前。
 フランスではペットショップで犬を買うのは一般的ではなくて、大半の人がプロのブリーダーから子犬を譲り受けます。それで私たちも、これに従い、犬の雑誌でラブラドールのブリーダーを探して訪ねました。
 パリの郊外、どこまでも広がる畑のまん中にポツンとあった石造りの農家。そこには生後間もない子犬を抱えた母ラブが4匹いました。
「さぁ、ママンを選んで」というブリーダーのかけ声で観察開始。そして私たちはレイナという3歳のイエロー・ラブを選びました。レイナは7匹の子犬たちにお乳をあげながらも、しっぽだけをパタパタと振り、やさしいまなざしをこっちに向けてくれました。すっごくイイ感じ。やさしくて聡明な母って感じで。だから、選ぶのにはちっとも迷いませんでした。で、レイナの子のメス1匹を予約。
 この国では、生後2ヶ月未満の子犬の譲渡販売は禁止されているので、それまでの子育ては母犬とブリーダーに任せるしかありません。しかも、その間に犬の性格の半分が決まってしまうといいますから、フランス人たちは、ブリーダー選び、母犬選びには、とても慎重になるんですって。
 それから2ヶ月後、チビラブは、その日をずっとずっと待ちわびていた娘の胸に抱かれました。
 さてさて、フランスでの犬のお値段ですが、登録料と1回目の予防接種料込みで600ユーロ(8万円ちょっと)でした。ほとんどの犬種は同じような値段で、これは相場だそうです。