巴里の中心で、ワンとさけぶ

笑いながら一気に読んでください! 愛犬・ラブラドールとのドタバタ巴里暮らし

世にも不思議な国歌斉唱

2006年06月15日 17時42分00秒 | Weblog
 そうそう、おとといのフランス代表の試合をテレビを観ていて思い出したことがありました。それはキックオフの前のフランス国歌が流れてたとき。ああ、やっぱジダンは歌ってないよなぁ。それがフツーです。フランス国歌はわりと血なまぐさい戦いの歌詞だから、移民にとっては口ずさみたくないものです。フランス人でも、往年の名選手ミッシェル・プラティニも「サッカーは戦争ではない」って理由で、決して歌いませんでした。
 ところが、去年の夏、ジダンをはじめ代表チーム全員が腕を胸に当て歌ってたんですよ! ごめんなさい、サッカーオンチの私のことですから、親善試合だったのかどうだったかは忘れてしまいましたが……。でも、私はテレビ画面を見つめながら「なんで~、また今夜に限って」って思ってました。
 で、数日後、それがフランスのラジオ番組が仕掛けたジョークだったことが判明。その時、現大統領のシラクさんがパリの病院に入院してました。で、ラジオ番組はシラクさんの声のそっくりさんを使い、ジダンに電話を入れました。そしてこんな風に言ったそう。「ジダンよ、君がいつもフランス国歌を歌わないのは知っている。だが、今夜だけは、私のためにチームみんなで歌ってくれないか? そうすれば私の病もよくなる……」ってな感じで。それに対してジダンは「わかりましたプレジダント。しかし私ひとりで決めることはできませんので、これから皆と相談し、了承してくれたら今夜に限っては歌いましょう」と答えたそう。んでもって、大統領の個人的な頼みを代表選手たちは無視できず、世にも珍しい国歌斉唱となったのでした。
 ウソがバレたのは翌朝。ラジオ番組は「大成功!」と大喜び。それに対してのジダンのコメントはなかったし、局を訴えたなんて話もありませんでした。きっと「ああ、やられた~」と苦笑いしただけじゃないでしょうか?
 それにしても、フランスのこんなジョーク、日本じゃ考えられませよね。だってシラク大統領ですら騙されたことがあって、大ウケ、大笑いだったとか。
 やっぱ、フランスって国、フランス人は太っ腹なんでしょうかねぇ? 日本代表にそんなことしたら叱られるどころの騒ぎじゃないし、第一、そんな企画立てる局は絶対にない!

ニックネームは”バルテス”

2006年06月14日 18時03分38秒 | Weblog
「オ~! バルテス」「ビヤン ジュエ(=ナイスプレー)」というかけ声が飛びます。ドイツのワールドカップをやってるサッカー場の話じゃありません。場所はパリ郊外のドッグラン、かけ声はウチのラブラドールに向けられてます。
そう、ウチのジュエルはドッグランのある公園を散歩するフランスのサッカーファンから、“バルテス”って呼ばれてるんです。まっ、あだ名みたいなもんですね。
 で、それはなぜかって言うと、サッカーボールじゃなくてテニスボールを私の足元に置いて、ペナルティキックみたいに、蹴る方向の狙いを定めてるとき、それをキャッチするためにボールを凝視してる視線と動きが、フランス代表のゴールを守るバルテスみたいだって言うんですよ。光栄なことではありませんか! 
 まっ、バルテスの頭はツルツルだから、ラブの頭みたいに見えなくもないか?……けど、ウチの子は女の子なんだけどなぁ。まぁ、いいか。
 さて、日本は国民全部がサポーターになっちゃったみたいなお祭り騒ぎだそうですね。で、こっちはどうかっていうと、好きな人はコーフンしてるけど、関心がない人は別にフツーに暮らしてます。個人主義ですからねフランス人は。
 ところで、ゆうべのフランス対スイスはテレビ観戦してましたが、やっぱしワールドカップを最後に引退を表明してるジダンがまだまだ輝いてるのに……、と思わずにはいられませんでしたねぇ。靴もゴールドで輝いてたし。
 フランス人はもちろん世界中の人が彼の最後のスーパープレーをその目に焼き付けようとしてるはず。私もテレビ画面に向って叫びましたもの「アレー!(=行け行け) 、ジズー!!!」って。

セーヌ沿いのペットショップ街

2006年06月12日 18時01分05秒 | Weblog
 このブログのいちばん最初(4月)に、フランス人の大半は、犬猫はブリーダーから直接譲り受ける……、と書きました。じゃ、パリにはペットショップって少ないの? というと、そんなことはありません。まっ、中には稀にペットショップで犬猫を買う人もいますし、ウサギとかハムスターとか金魚、熱帯魚はみ~んなペットショップで購入します。あとは、犬猫のアクセサリーやフード、おやつ、ケアグッズなんかを買うのもペットショップです。
 パリのペットショップはセーヌ右岸の川沿いに並んでいます。去年の夏に火災が起きたときに危険な建物だと指摘されて突然、無期限で閉店になってしまったデパートのサマリテーヌの左右に、ペットショップが軒を連ねています。メトロの最寄り駅はポン・ヌフ。サマリテーヌのペットコーナーもお洒落で品揃えが豊富で大好きだったんですが残念!
 で、お天気のいい週末になると、このセーヌ沿いのペット街は観光客や親子連れのパリの人々もワンサと訪れ大にぎわい。カワイイ、子犬や子猫には欧米人だってやっぱし癒されますもん。
 何を隠そう、我ら親子もチビラブを飼い始める前は、常連中の常連でした。毎週やってくる日本人なんてあっという間に顔を覚えられてしまい、各店の店員さんたちからは「また、きた!」の視線。中にはしびれをきらした店員が「いつ頃、どの犬を買ってくれるんだい?」なんてストレートに訊かれたりしてました。もちろん笑顔で「この次」とか「3ヶ月後」とか、てきとうにごまかしてましたけど。
 ケージの前には<さわらないでください>って表示があるんですが、そんなの守るフランス人(あと欧米の観光客も)は、誰一人としていません。みんなすき間から手を突っ込んで、撫で放題、ペロペロなめさせ放題。ウチの娘もそこで30分も1時間もねばっちゃってたから、まぁ店から目を付けられていたのも、トーゼンといえばトーゼン。
 でも、毎週通ってると、売れなくてどんどん狭いケージの中で大きくなってっちゃう犬たちのことがすっごく心配になるんです。値段も少し下がったりして。で、今でも気になってるのが、結局、売れずに成長してしまった犬たちはどうなるんだろうってこと。犬友達たちに訊いても誰も知りません。っていうかみんな、そういうことを考えたくないみたい。
 広~い農場で生まれて、ケージに閉じ込められることなく、7匹全員が生後2ヶ月それぞれの家庭にもらわれて行った、ウチのジュエルの兄弟たちはしあわせだけど、そうじゃないワンちゃんたちも世の中にはたくさんいるのよね。
 ってなことを考えちゃうんで、3年前からパタッとセーヌ沿いのペット街には足を向けなくなりました。が、しかし! この秋には娘がハムスターを飼う計画を勝手に立てちゃってるので、そろそろ下見に行かなくちゃ……。

フランス ペットフード事情

2006年06月11日 09時07分13秒 | Weblog
「子犬のうちは朝晩の1日2回、成犬になったら晩の1回だけ」と、これはチビラブを購入したときのブリーダーの言葉。ドッグフードの与え方なんですが、これがフランスの常識です。
 でも結局、従いませんでした。3ヶ月までは1日4回、1歳までは1日に3回、それ以降は現在にいたるまで1日2回が私流です。はじめはブリーダーの意見のままやってみたんですが、1回の量が多すぎて食べきれなかったんですもん。それに、どう考えたって胃がもたれそうじゃないですか?
 が、フランス人たちは「あら、朝晩なんかに分けてあげてると健康に良くないわよ。1回にたっぷり食べる方が犬のため」なんて平然と主張しますが、私はこれについてだけは違うぞ! と思ってます。先週、紹介したお友だちブルドッグのエンジェルも夜に600グラムのドッグフードを一挙に食べるんですが、絶対に負担だと思うのよねぇ……。で、私なりの見解なんですが、これはフランス人の生活パターンに犬を合わせるためだと思うんです。専業主婦が少ないフランス家庭ではパパもママも出勤します。だから午前中にの~んびり、たっぷり散歩ができるのは定年退職組だけ。フツーの家庭では、朝はちょこっと排泄のための短い散歩に出すだけ。で、ここで夕べ食べた分をた~っぷり出してもらわないといけません。で、日中ワンちゃんは8時間も家のなかでお留守番。もし朝にご飯を食べたら途中で排泄したくなっちゃい、ウロウロ、ソワソワ。でもってリビングのカーペットの上に粗相なんてリスクも。ね、だからですよきっと、朝に食べ物あげないのは。
 その点、わが家は自由業ですから、そういう心配がないので、朝と夜に分けて与えてるってわけです。少しずつ食べて、運動して消化させる。やっぱこれがいちばんですよ。
 ところで、ウチのジュエルが食べてるドッグフードは『プロプラン』のライト。チキンとお米から作ったダイエット用のドライフード。そのままでは味気ないので、温めたブロッコリーとほうれん草とインゲンのスープ(人間用の冷食)をかけて食べさせてます。ウェットフードは決して与えません! なぜかって言うと、1歳半のときに、ドライフードの食べが悪くなったので世界的に有名な誰でも知ってるメーカーのお肉の缶詰をドライフードに混ぜたら、大喜びでワッシワッシと食べるようになったんですが、なんとその2週間後から目のまわりが赤くなり、足の毛が抜けはじめて真っ赤になってしまいました。獣医さんの診断で食物アレルギーと判明。過剰なタンパク質の摂取、それと缶詰のフードの防腐剤が合わなかったらしい。そんなデリケートな犬だとは思ってなかったので驚いてしまいました。で、治療費もかかってしまったので、以後ウェットは絶対に御法度とわが家ではなってます、ハイ。

フランス人は時間にルーズ

2006年06月09日 17時05分41秒 | Weblog
 日本とフランス、日本人とフランス人の決定的な違いは何か? それは時間に正確かルーズかってこと。日本を旅したことのあるフランス人の友達は口を揃えて言います。「いや~、日本は電車が時間ピッタリに来て、ピッタリに発車する。すごいすごい!」と。なんたって、フランスはメトロも郊外行きの電車も遅れは日常茶飯事。それに2~3分の遅延を気にするフランス人など、だ~れもいません! 日本だと通勤電車が3分遅れたらニュースですもんね。
 交通機関だけじゃなくて、オペラ座の開演時間だって5~10分遅れるなんて当たり前って感じなんですよ。それにフランス人家庭に招かれたときは、10分遅れで着くのがマナー。時間ぴったりなんて慌てるし、5分前到着なんて準備ができてなくて失礼になってしまうんですって。
 つい先日、私はパリ郊外を走る電車を30秒遅らせました。郊外にある大型ショッピングセンターで買い物をして、大荷物でヨイショヨイショと駅に向かいました。で、ちょうどあと、50メートルで着くってところで電車がホームに。
まっ、間に合わないから次の電車でと思ってゆっくり歩いていたら、電車の運転手が手招きしてるんです。待ってるから早く乗れって合図でした。んなこと言われたって走れないよ~と思いましたが、発車する気配がないので、ヒッシで早足で乗り込みました。VIPでも何でもない日本のオバサンのために、シャルル・ド・ゴール空港に向うその電車は、これで30秒遅れに。で、乗り込んだあとだって、ほかの乗客たちの冷たい目もありませんでした。フツーの光景なんですね。こういうルーズさはいいのか悪いのか? でも、時間の正確さにこだわるためにスピードを出しすぎて事故を起こすよりはいいのかもしれません。
 で、今日はどうして、こんなテーマで書きはじめたかというと、農場実習で娘が撮影した使い捨てカメラの現像とプリントの仕上がりが丸二日も遅れたんです。娘はなくなっちゃったんじゃないかとハラハラ。だってヘンテコな写真だとしても、子供にとってははじめて親元から離れて行った旅の貴重な記録なんですから。マジで心配しましたが、まあ本日、無事にでき上がって、ひと安心。……10年この国に暮らしても、日本人の私はまだ慣れませんねぇ、こういうルーズさが。
☆写真は、娘が行ったブルゴーニュ地方の大農場の全景です。

農場の手作りバター

2006年06月08日 17時12分17秒 | Weblog
 シュタイナー学校3年生の娘が、農業実習から大コーフンのもと戻ってきました。クラスメイトや先生や、たくさんの家畜たちと過ごした1週間は、とっても楽しかったみたい。ママが恋しくて泣いてるんじゃないかしら……、なんて心配してたのは親ばかり。我が子を案ずるのは、なにも日本人の私だけじゃなく、フランス人のママたちもおんなじだったみたい。
 さて、娘が持ち帰ったお土産は“バター”でした。子供の小さなで手で絞った牛さんのフレッシュなミルクを、グルグルかき回して、それでバターを作ったんだそう。私的には、いつかテレビのドキュメンタリーで遊牧民がそんな風にバターを作ってる映像を見たことしかありませんが、娘いわく「カンタン、カンタン。ママ、今度作ってあげるよ」ってこと。でも、スーパーで買ってくる牛乳じゃできないんじゃないか? って思うのですが、まぁ、子供がやってみたいと思ってるなら、やらせてみようかしらん。
 で、農場で作ったバターのお味。これはミルクの香りがプワ~ンとして新鮮そのもの。でも塩分がなんにも入ってないから、正直大人には少しモノ足りない気もしました。でも、うちの娘もほかのお友だちも「今まで、こ~んなおいしいバターは食べたことない! サイコー!!!」って大喜び。やっぱ、自分で作ったって満足感とか達成感が加わってますもんね。あと、農場ではチーズも作って食べたと話してました。
 まあ、とってもいい経験になったでしょう! ところで余談ですが、1週間の間にシャワーは1回、着替えは2回だったんだそう。私なんか7日分の下着と洋服をしっかりバッグに詰めたはずなのに……。でも先生が「さぁ、今日は洋服を替えましょう!」とか「シャワーですよ」という指示に従ってたら、そうなってしまったと娘は言い訳してました。さすが(?)フランス人!
 ウチに戻ってバスダブにつかった娘は「はぁ、助かった~、気持ちイイ」とオババみたいな声を出してました。まっ、日本人の娘にとって辛かったのは風呂に入れなかったことのみだったみたい。入念にチェックしましたが、髪の毛にシラミもついてなかったし、ひとまず、ホッ。
 絵は、娘が描いた農場のハウスです。

気弱なボディガード犬

2006年06月06日 17時34分20秒 | Weblog
 お友だち犬の三匹目は、“エンジェル” です。名前はかわいらしい“天使ちゃん”ですが、ご覧通り、かなりの強面。犬種はボルドー・ブルドック。そう、あのワインで有名なフランス・ボルドー地方出身の大型ブルドックです。体重は40~50キロもあって、のっしのっしと歩く姿は、毛色からしても、まるでライオンみたい。
 ウチのジュエルが三ヶ月の子犬のときに、ドッグランではじめて会ったときは、正直ビビリました。が、飼い主のマダム・アニックが「大丈夫、大丈夫、ウチの子はやさしいから……」ってニコやかに言ってきました。でも、エンジェルが大きな口を開けて、その中にチビラブの頭をすっぽり入ったときには「キャー!」っと思わず叫んでしまいました。でも、よーく観察してたら、歯を立てないように、子犬をペロペロなめて遊んでてくれたんです。
 その最初の出会い以来、エンジェルはジュエルのことを守るべき妹と思ったようで、いつもボディガードのようにそばに付いていてくれるようになりました。が、しかし、ボルドー・ブルドックはブルドックの中でも性格がとても穏やかなので、気性の激しい犬がジュエルに近づいてくると「ウ~! ウォン!」と、一応、唸っては吠えるんですが腰が引けてしまうんですね、これが……。
 ところで、フランスではウチのような雌犬を飼った場合、九割の人が子犬の時に避妊手術を受けさせます。日本とは比べられないくらいにいっぱいワンちゃんがいる国ですから、発情期の雌犬なんか連れてたら、後ろは雄犬たちの大行進になってしまいますもん。だからジュエルも六ヶ月のときに卵巣摘出手術を受けました。なので、ボディガードのエンジェルとも、ず~っとプラトニックな関係が続いています。
 さて、八歳のエンジェル、去年の夏から心臓があんまりよくありません。ごくたま~に、避妊手術してない雌犬がドッグランに入ってくると、エンジェルも雄の本能としてコーフンしてしまいます。でも、それがいちばん心臓に悪いことを獣医さんから言われてますから、マダム・アニックは大慌て。エンジェルの巨体を押さえ込みながら叫びます。「エンジェル! あなたにはジュエルがいるでしょ! プラトニック・ラブの彼女がいちばんいいのよ!」と。で、そのそばで、気ままなジュエルは、我関せずって感じでボール遊びに熱中しちゃってるんですけどね。
 

ジュエル、電車デビュー

2006年06月05日 19時35分18秒 | Weblog
 この不安定な座り方、そして不安そうな表情をみてください! ウチのジュエル3歳にして、はじめて電車に乗ったんです。5月のこのコラム内で電車には乗せるつもりはない……、なんて書いていたんですがワケあってわが家にしばらくの間、車がなくなる事態に。で、どーしても郊外へ出掛ける用事ができて昨日、初体験となったのです。
 パリ市内のメトロは大型犬の乗車は禁止ですが、パリ近郊を東西南北に走るRER線はすべての犬の乗車を認めています。運賃は大人料金の半額。噛み付いたり、吠えたりする犬種の場合は口輪をはめなくてはいけませんが、ラブみたいなおとなしい犬はリードだけしてれば、この通り、ご主人様の横に座ってられます。
 で、ジュエルはかなりビビッてましたね。自動車の振動は大好きで家にいるのと同じようにリラックスしてますが、電車の揺れは嫌いみたい。ガッタンと車両がするたんびに、ビクついてましたもん。
 一方、娘のほうは相棒と一緒に電車に乗れて大喜びで、この通り表情もにこやか。やっぱり慣れの問題でしょうね。でも、怖いワンちゃんに出くわすこともなかったし、まあ無事に往復を乗ってこれて、ホッ。
 フランスに暮らしているわけだから、そのうち世界最速のTGVに、乗るなんて機会もあるかも。そんときジュエルはどんな顔するんだろ……。

パリの道路は今日もメチャ混み

2006年06月03日 20時02分57秒 | Weblog
 日本では6月1日から改正道交法施行で、路上駐車が一気に減ったようですね。が、取り締まり官が民間委託ってことで、これから、あれこれトラブルも出てくるでしょうね、きっと。宅配便とか運送業者は路上駐車した場合、運転手が荷物の積み降ろしのために運転席を離れちゃいけないってことで、大手運送会社では助手席に座って待ってるだけアルバイトも急増中とか。このニュースを聞いて、さすがニッポンって思いましたよ。みんな基本的にルールには従いますもんね。
 で、フランス人はどうかっていうと、法には反発する、あるいは無視するってケースが多いかも。トラック一台分の道幅しかない一方通行で、の~んびり荷下ろししてて、後続車がそのまんま一時間待ち! なんてこともあります。文句を言ってもトラックの運ちゃんは「これは私のせいではありません。この荷物があるからそれを運べと言った人、頼んだ人に言ってくれ」と100パーセント主張されます。責任転嫁はフランス人の“おはこ”ですもん。
 さて古い都・パリにはどのくらいの駐車場があるかっていうと、意外や意外けっこうあるんです。地震のないパリの地下は穴ぼこだらけ。メトロが通っているだけじゃなくて、地下5階-6階まである収容台数の多い駐車場がいっぱいあるんです。が、しかし、パリッ子は、そういう駐車場に止めないで、路上駐車しちゃうケースが多いみたい。一応パーキングメーターでの支払いは必要なんですが、無視しちゃう強者がいっぱい。
 しかも、それに伴う違反切符が、大統領が変わったときなどに恩赦になってチャラになる特典(?)が、あるから、これからますます違反者はふえる見込み。だって来年の5月に大統領選があるんですから……。
 今の日本の路上駐車なしの空き空き道路なんて、パリでは夢のまた夢であります。

さよなら、プランセス

2006年06月01日 14時11分10秒 | Weblog
 今から12年前、コリーとシェパードのミックスの子犬が、パリに住むベルナールおじさんとマリークロードおばさんの家にやってきました。当時ご夫婦は、ひどいペットロスに陥っていました。18歳まで長生きしたミックス犬が天寿をまっとうしてしまったからです。涙とため息ばかりの日々……。それを見るに見兼ねた南仏の親類が、オテンバな子犬を強引に送り込んできたってわけです。子犬はプランセス(英語だとプリンセス)と名付けられました。
 翌日からベルナールさんとマリークロードさんに笑顔が戻り、そして散歩コースにあるドッグランへと通いはじめたんです。プランセスはボール遊びの天才です。サッカーのPKみたいに、ベルナールさんがフェイントをかけながらボールを蹴る、と瞬間にキーパー役のプランセスがボールの飛ぶ方向を読み、走って飛んでボールをキャッチ! その姿には「オオー!」「すばらしい!」公園を散歩中の人々からも思わず声がかかるほど。
 そして時は流れて、プランセスが9歳になったとき、3ヶ月のラブラドールがドッグランデビューし、せっかくの好プレーをじゃまするようになってしまいました。プランセスはしつこくつきまとうチビラブに手を焼いて、唸ったりあま噛みをして叱るんですが、それでもチビラブは犬の道を教えてくれるのは彼女しかいないと勝手に決めたようで、いっつもピタッリ! この困ったチビラブがウチのジュエルだったんです。
 それでも名コーチのベルナールさん、名プレイヤーのプランセスの指導の甲斐あって、数ヶ月後にはジュエルも迷キーパーとしてプレーに参加。それからは毎日毎日、いっしょに遊びました。そうプランセスとジュエルは師弟関係になったんです。10歳になっても、11歳になってもダッシュで走れるプランセスは常に注目の的、それに「犬はな、走ってれば病気になんかならないもんさ」とベルナールさんはいつも言ってました。
 が、まさかの脳卒中がプランセスを襲いました。家族との夕食後、団らんのひととき、プランセスは突然パタンと倒れたそうです。ベテラン看護婦のマリークロードさんはその様子をみて、「ああ、これはあと一時間……」と思ったのだそうです。そういうときの症状は人間も犬も同じなんだそう。ご夫妻は動揺しながらも、それでも、慌てて動物病院へ駆け込むこともなく、プランセスを引き連れ回すこともなく、倒れた場所に静かに寝かせ、ふたりでやさしく撫で続けたそうです。そして一時間後、プランセスは天国へと旅立ちました。12歳のお誕生日を迎えることはできませんでした。
 ベルナールさんとマリークロードさんは今、再びペットロスに苦しんでいます。そして事情がわからないジュエルはドッグランで、プランセスが歩いてくる方角ばかりを見て、待ってるんです。
 とっても悲しいことだけど、でも、私たちは待ってます。ご夫妻が新しい子犬を連れて笑顔でやってくる日を。そしたら、今度は、プランセス直伝のボール芸をジュエルが教えてあげますから……。