いまジャーナリストとして

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ソチ五輪と日本・・・アルペンとスピードスケートが冬期競技の基礎体力です。残念ながら、それが日本は。

2014年02月23日 12時39分42秒 | 日記

 ソチ五輪で、日本は、かなりいい結果を残しました。
 しかし、どうしても気になることがあります。
 それは、スキーのアルペン、距離と、スケートのスピー
ド・スケートが、さえなかったことです。
 
 スキーのアルペンと距離、スピードスケートは、ひとつ
の国の冬季競技の基礎体力みたいなところがあります。
 冬期五輪は、採点競技が増えました。
 人気種目であるスキーのモーグルや、フィギュアスケー
トやスノーボードのHP(ハーフパイプ)は、典型的な採
点競技です。
 しかし、アルペンとスピードスケートは、格好はともか
く、速い選手が勝つという、単純明快な種目です。
審判の裁量や感情が入る余地はありません。

 夏の五輪でも、同じように、基礎体力にあたるスポーツ
があります。
 それは、陸上と水泳です。
 陸上と水泳は、ただただ、速い選手が勝ちます。

 夏でも冬でも、基礎体力に相当する種目が強い国は、
ほかの種目も強くなります。基礎体力に当たる種目は、
スポーツの裾野のようなものです。裾野が広いと山が高く
なります。
 基礎体力に当たる種目が強くてこそ、その国のスポーツ
は、本当に強いのです。
 
 夏の五輪で、陸上と水泳の強い国といえば、まずは、ア
メリカでしょう。あとは、オーストラリア、ロシア、とい
ったところでしょうか。


 冬の五輪では、スキーのアルペンの強い国は、オースト
リア、スイス、ドイツ、距離の強い国は、ノルウエー、ス
ウェーデン、ロシアといったところでしょう。 
 スピードスケートの強い国は、今回は、なんといっても
オランダでした。

 では日本はというと、スキーのアルペンは、回転に湯浅、
佐々木の両選手が出場しましたが、大回転、スーパー大回
転、滑降は、出場選手さえいません。
 スキーの花形の競技で、出場する選手さえいないという
のは、どういうことでしょう。
 距離は、女子の石田選手がひとりでがんばっているよう
なものです。
 湯浅、佐々木、石田といった選手が引退したら、その後
はどうなるのかと、心配になります。

 スピードスケートも、今回、500メートルで金を狙っ
た長島、加藤両選手が、メダルを逃し、引退を示唆してい
ます。
 長島、加藤両選手は、前回のバンクーバーに続く出場で、
それは素晴らしいことですが、実のところ、この2人に続
く若手がまったく出てきていないのです。
 この2人が引退したら、いったい、どうするのか。
 女子も、田畑、小平両選手が健闘しましたが、この2人
の後の選手が、よく見えません。

 繰り返しますが、アルペン、距離、スピードスケート、
そして、夏の陸上、水泳、そういった競技は、その国の
スポーツの基礎体力です。
 今回のソチで、メダルは、そこそこ、取りました。
 しかし、アルペン、距離、スピードスケートでは、世界
との差が広がってしまった。
 とくにアルペンと距離は、深刻です。出場する選手さえ
いないという意味では、アルペンが最も深刻かもしれませ
ん。
 そうやって分析すると、ソチ五輪での成績を、過大評価
してはいけないのです。
 
 ソチの最終日、日本チームの橋元聖子団長らが会見して
いましたが、メダルの数が、長野以来の多さだったという
ことに終始していました。
 
 考えてもみてください。日本にはスキー場がたくさんあ
ります。そこで、大勢のスキーヤーが滑っています。それ
がアルペンの裾野です。ゲレンデのスキーヤーが、自分の
滑っているスキーが、アルペン種目として、世界につなが
っているんだと思えば、気持ちのいいものです。
 ところが、回転をのぞき、出場さえしていない。
 日本のスキーは、世界に通用しないのか。
 いや、通用するしないを言う前に、そもそも、世界を考
えもしていないとすれば、それは、寂しいことです。

 今回のソチは、話題が多かった。
 メダルもそこそこ取った。

 しかし、これで成功だと思ってしまえば、日本の冬期競
技は、未来がありません。
 基礎体力に当たる種目、具体的には、アルペンと距離、
スピードスケートの育成と充実がなければ、日本の冬期
競技は、これ以上の発展は、なかなか、ないのではないで
しょうか。