いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

とうとうこの日が来ました・・・三洋電機を買収した中国のハイアールが本格的に日本進出です。

2012年02月17日 14時35分41秒 | 日記

 とうとう、この日が来ました。
 新聞各紙に、まるまるいちページを使った全面広告が出
ました。モデルは小泉今日子さんです。ファッションの広
告かと思えば、これが、
中国の家電メーカー ハイアール社
 の広告なのです。

 冷蔵庫の広告でした。
 ブランド名は、アクア といいます。


 実は、つい最近まで、これは、三洋電機でした。
 三洋電機は経営不振に陥り、パナソニックによって買収
されました。
 しかし、三洋電機とパナソニックは、重なる商品が非常
に多いのです。冷蔵庫、洗濯機のいわゆる白もの家電がそ
うです。テレビもそうです。電気掃除機、デジタルカメラ
もそうです。充電式の乾電池もそうです。
 むしろ、重なっていない商品を探したほうが早いぐらい
です。

その結果、パナソニックは、三洋電機を買収したあと、
重なった部分を、中国の家電メーカーであるハイアールに
売却したのです。
重なった部分が非常に多いので、結局のところ、これ
は、三洋電機の主力部門を、そのままハイアールに売り払
ったのと同じことになります。

単純にいえば、三洋電機は、パナソニックを通じて、
中国企業に売却されたようなものです。
大きな疑問は、パナソニックの経営陣は、いったい、
何を考えていたのかということです。
本当におかしい。

三洋の主力部門を買収したハイアールは、早速、三洋
の冷蔵庫を、日本市場に投入してきました。
それが、小泉今日子さんを起用した新聞の大広告です。

ハイアールが使う「アクア」というブランド名も、も
ともとは、三洋電機が自ら開発したブランドです。
この「アクア」は、きっと、それなりのシェアを取る
でしょう。
なんのことはない。
パナソニックは、自分で自分の首を絞めているのです。
経営陣の責任は大きいでしょう。

これなら、三洋電機を買収する必要はなかったという
ことになります。
三洋電機も、もう少し、自分でがんばれなかったのだ
ろうかと、非常に残念です。

しかし、とうとうこの日が来たーーというのは、別の
意味があります。
長い間、世界市場で大きなシェアを持ち、世界市場の
トップであり続けた日本の電機メーカーが、とうとう、
中国企業の傘下に入ってしまったということです。

日本の電機メーカー、家電メーカーは、自動車企業と
ともに、戦後、一貫して、日本経済を牽引してきました。
電機と自動車は、日本経済のクリーンアップ、3番と
4番です。
 それが、とうとう、中国の軍門に下ったわけです。

 しかし、実は、日本企業は、1970年代、80年
代に、アメリカで同じようなことをしてきました。
 日本の家電メーカーのお家芸だったカラーテレビ
は、日本企業の技術者たちが、戦後、アメリカの電機メー
カーであるRCAに留学し、その技術を学んできたのです。
学んできた技術でカラーテレビを作り、日本の電機メ
ーカーは1980年代にはアメリカ市場を制覇してしま
いました。先生役だったRCAはフランスの企業に売却さ
れていきました。
いま、アメリカ企業で、テレビを作っている企業はひ
とつもありません。

今回のハイアールは、当時のアメリカ市場における日
本企業とそっくりです。
日本の家庭に、中国製の冷蔵庫や洗濯機が入り込む日
が、とうとう、やってきました。
日本経済は、今後、どう進んでいくべきか。
引くに引けない正念場を迎えたようです。日本人は覚
悟しなければなりません。