いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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6カ国協議の進展に期待する/山崎孝

2007-01-31 | ご投稿
【北京で米朝金融協議 制裁解除の行方焦点】(1月30日付中日新聞ニュース)

【北京30日共同】北朝鮮に対する金融制裁をめぐる米国と北朝鮮の協議が30日午後、北京の米国大使館で行われた。中国外務省は同日、核問題をめぐる6カ国協議を2月8日から北京で再開すると発表した。金融協議は数日間続く見通しで、6カ国協議の前哨戦。北朝鮮が求める金融制裁解除に米国がどう対応するかなど金融協議の行方が、その後の6カ国協議の展開を大きく左右する。

6カ国協議は昨年12月に休会した第5回協議の第3ラウンドと位置付けられる。会期は不明だが、協議筋は1週間前後との見通しを示している。北朝鮮の核施設凍結や査察受け入れなど核放棄に向けた初期段階の措置をめぐり、具体的な実行プログラムまで確定できるかどうかが最大の焦点。(以上)

【6カ国協議:日本も軟化の兆し 足並みそろえ支援検討】(1月31日付毎日新聞ニュース)

北朝鮮の核問題に関する6カ国協議再開に向け、北朝鮮への「圧力一辺倒」だった日本の姿勢に軟化の兆しが見え始めた。北朝鮮が核放棄に向けた措置の実施を表明した場合、各国の「見返り」措置と足並みをそろえる支援策の検討に着手した。背景には米朝対話ムードの影響に加え、拉致問題をめぐる北朝鮮との直接交渉を実現するには、強硬姿勢だけでは困難との判断があるようだ。

「北朝鮮が核放棄に向けて具体的な行動を取るように、6カ国協議を有効に活用してよい結果を出していきたい。結果が出なければ、国際社会の圧力はさらに高まっていく」。安倍晋三首相は30日、北朝鮮に核放棄を求める強い姿勢を記者団に強調した。

ただ今回の協議は、ベルリンでの米朝協議を受けて北朝鮮の核放棄に向けた進展が見込まれ、焦点は各国の「見返り」に移る可能性が高い。日本は「拉致問題の解決なくして支援なし」の立場だが、外務省幹部は「各国が支援を表明して、日本だけ何もしないわけにはいかない」と語る。北朝鮮籍船の入港禁止など日本独自の制裁解除は困難だが、政府筋は「制裁を続けながらの支援はできる」と、人道支援の検討に含みを残す。

今回の協議では、日朝国交正常化を含むテーマ別の作業部会が設置される見通し。日本は拉致問題解決を北朝鮮に直接訴える構えだが、外務省幹部は「(05年の第4回協議で採択した)共同声明には国交正常化も書いてある」と述べ、作業部会が実質的な国交正常化交渉につながり、拉致問題以外も議論される可能性を示唆する。

国内には安倍政権に対し、北朝鮮への強硬姿勢を求める声はなお根強いだけに、政府は国際情勢と国内世論をにらんだ慎重な対応を迫られる。【大貫智子】(以上)

中川昭一氏が国会の代表質問で《北朝鮮に「対話と圧力」で臨むのが基本方針だが、北朝鮮は自ら対話を閉ざしているため、諸外国とともに圧力をかけていかなければならない。》と述べたことを昨日は紹介しましたが、6カ国協議の進展状況は中川氏の思惑が外れそうで《外務省幹部は「各国が支援を表明して、日本だけ何もしないわけにはいかない」》という状況になりそうです。

6カ国協議を進展させ成功させることは、東アジアの平和と安定につながり、日本の軍拡や改憲の口実に打撃を与えると思います。私は6カ国協議が成功に向けて進展することを期待しています。

拉致問題も話し合わない限り、北朝鮮からの正確な情報は得られません。米国と北朝鮮は対話を重ねることによって、双方の考えを深く理解し合うことになり、進展させる糸口を見出したと思えます。要は対話に失敗すれば圧力があると考えるのではなく、あくまでも対話での解決の態度を堅持して真剣に取り組みかどうかです。

米国が対話を粘り強く重ねたのは、イラク政策の失敗でブッシュ政権内の強硬派(ネオコン)の力が弱まり、穏健派・現実派が北朝鮮問題では主導権をとるようになったからだと言われています。

1月31日付朝日新聞の報道を抜粋します。《米国の最大の懸案はイラク問題だ。対応に追われる米国は、北朝鮮まで手が回らないのが実情。さらにボルトン国連大使が辞任、ジョセフ国務次官が時評を出すなど、北朝鮮との安易な妥協を嫌う人々が政権内から去り、対話が重んじるヒル国務次官補らの発言が強まっている。初日の金融協議に臨む前、グレーザー米財務次官代理は記者団に「進展に期待を持っている」と意欲をみせた。》

北朝鮮の事情は国内経済の窮状の打開を援助により打開しようとする考えです。外国の支援が受けなければ国の経営が出来なくなっている国を脅威などと大きく宣伝するのは、周知のように日本の軍事体制を強化するのに都合が良いから、改憲を宣伝するのに有利からです。

日本は拉致問題があるためにこの宣伝が国民に受け入れられやすい下地があります。先日も拉致被害者家族会の講演に参加した人と話をしましたが、講演者は拉致の問題は、金正日政権が倒れなければ解決できないと述べたと言いました。政権が倒れるような大混乱が起きたとき、拉致された人たちは大丈夫なのでしようか、心配です。

拉致問題は本来的には警察分野に関係し、軍事の分野とは関係がありません。不審船に対する取り締まりは、海上保安庁が高速の巡視船とヘリコプターを増強して対応を図っています。なによりも拉致問題が起こった時代背景を理解することが一番肝心です。北朝鮮と韓国が鋭く対立していた時代に起こった出来事です。現在は南北関係は、様変わりしています。穏やかな方法で拉致問題は解決すべきです。

中川昭一氏の自民党の国会代表質問を考える/山崎孝

2007-01-30 | ご投稿
中川昭一氏は、1月29日、国会の代表質問で、憲法改正手続き法案は、一刻も早い成立が望まれる。法案成立後に衆参両院に設置される憲法審査会で、あるべき憲法の姿について十分な審議が尽くされるものと考える。

外交の最大課題は北朝鮮問題で、拉致・核・ミサイル問題の全面的な解決が一日早く待たれる。拉致問題は世界的異常のひとつ。北朝鮮に「対話と圧力」で臨むのが基本方針だが、北朝鮮は自ら対話を閉ざしているため、諸外国とともに圧力をかけていかなければならない。政府は日本の最重要政策の一つと認識し、国の威信にかけて取り組むべきだ。

集団的自衛権やミサイル防衛など真の日米同盟関係をいまこそ確立すべきだ。米軍再編問題の処理を急ぎ、日米間の情報共有、対話、共同行動など同盟関係の一層の深化が必要だ。中国の宇宙での軍事行動や東シナ海の海洋軍事行動の拡張政策など不透明が拡大し、脅威が増している。(以下略 朝日新聞報道)と述べました。

中川氏は「拉致・核・ミサイル問題の全面的な解決が一日も早く待たれる」と考えていますが、核・ミサイル問題の全面的な解決を真剣に考えているのであれば、「核・ミサイル防衛」を確立する必要のウェイト低くなるはずです。であるならば、核・ミサイル問題に対処するための日米同盟の確立は強調しなくても論理的には良いはずです。

世界の異常の最大のものは、米国のイラク政策だと思います。世界や米国の与党共和党の政治家ですら、イラクへの増派に反対しているのに、増派を行おうとしています。自民党政府がイラク戦争のもたらしたことに眼をつぶっていることも異様のことの一つです。

拉致問題は北朝鮮が他国の人の連れ去り、人の尊厳を踏みにじる不法行為で異常なことです。イラク戦争は、米国が他国の国に大規模に侵攻して、少なくとも4万人以上の人の命を奪った一大不法行為です。それなのに中川氏は、米国との軍事同盟強化を主張することは、論理的な整合性がありません。

中川氏は「北朝鮮は自ら対話を閉ざしているため」と述べていますが、米国、中国、韓国、ロシアとは対話を閉ざしていません。特に米国と北朝鮮は、金融制裁問題で1月に入り積極的に会談して1月30日も話し合っています。その積み重ねが2月8日に6カ国協議が行われる予定となるまでになりました。

日朝の対話が途切れてしまったのは、制裁一本やりで圧力ばかりだったからです。「諸外国とともに圧力をかけていかなければならない」といっていますが、対話できる方向に結びつかない圧力は効果がありません。

中川氏は「中国の宇宙での軍事行動や東シナ海の海洋軍事行動の拡張政策など不透明が拡大し、脅威が増している」と述べていますが、宇宙の軍事化に先に手を出したのは米国です。日本は米国の宇宙の軍事化である次世代ミサイル防衛網構築に、国是である武器輸出禁止の特例解除まで行い協力しています。

1月26日の朝日新聞記事には《中国は従来、米国が先行している宇宙開発では、「軍拡防止」を主張。兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の策定交渉にも「宇宙」を絡めようとして、米国と鋭く対立し、日米のミサイル防衛システム構築にも懸念を示してきた》と書かれています。

中国の宇宙での軍事行動は、日米の宇宙利用の軍拡に対抗したものです。日本自らのことを棚に上げて中国の脅威を主張することは筋が通りません。日本、米国、中国は宇宙の軍事化をそろって止めるべきです。

中川氏が述べる「日米同盟関係の一層の深化が必要」は、安倍首相が1月に行ったアジア外交や6カ国協議の方向とは正反対の考え方です。

山田宏・杉並区長が育てたい教師像/山崎孝

2007-01-29 | ご投稿
【新たな慰安婦決議案提出へ 米下院、可決の公算】(1月26日付け中日新聞ニュース)

【ワシントン26日共同】太平洋戦争中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認めるよう求めた新たな「従軍慰安婦決議案」が来週にも、米下院に提出されることが26日、分かった。民主、共和両党の議会筋が明らかにした。

慰安婦決議案は過去に4回提出。昨年初めて下院外交委員会で可決された後、廃案となっていた。今回は審議に大きな権限を持つペロシ下院議長(民主党)が前回決議案に理解を示していたこともあり、初めて本会議で可決される公算が大きいという。安倍晋三首相が今春の初訪米をにらむ中、歴史問題が日米関係にも影を落としそうだ。

日系のホンダ下院議員(民主)や共和党有力者を共同提案者とする超党派決議案になる。新たな決議案は前回よりも、「人権」と「女性の権利」に力点を置き、日本に歴史教育の強化を訴えているのが特徴。(以上)

「新しい歴史教科書をつくる会」の会報「史」は、扶桑社版の教科書の改訂版のポイントを「日本を糾弾するために捏造された『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている」と先日も紹介しています。

中日新聞のニュースを見れば、「新しい歴史教科書をつくる会」の述べた『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などは、旧敵国のプロパガンダである主張は、従軍慰安婦強制連行問題の当該国でない米国の議会提出の「従軍慰安婦決議案」で、全くの根拠を失ったことになります。

2006年3月29日、文部科学省は、来春から主に高校一年生で使われる教科書の検定内容は、戦時中の従軍慰安婦について「日本軍により慰安婦にされた」という記述を「日本軍の慰安婦にされた」と書き直させ、軍の責任をあいまいにするなど、侵略の事実を隠そうとする検定がおこなわれました。日本政府の1993年8月4日の「河野内閣官房長官談話」は朝鮮人慰安婦の「募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行なわれた」と、日本軍の関与を認めていますから、この談話からの逸脱です。

 検定ではこのほか、南京大虐殺の犠牲者数を20万人とした教科書に対して「諸説を配慮していない」と書き直しを求めています。

「世界」2007年2月号に掲載されている熊谷伸一郎氏の「ルポ 一部自治体がすすめる『師範』養成」を参考にして述べます。

2005年、杉並区と埼玉県で「師範」という名前を冠した教員養成機関が相次いで発足した。その背後には「新しい教科書をつくる会」や松下政経塾、日本財団などの姿が見え隠れする。彼らの狙いは何か。

山田宏・杉並区長は、育てたい教師像として、「明日を考える教師」、「人間味あふれる教師」などを挙げるが、4点目に「日本人が本来持っている資質や能力を生かすとともに、わが国の歴史や伝統を尊重し、ふるさと杉並や日本を大切にする教師」となっています。

この教員養成機関「師範館」に対して、杉並区は区税を年間で数千万円補助金として支出しています。教育委員会の職員も派遣して、区の建物を使用させています。

「わが国の歴史や伝統を尊重」する教師を育てるための「師範館」の講師の中には、アサヒビール名誉顧問の中條高徳氏がおり、「つくる会」会誌「史」の2004年7月号に「靖国神社に詣でることをしない政治家に、国政に参加する資格はない」と書いたことで、アサヒビールは中国で不買運動にあっています。

中條高徳氏は評論家で安倍首相のブレーンの渡辺昇一氏との対談集「子々孫々に語り継ぎたい日本の歴史」では、南京虐殺事件や東京裁判の否定論を述べる。憲法改正を主張しています。

「師範館」のことは、日本のマスコミには取り上げられなかったが、「ニューヨークタイムズ」2006年6月11日付けで取り上げられ、「日本の保守主義者が戦前の『美徳』を学校で推進」というタイトルで書かれ、「軍国主義」的な傾向を批判されています。

安倍首相は1月26日の施政方針演説の中で《教育委員会については、期待されている機能を十分に果たしているとはいえません》と述べています。仮に「師範館」の育てたいとする「わが国の歴史や伝統を尊重し、ふるさと杉並や日本を大切にする教師」を、中條高徳氏のような歴史観の講師で養成するようなことを教育委員会に期待するのであれば、日本の歴史教育は歪曲され、自由と民主主義とは相容れないことになります。

日本人の多くが望んでいるのは朝日新聞世論調査で明らかになったように「愛国心とアジアへのへの反省を両立させている」人間像です。愛国心は政府の政策に順応するのではなく、政府の政策に誤りがないかを見つめ、誤りがあれば正そうとする愛国心です。

政府のイラク政策は国民が検証して選挙権を行使する/山崎孝

2007-01-28 | ご投稿
【増派反対決議案を可決 イラクで米上院外交委】(1月25日付中日新聞ニュース)

【ワシントン24日共同】米上院外交委員会は24日、イラク駐留米軍の一時増派に反対する超党派決議案を12対9の賛成多数で可決した。決議案は来週にも上院本会議で審議され、修正協議を経て可決される公算が大きい。ブッシュ大統領は前日の一般教書演説で、2万人超の米軍増派を柱とするイラク新政策が「成功への最善の機会」として支持と理解を求めたが、議会側が早くも拒絶した格好。決議案に拘束力はないが、計画通り増派を進める方針の大統領と、増派反対の議会が全面対決する構図となってきた。

外交委では、民主党の全議員が決議案に賛成。与党共和党からは共同提案者のヘーゲル議員のみが賛成したが、大多数の同党議員が増派に懸念を表明した。

これに対し、ブッシュ政権側は「(決議案は)われわれを止めはしない」(チェイニー副大統領)と強硬姿勢を崩していない。

【米首都でイラク反戦集会 開戦以来最大の規模】(1月27日付中日新聞ニュース)

【ワシントン27日共同】イラク戦争に反対し、米軍の増派阻止を目指す大規模な反戦集会が27日、米国の首都ワシントンの連邦議会議事堂周辺で開かれる。

主催者によると、集会には全米の少なくとも30州から数十万人の参加が見込まれ、2003年3月のイラク戦争開戦以来、米国内で行われた反戦集会の中でも最大規模とみられる。

主催者は全米1400以上の草の根平和団体、市民権運動団体などの連合組織「平和と正義のための連合」。代表者のレスリー・ケーガンさんは「昨年の中間選挙で米国民は戦争反対の意思を明確に示した。次は早期の米軍撤退実現に向け民意を託された議会が行動する番だ」と話している。(以上)

このように米国では、ますますブッシュ政権のイラク政策は、国民や議会の反対を受けています。しかし、麻生外相の1月26日の外交演説は《航空自衛隊の活動が続くイラクでは、治安の改善が最優先課題だ》として、活動を続ける方針です。イラク戦争がもたらした世界周知の事実に基づいて、航空自衛隊の米兵などの戦闘員と物資の輸送がイラクの治安改善に役立っているのかという検証。「世界とアジアのための日米同盟」と規定した米国のイラク政策に対する検証がなされていません。

ブレア首相が「大惨事」と認めた事実に基づかない政策は、大きな国費の無駄遣いです。しかも自衛隊員には大きな危険をともなった活動です。

政府が検証しなければ、選挙権を持つ国民がイラク政策を検証して選挙権を行使する必要があります。

時代の変化についていけないのは日米同盟を要とする外交/山崎孝

2007-01-27 | ご投稿
安倍首相は26日の施政方針演説の中で「はじめ」のところで《憲法を頂点とした、行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みの多くが、21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明白です》と述べています。

「主張する外交」のところでは《「世界とアジアのための日米同盟」は我が国外交の要であります。日本を巡る安全保障の環境は、大量破壊兵器やミサイル拡散、テロとの闘い、地域紛争の多発など、大きく変化しています。こうした中で、日本の平和と独立、自由と民主主義を守り、そして日本人の命を守るために、日米同盟を一層強化していく必要があります。米国と連携して、弾道ミサイルから我が国を防衛するシステムの早急な整備に努めます。さらに、世界の平和と安定に一層貢献するため、時代に合った安全保障のための法的基盤を再構築する必要があると考えます。いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権行使に該当するのか、個別的具体的な類型に即し、研究を進めてまいります》と述べています。

私は《「世界とアジアのための日米同盟」は我が国外交の要》と規定したことこそ、《21世紀の時代の大きな変化についていけなくなっていることは、もはや明白です》。日本外交は、世界の良識が示される国連を要にすることでなければと思います。

安倍首相は「主張する外交」のところで《私は首相就任直後、中国及び韓国を訪問して、首脳レベルで胸襟を開いて話し合いを行い、両国との関係を改善しました。中国とは、両国国民にとってお互いの利益になるよう、戦略的互恵関係を築いてまいります。韓国との間でも、未来志向の緊密な関係を築いてまいります》と、自ら行った外交を協調しています。

「胸襟を開くとは」相手を信頼することで可能になります。これを基本にして「戦略的互恵関係」を築くとは、相互扶助の経済関係を基盤にして隣国やアジアの国との関係を強化して、日本の周辺事態とする中国と台湾の軍事紛争や朝鮮半島有事が起こらないように日本が活動することだと思います。中国の基本政策は大陸と台湾との互恵関係を目指しています。韓国の北朝鮮宥和政策を支持して、韓国と北朝鮮の平和的統一を日本が支援することだと思います。アジアの国に不信感をもって日本の周辺事態を想定して、紛争に介入する米国を支援するために集団的自衛権行使を可能にする憲法を持つことと正反対のことです。

安倍首相が主張する「日米同盟は血の同盟」にすることは、自衛隊員「日本人の命を守るため」とは大きく矛盾します。「日本の平和と独立、自由と民主主義を守」ることと、改憲とは相容れません。日米同盟で集団的自衛権行使が出来るようになれば、2006年1月に要求された「自衛隊にイラクの治安維持活動の要求」を現行の法律では出来ないとして断ることは出来ず、覇権国家である米国の要求をのまざるをえないようになります。個人の尊厳を尊ぶことが民主主義の基本ですが、改憲は国家を個人より上位に位置づけて個人に国家の縛りをかけることを狙っています。

「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権行使に該当するのか」は、明確です。憲法は日本の領域で攻撃されたときのみに自衛権が発動でき、それ以外はできない。自衛隊を持つときに自衛隊は国を守るための最小限度の戦力(個別的自衛権)から持たないから違憲ではないとする政府の釈明であり、歴代政権が国民に自衛隊は専守防衛の組織と明言して、これを根拠に国民の多くは自衛隊を受容れるようになっていきました。このような経緯をもつ国の最高法規の解釈を勝手に変えることは出来ません。

「21世紀の時代の大きな変化」や動向とは、イラクの大量破壊兵器の疑惑を武力で持って解決しようとした米英のイラク先制攻撃に対して、戦争をする前から世界の人たちが国際紛争に武力を使うなと、大きな反対運動を起こしたこと。レバノン紛争に対する国連の対応は、武力を使うな、即時停戦をでした。北朝鮮の核実験に対する国連の対応は、武力制裁を排除して話し合いの場である6カ国協議に北朝鮮を呼び戻すことでした。経済制裁はそのための手段と位置づけられ、国連加盟国に紛争を拡大する行為を戒め、北朝鮮政権を倒すことではありませんでした。

武力を手段に用いると、イラク戦争では平和と安定に全く役に立たず、かえって秩序が破壊され国際テロ組織に活躍の場を与え、そして内戦の様相さえ示し泥沼化が起こることを教えたことでした。

20世紀のヨーロッパの大きな変化は、欧州連合の拡大による多国間での経済の相互扶助と安全保障でした。21世紀にはいってからもこの欧州共同体はアジアにおいても評価されて、2007年1月にはASEAN諸国と日中韓の間で東アジア共同体の構築が確認されました。

決して国の骨格であり、世界平和への理念を示す憲法を変えてまで、二国間の軍事同盟を強力にする方向ではありません。

安倍首相の改憲願望と世論との落差は歴然/山崎孝

2007-01-26 | ご投稿
【世界社会フォーラムで共感/世界平和に9条が効く】(1月24日「しんぶん赤旗」ニュース)

 【ナイロビ=岡崎衆史】ナイロビで開催中の世界社会フォーラムで二十二日、憲法九条に関する分科会が開かれ、日本だけでなく世界の平和にとっても戦争と軍隊を放棄する九条が有効だとの考えを参加者が共有する機会になりました。また、九条を初めて知ったアフリカの人からも地域での安全保障の力として強い関心が寄せられました。

 約五十人が参加した分科会では、まず、大阪中央法律事務所の梅田章二弁護士が、平和憲法下、本来軍隊を持たないはずの日本が、イラクに自衛隊を派兵するまでに至りながら、九条があるために他国の国民を殺してはいないことを指摘。「安定と平和のために九条はかかせない」として、これを世界に広げるよう呼びかけました。

 平和で公正なアジアを目指す非政府組織(NGO)「新しい代案のためのアジア地域交流」の李大勲・韓国代表は、「憲法九条は日本が戦争したことを謝罪し、二度と繰り返さないことを表明したものだ」とし、「九条を変えれば、他の国も安全保障政策を変えることになる」と、九条改定が軍拡競争などアジアの不安定化を広げると警告しました。

 会場からは、フィリピンや中国などアジア諸国とともに、アフリカの出席者からも、「九条を自国でどうやって広げていくのか」などについて質問が相次ぎました。

 ウガンダの男性が武器の売買が日常化し、紛争が絶えないアフリカにとっての九条の意義を質問すると、司会の川崎哲さん(ピースボート)が、九条の平和主義の思想が小火器を含む武器売買やその拡散を防止することにつながることを説明し、男性がうなずく場面がありました。

 ケニアに住むカトリック修道女のサロメ・ムウェンガさんは、九条の平和思想を「それぞれの国に応じた形で草の根から広げることが大事だ」と訴えました。(以上)

★自らの歴史観とアジア外交とのジレンマ

安倍晋三氏は、昨年の自民党総裁選挙時の政権公約の柱に「歴史を大切にする」と「隣国との外交改善」を立てていました。私は安倍晋三氏が以前から披瀝してきた歴史観に基づく歴史の大切な仕方では、両立は出来ないと考えました。しかし、安倍首相は自らの自虐史観批判を封印して、従来からの政府の歴史的見解である「村山首相談話」や「河野官房長談話」を継承して、これからの靖国神社参拝は曖昧にしたままですが、中国と韓国との首脳会談を実現させました。

特に中国を訪問したときは、《安倍首相は参拝するかは言及しないとした上で、「政治的困難を克服する観点から適切に対処したい」と表明した。安倍首相はまた、国際的課題も含め日中の共通利益を追求する「戦略的互恵」の構築を提案し、胡主席も賛同した》と報道されています。

「政治的困難を克服する観点から適切に対処したい」これは小泉政権下で中韓との関係がこじれたのは首相職の靖国神社参拝ですから、論理的に言えば参拝はしないと解釈できます。このような態度が中韓に評価されて、日中首脳会談で合意された《「戦略的互恵」の構築》と同じ方向の今年1月の「日中韓報道声明」へと結びつきます。そして東南アジア諸国連合と日中韓の首脳会議では東アジア共同体創設に向けた取り組みの強化が確認されました。

これらを見れば自らの歴史観を露出させたい欲求と円滑なアジア外交を進めなければならない使命との間でジレンマが起きています。

★「世界社会フォーラム」で、李大勲・韓国代表が、「憲法9条は日本が戦争したことを謝罪し、二度と繰り返さないことを表明したものだ」とし、「9条を変えれば、他の国も安全保障政策を変えることになる」と、9条改定が軍拡競争などアジアの不安定化を広げる、と述べたように、改憲を進めればアジア外交との間にも対立関係が生まれます。

★安倍首相の改憲願望と世論との落差

安倍首相は7月の参院選の争点に改憲を掲げました。しかし、世論は次のような状況です。

読売新聞が23日に発表した世論調査の中で、調査対象者に《次の課題の中で、あなたが、安倍内閣に優先的に取り組んでほしいものがあれば、いくつでもあげてください》という設問の結果は、「年金や医療など社会保障制度改革」63.0%、「景気・雇用対策」53.0%で1地番と2番を占めます。

平和と地域の安定に関する課題では「北朝鮮問題」31.3%、「中国や韓国などとのアジア外交」14.6%、「防衛・安全保障」11.5%で、「憲法改正」は18項目中の下から3番目に位置した7.0%となっています。これを見れば小泉首相の改憲願望と世論との落差は歴然としています。

安倍首相が改憲の問題を、日米同盟を強化することが日本の防衛と安全保障と強く考えているのに対して、「防衛・安全保障」11.5%、「憲法改正」7.0%の結果が示すように、必ずしも国民は日本の「防衛・安全保障」が「憲法改正」と一体のものして捉えていないようにも思われます。

愛国心とアジアへの反省は両立できる/山崎孝

2007-01-25 | ご投稿
国民の8割が自分に愛国心が「ある」と思い、そのうち9割は先の戦争で日本がアジア諸国におこなった侵略や植民地支配を「反省する必要がある」と考えていることが、朝日新聞社の世論調査(面接)で分かった。歴史問題をめぐり、中国、韓国と日本の摩擦が取りざたされるが、日本人の多くは、愛国心をもちつつ、日本の過去の歴史も冷静に見つめているといえそうだ。

調査は昨年12月2、3日、全国の有権者3千人を対象に面漢方式で実施した。

 日本に生まれて「よかった」という人は94%にのぼった。愛国心が「ある」は「大いにある」20%、「ある程度ある」58%を合わせて78%に達した。愛国心が「ある」は若いほど少ない傾向があるが、最も少ない20代でも63%と、「ない」の37%を大きく上回る。ただ、「大いにある」に限ると20~40代は1割前後とあまり多くはない。

日本に生まれて「よかった」という人では愛国心が「大いにある」が21%、「ある程度ある」が60%と、いずれも全体を上回った。自分が生まれた日本が好きという気持ちが愛国心に結びついている様子がうかがえる。

日本の侵略や植民地支配については「反省する必要がある」が「大いに」32%、「ある程度」53%を合わせて85%にのぼった。年代による差はほとんどない。愛国心が「ある」人でみると、「反省する必要がある」は88%とさらに多い。また「愛国心が大いにある」人で「大いに反省する必要がある」が39%と全体を超えているのも目を引く。愛国心とアジアへのへの反省を両立させている国民の姿が浮かぶ。

 日本人は愛国心を「もっと強く持つべきだ」との見方は63%で、「そうは思わない」の27%を大きく引き離した。

 だが、愛国心を学校で教えるべきかどうかでは、「教えるべきもの」

50%と「そうは思わない」41%が撲近する。50代以上では「教えるべき

もの」が、40代以下では「そうは思わない」が多数と、見方が割れるの特徴的だ。昨年の教育基本法の改正では「愛国心」条項が新設されたが、若年層を中心に愛国心教育への抵抗感は根強いようだ。(以上)

2005年7月、栃木県大田原市の教育委員会は、来年度から市立中学校で使う歴史、公民教科書に扶桑社の教科書を採択した。採択の理由を同市の小沼隆教育長は「自国の伝統、歴史を正しく学習して日本という国に愛着を持った子どもが育つと思う」と述べています。

この発言の背景には、従来の教科書が戦前の歴史の負の部分を強調している「自虐史観」と捉えて、それに対抗するために自民党の政治家と学者の一部が結託して扶桑社の教科書をつくり、当時の安倍幹事長が激を飛ばして採択運動を起こしていました。採択目標の10%をはるかに及ばない0.4%でした。

朝日新聞社の調査では「愛国心とアジアへの反省を両立」させています。そして、取り立てて愛国心教育を行わなくても愛国心は持ちます。さらに歴史を正しく認識することこそ、国際的な感覚を持ち、国際社会に受けいれられる真の愛国心を持つことができます。

扶桑社の教科書は大東亜戦争を「自存自衛の戦争と宣言した」と書き、そして「新しい歴史教科書をつくる会」の会報「史」は、改訂版のポイントを「日本を糾弾するために捏造された『南京大虐殺』『朝鮮人強制連行』『従軍慰安婦強制連行』などの嘘も一切書かれていません。旧敵国のプロパガンダから全く自由に書かれている」と述べています。このような観点の教科書では「歴史を正しく学習」することなどは出来ません。

憲法を守り生かすことにおいても、事実を正確に捉えて宣伝していけば、現行憲法が世界の動向に正確に対応できること、その理念に未来性があることを理解してくれる基盤が日本人にあることを、朝日新聞の世論調査は示しています。

戦争に参加すれば心は傷つく/山崎孝

2007-01-24 | ご投稿
【自衛隊員の自殺 イラク戦争が苦しめている】(1月23日「しんぶん赤旗」主張より)

 イラクから帰還した自衛隊員の自殺が、七人(陸上自衛隊六人、航空自衛隊一人)にもなっていることが明らかになりました(十四日付「しんぶん赤旗」で既報)。

 自殺の増加は、戦場であるイラクでの活動と大いに関係があるとみられます。安倍首相はNATO本部を訪れたさいの演説で「自衛隊が海外での活動をおこなうことをためらいません」と公言しました。イラク派兵は大義のないアメリカの侵略戦争を助け平和の願いを踏みにじっているだけでなく、隊員とその家族をも苦しめていることを直視すれば、とても口にできる発言ではありません。

★2倍に上る自殺率 本紙が入手した防衛省の内部文書は、二〇〇四年一月からイラクに派兵された五千五百人あまりの自衛隊員のうち、帰国後の自殺者が相次いでいることを認めています。

 見過ごせないのは、自衛隊員全体に占める自殺者の割合とくらべても、イラク派兵隊員の自殺の割合が突出して高いことです。額賀福志郎防衛庁長官はすでに昨年の国会で、自衛隊員全体の自殺率に比べ、イラク派兵隊員の自殺率は「二倍ぐらいの数字になっている」と認めています(昨年六月二十二日、衆院イラク特別委員会)。二倍以上というのは、異常事態というほかありません。

 全体の数は明らかになっていないものの、自殺ばかりでなく、自殺未遂やうつ病、職場への順応ができない隊員が相当数増えていることも深刻な問題です。

 もちろん自殺やうつ病とイラク派兵との関連は断定できません。しかし、少なくとも自殺率が二倍に達するという事実は、自殺がイラク派兵と無関係ではないことを示しています。イラク帰りの隊員の自殺率が高いのは、危険な地域で活動を強いられてきたからと見るのが自然です。

 陸自の場合撤退を終えたものの、サマワで占領米軍の仲間とみられ、駐屯地に迫撃砲を撃ち込まれ、自衛隊車両が通行する道路に爆弾もしかけられました。いつ撃たれるかわからないという不安で精神的ストレスが頂点に達した結果とみられます。

 イラクに残り米軍兵士・物資を輸送する空自の場合は、輸送先の飛行場に着陸するときが最も危険です。着陸のたびにフレア(ミサイル攻撃回避のための熱源体)を放出して地上からの攻撃を避ける状況が続いています。緊張を強いられ、精神を蝕まれることが予想されます。

 いわば、この人たちは政府の政策による被害者であり、政府は自衛隊員のおかれた実態に目を向けるべきです。実態を隠し公表を拒むなど許せることではありません。

 ところが政府は、こうした派兵隊員の苦しみを理解しようとしません。ヘルスケアに万全をつくすといいながら、自殺の原因については「イラクに派遣されたからと直接断定できない」「結びつくものではない」(額賀防衛庁長官=当時)と無関係を強調するばかりです。

★空自の撤退を急げ ブッシュ政権はイラクから撤退するのではなく、逆に二万人もの部隊を増派し軍事作戦を強めています。米軍の非人道的・無差別攻撃はやわらぐどころか激化するのが必至です。空自の輸送支援は、この軍事作戦を支えるものとなるだけに、ますますイラク国民の怒りを買うことになるのは目に見えています。

 米軍の増派は世界から批判されています。日本はアメリカいいなりのイラク派兵をやめ、イラクからただちに撤退させるべきです。(以上)

このようにイラクに派遣された自衛隊員の中には心が傷つき、自殺者が出てしまっています。自衛隊がイラクサマワに駐留中に次のような恐ろしい計画があったことが判明しました。

1月17日の中日新聞ニュース 【「陸自隊員の殺傷試みた」サマワの宿営地攻撃認める】

【サマワ17日共同】陸上自衛隊が駐留したイラク南部ムサンナ州サマワのイスラム教シーア派の反米指導者サドル師派民兵組織マハディ軍の中堅幹部(36)が、17日までに共同通信の取材に応じ、駐留期間中に宿営地への砲撃を実行したと言明、「占領軍」である陸自を撤退に追い込むため「隊員の殺傷を試みた」などと証言した。

サマワへの陸自駐留は、昨年7月まで約2年半にわたった。同幹部の発言が組織全体の戦略を反映しているかどうかは不明だが、マハディ軍メンバーが陸自攻撃を実行したことを認めて、具体的な動機などを証言するのは初めて。

証言によると、幹部は2004年、南部マイサン州でマハディ軍に入り、翌年からサマワの同軍事務所に所属。30人の部隊を率い、市内でのデモ行進に参加している。

幹部は「隊員を1人でも死傷させれば、日本政府が自衛隊撤退を決断すると思っていた。しかし、結局できなかった」と指摘。「攻撃は4-6人で行い、通常は迫撃砲、時には路上爆弾も使った」と述べた。(以上)

イラク戦争が始まる前に日本人の中には、イラク攻撃を阻止したい気持ちで、人間の楯となるためにイラクに入った人たちがいました。これらの方たちはテロには会いませんでした。日本人がテロの標的になり始めたのは、自衛隊のイラク派遣が示されたときからです。

政府はテロとの戦いを強調していますが、日本をテロリストの標的にしない政策を行うことが一番の賢明な方法です。特に国際社会から認められないような大義の活動に自衛隊の派遣を行わないことです。憲法の理念・規定を守れば良いのです。
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朝日新聞世論調査でも、安倍首相の国の舵取りの矛盾が/山崎孝

2007-01-23 | ご投稿
朝日新聞社は1月20日と21日に全国世論調査を行いました。それによると内閣支持率は39%に低下する。質問項目の「お宅の収入が増えたという実感がありますか」に対しては、実感がある5%、実感がない89%です。

朝日新聞世論調査で国の根幹に関わると私が思った質問項目の結果について述べます。

質問項目「参議院選挙にどの程度関心がありますか」(択一方式)に対して、大いに関心がある26%、ある程度関心がある47%、あまり関心はない22%、まったく関心がない5%で、国民の関心が高いことを示しました。

この高い関心の参院選挙と関連して、朝日新聞世論調査の質問項目「安倍首相が憲法改正を参議院選挙の争点にかかげたことは妥当だと思いますか」に対して、妥当だ32%、そうは思わない48%という結果です。妥当だ32%ですから答えなかった人も含めれば、国民は必ずしも憲法改定が現在の日本の緊急な政治課題とはなっていると判断はしていません。

そして、朝日新聞世論調査の質問項目「安倍首相は、先日行われた東アジアサミットにあわせて中国、韓国の首脳と会談し、北朝鮮問題や歴史問題などについて話し合いました。安倍首相の中国や韓国に対する外交姿勢を評価しますか」に対して、評価する60%、評価しない24%となっていて、安倍首相のアジア外交は強い支持を受けています。

これらの朝日新聞世論調査を見ても、安倍首相の国の基本に関わる舵取りの矛盾が浮かび上がっていると思います。改憲の方向とアジア外交の方向とは論理・思考に対立関係にあります。

1月17日、私はブログに「外交方針の整合性を保つこと」というタイトルの文章を書きました。この考えをベースにした文章を、500字以内にまとめて、20日に朝日新聞「声」欄に投稿し幸運にも23日に掲載してもらえました。今までのブログで述べたことと重複しますがブログに載せさせていただきます。

【アジア政策と矛盾する改憲】

14日の「日中韓報道声明」は、3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化、政治・外交課題を調整するため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した、となっている。

また、この日の東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議では、東アジア共同体の創設に向けた取り組みの強化が確認された。日本は東アジアの平和と安定をはかるための6者協議に参加している。

これらのアジア外交は、憲法前文の諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持するという理念にかなっていると思う。しかし、安倍首相は17日、自民党大会で「憲法改正に取り組む」と、改憲への強い意欲を示した。その根底にある考え方は、アジアのある国に不信を抱き日本の周辺事態を想定。それに対応するために、日米同盟で集団的自衛権行使を可能にして、軍事同盟を一段と強化することにある。

安倍首相のアジア政策と改憲は整合性や統一性がなくねじれている。アジアの動向に対応し、信頼されるアジア外交を展開するには現行憲法がふさわしい。

改めて安倍首相の政策の矛盾を考える/山崎孝

2007-01-22 | ご投稿
【核放棄協議入りで合意か 米朝、ベルリン会談で】(1月21日の中日新聞ニュース)

【ソウル21日共同】韓国の聯合ニュースは21日、複数の外交消息筋の話として、ヒル米国務次官補と北朝鮮の金桂冠外務次官がベルリンでの会談で、再開後の6カ国協議の場で核放棄への「初期段階の措置」に関する話し合いに入ることで合意したと報じた。

同ニュースは、北朝鮮が金融制裁解除を初期段階の措置の協議入りの前提とする立場を変えたとみられると伝えた。

初期段階の措置は、昨年12月の6カ国協議で米国が提案。北朝鮮が核施設凍結や国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れれば経済支援などを行うなどとしている。北朝鮮は当時の協議で、米国による金融制裁が解除されない限り、話し合いには応じないと主張し交渉入りを拒否した。

【6カ国再開時期を調整 ヒル次官補が北京入り】(1月21日の中日新聞ニュース)

【北京21日共同】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補が21日午後(日本時間同)、東京から空路北京入りした。ヒル次官補は同日夜、協議議長役の中国の武大偉外務次官と夕食を交え会談する。

北京国際空港で次官補は、6カ国協議を「中国が都合の良い、できるだけ早い時期に行いたい」と述べ、ベルリンで3日間行った北朝鮮首席代表、金桂冠外務次官との協議を踏まえ、早期再開を目指し中国側と日程調整する意向を示した。

ヒル次官補は、武次官のほか、米国担当の何亜非外務次官補とも会談するとしたが、中国が行った人工衛星破壊実験については「6カ国協議の再開時期の調整に焦点を置いている」とし、取り上げないことを示唆した。(以上)

このニュースでみると、米国も北朝鮮も対話を粘り強く行い、協議の前進の糸口が掴めたのかも知れません。両国の姿勢からは腹を据えて問題の解決をしようとする意思があることが窺えます。軍事的な対決では問題は解決しないことを理解していることが窺えます。東アジアの平和と安定を願う私たちにとって朗報です。そして、6カ国協議が成功すれば、北朝鮮の脅威に対応という日本の軍備の口実や改憲の口実は大きく説得力を失うと考えます。

安倍晋三氏が首相になってからの日本のアジア外交を、改めて振り返って見ます。

2006年10月、安倍首相は8日午後、中国を公式訪問して胡錦濤国家主席会談し、国際的課題も含め日中の共通利益を追求する「戦略的互恵」の構築を提案し、胡主席も賛同しました。

2007年1月14日の「日中韓報道声明」は、3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化する。政治・外交課題の調整のため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した、となっています。

1月14日の東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議は、東アジア共同体の創設に向けた取り組みの強化が確認されました。

そして、日本は東アジアの平和と安定をはかるための6者協議に参加していています。

これらの日本のアジア外交は、憲法前文の諸国民の公正と信義に信頼して安全と生存を保持するという理念に適っていることに間違いありません。

しかし、安倍首相は1月17日、自民党大会で改めて改憲への強い意欲を示しました。改憲の根底にある考え方は、アジアのある国に不信を抱き日本の周辺事態を想定。その紛争に介入する米国を軍事支援するため、日米同盟で集団的自衛権行使を可能にして、軍事同盟を一段と強化することにあります。

安倍氏が首相になってからのアジア外交と、改憲に一段と意欲を示す姿勢は整合性や統一性がなく、二つの政策の方向は対立しています。論理の整合性を保ち、アジア諸国の多国間による平和と安定を図り、相互扶助の関係を強化する動向に対応し、信頼されるアジア外交を展開するには、現行憲法がふさわしいと思います。