いせ九条の会

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外交は冷戦構造とは違うアジアの大きな変化をベースにすべき/山崎孝

2007-01-02 | ご投稿
【胡錦濤主席:盧韓国大統領と祝電交換 「友好強化したい」】(毎日新聞 1月2日付けニュース)

新華社電によると、中国の胡錦涛国家主席と韓国の盧武鉉大統領は一日、ことしの「中韓交流年」の開始に当たり、祝電を交換した。

胡主席は祝電で「ことしは両国の国交樹立十五周年に当たり、隣国としての友好関係を一段と強化したい」と強調。盧大統領も「韓国にとって中国は最大の貿易相手国で、多くの韓国人が中国を訪れており、中国とのパートナー関係を深めたい」と述べた。(共同通信の配信)(以上)

現在、韓国は政治体制の異なる中国と大きな対立も無く、このような関係を持続しています。北朝鮮とは対立をする側面を持ちながらも、中国と協調する基本姿勢で宥和的な態度で6カ国協議に参加しています。

韓国と日本は資本主義国ですが、日本が米国と、自由、民主主義、市場経済、法の支配などの価値観を共有するとして、米国に追従しているのとは大きくことなります。

そして日本は1月1日に発表した経団連の「希望の国、日本/御手洗ビジョン」の方向に向かおうとしています。

ビジョンは安倍首相とほぼ同じ考え方です。ビジョンには《新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む》、愛国心は《基本的な価値観を共有する共同体の一員という自覚を持つことにより育まれる》、《愛国心を持つ国民は、愛情と責任感という気概をもって国を支え守る》、《国益の確保や国際平和のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする》などが記述されています。(朝日新聞の報道を参考)

個人の基本的な価値観を「基本的な価値観を共有する共同体の一員」という縛りをかけています。私たちの基本的な価値観は、帰属意識に基づいた共同体の一員というような狭い「国」の意味ではなく、人類という共同体という観点で、共存と共生、普遍的な人道主義に基づいたものでなければならないと思います。

「愛国心を持つ国民は、愛情と責任感という気概をもって国を支え守る」と書かれていますが、「国を支え守る」という考え方は、時の政府の政策を従うという意味になりかねません。この考え方は、イラクでの人質事件のときに、政府の政策を批判した人を反日的日本人と呼んだことに現われています。

「国益の確保や国際平和のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする」で、留意しなければならないのは「国益の確保」が米国の戦略を支持することにつながり、支持した米国の政策が「国際平和」と相反することになりかねないことです。このことは米国のイラク戦争を支持し加担したことで明らかになっています。

経団連の「希望の国、日本」で書かれた「9条2項を見直し、憲法上、自衛隊の保持を明確化にする」という考えは、結局は仮想敵国を想定しそれに対抗する旧来型の考えをベースにしています。冷戦構造とは違うアジアの大きな変化をベースにした考え方ではありません。