いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

憲法理念に立ちかえるべき日本社会/山崎孝

2009-03-13 | ご投稿
教育費でつらい思いさせない 3教職員組合が提言(しんぶん赤旗の3月14日のHPより)

 全日本教職員組合(全教)、日本高等学校教職員組合(日高教)、全国私立学校教職員組合(全国私教連)は「卒業・入学・進級で子どもたちにつらい思いをさせないための緊急提言」を十二日、東京都内で共同発表しました。八、九日の二日間共同で行った「教育費ホットライン」で明らかになった実態に基づいたものです。三教職員組合は文部科学省に提言を届け、提言が実現するよう要請しました。

 全教の北村佳久書記次長は「電話相談から深刻な実態が明らかになった。教育に携わる者が力を合わせ、教育費に苦しむ子どもや保護者への緊急支援体制をとることが急務であり、提言を発表した」とのべました。

 提言は(1)無利子・無保証人の緊急融資制度の創設(2)現行の制度の周知徹底と卒業・入学・進級時の教育費負担に苦しんでいる児童・生徒・保護者が早急に活用できるための緊急受付の実施と現行制度の拡充(3)保護者の失業・倒産等で経済的に困難な家庭への緊急支援制度の創設(4)全国の都道府県庁、行政機関、学校に教育費の「相談窓口」を設置―です。

 「『教育費でつらい思いをする子』を一人も出さないために、学校関係者による最大限の努力をつくしましょう」とすべての学校関係者へ向けたよびかけも発表。よびかけは都道府県知事、教育長、私学の担当部局へ送付する予定です。

 「教育費ホットライン」には全国から二百十件以上の相談が寄せられました。中学、高校、大学に関する相談がほとんどで、私立学校の相談が半数以上ありました。保護者の失業、倒産、収入の激減などで「今日中に○万円必要」「すでに納入期限をすぎている」など急を要する相談が多数ありました。

 三教職員組合の代表らは「問題の背景には高学費があり、学費の軽減、無償化が求められている。国が全国的な制度をつくり、支援する必要がある」とのべました。(以上)

【コメント】紹介した記事にあるように《保護者の失業、倒産、収入の激減などで「今日中に○万円必要」「すでに納入期限をすぎている」》と訴える生徒が多く出ています。授業料滞納を理由に卒業証書を渡さない学校さえ出ています。NHKの「クローズアップ現代/貧しくて学べない」でも、家計のやりくりがつかず、高校の授業料が払えず滞納する学生が増えている。そしてついには退学を余儀なくされる学生が増えていると、伝えていました。

番組で宮本みち子・放送大学教授は、子供をとりまく状況の悪化は、昨年に始まったことではなく、この10年間でじじわと悪化し、退学する生徒が増えてきた。

番組の2人のコメンテータは、教育費の負担を親だけにまかせず、将来の社会投資として考えるべきだと述べていました。

高齢化社会の構造になっている社会は、若者や現役世代が担っています。その若者の未来や現役世代の生活にダメージを与えてしまっています。このようなダメージを与えた根幹に、弱肉強食を原理とした新自由経済主義があります。日本の社会は文化的な生存権を保障した憲法理念に立ちかえる必要があると思います。

3月例会のお知らせ

2009-03-12 | 事務局より
と き:3月15日(日)午後1時半から
ところ:いせトピア 
内 容:5月の生田講演会への取組みやこれからの計画につい


※生田武志講演会
と き:5月17日(日)
ところ:市民活動センター
(詳細は後日ですが、予定を空けておいてください)


あなたの学区でも九条の会を立ち上げてね。そして、みんなで九条の会を盛り上げよう!!
次号もお楽しみに!

他団体からのお知らせ

2009-03-12 | その他
大石芳野写真展
「子ども 戦世のなかで」
アフガニスタン・ラオス、チェルノブ
イリ、コソボなどの写真
日 程: 3月28日から4月23日
場 所:菰野町パラミタミュージアム
料 金:一般1000千円、学生800円、高校生500円


派遣村村長・湯浅誠講演会
「貧困」問題と憲法(25条―9条)
日 程:5月24日(日)午後1時半
場 所:四日市文化会館(第2ホール)
主 催:九条の会・四日市

竹中平蔵氏の主張を考える/山崎孝

2009-03-10 | ご投稿
3月9日の朝日新聞に元経済財政相へのインタビュー記事が掲載されていました。以下はその抜粋です。聞き手は深津弘氏です。

(記事は前略をしています)

■勉強し稼ぐカを

――製造業への派遣解禁など、労働市場の規制緩和が格差を拡大させたのではありませんか。

 「事実と違います。小泉政権の5年半は格差拡大のスピードは弱まっています。そもそも日本の格差は競争の結果ではなく、制度がゆがんでいるから生じているんです。非正規雇用が増えたのは、正規雇用はクビが切れないという30年前の裁判所の判例があるから。怖くて正規は雇えず、非正規を増やさざるを得ない。正規と非正規の給与格差も、それを容認する判例があるから。だから私はそんな解釈ができないように法律を変える改革が必要と言い続けている」

 ――構造改革は止まりました。

 「消費や投資は、自分の所得が将来何%増えるかという期待成長率に基づいて動くんです。小泉改革のとき、それがようやく高まり05年は株価が42%上がった。しかし改革が頓挫して成長が止まってしまった。日本経済はサブプライムの影響で世界が沈む前から沈み始めていたんです。これは重要なポイントですよ。成長するには必要な改革を続けるしかない。一つは羽田空港の24時間国際化を進めるなどして日本をゲートウェイ国家にすること。もう一つは税制改革。日本の法人税は高すぎます」

――日本の生きる道として、竹中さんはアメリカ型を目指してきましたが、今も変わりませんか。

 「国民が高い税金を払って多くのサービスを受ける、それをスウェーデン型と言い、できるだけ国民が自立して税金の負担を抑え、その代わり政府のサービスも最小限にする、それをアメリカ型と呼ぶなら、私は後者を選びます。日本のような人口が多い国で政府に大きな役割を任せたら、社会保険庁みたいな役所が増え、むちゃくちゃなことをやるだけですから。でも私はアメリカ型という言葉は使いません。アメリカかぶれじゃないですから。自助自立を前提にした社会、と言っています」

――もう少し具体像を。

 「まさに福沢諭吉が描いた世界ですよ。一人一人が勉強して稼ぐ力を身につけ、自分の足で立っていく。そうすることで初めて真に助けの必要な人に公的なお金をきちんと回すことができるんです」

■頑張るのは嫌か

――郵政民営化は自助自立ですか。年金の引き出しを郵便局員頼んでいた過疎地のお年よりは、不便になって困っています。

「日本の郵便料金はアメリカの2倍です。赤字が増え、料金がどんどん高くなるかも知れないという中で、年金の引き出しのようなサービスを続けていいんですか。私はそこまでする必要がないと思う。それが自助自立ですよ」

 「小泉改革でやったのは、郵政民営化のほか、不良債権の処理と公共事業を減らしたこと。だれが困りましたか。郵政民営化では、200余の子会社を作って甘い利権を吸っていた人たちが困った。不良債権処理では、ずるずるやってきたゾンビのような企業が困った。仕方ないですよね。公共事業を7兆円減らしたので、地方の土建屋さんが困った。でもこれをやっていなかったら消費税を3・5%上げなければならなかった。どっちがいいですか。国民は、公共事業を減らしても消費税を上げない方を選んだと思いますよ」

――竹中さんの話を聞いていると、日本人は常に気を張っていなければいけないようです。競争一辺倒でなく、「脱成長型」を目指す選択肢はないのですか。

 「だってグローバル化の時代ですよ。インドや中国が世界で頑張っている中、もう頑張るのは嫌だと言うのですか。所得が増えなくていい、みんな平等にしてくれ、と国民が求めるならそうすればいい。でも国民は、景気をよくしてほしいと常に言っているじゃないですか。マイナス成長でもいい、でも景気もよくしてほしい、と言うのは虫がよすぎます」(以上)

【コメント】竹中平蔵氏は《小泉政権の5年半は格差拡大のスピードは弱まっています》と述べています。事実を見てみます。小泉政権は2001年4月26日から始り2006年9月26日までです。絶対的貧困を表す指標となる生活保護受給所帯は、1996年は61万所帯であったのが2004年には100万所帯となり2005年は105万所帯になっています。

絶対的貧困を表す指標となる貯蓄のない所帯は1970年代から1980後半にかけては5%あたりを推移していましたが2005年は22.8%に上昇しています。

絶対的貧困層が増加したのは低賃金の非正規労働者が増えたのと比例しています。1995年は正規労働者3779万人、非正規労働者は1001万人でした。2005年になると正規労働者は3374万人で非正規労働者は1633万人となっています。製造業への規制を取り払った法律の労働者派遣法が変えられたのは1999年ですが、竹中平蔵氏の持論である新自由主義の具体化の一つでした。

竹中平蔵氏は《正規と非正規の給与格差も、それを容認する判例があるから。だから私はそんな解釈ができないように法律を変える改革が必要と言い続けている》と述べていますが、新自由主義とは、国の規制を受けずに資本家が企業の利益を最大限追求できる経営環境を整える経済主義ですから、竹中氏がこのように述べるのは矛盾しています。新自由主義は、労働者を人間として扱わず単なる労働力として経営者の都合よく使用して最大限の利益を追求するという資本家の本性を見落とした経済主義なのです。そして労働者が真面目に働いても生活出来ないような労賃から受取れなかったことや非正規労働者の大量解雇が原因となって、2009年1月には生活保護受給所帯が116万8305所帯を越してしまいました。

家計が行き詰まり学費が払えず高校を退学せざるを得ない生徒が多く出ています。竹中平蔵氏が福沢諭吉を持ち出して《一人一人が勉強して稼ぐ力を身につけ、自分の足で立っていく》この社会環境が崩れはじめています。

竹中平蔵氏は《日本の法人税は高すぎます》と述べています。しかし、小泉政権下の2005年の段階でも法人税減税などで、大企業は、過去最高の利益を上げて、内部留保は82兆円に膨らんでいます。

竹中平蔵氏は大企業の経営者の立場でものをいう人だと思います。

安心感が持てない小沢一郎民主党代表/山崎孝

2009-03-07 | ご投稿
東京地検特捜部は、小沢一郎民主党代表の公設第一秘書で資金管理団体の陸山会事務所の会計責任者を政治資金規正法違反(虚偽記載など)で逮捕しました。小沢一郎氏のスタッフで重要な位置にいた人物が逮捕されるような疑惑を持たれたことについて、小沢一郎氏に全く責任がないとは言い切れません。

私は以前から小沢一郎氏に安心感を持つことが出来ませんでした。近年では、2007年10月から11月かけての自民党福田前首相との大連合の会談は、2007年7月の参院選挙で政治の刷新を民主党に求めた意思をないがしろにしようとした行動でした。

本年2月の小沢一郎氏の発言は、東南アジアに必要な米軍は第7艦隊だけで十分、米軍の引くことによる日本の安全保障、防衛は日本が責任を果たすと述べ、日本の軍拡の懸念を抱かせました。

これは現在、国の借金である国債残高が、一般会計税収の約10年分に相当し総人口で割ると国民一人当たり約433万円の借金を抱えているとされる財政の状況と、今日の国費を民生支援に特段に必要な状況があることを深く認識した上での発言とは思えません。

私が一番望んでいるのは、現在の民主党、共産党、社民党などの政治家を含めて、憲法9条に基づく外交政策、憲法25条の理念を実現していくことを柱にした国民連合戦線を結成し、そこから立候補した政治家を増やす形で、与党の議席を大幅に減らすことが出来ればと考えています。

または、総選挙に立候補する政治家にアンケートを配布して前記の理念に賛同する政治家を選択して投票するような運動を起こせばと良いのではと思っています。

武器使用基準―「海賊」に便乗はいけない/山崎孝

2009-03-02 | ご投稿
(朝日新聞2月2日の社説)

 アフリカのソマリア沖で横行する海賊から日本商船を守るため、海上自衛隊の護衛艦2隻が今月中旬、現場海域に向かう。これは、自衛隊法の海上警備行動を適用した派遣だ。

 この応急措置とは別に、政府の「海賊対策新法」の概要が固まった。

 海賊行為という犯罪に対し、海上保安庁と海上自衛隊が取り締まりにあたる。海上警備行動とは違い、警護の対象は日本の船舶に限らず、他国の商船を守ることも可能とする。

 ただしこれは、海賊犯罪を取り締まる警察行動が目的だ。海上保安庁の手に余る事態には海上自衛隊が手助けするという仕組みが基本的な考えだ。

 政府は今回、海上警備行動による自衛隊派遣に踏み切るが、本来は、こうした法律をきちんと整備したうえで出すのが筋だったろう。

 最終段階にきた法案作りの焦点は海賊を取り締まる際の武器使用をどこまで認めるかという基準のあり方だ。

 海外に派遣した自衛隊の武器使用は正当防衛と緊急避難に限って必要最小限が認められている。だがこれでは、海賊船が警告射撃や威嚇射撃を無視した時に対応しきれない恐れがある。

 そこで、不審船などが停船に応じずに逃走した場合、海上保安庁の巡視船が船体に向けて射撃できる現行法の規定を援用して、公海上でも船体射撃を認める方向になっている。

 海賊行為を確実に阻止するために必要な措置だとしても、あくまでも過剰な武器使用にならないように、明確な基準と歯止めは必要だろう。

 派遣にあたって国会の承認は不要とされ、活動内容の基本計画を報告するだけにとどめるという。海外、それも洋上での活動だと、国民の目からは遠い。国会がきちんと活動をチェックできる文民統制の仕組みを確立しておかねばならない。

 法案作りに関連して見過ごせない動きが自民党内などに出ている。

 新法の規定を機に、自衛隊を海外に派遣する際の武器使用基準を広げたいという声が上がっていることだ。

 国連の平和維持活動でも、イラクでの活動でも、憲法が禁じる武力行使にあたらないよう、武器使用には極めて抑制的な基準が設けられてきた。それが自衛隊の活動範囲を必要以上に狭めているという不満は、防衛省や自民党内などでよく聞かれる。

 だがこの問題は、憲法のもとで日本の果たすべき役割、自衛隊の能力、国際社会の要請などを踏まえ、冷静に議論すべきことだ。海賊対策で認めたのだから、他の派遣でも認めたいというのはとんでもない筋違いである。

 平和維持活動一般への自衛隊派遣の問題と議論を混同させてはならない。国会での審議では、その点を明確にしてもらいたい。

【コメント】朝日新聞社説は、《法案作りに関連して見過ごせない動きが自民党内などに出ている。 新法の規定を機に、自衛隊を海外に派遣する際の武器使用基準を広げたいという声が上がっていること》を指摘しています。自民党はこの意図があるために、本来は海上保安庁の活動の範疇であり、マラッカ海峡海域の海賊対策にも実績のある海上保安庁の活動にはせずに、自衛隊の仕事にしてしまいました。

海賊対策という国民が反対しない事柄につけこんで、その海賊に対応する便宜として武器使用基準の拡大がされて、更に軍事的な自衛隊の海外派遣を行なう時の一般法を制定しその法律に武器使用基準の拡大がされてしまうことを許してはならないと思います。

自民党が海賊対策の中にこのような企みを持っていることを国民に知らせなければならないと思います。その意味でも古山葉子さんが紹介していたアバマ大統領の就任演説の一節《理想は今も世界を照らしており、我々が一時の便宜のために手放してはならないものである》の言葉は、平和憲法を持つ日本にとっても重要だと思います。