いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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いかなる場合でも力の弱い庶民の立場で考えることが大切/山崎孝

2008-10-31 | ご投稿
私は10月25日の【消費税アップ―麻生首相は本気を示せ】という朝日新聞社説を読んで、高い所からの国家財政再建の視点で、その消費税率の引き上げを盛り込んだ財政政策の実行で大きな影響を受ける低所得層の庶民への視点を欠いた社説だと思いました。そのことを述べた文章を読書投稿欄「声」に投稿しました。その文章を朝日新聞名古屋本社「声」の編集部は採用して10月30日付「声」欄に掲載しました。この文章と社説を併せてブログに載せますのでお読み下さい。

【消費税アップ―麻生首相は本気を示せ】 少子高齢化で膨らむ社会保障の財源をどうするのか。景気対策は大事だが、国債の垂れ流しは困る。そんな不安が国民の間に漂うなか、麻生首相が注目すべき発言をした。

 月末にまとめる新総合経済対策に、消費税率の引き上げを含む中期の税体系プログラムを盛り込むよう与党に指示したのだ。

 何を言わんとしているのか、はっきりしないところはある。だが、首相の発言をいろいろ重ね合わせると、こんな趣旨になるのではないか。

 「全治3年」の日本経済が回復してくれば、消費税の増税に踏み出す。いつ、どのように税率を上げていくか、具体的なスケジュールを描き、負担増について総選挙で国民に訴える――。

 もしそうであるなら、その言やよしである。なにしろ、選挙の前に増税方針を打ち出すのはタブーといわれてきた。それを破って、負担増を真正面に掲げ、国民に信を問うという決意表明になるからだ。

 しかし、そう信じるにはいささか不安な材料もある。月末の対策とりまとめまでわずか1週間しかない。しかも与党や政府の税制調査会の議論もまったく経ていない。

 ひょっとして、実はまた、増税論議を先送りするための「逃げ水」公約ではないのか。小泉、安倍、福田政権はいずれも、税制の抜本改革の中で方向づけると言いながら、結局は論議を先送りしてきた過去がある。

 勇気をもって財源を語ろうというのなら結構だが、その割に新総合経済対策には定額減税をはじめ、高速道路料金の引き下げなど「バラマキ色」の濃い施策が並びそうだ。来春には国民年金の国庫負担割合を引き上げるための財源も必要になる。

 むしろ、とうぶんは国債を大量増発してしのぐための口実ではないのか、という意地悪な見方も出てきそうだ。

 首相は本気なのかもしれない。増税論を語らない民主党とここで差をつけ、責任政党として存在感を示すというなら、それは王道だろう。

 ならばこの際、首相に提案したい。

 増税の時期と引き上げ率などを具体的な行程表にして総選挙に臨み、勝てばただちにそれを法律で定めると約束することだ。景気回復の足取りによっては実施時期などを見直せる柔軟条項を組み込んでもいい。

 社会保障の負担をどのように分かち合っていくか。当面の経済失速を防ぎつつ、財政も再建していく。税制のあり方はそうした基本的な政策の土台になる。あいまいな議論でお茶を濁すことは許されない。

 首相は今回の発言をきちんと肉付けしなければいけない。当面の消費増税を否定する民主党にも、説得力のある税制論、財源論を求めたい。(以上)

2008年10月30日付朝日新聞「声」欄掲載文【社説はいつも弱者へ配慮を】

 本紙25日の「麻生首相は本気を示せ」との社説は、麻生首相が月末までにまとめる新総合経済対策に、消費税率引き上げを含む中期の税体系プログラムを盛り込むよう与党に指示したことを後押しするようにも取れた。

社説は、消費税率引き上げることが生活困難者に与える影響については触れていなかった。

消費税は低所得者ほど家計に対する負担割合が高くなる税金である。2006年には年収が200万円以下の人が1千万人を超えた。

福祉を一番必要とするのは様々な理由の生活困難者である。福祉と結びついた社会保障制度維持のための大衆増税は、さらに生活困難者に負担を増す矛盾を生む。

社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げがどうしても必要であるのであれば、生きるのに必要な食料品に対する課税はやめるべきだと考える。

朝日新聞は庶民の生活を大切にする新聞だと思っている。その社説にはいかなる場合でも、貧しく、弱い人たちへの視点と配慮を望んでいる。(以上)

【意見】昨日のブログは、アフガニスタンの情勢を改善するために米国が武力行使に偏ったこれまでの戦略が情勢を泥沼化させた反省から、対話を含めた硬軟取りまぜた新戦略へと方針転換を図る姿勢を見せ始めていることを紹介しました。これは日本国憲法「紛争を武力で解決しない」という理念と一致する、対話のファクターの重要性が増したことを意味します。

けれどもブログで書きましたように、日本の二大政党は、日本が海外での武力行使を可能にする方向に進もうとする姿勢を見せており、これは国際情勢の趨勢をしっかりと認識しておりません。かように私は憲法の理念を踏まえて国際情勢を見るように心がけています。

国内問題も憲法の理念が活かされているのかという観点で見ています。とりわけ低所得者層が増大している今日の状況において、応分負担を無視した消費税率の引き上げは、憲法25条のすべての国民は最低限度の生活を営む権利の保障という理念を大きく逸脱します。

米国政府も変化の兆しが、しかし日本の二大政党は…/山崎孝

2008-10-30 | ご投稿
【米国:タリバンと対話の新戦略、次期大統領に重い課題】(2008年10月30日の毎日新聞HPより)

 治安悪化が著しいアフガニスタン、パキスタン情勢で、米国が武装勢力タリバンとの対話を検討していることが28日明らかになった。武力行使に偏ったこれまでの戦略が両国情勢を泥沼化させた反省から、対話を含めた硬軟取りまぜた新戦略へと方針転換を図るものだ。だがアフガン、パキスタン両国民の反米感情が極めて強いなか、両国政府は「米国離れ」ともいえる動きを見せている。新戦略で、両国を対テロ戦同盟国につなぎ留められるか、間もなく選ばれる次期米国大統領は、重い課題を背負う。

【ワシントン草野和彦、ニューデリー栗田慎一】ブッシュ政権は、アフガンに対する包括的戦略見直しの一環として、タリバンとの対話方針を打ち出した。

 政権のアフガン戦略はいま、八方ふさがりの状況だ。タリバンの勢力回復でアフガンの治安は極度に悪化し、昨年、米兵の死傷者は過去最悪の843人に上った。治安悪化の主な原因は、パキスタン側からの武装勢力の越境にあるとして、米軍はパキスタン領へ越境攻撃を続けている。

 しかしこれが、パキスタン国民の反米感情をかつてないほど高めた。パキスタン政府は29日、外務省に米国大使を呼び越境攻撃に厳重抗議。対テロ戦での両国同盟関係は深刻な危機を迎えている。

 ブッシュ政権はイラクで、国際テロ組織アルカイダと反米で共闘していたイスラム教スンニ派部族に資金や武器を提供し「反アルカイダ」に転換させた。

 その経験を基に、アフガンでもタリバン穏健派を寝返らせ、あわよくばアルカイダ掃討に加わらせることができればという思惑で、方針転換を図っているとみられる。

 だが、対話の相手を穏健派に限定する米国に対し、アフガン政府はすでに、強硬派で米軍のアフガン撤退を求める最高指導者オマル師に対しても和解交渉を呼びかけている。

 アフガンでは米軍の攻撃で市民の犠牲が相次いでいることなどを背景に、反米・反政府世論が高まり、強硬派が勢力を伸ばしている。来年後半にも予定される大統領選で再選を狙うカルザイ・アフガン大統領は、もはや米国に従うだけの政権運営は困難だ。今後、両国のズレが広がれば、アフガン政府までも米国の制御が及ばなくなる可能性がある。

 米大統領選でオバマ、マケイン両候補は、ともにアフガン重視の姿勢を打ち出している。ブッシュ政権の新戦略は、次期米大統領に負の遺産を残さない配慮ともいえる。だが、次期政権に託された「タリバンとの対話」が失敗し、パキスタン、アフガン両国が米国から完全に離れる事態をもたらせば、米国にとっての対テロ戦は、さらに終わりの見えない泥沼に入り込む。

【駆けつけ警護 政府解釈変えず 官房長官 “違憲の恐れ”】(2008年10月29日のしんぶん赤旗HPより)

 河村建夫官房長官は二十八日、アフガニスタン本土への陸上自衛隊輸送ヘリ派遣を米国から要請されたとの報道に関して、「(ヘリ派遣に伴い応戦した場合は)憲法九条で禁じた武力行使にあたる」との憲法解釈は変更しないとの立場を示しました。同日の参院外交防衛委員会で日本共産党の井上哲士議員に答えたものです。

 河村長官は、自衛隊ヘリが他国軍の負傷兵を前線から輸送する際に、攻撃を受けて自衛隊が応戦する「駆けつけ警護」について、「『攻撃する相手が国または国に準じる組織の場合、憲法九条で禁じた武力行使にあたるおそれがある』との立場については、現在でも変更がない」と述べました。

【コメント】政府の憲法解釈は内閣法制局の見解を踏まえた従来通りのものです。麻生首相の集団的自衛権行使の容認へ向けての解釈変更を積極的に検討していく考えの表明や、民主党の直島政調会長の状況によっては憲法解釈を変えることもあるという国会での意思表明は、どのようなことを根拠にして、憲法解釈を変えようとしているのでしょうか。

アフガニスタンの情勢は、米国の武力行使に偏ったこれまでの戦略が両国情勢を泥沼化させた反省から、対話を含めた硬軟取りまぜた新戦略へと方針転換を図る姿勢を見せ始めています。けれども日本の二大政党は、日本が海外での武力行使を可能にする方向に進もうとする姿勢を見せています。

言葉と行為の大きな較差/山崎孝

2008-10-29 | ご投稿
応益負担 「障害者自立支援法は違憲」 裁判勝利へ「会」が発足(2008年10月29日のしんぶん赤旗のHPより)

 障害が重いほど負担増になる「応益負担は違憲・違法」だと訴え、「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会」の発足集会が二十七日、東京都内で開かれました。原告予定者、弁護士、車いす姿の障害者や家族ら約百五十人が会場いっぱいに詰めかけ、障害者自立支援法の不当性・違憲性を司法の場で問うことは「人権確立のためのたたかい」との集会アピールをまとめました。

 呼びかけ人を代表してあいさつした勝又和夫・日本障害者協議会代表が、訴訟への物心両面の支援をよびかけ、同会発足を宣言すると、会場は大きな拍手につつまれました。代表世話人に勝又氏と三澤了・DPI日本会議議長が就任しました。

 めざす会事務局長の太田修平・日本障害者協議会理事が経過を報告。原告・原告代理八人が訴訟への思いを発言。「なんという貧しい社会保障制度なのかと強い怒りをもってきた」「私たちは特別なことを願っているのではなく、安心して暮らしていける制度」「障害者として生まれた子の親として、こんな悪法を残して死んでいけない」などと、裁判勝利への決意を語りました。

 日本共産党の小池晃参院議員(党政策委員長)が出席し、「たたかいに心から連帯し、(支援法を)なくすまで力を合わせがんばっていきましょう」と激励しました。(以上)

【障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会10.27発足集会アピール】(同会HPより)

 いよいよ闘いの始まりです。

 世界は障害者権利条約を実現している状況において、わが国では、応益負担を核とする障害者自立支援法が、障害関係者や障害関係団体の強い批判にもかかわらず、施行されています。障害のある人が、トイレに行くにも、食事をするにも、買い物をするにも必要とする支援サービスを、「利益」とみなされ、「応益」負担が強いられています。この応益負担の仕組みは、障害が重ければ重いほど、負担も多く求められるという、ノーマライゼーションとは正反対のものです。

 また障害者自立支援法は、在宅サービスへの国庫負担義務が盛り込まれたものの、市町村への補助基準が定められてしまい、その基準以上のサービスを市町村が行おうとすると、市町村の持ち出しとなってしまいます。これは、支援サービスの上限が設定されたにも等しく、必要なサービスを受けられない仲間が増え、地域生活の存続が危ぶまれる事態を迎えています。

 このような状況の中で、全国約30人の仲間が、障害者自立支援法の不当性・違憲性を司法の場で問うていこうと、勇気を持って立ちあがろうとしています。原告それぞれには、それぞれの生活があり、事情があり、家族もいます。私たちは原告一人一人の勇気と行動に対して、深く敬意を表するものです。

 私たちがおさえておく必要があるのは、この闘いは、原告30人だけの問題ではなく、障害のある人すべての生活と権利、そして人間の尊厳に関わる重要な意味を持つ裁判で、すべての障害のある人が原告です。そして、障害のある人の問題は、すべての人たちの人権確立のための闘いなのです。

 「持続可能」のかけ声のもとに、障害のある人の人権までもが値切りされることが許されるのでしょうか。障害のある人にも“生存権”や“幸福追求権”が憲法で保障されており、“法の下の平等”も明記されているのです。

 多くの困難な状況が立ちはだかる中、私たちは本日、“障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会”を発足させ、原告の仲間とともに、この訴訟を闘い抜いていくことを誓います。同時に、多くの関係者や市民の皆様に物心両面にわたるご支援を訴える次第です。

 2008年10月27日 障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会 発足集会参加者一同

【コメント】選挙を想定して支持者の家の塀に掲げてある公明党のポスターの言葉は大きな文字で「大切な人の命を救います」と印刷してあります。

この言葉は人を大切にする精神と繋がっていると思います。しかし、公明党が与党として行ってきた政策は、違憲性と不当性を問われた障害者自立支援法、働いても普通の生活が出来ない労働者層を増大させた労働者派遣法の改定、高齢者の負担を増やした後期高齢者保険法の制定でした。

言葉と行為に大きな較差があります。

二国間同盟を強化する時代ではない/山崎孝

2008-10-26 | ご投稿
ASEM:声明発表し閉会 金融危機に国際社会の結束訴え(2008年10月26日の毎日新聞HPより)

 【北京・浦松丈二】欧州連合(EU)や日中韓など四十数カ国の首脳クラスが集まる第7回アジア欧州会議(ASEM)首脳会議が25日、世界的な金融危機を克服するために国際社会の結束を訴える議長声明を発表し、閉会した。

 今回のASEMは、金融危機の震源地・米国で11月15日に開かれる主要20カ国・地域(G20)金融サミットに向けて、アジアと欧州が国際金融改革の必要性を訴える場になった。議論を総括した議長声明は、金融危機が「国際金融システムと世界経済に深刻な影響を与えているとの認識で一致した」と報告した上で、「国際社会は協力強化を通じて危機を共に乗り越えるべきだ」と訴えた。

 会議では首脳たちから金融危機に早急に対策を講じるよう求める声が相次ぎ、24日には影響を受けた国への支援で国際通貨基金(IMF)が「決定的に重要な役割を果たす」とした特別声明を採択していた。

 声明はまた、北朝鮮の核問題について「6カ国協議の前進のための措置の継続を、関係当事者に要請する」として、核計画申告の検証方法などでの早期合意を促した。拉致問題でも「人道上の懸念への対処の重要性」を指摘した。

 首脳会議はまた、地球温暖化対策に先進国が率先して取り組むとした「北京宣言」も発表した。宣言は、温室効果ガスの排出削減について「先進国は国別総量目標などで指導力を発揮する」と明記。京都議定書に続く13年以降の対策の国際的な枠組み作りの合意に向けた、作業開始を各国に求めた。

 次回のASEM首脳会議は10年にベルギーで開催される予定。(以上)

【コメント】第7回アジア欧州会議の、議長声明は、米国が震源地とする金融危機が「国際金融システムと世界経済に深刻な影響を与えているとの認識で一致した」と報告した上で、「国際社会は協力強化を通じて危機を共に乗り越えるべきだ」と訴えました。緊急課題の金融問題だけでなく、6カ国協議の問題や地球温暖化対策にも触れています。かように国際的な問題は多国間の取り組みで解決していこうとするのが世界の潮流です。

自民党や民主党は日米同盟の更なる強化を主張し、そのための改憲は世界の潮流とは合ってはいません。

消費税の引き上げを検討する考えを示す/山崎孝

2008-10-24 | ご投稿
(2008年10月24日の朝日新聞HPより)麻生首相は23日、新総合経済対策を取りまとめるにあたり、景気回復後の消費税増税を念頭に、社会保障などの安定財源を確保する「中期プログラム」を検討するように自民、公明両党に指示した。一方で、地方対策として道路特定財源の約1兆円分を地方に回し、過去最大級の住宅ローン減税措置も講じるよう求め、短期的には景気対策に全力を挙げる考えを示した。

 首相としては総選挙の公約に掲げ、民主党との争点を明確にする狙いがあるようだ。

 首相は23日、自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男両政調会長らと官邸で協議し、高速道路料金の引き下げや定額減税など、新総合経済対策の与党案の説明を受けた。これに対し、首相は(1)消費税増税に向けた中期の税体系プログラムの作成(2)道路特定財源の一般化による約1兆円分を地方に交付(3)過去最大規模の住宅ローン減税の実施(4)省エネ、新エネルギーへの投資は減価償却の対象を拡大して税負担を軽減――の4項目を盛り込むように指示し、再考を促した。予算規模や財源についても政府・与党内で再調整したうえで、30日に新総合経済対策を正式に決定し、同日中に首相が記者会見して発表する方針。

 首相は協議後、消費税増税について「いま景気がどんどん落ちている時に消費税(増税)を考える人はいない」とする一方、「中期的に景気が治ってきた時には介護、福祉といった社会福祉関係を含めて(財源が)足りなくなることははっきりしている。そういった意味で消費税は考えられる」と記者団に語った。首相は「日本経済は全治3年」と唱えており、3年をめどに景気を回復させたうえで消費税の引き上げを検討する考えを示したものといえる。

 出席者によると、首相は与党側に「景気回復して初めて増税できる環境が整う。消費税が安定財源になる。環境が整えば、増税をやるということをはっきりさせないといけない」と明言し、中期プログラムに消費税を含めた税制改革の道筋の明記を検討するように指示したという。(以上)

【コメント】消費税は金持も貧困者にも一律に生活必需品にかかるために、所得の低い所帯ほど負担が重くなる逆進性の税金であることが知られています。

日本生活協同組合の年収別 消費税の平均額と収入に占める割合表を見ると、年収800万円台は収入の約20%ですが、年収が300万台は約33%となっています。さらに問題なのは派遣労働者が増えて働いても真っ当な賃金が貰えず、2006年には年収が200万円以下の人が1千万人を超えていることです。

与党は低所得者で所得税や住民税を納めていず、定額減税を実施しても恩恵を受けない人を対象にして何らかの「給付金」を支給することを検討するという記事が10月20日の朝日新聞に載っていました。

定額減税といいこの「給付金」といい一見庶民に配慮したような政策ですが、庶民に配慮するという心は本物ではなく、選挙の票を掠め取るための政策に過ぎないことは明白です。なぜなら、年収の少ない人ほど負担の重くなるにもかかわらず、消費税の税率アップを考えるからです。民主党も消費税増税を考えています。

租税の民主主義は、税金は所得の多い人が重く、少ない人は軽くという「応能負担」が原則です。

憲法25条、すべての国民に最低限度の文化的な生活を営む権利の保障を総選挙では強く求めて投票行動をしなければならないと思います。戦争を放棄した憲法下で世界指折りの軍事費を使っていることも投票行動に盛り込まなければならないと思います。

基地依存 政府が誘導 日米の政策検証シンポ/山崎孝

2008-10-22 | ご投稿
【「補助金漬けで自立阻害」】(2008年10月21日の沖縄タイムスHPより)

 沖縄経済の政府への依存構造は、米軍基地を長期・安定的に維持するため日米政府が意図的に進めてきた政策の結果であることを検証するシンポジウム「押しつけられた常識を覆す―つくられた依存経済」(主催・いまこそ発想の転換を!実行委員会)が十九日、那覇市の沖縄大学であった。

 識者らが、それぞれの視点から、政府の高率補助が「自立」との名目とは裏腹に、産業基盤の脆弱化、財政依存の加速を招き、「基地がないと沖縄はやっていけない」と県民に思い込ませた、と指摘。県民自身の手で将来展望を描く重要性を訴えた。

 元内閣府沖縄総合事務局調整官で、第三次振興開発計画まで担当者としてかかわった宮田裕氏(琉球大、沖縄国際大非常勤講師)は、国の資料を基に、復帰後の日本政府の県内への財政投資八兆五千億円のうち、三割以上が「県外に逆流した」と指摘。

 二〇〇七年度実績では、総合事務局発注の45%、沖縄防衛局の55%を県外企業が受注していると例示した。

 その上で、第一次、第二次産業が復帰時より衰退し、雇用を支える産業を創出しなかったことを最大の問題に挙げ、「補助金漬けが自立を阻害した」と述べた。

 沖縄国際大学の佐藤学教授は、県や市町村の政策立案段階で、国の補助事業獲得が優先され、民間業者も県や市町村から仕事をもらう、という考え方が、「長年の高率補助政策で、県民に埋め込まれてしまった」と説明。

 一方で、「補助が基地との交換条件と思い込まされている」とし、基地を拒否しても、弱い地域を全体(国)が支える「地域間支援」は生存権保障の当然の権利とした。

 その上で、国、県、市町村の役割と、民間業務を明確化し、自分たちに必要なことを吟味する「『自治の力』が重要」と訴えた。

米国の政権が変わっても集団的自衛権行使の要求は不変/山崎孝

2008-10-21 | ご投稿
【米民主・共和両陣営の外交顧問 日本に集団的自衛権の行使迫る「アーミテージ報告」の実現表明】(2008年10月20日のしんぶん赤旗のHPより)

 米大統領選に立候補している民主党のオバマ、共和党のマケイン両上院議員のアジア外交顧問が、そろって、日本に集団的自衛権の行使を迫った「アーミテージ報告」の実現に努力していくとの考えを表明していたことが分かりました。九月二十二日にワシントン市内で開かれた次期米政権のアジア政策についての討論会(アジア研究ナショナル・ビューロー主催)で、両顧問がそれぞれ語りました。

 オバマ氏の顧問として発言したのは、民主党副大統領候補のバイデン上院議員の下で上院外交委員会スタッフを務めるフランク・ジャヌージ氏。マケイン氏側は、マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長です。

 両大統領候補が日本の憲法改定やイラク以外への自衛隊の海外派兵についてどんな態度をとるかとの質問に対し、ジャヌージ氏は「オバマ上院議員は、日本との同盟は太平洋地域における米国の安全保障政策の要と考えている」と発言。東アジア地域だけでなく中東での「平和作戦」など地球規模の問題でも「(オバマ氏は)同盟強化のためにあらゆる努力を払うつもりだ」と述べました。

 その上でジャヌージ氏は、第一次「アーミテージ報告」(二〇〇〇年十月発表)を作成した研究グループにグリーン氏とともに加わっていたことを明かし、「われわれは(『アーミテージ報告』という)超党派の努力を通して始められた(日米同盟強化の)過程を継続していかなければならない」と強調しました。

 これに対しグリーン氏も「これらの問題の多くについてフランク(・ジャヌージ氏)と私はまったく同意見だ」と表明。「マケイン上院議員は、大統領として(国連)安全保障理事会常任理事国入りを含め(日本が国際社会で)より大きな役割を果たす道を歩き続けるよう働きかける」と強調しました。

【アーミテージ報告】第一次報告は、後にブッシュ米政権の国務副長官に就任したアーミテージ氏らが中心になり、二〇〇一年に発足する新政権の対日政策の提言として、民主、共和の超党派のグループにより作成されたもの。「日本が集団的自衛権(の行使)を禁じていることが(日米の)同盟協力の制約になっている。この禁止を取り除けば、より緊密かつ効果的な安保協力が可能になる」と、日本に海外での武力行使を迫りました。

 〇七年二月には、ほぼ同様のグループが「第二次アーミテージ報告」を作成。日本での改憲や自衛隊海外派兵恒久法の動きが進展するよう求めました。同報告の作成にもジャヌージ、グリーン両氏は参加しています。

とても痛ましい事柄/山崎孝

2008-10-20 | ご投稿
【タリバン:自爆「6割が身体障害者」 カブール大准教授】(2008年10月19日の毎日新聞HPより)

 【ニューデリー栗田慎一】アフガニスタンで増加し続けている自爆テロ事件で、実行犯の6割以上が身体障害者だったことが、カブール大学医学部のルサフ・ラドガリ准教授(32)の調査でわかった。障害者の多くが地雷や不発弾の爆発で手足を失った住民とみられ、武装勢力タリバンが、社会的弱者の障害者を自爆犯として利用している実態が明らかになった。

 准教授は2年前から、カブールを中心に自爆テロの実行犯の遺体80体を独自に検分。うち65%に当たる52体が、手や足、指などが自爆前から欠損している身体障害者だった。

 准教授は現場に残された義足や歩行補助具の流通ルートを調べ、うち1件は06年、カブールの援助団体が中部ロガール州で地雷被害に遭った男性に贈ったものであったことも突き止めた。

 タリバンは「米軍の空爆による犠牲者の遺族が、(志願して)自爆している」と主張している。准教授は「手足などを失い失業して貧困に陥った障害者が、家族の生活を保障するなどと口約束されて、自爆している可能性がある」と指摘する。

 准教授は近く、タイ・バンコクの研究機関の支援を得て、自爆犯のDNA鑑定を開始する。「民族、出身国などを割り出し、自爆の背景を科学的に解明したい」という。

 【ことば】アフガニスタンでの自爆テロ

 90年代の内戦時代まではアフガニスタンには自爆テロはなく、国際テロ組織アルカイダ系の外国人が持ち込んだとみられる。03年のイラク開戦後、イラクで自爆テロが頻発するのに合わせてアフガンでも外国軍や政府組織などを狙った自爆が急増。国連の調査では、05年に17件だったのが、06年123件、07年は約150件、08年も増加傾向にある。(以上)

【コメント】ルサフ・ラドガリ准教授は、「手足などを失い失業して貧困に陥った障害者が、家族の生活を保障するなどと口約束されて、自爆している可能性がある」と指摘しています。とても痛ましいことです。

タリバンは「米軍の空爆による犠牲者の遺族が、(志願して)自爆している」と主張しています。タリバンの行いは卑劣ですが、タリバンの主張の根拠を与えている、米軍やNATO軍の多数の住民犠牲が伴う「テロとの戦い」方を止めなければなりません。

麻生首相は盛んにインド洋における給油活動は国際的義務だとか、その有効性を協調しています。しかし、すでブログで紹介したように「防衛問題セミナー」(9月24日)で、元インド洋派遣海上支援部隊指揮官の久野敬市・一等海佐(自衛隊千葉地方協力本部長)は、二回派兵された体験に基づき、海自艦船が活動するインド洋に日本列島がすっぽり入った地図を示し、同海域の広大さを指摘して、海自の補給艦1隻が約15隻の外国艦船に給油していることを紹介した後、外国艦船の活動は「ザルにもならないぐらいだ」と述べ、活動の有効性に疑問を投げかけています。

インド洋における給油の油代は2001年12月~2008年9月まで合計で49万9500kl、金額では235億5千万円相当です。これに給油をするための海自の活動経費を加算すれば相当な金額となります。このお金をアフガニスタンのテロの温床となっている貧困対策に使う方が、はるかに有効な税金の使い方になると思います。

減税はやがては消費税率アップにつながらならないか/山崎孝

2008-10-19 | ご投稿
政権与党は追加景気対策として、定額減税、住宅ローン減税、不動産取得減税、省エネ投資促進税制、中小企業対策、海外進出企業向けの還流税制、証券優遇税制を検討しています。

定額減税の財源として、財政投融資特別会計の金利変動準備金(本来は借金返済用)をあてる案が検討されています。

追加景気対策と関連して、麻生首相と与謝野経済財政担当相は10月14日の参院予算委員会の質疑で、今後の財政状況によっては赤字国債の発行もやむを得ないとの考えを示しました。

仮に借金返済にあてる財源を使用したり、赤字国債を新たに発行し増大させることは国の財政事情を一層悪化させます。総選挙目当ての減税が、やがて消費税率の引き上げの圧力材料になるというか新たに引き上げ要素として加わると思います。

特に注意を払わなければならないことは、選挙対策の減税は、税金を納める財力のない低所得者層にはほとんど無縁の事柄であります。

そして、生活必需品にもかかる消費税の税率が引き上げられた場合は、雇用の規制緩和で増大している低所得者には手痛い打撃となります。例えば千円の負担の重みは、低所得者には格段に重いことを政治家は深く認識して、低所得者に打撃を与えないような政治をしなければならないと思います。

ソマリアでの海自の派遣は、海外での武力行使の露払いが狙い/山崎孝

2008-10-18 | ご投稿
(2008年10月18日の朝日新聞HPより)麻生首相は17日の衆院テロ対策特別委員会で、東アフリカのソマリア沖で横行している海賊対策のための新法を検討する意向を明らかにした。具体的には、海上自衛隊の艦艇による商船護衛や哨戒機P3Cによる監視活動などが浮上しそうだ。政府はインド洋での給油活動に続く国際貢献策として、野党の協力を得て実現したい考えだ。

 首相は、ソマリア沖での海自の国際貢献を求めた長島昭久氏(民主党)らに対し「海賊行為は新たな脅威になりつつある。法制上どういうものがあるか検討したい」と述べた。その上で「一つの艦船が航行するだけで海賊行為の抑止力が働きうる。与野党で検討する用意は十分ある」と、野党側に協力を呼びかけた。

 国連安全保障理事会は6月、ソマリア領海内での海賊取り締まりを認める決議を採択。今月7日には、関係国に無期限の海賊制圧を求める決議も採択した。日本は両方の決議の共同提案国に加わった。インド洋での給油支援以外にも国際貢献に積極姿勢を示す狙いがある。アフガニスタン本土への自衛隊派遣が困難という事情も背景に、政府内でかねて海賊対策の可能性を探っていた。

 具体的には▽海自艦船が対象海域を航行する商船を護衛▽哨戒機が海賊の動向を監視▽後方支援として他国の海賊対策船に給油――などの案が検討課題となりそうだ。

 ソマリア沖周辺では、すでにテロ対策の一環として米国を中心とする多国籍軍が海上阻止活動を実施。さらに安保理決議を受けて欧州連合(EU)の有志国が海軍艦船を派遣する計画を立てている。

 問題は、自衛隊が海賊に対して実力を行使した場合、憲法が禁じる「武力行使」に抵触しかねないことだ。海自艦船が海賊から攻撃を受けた場合の対応について、首相は「軍艦に向かって襲ってくる海賊船はあまり聞いたことがない」と述べるにとどまり、突っ込んだ議論を避けた。また、反政府勢力の海賊船が外国船を攻撃している現場に海自艦船が駆けつけて応戦することができなければ、海自が他国海軍と海域を分担して警備する形での協力が難しくなる可能性もある。

 防衛省によると、ソマリア沖やアデン湾では、今年に入り未遂も含め66件の海賊事件が発生している。4月には日本郵船の大型原油タンカー「高山」が襲撃を受け、8月にも日本企業が管理するタンカーが海賊に約20日間乗っ取られる事件が起きた。(山田明宏、金子桂一)

【コメント】ソマリア沖などの海賊対策のために自衛隊の艦船を派遣する考えは、国民の納得し易いような形で、自衛隊の海外での武力行使の先鞭(露払い行なう)をつける狙いがあると思います。麻生首相は「一つの艦船が航行するだけで海賊行為の抑止力が働きうる」と述べます。現在では不審船に対応するために海上保安庁の船は、装備が強化されて防備がかなり出来るようになっています。より装備を強化した保安庁の巡視艇を増やして派遣することは可能です。

海賊の取り締まりは、本来は警察の分野で、海上保安庁の仕事の延長とも言えるものです。今までもマラッカ海峡の海賊対策として海上保安庁を通して、マラッカ海峡に接する国に最新鋭の巡視艇を提供しています。海上保安庁を使えば、海賊対策以外には転用はできません。

考える基本は、憲法の規定を守る立場に立って物事に対処するかどうかです。