いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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海賊対策にかこつけた武器使用基準緩和を許してはならない/山崎孝

2009-01-30 | ご投稿
【海賊対策揺れた防衛省 武器使用基準緩和新法棚上げを懸念】(1月30日の朝日新聞記事)

 ソマリア沖の海賊対策をめぐり、防衛省は最後まで、麻生首相が前のめりな海上警備行動による海上自衛隊の派遣に抵抗した。背景には、今後の武器使用基準緩和に向けた議論に影響しかねないとの懸念があった。一方で不祥事続きの海自内部からは、海賊対策で汚名を返上したいとの積極論も出ていた。

 「自衛隊による海賊対処は新法整備が基本だ」浜田防衛相は28日、海警行動発令に向けた準備を海上幕僚長らに指示した直後も、持論にこだわった。

 「海上警備行動時における武器使用の枠組みで十分でないなら緩和をして頂きたい」。増田好平防衛事務次官も、29日の記者会見で強調した。

 もともと不審船による領海侵犯など、日本近海での発令が想定されている海上警備行動を海賊対策に流用することに、防衛省内には強い不満がある。「武器使用基準があいまいで現場の指揮官が迷う」

「外国船を見殺しにするのか」などの理由からだ。

 現場を代弁する立場の浜田氏にとり、今国会で海賊対策のための新法を整備する約束を官邸から取り付けることが、海警行動を受け入れる際に譲れない条件だった。

 防衛省・自衛隊は海賊対策新法で、海賊船を停船させる目的での射撃など、任務遂行のための武器使用を認めさせたい考えだ。新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。

 逆に言えば、今回、海警行動での海賊対策が成果を上げれば、武器使用基準の緩和の必要性は薄まるジレンマがある。防衛省が海上警備行動での海自派遣を渋った理由は、こんなところにもある。

一方で、米補給艦への給油量の取り違えと隠蔽発覚、イージス艦「あたご」の衝突事故など一昨年から不祥事が続く海自にとって、海賊対策は

汚名返上のチャンス。年末には防衛計画の大網の見直しがあり、海賊対策で実績を上げれば「人員や装備の維持にプラスになる」(内局幹部)との皮算用も働く。

 ただ、見切り発車となった今回の派遣のリスクは大きい。後方支援だったイラクやインド洋への派遣と違い、「初めて自衛隊が前面で任務に当たる」 (幹部)。自衛隊が海外で初めて武器を使う可能性も高い。海賊や民間人を

傷つけたり、自衛隊員に負傷者を出したりする事態になれば、今後の自衛隊による国際貢献が大きく迷走しかねない危険もある。(石松恒)

【コメント】記事は《新法で武器使用基準が拡大されれば、「悲願」(幹部)と位置づける自衛隊海外派遣の原則を定める恒久法(一般法)にも反映されるとの狙いがある。》と指摘しています。

国民の多くが反対しない「海賊対策」という、本来は警察活動の事態を捉えて、軍事活動を目的とする恒久法に流用させたい防衛省の目論見を黙認するわけにはいけないと思います。

東京新聞の報道では、公明党の北側一雄幹事長は記者会見で「目的は海賊船をやっつけることにあるわけではない。抑止だ」と述べ、佐藤茂樹衆院議員も武器使用基準を緩和しない形での新法制定もあり得るとの考えを示しています。公明党はこの考え方を貫徹すべきです。

海賊の抑止に一番効果があるのは、漁民が海賊になってしまっているソマリアの民生安定に寄与することで、この活動に力を入れるべきなのです。

私たちが注意しなければならないことは、海賊対策(シーレーンの確保)の障害となるような憲法を改めるべきという感情的な意見が広まらないようにすることだと思います。そのためには警察活動と軍事活動を峻別して対応していかなければと考えます。

「小ビンラディン」が生まれるようなテロとの戦いをするな/山崎孝

2009-01-27 | ご投稿
先日のブログにイスラエルのガザ地区への非人道的な行為は《10年後のガザには〈イスラム過激派〉ハマスの戦闘員がますます増えているでしょう》と語るNGOの活動家の言葉を紹介しました。1月25日の朝日新聞には《100人の「小ビンラディン」》と題したロンドン発の大野博人記者の記事がありました。この記事を紹介します。

 米英などがイラク戦争の準備を進めていた03年2月、フランスのテロ捜査幹部に会ったことがある。事務所は避けてくれというので待ち合わせたリ市内のホテルのカフェに出向くと、いらだちをあらわにした。

 「今イラクに戦争なんか仕掛けたら、小ビンラディンみたいなやつをさらに100人も作ることになってしまう」

 彼は01年の9・11米同時テロ以来、欧州のイスラム過激派の摘発に全力を注いでいた。だが、イラクとのつながりはまったく出てこなかった。正当化できない戦争はかえって連中を勢いづかせる口実になると心配していた。

 6年前のことを思い出したのは」英国のミリバンド外相の新聞への寄稿を読んだからだ。「対テロ戦争(War on terror)は間違いだった」と書いていた。

 インド・ムンパイでのテロはカシミール紛争が背景にある。中東ではパレスチナ問題やイスラム教の宗派対立がからむ。ところが「対テロ戦争」という考え方は、複雑な事情を抱える多くの問題を二者対立の構図に単純化してしまった。その結果、本来はばらばらだった過激な勢力を結集させることになり、逆効果だったという。

 アフガニスタン、イラク、パキスタン、インド…。その後登場した「小ビンラディン」は100人で済まない。

 米ブッシュ政権が重要な「対テロ戦争」と位置づけたイラクヘの武力行使で、反対派の先頭に立ったフランスを米英は激しく非難した。当時のリチヤード・パール米国防政策諮問委員長は「フランスはサダム・フセインの側についた」と決めつけた。英大衆紙はテロと戦わない腰抜けと罵倒した。

 当たり前のことだがフランスなど反戦派の欧州諸国はフセイン政権を支持したわけでもなく、テロを容認したわけでもない。テロの撲滅に異論などあるはずもない。

 意見が違ったのは、その方法だった。「何をするか(What to do)」ではなく「どのようにするか(how to do)」だ。武力介入は「逆効果の方が大きく危険だ」という点に尽きた。

 そして今まさに、英外相が「逆効果の方が大きく危険だった」と書く。さらにテロ対策で大事なのは「どのように

(how)だ」とさえいう。

 たちの悪い冗談でも聞かされているようだ。あの捜査幹部なら「何を今さら」と吐き捨てるように言ったかもしれない。6年も前にわかりきっていた。

 わからなかったのではない。わからないふりをしていただけだろう。テロ問題への取り組みというだれも否定できない「目的」と武力介入という問題の多い「手段」をひとまとめにして同調を迫る。

 「対テロ戦争」という言葉はそういう場合に便利だ。

「手段」に異議を示す者をテロ撲滅の大義に反対する敵であるかのように非難し、憎悪をあおることができる。

 9・11の後、当時のブッシュ大統領は「これは善と悪との戦いになる。そして善が勝つ」と演説した。「対テロ戦争」は世界を敵と味方に分けて自分の戦略に巻き込むためのレトリックだった。

 実は英国政府は2年余り前からひそかに「対テロ戦争」という言い方をやめていた。米国の政権交代で、外相が気がねなく明言できるようになったのだろう。

 英王立国際間題研究所のロビン・ニプレット所長によると、クリントン米国務長官も指名承認の議会公聴会で「テロと闘う(fight)」という意味の広い言い方はしても「対テロ戦争」という言葉は口にしなかった。「米国でもあの言い方は廃棄されたのだろう」

 世界は三流のハリウッド映画のような勧善懲悪の悪夢から抜け出せるだろうか。(以上)

【コメント】オバマ大統領は「小ビンラディン」を生まれないようなテロリストとの戦いが出来るでしょうか。米国はテロリストとの戦いを「どのようにするか」が問われています。世界で「小ビンラディン」が生まれるような「テロとの戦い」が必要とするのが、日本国憲法の理念と対立する米国の対日政策であり、米国の外交政策だったと思います。

1月23日に中曽根弘文外相とヒラリー・クリントン国務長官が電話会談で確認したのが日米同盟の更なる強化で、その強化の鍵とされるのが日本の集団的自衛権行使の可能であり、日本の集団的自衛権行使の必要なのは、米国が軍事行動を起こさない限り必要なものではありません。

国際社会から指弾されるべき事柄/山崎孝

2009-01-25 | ご投稿
【「砲撃は白リン弾使われた」国連、イスラエル軍を非難】(1月16日付朝日新聞夕刊)

【ニューヨーク=松下佳世】パレスチナ自治区ガザの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の現地本部がイスラエル軍によって砲撃されたことを受け、国連は15日、「非人道兵器」と非難されている「白リン弾」が使われたとの見方を改めて表明した。イスラエル側が砲撃の理由として主張している「国連敷地内からの攻撃」については全面的に否定した。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)のホームズ事務次長は会見で、現地本部に対する攻撃は2回あり、人体に触れると高温で燃え続ける「白リン弾」が使われたと強調。イスラエル軍に対しても再三注意を呼びかけていた中での本部への攻撃に「愕然(がくぜん)としている」と語った。

 テレビ電話でガザから会見したUNRWAのギング現地代表も砲弾について「見た目もにおいも、燃え方も白リン弾だった」と断言。「砲撃の最中にもイスラエル側と連絡を取り合っていたが、敷地内から攻撃を受けているとの指摘は一度もなかった」とイスラエル側の主張に反論した。

【ガザ市(パレスチナ自治区)=田井中雅人】イスラエル軍は住民を集めて砲撃を加え、民家を乗っ取って拠点にした――。パレスチナ自治区ガザを23日間、攻撃し続けたイスラエル軍の所業を、住民が詳細に証言した。「民間人の被害を避けようと細心の注意を払った」(オルメルト暫定首相)という説明とは正反対の実態で、「国際人道法違反だ」との批判が出ている。

 ガザ市南部ザイトゥン地区。壊れた家々のがれきが広がる一帯で21日、サモニ家の葬儀が営まれた。イスラエル軍の砲撃で、妻ハナンさん(35)と娘ホダさん(17)ら家族、親類29人を一度に失ったナエルさん(36)が、悲しみに身を震わせていた。

 地上侵攻が始まった3日夜。突然、一家の壁が破壊され、機関銃を携えたイスラエル兵が侵入してきた。「家から出ろ」と、120メートル先の親類宅に追い立てられた。

 周辺に暮らす親類約110人も同じ家に集められた。家が複数回の砲撃を受けたのは2日後で、計22人が死亡。近所への砲撃でも7人が死亡した。一帯の計21軒の親類宅が砲撃を受けたり、戦車やブルドーザーでなぎ倒されたりした。救急車は兵士らに妨害され現場に近づけなかった。

 「家畜のように閉じこめられ、殺された。許せない」とナエルさん。

 赤十字国際委員会は「衝撃的な事件だ。イスラエル軍は我々が救援に向かうことすら許さなかった。国際人道法違反だ」と激しく非難する声明を発表。AP通信などによると、国連人権理事会のパレスチナ地域特別報告者、リチャード・フォーク氏も軍の一連の攻撃について「戦争犯罪にあたるか独自に調査をするべきだ」と主張している。

 自宅を占拠された住民もいる。ガザ北部ジャバリヤ難民キャンプ東方、アタ・シアムさん(61)の4階建ての雑貨店兼自宅は今、ゴミの山が悪臭を放っている。

2月28日夜、暗視装置をつけ、顔を黒く塗ったイスラエル兵約60人と、首に小型カメラをつけた犬2匹が乗り込んできた。兵士らはシアムさんの頭部に機関銃を突きつけ、21人の家族全員を1階の一室に集めて外出を禁じた。

 兵士らは連日、店の菓子やジュースを勝手に取り、イスラエルから持ち込んだサンドイッチや果物を食べ散らかした。空腹の孫が「分けてほしい」と泣いても、「これは兵士の食べ物だ」と拒んだ。

 一家は毛布まで兵士らに取り上げられ、震えながら眠れぬ夜を過ごした。息子の妻(27)が産気づいた9日、一家はようやく着の身着のままで学校や親類宅に避難することができた。

 「停戦」後に自宅に戻ってみると、兵士らが食べ散らかしたゴミと汚物の山が室内に残されていた。4階のバルコニーには、射撃口にした穴がいくつも開いていた。店に隠しておいた財布からは現金1200ドル全額が抜き取られていた。

 「こんなことは長い人生で初めて。あいつらは戦闘ではなく、盗みにきたんだ」とシアムさん。子や孫は「怖いから家に帰りたくない」と訴え、20年の思い出の詰まった家を捨てる決心をした。今、アパートを探している。(以上)

【コメント】イスラエルの指導者が、ハマスのイスラエルへの攻撃をなくすという目的を果たすために武力を用いれば、無差別殺人が生まれます(承知の上と見られる)。その攻撃に動員された兵士たちは理性を失い非道を行ないます。

そしてこのような攻撃が生み出すことの結果は、1月25日の朝日新聞を読むと歴然とします。朝日新聞は《子供たちの心のケアにあたるNGO「カザ・コミュニティー・メンタルヘルス・プログラム」のラウヤ・ハマムさんも「理不尽な封鎖や暴力を受けて『だれも守ってくれない』との絶望感が子供たちに広がっている。10年後のガザには〈イスラム過激派〉ハマスの戦闘員がますます増えているでしょう」と話す。》

イスラエルのカザへの攻撃と同じような惨劇は米国の主導する「テロとの戦い」で生まれています。イラク戦争でその典型的なのは、米軍がスンニ派の拠点と言われるファルージャを攻撃、700名を殺害しました。その8割が女と子供であった「フアル-ジャの虐殺」があります。アフガニスタンでの「テロとの戦い」では子供や女性が多数犠牲になっています。

国際社会がテロリストを厳しく指弾するのは、テロリストは自らの目的のために手段を選ばす、無差別殺人を行なうことにあります。米国の主導する「テロとの戦い」の性格とテロリストの行為と、どこが違うのでしょうか。

憲法の平和主義を破壊する対日政策はオバマ政権になっても変わらない/山崎孝

2009-01-24 | ご投稿
【米軍再編や拉致 日米連携を確認/外相、米長官と電話会談】(1月23日の沖縄タイムスHPより)

 【東京】中曽根弘文外相は二十三日午前、米国務省に初登庁したヒラリー・クリントン国務長官と約十五分間、電話会談し、在日米軍再編の着実な実施や、拉致問題を含む北朝鮮問題への対処などで連携していくことを確認した。

 中曽根氏が国務長官就任への祝意を伝えたのに対し、クリントン氏は「日米同盟は米国のアジア政策の礎石であり、国際社会が直面する諸課題に共に対処していきたい」と述べた。

 その上で双方は、在沖海兵隊のグアム移転を含む在日米軍再編の着実な実施などを通じた日米安保体制の一層の強化を含め、日米同盟を一層強化していくことなどを確認した。(以上)

【コメント】以上の報道を見るとオバマ政権になっても、ブッシュ政権当時の対日政策を完璧に引き継いでいくことが明確になりました。これにより引き続き米国から日米同盟の強化の障害になっていると言われている集団的自衛権行使の可能を日本は迫られます。ハト派と期待されているオバマ大統領ですが、その対日政策はブッシュ政権と変わらず、憲法の平和主義は危機に晒されます。

在日米軍再編は、2005年2月と10月に行なわれた日米安全保障協議委員会で決定されています。目的は日米の「世界における共通の戦略目標」として、「国際テロ」「大量破壊兵器」の脅威など、世界中の米国の基準で有事と見なした事態への共同対処です。そのために、米軍と自衛隊が、司令部機能の統合、基地の共同使用、共同演習の拡大、情報・通信ならびに作戦と運用の一体化を、より一段とすすめ、世界の紛争に即応する態勢をつくることを決めています。

そして在日米軍基地の機能強化のために、沖縄の海兵隊のための新基地建設(辺野古)、神奈川県・キャンプ座間への米陸軍の新しい司令部の移設、横須賀基地への原子力空母の配備、山口県・岩国基地への空母艦載機の移転などが進められています。

在日米軍の再編に伴う日本側の負担は3兆円とも言われています。自民党は無駄をはぶいて消費税率を上げるといいますが、専守防衛と関係のない米国の世界戦略のために日本の税金を使うことこそ大きな無駄遣いだと思います。

【関連情報】米軍ヘリパッドいらない 通行妨害禁止仮処分取り消しを求める 沖縄で県民集会(1月23日のしんぶん赤旗のHPより)

 米軍ヘリパッド(着陸帯)いらない、守れやんばる(北部)の貴重な森――日米両政府が沖縄県東村高江に建設を強行しようとしているヘリパッドに反対して座り込む住民運動を励まし、国(沖縄防衛局)が那覇地裁に提訴した「通行妨害禁止仮処分」取り消しを要求する県民集会が二十日、那覇市県庁前の県民広場で開かれました。

 「ヘリパッドいらない」住民の会、ヘリ基地建設反対協議会、沖縄県統一連、沖縄平和運動センター、平和市民連絡会が呼びかけたもので、県内各地から五百人がかけつけました。

 「住民の会」を代表して、伊佐真次共同代表が一年半に及ぶ座り込み運動にふれながら訴えました。

 「(最新の垂直離着陸機の)オスプレイを高江や辺野古への配備を隠したまま、ヘリパッドを六カ所もつくる日米沖縄特別行動委員会報告から高江の文言を削除すべきだ。沖縄防衛局こそが無法者だ」

 座り込みを続ける高江の安次嶺雪音さん(37)は、「豊かな自然の中で子どもが育っている。ヘリパッドができたら爆音や墜落の危険で私たちのくらしが壊される。私たちは何一つ悪いことはしていない。堂々と胸をはって裁判をたたかいます」と力をこめると、大きな拍手がわきました。

 共催した各団体代表と弁護団の池宮城紀夫団長がそれぞれ決意表明し、国際通りをデモ行進しました。

 友人たちとそろいのアフロの帽子をかぶって参加した女性(26)は、「四世帯から始まった運動が広がり皆の声になった。とても勇気がいること」と共感の声をあげました。

消費増税は景気の浮揚云々が問題なのではない/山崎孝

2009-01-22 | ご投稿
【消費増税は2段階で 明記反対派に首相が譲歩】(2009年1月21日の東京新聞)

 2011年度からの消費税率引き上げ方針を書き込む政府の税制改正法案の付則概要が21日、明らかになった。(1)景気好転を条件に11年度にも引き上げられるよう関連法を準備する(2)引き上げの施行日は別の法律で定める-という「2段階」で対応する内容。

 当初の政府方針である「中期プログラム」では条件付きながらも「11年度実施」としていたのを「11年度以降」と幅を持たせた形。同日会談した自民党の保利耕輔政調会長や党税調幹部らが提示した案を踏まえたもので、時期の明記反対派に対する麻生太郎首相の譲歩といえる。反対派の一部にも容認論が出ている。

 政府案は22日の党財務金融部会で了承されれば、政調審議会、総務会を経て23日に閣議決定する。

 文案概要は「経済状況を好転させることを前提として、消費税を含む税制抜本改革を行うため11年度までに必要な法制上の措置を講じる」。11年度を引き上げ時期ではなく法的準備を終える期限と読めるようにする。行政改革と歳出削減も強調する。

 保利氏らとの会談で首相は「早ければ11年度から引き上げるという基本線は守ってほしい。これまでの国会答弁からぶれないように」と指摘。保利氏らは「党の議論を反映し、党が結束して支持できるようにしてほしい」と述べた。

 政府側は当初、経済状況好転を前提に引き上げを11年度から実施できるよう法制上の措置をあらかじめ講じるとの「中期プログラム」を付則に盛り込む考えだった。

 しかし中川秀直元幹事長らは「中期プログラムの表現では『11年度から引き上げ』が独り歩きする」と批判していた。(共同通信配信記事)

【コメント】庶民が考える消費税の税率アップの問題は、景気の動向との関連云々という問題が本質的な事柄ではありません。日常的に欠かせない食品など生活必需品にかかる税金の増税は、生活困窮者や節約しながら生活している人たちに対して、更なる困窮度や困難さを増大させます。社会福祉の財源を作るためと主張していて、マスメディアは賛成の論調ですが、社会福祉の目的は困った人を助けるのが目的です。困っている人を更に困らすような方策で財源の作り出すのは矛盾しています。食料品には課税してはいけないと思います。

平和憲法を持っている日本が世界で5・6位の軍事費を使っていて、最近の自衛隊の装備は専守防衛とは関係のない、海外で軍事行動を行う時に必要な空中給油機、高速輸送船、大型輸送機などの装備やミサイル戦争でも生き残ろうとする考えのミサイル防衛システムの構築に莫大な金を使い、使おうとしています。これらの政策を見直して財源を確保すべきです。
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黒人初の大統領に沖縄の痛みを分かってほしい/山崎孝

2009-01-21 | ご投稿
【基地被害に理解を/オバマ新大統領あす就任 沖縄、期待といら立ち 爆音・射撃訓練の実態知って/普天間問題にけじめを】(2009年1月20日の沖縄タイムス夕刊)

 在日米軍基地が集中し騒音や事件事故が後を絶たない県内では、オバマ新大統領の就任を控え、基地問題の解決を求める声があらためて強まっている。

 最新鋭ステルス戦闘機が一月に再配備された米軍嘉手納基地。隣接する北谷町砂辺地区の松田正二自治会長(63)は「黒人初の大統領に沖縄の痛みを分かってほしい。砂辺に来て、早朝の戦闘機離陸など爆音の実態を知ってもらいたい」。一方で「米軍にやりたい放題やらせているのは日本政府だ。これを機に、米国にきちんと物を言ってほしい」と政府に注文を付けた。

 キャンプ・ハンセン演習場に近い金武町伊芸地区では昨年十二月、乗用車が被弾しているのが見つかった。米軍の訓練弾かどうかは約一カ月たった今も未解明。オバマ政権下で米軍はイラクからアフガニスタンへ軸足を移す方針だが、池原政文区長は「ハンセンには都市型訓練施設があり、アフガンでも同様の戦闘が続くなら、訓練状況は変わらないだろう。年明け後も、手りゅう弾や射撃訓練の音が昼夜聞こえてくる」といら立ちを隠さない。

 普天間飛行場を抱える宜野湾市の伊波洋一市長は、日米が同飛行場返還に合意した一九九六年当時を振り返り「民主党政権で合意にかかわった人物が新政権に戻ると聞いている。オバマ政権には普天間問題のけじめをつける責任がある」と指摘。「人権や環境を重視する政権になると予想されるので、住宅密集地の中心にある普天間飛行場の危険性を積極的に訴えていきたい」と強調した。

 一月に訪米、米政府当局者や議員らに沖縄の現状を訴えた仲井真弘多知事は「面談した方々は『基地問題を新政権に伝えたい』と発言していた。新政権が関心を示し問題解決に進むことを期待する」と語った。

 那覇新都心に遊びに来た黒人三人、白人一人の米兵は、全員が親指を立てるしぐさで新政権を歓迎しながら「おれたちは行けと言われた所に行くだけさ」と、派兵の不安を押し隠した。(以上)

【コメント】オバマ米新大統領は、米国の民衆の「草の根の声」を汲み上げ、その支持を得て大統領選挙に勝利しました。真の日米両国の信頼関係を築くために、この手法で日本の民衆の声を汲み上げなければならないと思います。オバマ米新大統領は、沖縄の痛みを分かってほしいという沖縄の民衆の声を汲み取らなければならないと思います。

発足するオバマ政権は、駐日米国大使にジョゼフ・ナイ氏を内定しています。同氏ははクリントン政権で国防次官補をつとめ、96年の日米安保の「再定義」を担当しました。また、ブッシュ政権が誕生する直前の2000年と今回の大統領選を前にした2007年の2度にわたり、アーミテージ元国務副長官とともに対日同盟政策の包括的な戦略文書「アーミテージ・ナイ・リポート」をまとめるなど日米関係に深くかかわってきています。

この考え方の基本は、世界的な規模で日米の軍事的共同対処地域にする。日米同盟において集団的自衛権行使を可能にすることです。

武力で国際紛争を解決してはならない。日本は海外で武力行使をしてはならないとする憲法9条は日本国民の多くの支持を得ています。オバマ新大統領は、この日本の草の根の声を重視しなければならないと思います。

オバマ政権は日米同盟を重視していると言われていますが、ブッシュ政権と同じような対日政策では、私たちはオバマ新大統領が主張する「チェンジ」にはならないと思います。日米軍事同盟の強化を行なうことと、オバマ新大統領の掲げるソフトパワーの重視とは結びつきません。

オバマ新大統領は就任演説で「われわれはいま危機の真っただ中にある。果てしない暴力と憎しみに向けて戦争を続けており、一部の強欲で無責任な人々のせいだけでなく、皆が困難な道を選び、次の世代に備えることができなかった結果、経済的困難にあえいでいる」と述べました。

この「一部の強欲で無責任な人々」の中には、米国が戦争を行うことで大きな利益を得ていて、米国議会に大きな影響力を持っている米国の産軍複合体制に係わる勢力があります。この勢力を如何に押さえ込むかも問われています。
オバマ新大統領は、テロに対する戦いの最前線と位置づけているアフガニスタンについては、3万人規模の兵力増派を実施したうえで、ヨーロッパ諸国とも協力して治安情勢の改善を目指すことにしています。しかし、今までもアフガニスタンに米軍やNATO軍を増強して来ました。だが、このテロとの戦いに抵抗する勢力は拡大し、世界的にもアフガニスタンにおけるテロとの戦いを批判する人たちも増えてきています。このことに真摯に目を向けない限りアフガニスタンでのテロとの戦いの勝利は望めないと思います。

中国の国防費の増大=脅威の増大という図式にはならない/山崎孝

2009-01-20 | ご投稿
【日本警戒の表現消滅 中国国防白書 「アジア安定」局地戦に重点】(2009年1月20日の東京新聞夕刊)

 【北京=新貝憲弘】中国政府は二十日、二年ぶりの国防白書「二〇〇八年中国の国防」を公表した。白書は大規模な戦争の可能性は小さいものの、ウイグルやチベット独立など「多くの新たな問題に直面している」と指摘。局地戦に対応した「先進的な軍事技術や武器装備、戦略核パワー、宇宙軍事、防衛ミサイルシステム、全地球的な偵察監視」を重点に軍建設を進めるとしている。

 白書から日本を警戒する表現はなくなり、「中日の防衛関係は進展した」と表明。国民党の馬英九政権の誕生により、中台関係が改善されたとしたほか、北朝鮮の核問題も六カ国協議により「段階的な成果を上げた」との認識を示した。前回白書時に比べ、アジア太平洋地域は「総じて安定」したとしている。各国の関心を集める空母建造については直接触れていない。

 軍事費については、〇七年が三千四百三十四億三千九百万元(約四兆五千七百億円)で、国内総生産(GDP)に占める割合は1・38%と、〇六年の1・41%より低下していることを強調。総額でも米国の7・51%、英国の62・43%にすぎないとしている。

 白書は一九九八年から隔年で公表されており今回六回目。中国の軍隊は中国共産党指揮下の人民解放軍と国務院(政府)に属する武装警察の二系統で構成されている。

【コメント】中国の軍事費が連続して増えていることを理由に、中国の脅威が主張されてきましたが、今回発表された中国国防白書は、《日本を警戒する表現はなくなり、「中日の防衛関係は進展した」と表明。国民党の馬英九政権の誕生により、中台関係が改善されたとしたほか、北朝鮮の核問題も六カ国協議により「段階的な成果を上げた」との認識を示した》と、東京新聞は書いています。これを見れば、中国は極東地域の平和を望み、努力していく意図を持っています。改憲派が主張する中国の国防費の増大は日本に対する中国の脅威という図式は成り立たないと思います。

2008年12月13日の日中韓首脳会議は共同声明を発表して「日中韓は地域及び国際社会の平和、繁栄、持続可能な未来を創造するためのビジョンと責任を共有する」と認識し、日中韓首脳会議をASEAN+3など地域協力の枠組みを補完し、相互に補強すると位置づけています。

和平の「和」を考える/山崎孝

2009-01-19 | ご投稿
【イスラエル・アラブ混成楽団 和平協議の再開を訴え】(1月19日の朝日新聞より)

 【ウィーン=関本誠】イスラエル人とアラブの若者らでつくる混成楽団「ウエスト・イースタン・ディバン・オーケストラ」が17日、ウィーンの楽友協会での公演後に記者会見し、イスラエルの攻撃停止にとどまらず、和平協議の即時再開を訴えた。

 楽団を指揮した世界的ピアニスト・指揮者でユダヤ人のダニエル・バレンボイムさんは「イスラエルの一方的停戦だけでは平和は来ない。ガザから撤退し、パレスチナと対等な立場ですぐに話し合うべきだ」と訴えた。

 楽団メンバーでフルートを演奏したイスラエル人のギー・エシエドさんは「お互いを理解し合うことが重要だ」と述べた。イスラエルに住むパレスチナ人のバイオリン奏者、ナビール・アッボードさんは「危機的な状況だからこそ対話が不可欠だ」と話した。

楽団は今年10周年を迎え、欧州各地でツアー中。エジプトとカタールの公演は両国の要請で無期限延期になった。(以上)

【コメント】イスラエル人とアラブ人混成楽団が、パレスチナ問題の和平協議の再開を訴えました。イスラエルはカザ地区を攻撃して1300人の市民を殺害しました。イスラエルの攻撃の被害ばかりではなく、国連人道問題調整事務所の報告によれば、イスラエルのガザ地区の封鎖で、昨年11月以降、ガザには1日平均6台のトラックしか入っていなく、そのために食糧がとても入手困難な状況がある。発電所への燃料供給不足で電気は1日16時間も停電する。水道は半分以上の住民に週1回数時間から水が流れない。同報告書は「人道的尊厳の危機」と述べています。イスラエルは停戦するだけでなくガザの封鎖を解かなければならないと思います。だから、ダニエル・バレンボイムさんは「イスラエルの一方的停戦だけでは平和は来ない。ガザから撤退し、パレスチナと対等な立場ですぐに話し合うべきだ」と訴えたのでした。

ところで、「和平」の「和」という元の字は、口を揃えて吹く楽器の形を表しており、「和」は音楽でいうハーモニーを奏でること。物事で言えば調和をとることだと言われています。異なる楽器が調和を取りハーモニーを奏でることは人の心を和ませます。

人々が調和を保って生きる社会を作ることが大切だと思います。

秋葉原事件のような差別意識や疎外感に駆られて、無差別殺人を犯す事件を防止できると思います。

労働経済白書が述べるような、2001年度の企業の労働分配率は75・1%であったが、2006年度は10億円以上規模の大企業は53・3%まで下がる。逆に株主配当率は上昇し2001年度の5%程度から2006年度は20・2%に上昇したような状況や極端な格差社会は調和が取れているとは言えません。

日本人の多くが職や住居を失う状況の中で充分な支援をせずに、他国で戦争をするような米兵の住宅を整備することに日本の税金を使うことは、調和が取れた政治とは言えません。

武力を行使せず相互が対等の立場で話し合うことこそ、調和の取れた関係を獲得できる方策だと思います。

企業の社会的責任を問う/山崎孝

2009-01-18 | ご投稿
ブログで紹介しましたが、経団連と連合は、雇用の安定・創出に向けた異例の労使共同宣言も出しました。朝日新聞の社説は《狙いは政府への注文にある。緊急策として雇用保険や職業訓練など安全網の拡充を要請するとともに、医療・介護、環境、農業、教育などの分野での雇用創出を求めている》と述べています。

緊急策が必要な社会情勢になったのは、経団連加盟の企業政策によることはいうまでもありません。政府に雇用創出を要請する前に、自らの解雇を止めるのが筋であります。

大企業製造業(資本金10億円以上)の剰余金は、1998年9月から2008年9月までの10年間で約32兆円増えたという指摘されています。これを少し取り崩して解雇をやめる考えはないのでしょうか。

庶民は家族が大変な時にはこつこつ貯めた貯金をはたきます。この考えにつけこまれ振り込め詐欺にあう人さえ出ています。

国や地方自治体は企業活動が効率的に出来るように、国民・市民の税金を使い道路や港湾など経済基盤の整備を図ってきています。国は税金を使い産業の技術開発を行ないます。教育環境を整え企業が必要な人材養成も行なっています。

海外にも企業が有利に進出できるように、ODAで進出を企図する国のインフラの整備を助けています。経済の改革解放政策を打ち出した中国に対して日本はODAで中国のインフラ整備を助けたことにより、中国に多くの日本企業が進出しています。

これら国が与えた企業に対する恩恵を考えれば、大変な時には溜め込んだ金を取り崩して使う社会的な使命があると思います。

奇妙な感じの労使共同宣言/山崎孝

2009-01-16 | ご投稿
(1月16日の朝日新聞「社説」より抜粋)日本経団連と連合のトップ会談が開かれ、09年の春闘がスタートした。

 連合は物価上昇分を取り戻すベースアップ要求を掲げてはいる。だが、景気と雇用の急速な悪化を踏まえ、労使の議論は「雇用を守るために何ができるのか」に収まりつつある。

 トップ会談に合わせ、雇用の安定・創出に向けた異例の労使共同宣言も出された。狙いは政府への注文にある。緊急策として雇用保険や職業訓練など安全網の拡充を要請するとともに、医療・介護、環境、農業、教育などの分野での雇用創出を求めている。

 雇用対策を打つ責任が政府にあるのは当然として、では労使では何をするのか。その点が心もとない。

 経団連と連合は今後、雇用確保をめぐり定期協議を重ねる予定だが、対応が鈍すぎないだろうか。「雇用」に取り組む機運は年明けから労使双方に出ていた。経団連会長がワークシェアに言及し、連合会長も「話し合いの場ができれば」と応じたのに、動き出すのには半月近くかかった。

 景気は急降下している。労使のスピード感も問われている。(以下略)

【コメント】実に奇妙な取り合わせによる共同宣言です。社説には労使共同宣言の《狙いは政府への注文にある。緊急策として雇用保険や職業訓練など安全網の拡充を要請》と述べられています。

日本の社会が政府に雇用などの緊急策を求めなければならない状況を作り出したのは経団連加盟の大企業です。経団連加盟の大企業は、自らの大量の派遣切りの責任を頬かむりにして政府に自らの行為の尻拭いを求めているのです。

この経団連のトップと手を組んで緊急策を求めている連合トップの政治的センスを疑います。連合は大企業の社会的責任を頬かむりに手を貸していると取られても仕方がない行動です。

社説は《経団連と連合は今後、雇用確保をめぐり定期協議を重ねる予定》と述べていますが、連合は「雇用確保を望むこと」を真剣に望むのであれば、経団連加盟の大企業に十二分に溜め込んだ剰余金を使って雇用を維持せよと要求すべきなのです。

【以前ブログで紹介した資料の採録】 財務省の法人企業統計調査をもとに、自動車、電機など大企業製造業の利益剰余金と資本剰余金の合計額を計算すると、大企業製造業の剰余金の合計額は、九八年九月末時点での約七十六兆七千三百億円から、二〇〇八年九月末には一・四倍の約百九兆一千五百五億円に増加しています。十年間の増加額は、三十二兆四千億円を超えます。

総務省の労働力調査によると、〇八年七―九月期平均の雇用者に占める非正規雇用の割合は34・5%に達しています。一方、大企業製造業の経常利益総額は、ピーク時より低下しているものの十年前の一・六倍になっています。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、正社員の平均賃金は残業代、一時金を合わせて年間五百二十三万五千円です。

十年間の剰余金の積み増し分だけで、正社員の年収の約六百二十万人分にあたります。十年間分のためこみを十年かけて取り崩すとしても、一年分の約三・二兆円で六十二万人分の正社員の年収分になります。

厚生労働省の企業からの聞き取り調査では、〇九年三月末までに八万五千人の非正規労働者の雇い止め・解雇が計画されています。

これまでの大企業製造業の剰余金の一年間分の積み増し分約三・二兆円だけで、「非正規切り」にあう労働者の解雇をやめることができるばかりでなく、その七倍以上の数の労働者を正社員にすることができます。