いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
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日本の政治動向を見つめる世界の目/山崎孝

2007-01-21 | ご投稿
シンガポール紙論評で警戒心 安倍首相、改憲へ「猪突猛進」(1月19日「しんぶん赤旗」ニュース)

 シンガポール紙・聨合早報十二日付は、「安倍は今年、『猪突(ちょとつ)猛進』しようとしている」と題する同紙元論説委員・コラムニスト、黄彬華氏の論評を掲載し、改憲に執念を燃やす安倍首相の政治姿勢にたいし強い警戒心を表明しました。

 論評は、安倍首相が年頭から「『美しい国』の目標に向け勇気を奮い起こす」「憲法改正をめざす」とのべたことにふれ、「タカ派本来の面目を現しつつある」と指摘。小泉政権の時のように「日本がまた、『世界の問題国家』になる可能性がある」とのべています。

 また、「自民党は五年以内に『平和憲法』を廃棄すると宣言している。『教育改革』や『防衛庁の省への昇格』、『国民投票法』制定の目標は、『平和憲法』を除去する道を開くためのものだ」と指摘。「安倍氏の政治目標は、日本が『戦後状態』から脱け出して、(戦争ができる)『普通の国』になることだ。憲法第九条は戦争と武力の放棄を宣言しているが、安倍氏は首相就任後、自衛隊に国家の軍隊の地位を与える『防衛庁昇格法案』をただちに成立させた」とのべています。

 論評は、「日本の主要政党の自民党と民主党の間に左右や保守と革新の区別はない。政党では(改憲)反対勢力は、日本共産党と社民党だけである」と指摘しています。(以上)

盧武鉉大統領は昨年の3・1独立運動記念日に、「日本が世界の指導国家となろうとするならば、法を変え、軍備を強化するのではなく、人類の良心と道理にあわせて行動し、国際社会の信頼を得なければならない」と述べています。

今年の1月、中国の軍関係の新聞も改憲の動きに警戒心を抱く考えをしています。

安倍首相が1月12日、ベルギーを訪問しNATO理事会での演説して「いまや、日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」と、歌舞伎役者が”見得を切る”ような発言したことを、ベルギーの新聞「ソワール」は「軍事的に筋力を鍛え、国際舞台での重みを増すことにある」と指摘しています。

ドイツの新聞「ターゲス・シュピーゲル」は「安倍首相は攻撃部隊を保有し、世界政治に決定的な意味を持つ国として登場したいと思っている」と述べています。

私は先日、日本の政治家は「軍事力で国威を発揮するような考えを持っている」と述べましたが、西洋の新聞もそのことを指摘しました。

そして日本の動向を、日本の軍国主義の被害を受けた国は警戒心を抱くようになっています。

イラク戦争を始めたときに、米国人は国際社会の声を無視しました。そして現在その大きなツケを払わなければならない羽目に陥っています。日本人は戦前のことだけではなく、現在の国際社会、特に日本軍国主義の被害を与えてしまった国の人たちの声に耳を傾けて、日本の基本政策を誤らないようにしなければならないと思います。

日本は自覚的で主体的な力はあります。シンガポール紙・聨合早報の論評は、「日本の主要政党の自民党と民主党の間に左右や保守と革新の区別はない。政党では(改憲)反対勢力は、日本共産党と社民党だけである」と述べました。しかし、憲法9条を守れという考えは、共産党と社民党の支持者だけではないことは「九条の会」に結集した人たちは、よく知っています。このことを大切にして憲法を守っていかなければならないと思います。

「千の風になって」/山崎孝

2007-01-20 | ご投稿
昨年放送のNHK番組「紅白歌合戦」は、ある組の出演者たちのきわどい姿が批判されましが、素適な影響も与えています。同番組でテノール歌手秋川雅史さんが歌った「千の風になって」が、番組終了後に人気が上昇し1月15日発表した22日付オリコンのシングルチャートで1位になりました。

 この歌は新井満さんが、地道に社会貢献活動をしていた女性の追悼文集「千の風になって―川上桂子さんに寄せて―」に掲載されていた翻訳詩に感動して、原詩をオリジナルともいうべき翻訳詩にし作曲をして、自らがうたっていた曲でした。

 歌は、私は墓の中に眠ってはいない、千の風になって大空に吹いている、二節目で新井満さんは「秋には光になって 畑にふりそそぐ/冬はダイヤのように きらめく雪になる/朝は鳥になって あなたを目覚めさせる/夜は星になって あなたを見守る、とうたっています。

 とても美しい心象風景です。人の魂の不滅をうたい、固定観念に囚われない自由な発想の歌です。

1月16日付け朝日新聞掲載の「袖のボタン/歴史の勉強」で、丸谷才一さんが述べた言葉を真似(もじらせて)もらいますと、

《戦争の犠牲者に哀悼の意を表する手段としては靖国神社しか思いつかず、若者たちや娘たちの倫理と風俗を憂えるとき、拠るべきテクストとして持ち出すのは教育勅語である。》

《「美しい国」などと言って昔にあこがれ、もしできることならタイムマシーンに乗って旧憲法のころに帰りたい人たちには》、この素晴らしい心象風景は見えない、想い描けることはできないと思います。美しい国を、人それぞれが自由に思うことができなければなりません。国家がひとつの価値観で統べる必要はありません。あるとしたら世界に普遍的な人類愛であると思います。

《 》の部分が丸谷才一さんの文章お借りした部分です。

丸谷才一さんは現憲法下で生み出された女性たちの文学作品を、身近な抒情性とユーモアを盛った。女性解放と女子高等教育が長い歳月の末にあげた収穫だと指摘して《「美しい国」などと言って昔にあこがれ、もしできることならタイムマシーンに乗って旧憲法のころに帰りたい人たちには、見えないに決まっているけれど》と述べています。

ボルトン前米国連大使/山崎孝

2007-01-19 | ご投稿
【6カ国協議は「失敗」 ボルトン前米国連大使】(1月17日中日新聞ニュース)

17日午後、東京・内幸町の日本記者クラブ米国のボルトン前国連大使は17日、都内の日本記者クラブで記者会見し、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議について「失敗した。(同協議を通じた各国の)働き掛けの役割はもう終わった」と述べ、同問題は「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」と主張した。

ボルトン氏は、体制を崩壊させるためには「経済的圧力を強めることと、拡散防止構想(PSI)を組み合わせれば効果が出る」と話し、北朝鮮に配慮する中国、韓国の協力への期待も示した。

1994年の米朝枠組み合意に反して北朝鮮が核開発をひそかに続けていた前例を挙げた上で、6カ国協議でも同様のことを北朝鮮が考えていたとの見方を表明。外交的手段での問題解決には「数千に上る地下施設も含めて、完全に(核開発断念を)検証できなければならない」とした。(共同通信)(以上)

北朝鮮の核問題をボルトン氏は「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」と主張しましたが、この考えは2005年初めくらいの頃のブッシュ政権の考え方でした。北朝鮮が要求する米朝二国間会談もかたくなに拒否をしてきました。しかし、2005年の秋には、北朝鮮は6カ国協議で、北朝鮮の安全を保障すれば軍事用の核兵器を廃棄すると約束し、米国は北朝鮮の核兵器の廃棄を実現すれば安全を保障すると約束します。後はどのような行程で実現させるかで、意見の対立が残りました。

2006年に米国の金融制裁が始り、それに北朝鮮は反発して冒険主義に走り核実験まで行う。国連は北朝鮮に経済制裁は加えたが、軍事的制裁は排除して6カ国協議の復帰を北朝鮮に呼びかけた。その後6カ国協議は12月に再開し、2006年の秋の基本合意は確認されたが、それ以上の進展はなく休会となっていました。

2007年1月16日に、米朝二国間会談がベルリンで6時間に亘って行われ、17日にも行われています。18日も行われる可能性がある、米政府(ヒル国務次官補)は「有用な話し合い」と受け止めていると朝日新聞は報道しています。また、ヒル国務次官補はベルリンで講演し6者協議を「今月末までに再開したい」との考えを示した、と朝日新聞は伝えています。

「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」と主張するようなボルトン氏を、イラクで失敗したブッシュ政権は、米国の国連大使に再任しませんでした。

ボルトン氏は18日の朝日新聞とのインタビューの中で次のように述べています。《イラク国民が一体であろうとしなければ、米国はイラクの領土的統合は保てない。米国はイラクが一つであろうと、(宗派・民族で)3分割されようと、それ自体に戦略的利害はない。われわれの利害は、どの国もテロリストの温床にならず、大量破壊兵器を手にしないということである。》

これはずいぶん無責任な話で、イラクが3分割されるようなことになれば、石油資源のない地域に住むスンニ派の人たちの生活はどうなるのでしょうか。宗派・民族同士の争いの根底のところに、石油資源をめぐる争いがあることは良く知られていることです。それにとても悪い独裁政権でありましたが、フセイン政権は国際テロ組織との関係はありませんでした。イラク戦争そのものが国際テロ組織をイラクに潜入させ、イラク戦争自体がイラク人の一部を過激なテロリストにさせてしまいました。また、貧困がテロリストを生み出すことにつながります。ボルトン氏はこれらのことを認識していないようです。

ボルトン氏の「現実的には、北朝鮮の現体制が崩壊することでしか解決できない」というような考え方は、日本の政治家にも根強くあります。このような考え方が、拉致問題解決には制裁一本槍で、軍事力で国際貢献や軍事力で国威を発揮するような考えの改憲とつながっていると思います。

公明党は持論を貫くことが出来るか/山崎孝

2007-01-18 | ご投稿
1月17日の自民党の大会で安倍首相は改めて改憲への強い意欲を示しました。公明党は自民党の大会に出席して、国民投票法案の成立には歩調を合わせましたが、大田代表は挨拶の中で改憲には一言も触れませんでした。極めて矛盾した態度を取っています。

朝日新聞の報道によりますと《同党は、憲法改正に向けた「加憲」案を昨年9月の党大会でまとめる予定であったが、先送りしたまま。支持母体の創価学会には、集団的自衛権の見直しなどもからめた首相主導の改憲には警戒感がなお強い。太田氏も、改憲を参院選の争点とすることには「時期尚早」と名言している。》公明党の明言していることに「憲法9条1項と2項は変えない」があります。

既に紹介している品川正治さんの《経済人のなかにも、自衛隊を憲法上きちんと規定すべきで、そのために9条の見直しが必要だという論者がいます。だが、多くの世論調査に見られるように、世論の多数は9条を変えることなく、自衛隊の存在を認めてきたのではないでしょうか。それならば、あえて今、憲法を変える必要はないのです》の指摘が重要だと思います。

公明党の「加憲」は憲法に自衛隊を明記だとしたら、支持者の方たちは、自民党改憲の最大の狙いが、海外で日本が武力行使を出来るようにすること、それも米国の有志連合に参加して集団的自衛権の行使が出来るようにすることです。

品川正治さんの指摘を理解していただければ、加憲などを行わなくても良いのです。公明党が改憲の潮流に乗ることは、教育基本法改定問題で妥協したように、何れは政権党に座っていたい欲望に負けて妥協して、公明党の支持者の考えを裏切る可能性を秘めていると思います。仮にこのようなことが起これば、国民投票の時に自らの意思を表明してほしいと思います。

外交方針の論理的整合性を保つこと/山崎孝

2007-01-17 | ご投稿
1月15日付け朝日新聞は、14日の日中首脳会談【歴史問題】の事項で、安倍首相の発言要旨を《過去を謙虚に振り返る。戦後60年の平和国家の歩みを中国国民にも理解して欲しい》と伝えています。それでは自民党の大方の政治家は安倍氏を含めて、戦前の歴史を、過去を謙虚に振り返ったとはいえませんでした。その特徴的な出来事は、教科書に対する自虐史観批判やそれに対抗する教科書つくりを支援する。日中戦争、太平洋戦争を肯定し、戦争指導者を神として祀る靖国神社に、幾度も参拝する小泉前首相を支持したことでした。

国際社会が日本を一応「戦後60年は平和国家」と評価した最大の事柄は、日本が海外で武力行使をしなかったことにあると思います。かつて日本の軍国主義の被害を受けた中国や韓国は日本が専守防衛を基本にしてきた自衛隊を持っていることには、今は大きな警戒感を示していませんが、日本の改憲の動向には警戒感を示しています。

1月14日に発表された「日中韓報道声明」要旨を《3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化する。政治・外交課題の調整のため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した。今年中に中国主催で開催》と朝日新聞は報道しています。

このような外交と大きく矛盾するのが、安倍首相の行う「戦後レジームの船出=脱却」の方向です。これの最大の課題である憲法改定では、集団的自衛権行使の可能が大きな目的です。

この集団的自衛権を行使する事態に日本の周辺事態に想定しています。日本の周辺事態のひとつに、中国と台湾の軍事衝突が発生し、米国が介入、日本は米国を支援するために集団的自衛権行使をすることが考えられています。このような想定の根底にあるのは、政治家の中国への不信感です。

中国は台湾に対しては基本的には宥和政策です。台湾の野党は大陸との経済関係を深めることに熱心です。中国が経済成長に相対して軍事予算を増やしているからと言って中国を必要以上に警戒する必要はありません。中国は6カ国協議の議長国として粘り強く役目を務めて米国もそれを評価しています。また、3カ国の政治・外交課題の調整のため、局長級以上の事務レベルの協議組織の創設で合意した。『今年中に中国主催で開催』とあるように、日本と韓国との話し合いにも熱心だと思います。

1月14日は東南アジア諸国連合と日本、中国、韓国の首脳会議では、東アジア共同体の創設に向けた取り組みを強化することが確認されています。

安倍首相の「戦後レジームの船出=脱却」の方向は、1月に進めた外交の「日中韓報道声明」の国同士の信頼を基本に置いた《3カ国首脳は地域全体の安定のために行動し、相互の尊厳と理解に基づく政治的信頼を強化する》ことと、また信頼関係を基礎とする「東アジア共同体」の創設の確認方向とも論理的な整合性を保ちえません。

仮に中国と台湾に軍事衝突が起きたとしても、国連が関与して調停に当たるべきことです。米国が単独で介入しそれを日本が軍事支援することではないと思います。

安倍首相が述べた《戦後60年の平和国家の歩み》は、憲法理念がもたらしたものであることを、安倍首相は深く認識して欲しいと思います。現行憲法下で、「日中韓報道声明」の実践や東アジア共同体の構築に進む方向こそ、外交方針の論理的な整合性が保つことが出来ます。

1月17日は、阪神淡路大震災の追悼記念日です。改めて人の命の尊さを思いいたし、多くの命が奪われたことを悼み、災害で命が奪われないよう努める事を確認する日です。大地震は避けられません、しかし、多くの命を奪う戦争は人の手によって避けられます。憲法を日本が守ることこそ戦争に手を貸さず、日本が攻められない道は、憲法の理念を忠実に実行することだと思います。

平川克美さんの憲法擁護論/山崎孝

2007-01-16 | ご投稿
品川政治さんは「経済界が改憲一色であるなどと、ぜひ誤解しないようにしてください」と述べていますが、1月13日の朝日新聞に同じ経済人の平川克美 リナックスカフェ社長の論説が掲載されていました。この論説を紹介します。

国論を二分するような政治的な課題というものは、どちらの側にもそれなりの言い分があり、どちらの論にも等量の瑕疵があるものである。そうでなければ国論はかようにきっばりとは二分されまい。国論を分けた郵政法案の場合も、施行60年を迎えて近頃かまびすしい憲法の場合も、重要なのはそれが政治課題となった前提が何であったかを明確にすることである。

 政治は結果であるとはよく言われる。仮に筋の通らぬ選択をしたとしても、結果において良好であればよしとするのが政治的な選択というものだろう。ただし結果は結果であって、希望的な観測ではない。米国のイラク介入の結果を見るまでもなく、しばしば自分が思うことと違うことを実現してしまうのが、人間の歴史というものである。

その上で、憲法改正の議論をもう一度見直してみる。戦争による直接のの利得がある好戦論者を除外すれば、この度の改憲問題は反対派も賛成派も平和で文化的な国民の権益を守るという大義によってその論を組み立てている。

 9条をめぐって護憲派は、広島、長崎に被爆の体験を持つ日本だからこそ、世界に向けて武力の廃絶を求める礎としての現行悪法を守ってゆくベきであると主張し、改憲派は昨今の国際情勢の申で国益を守るには戦力は必須であり、集団的自衛権を行使できなければ、国際社会へ応分の責任を果たすこともできない、と主張する。

 なるほど、どちらにもそれなりの正当性があり、等量の希望的な観測が含まれている。しかし将来起こりうるであろうことを基準にして議論をすれば、必ず両論は膠着することになる。

では、確かなことはないのかといえば、それは戦後60年間、日本は一度も戦火を交えず、結果として戦闘の犠牲者も出していないという事実がこれにあたる。政治は結果と効果で判断すべきだというのであれば、私は、この事実をもっと重く見てもよいのではないかと思う。これを国益と言わずして、何を国益と言えばよいのか。

 「過去はそうかも知れないが、将来はどうなんだ」と問われるであろう。現行の憲法は理想論であり、もはや現実と乖離しているといった議論がある。私は、この前提には全く異論が無い。その通りだ。確かに日本国憲法には国柄としての理想的な姿が明記されている。理想を掲げたのである。そこで、問いたいのだが、憲法が現実と流離しているから現実に合わせて憲法を改正すべきであるという理路の根拠は何か。

 もし現実の世界情勢に憲法を合わせるのなら、憲法はもはや法としての威信を失うだろう。憲法はそもそも、政治家の行動に根拠を与えるという目的で制定されているわけではない。変転する現実の中で、政治家が臆断に流されて危ない橋を渡るのを防ぐための足かせとして制定されているのである。当の政治家が、これを現実に合わぬと言って批判するのはそもそも、盗人が刑法が自分の活動に差し障ると言うのに等しい。

現実に「法」を合わせるのではなく、「法」に現実を合わせるというのが、法制定の根拠であり、その限りでは、「法」に敬意が払われない社会の中では、「法」はいつでも「理想論」なのである。

     ◇

 平川克美さんは1950年生まれ。著書に「9条どうでしょう」(共著)など。(以上)

平川克美さんは、憲法は「変転する現実の中で、政治家が臆断に流されて危ない橋を渡るのを防ぐための足かせとして制定されているのである」とのべています。海外で武力行使してはならないとする憲法規定は、米国に日本が軍事協力を求められた局面で威力を発揮しています。その最大の事実の証明は、平川克美さんの指摘した「それは戦後60年間、日本は一度も戦火を交えず、結果として戦闘の犠牲者も出していないという事実がこれにあたる。政治は結果と効果で判断すべきだというのであれば、私は、この事実をもっと重く見てもよいのではないかと思う」であります。

日米同盟は「血の同盟」だと考える安倍首相は、この憲法規定が一番邪魔で、憲法解釈さえ変えようとしています。

改憲派の、集団的自衛権を行使できなければ、国際社会へ応分の責任を果たすこともできない、という主張を具体的な事実を挙げて論破しなければならないと思います。

九条の会みえネットワークの会議に参加して/山崎孝

2007-01-15 | ご投稿
1月14日、三重県下で活動する九条の会が参加して、情報交換や協同した催し物を行うための協力組織と位置づけている「九条の会みえネットワーク」の会議に、私は「志摩九条の会」の事務局の代理として参加しました。

一番の議題は、5月3日と4日に、経済人で憲法を立場で活動されている品川正治さんにお願いして講演会を行うための打ち合わせでした。

5月3日は、主催「九条の会・津」 共催「九条の会みえネットワーク」 場所「津センターパレス」5階 時間 午後2時

5月4日は、いせ九条の会と鳥羽九条の会と志摩九条の会が力を合わせて行う方向となりました。呼びかける地域の範囲は、伊勢・志摩・南勢・尾鷲などを対象として、松阪地域はそれぞれの日に参加していただけるようにする。

ゴールデンウィークに当たるために、三重県全域を方たちに3日に行かれない方は4日に、3日に行かれない方は4日に参加していただくように、それぞれのチラシにその旨の宣伝をすることにしました。

私が印象深かったことは「みえヤング9条の会」が頑張っていることでした。会議の司会の役割を果たしているように見受けられました。

「みえヤング9条の会」は、2月10日午後1時30分、場所は短期大学4階41番教室で根津公子さんをお呼びして「思想・良心の自由を考え」講演会を開催します。

根津公子さんは、東京都立川市の中学校教諭で、君が代の斉唱時に「不起立」を貫き、職務停止の処分を受けましたが、学校には出かけ抗議のビラを配っているという方だということです。

根津公子さんは「良心に従い、子どもたちへの責任を果たす」と考える真の教職者です。公務員として教職者として、憲法で決められた個人の思想・信条の自由の保障を実践することが義務と考えたからだと思います。

闘士のような印象を受けますが、「みえヤング9条の会」の方は、とても柔和な方だと話されました。

「みえヤング9条の会」の学生たちの先生は、卒業をしていく学生もいるために、学生時代の最後の催しになる。成功させて、勇気を与え社会に送り出したい、会議の参加者に協力を要請されました。

参考 品川正治さんの言葉(「憲法を変えて戦争に行こうという世の中にしないための18人の発言」より抜粋)

(前略)経済人のなかにも、自衛隊を憲法上きちんと規定すべきで、そのために9条の見直しが必要だという論者がいます。だが、多くの世論調査に見られるように、世論の多数は9条を変えることなく、自衛隊の存在を認めてきたのではないでしょうか。それならば、あえて今、憲法を変える必要はないのです。

経済界が改憲一色であるなどと、ぜひ誤解しないようにしてください。企業人のなかにも、先の戦争を通じて痛苦の体験をした人が数多くいます。また、戦後、憲法9条の存在によってこそ民需部門でのめざましい経済成長が可能になったことを、多くの財界人が実感しています。今、東アジアの平和と友好のなかでこそ、企業活動も円滑に推進されていくのですから、憲法9条を変えてしまうことはその点でも大きな妨げになるのです。(以上)

私は品川正治さんに5月4日の講演で、「憲法9条の存在によってこそ民需部門でのめざましい経済成長が可能になったことを、多くの財界人が実感」している例を具体的にお話をしてほしいと思います。憲法理念の成果の実証こそ、憲法を守るための大きな説得力を持つと思うからです。

安倍首相「日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」/山崎孝

2007-01-13 | ご投稿
1月13日の朝日新聞記事によりますと、1月12日、ベルギーを訪問中の安倍首相は、NATOの理事会で演説して「憲法の諸原則を順守しつつ、いまや日本人は自衛隊が海外で活動することをためらわない」と述べ、恒久法制定も含め、自衛隊の海外派遣を積極的に進める意向を表明した。そのうえで「わが国はより大きな役割を求める世界の増大する期待に応える用意がある」と強調、平和構築や復興支援活動などでNATOとの連携を強化する方針を示した。

日本の首相のNATO訪問は初めて、憲法上の制約もあり、軍事同盟であるNATOとの交流は避けてきたからだ。今後、NATOとの連携強化が進めば、首相が指示している集団的自衛権行使の具体例の研究範囲が広がる可能性もある。(記事の抜粋以上)

安倍首相は「憲法の諸原則を順守しつつ」という前提を設定した上で「日本人は自衛隊が海外で活動することをためらはない」と述べてはいますが、その憲法の大きな制約の集団的自衛権行使を憲法の解釈を変えようとしていますから、「憲法の諸原則を順守しつつ」は自衛隊の海外活動上の制約にはならない可能性があります。

「わが国はより大きな役割を求める世界の増大する期待に応える用意がある」と述べていますが、日本が国連から求められた活動は軍事的な役割ではなく財政力による平和構築や復興支援活動です。

大島賢三・国連大使は、朝日新聞2006年11月11日付「国際貢献 守りたい日本の外交資産」というタイトルで次のように述べています。

《国際の平和と安全の維持が国連の最も重要な任務であるが、同時に国連加盟国の大半が開発途上国であることから、2001年の米同時多発テロ以降、テロを誘発する貧困や社会的不公正などへの関心がますます高まっている。

その中で日本には、その国力と従来の実績から、開発や人道、復興、平和構築などの分野で大きな貢献とリーダシップが期待されている。これに着実に応えていくことが国際社会で敬意を受け、影響力のある地位を保持する基礎になっていることも疑いをいれない。にもかかわらず、最近、国連の現場にあってわれわれが日々、憂慮を禁じえないのは、このような日本の国際的地位、影響力の源泉となっているわが国の外交資産の需要な一部が失われ始めている。しかも国民が多くの国民の気づかぬ間に事態が静かに着実に進んでいるのではないか、という現実である。》(抜粋以上)

日本の財政的貢献は評価されて、紛争後の復興を支えるために国連が2006年に新設した「平和構築委員会」の常設機関である組織委員会のメンバーに選ばれています。

安倍首相は2006年10月30日、外国のメディアに《「時代にそぐわない条文として典型的なものは憲法9条。日本を守るとの観点、国際貢献を行っていく上でも憲法9条を改正すべき」と強調しています。

安倍首相は、事実に基づかない観念論で、日本の外交を指導しています。

最近の例は、航空自衛隊の米軍支援活動を8月以降も続ける意向を示したことです。政府は昨年12月28日、ブッシュ米大統領は共和党の中間選挙敗北を受け、イラク政策の見直しを進めているが、見直しがあった場合でも、米軍が早期に全面撤収する可能性は低く、来年8月以降も当面、米国を中心とする多国籍軍の支援が必要と判断したことによるものです。米国のイラク新政策に呼応する形となりましたが、ブッシュ大統領のイラク新政策は厳しい批判を受けています。

1月12日の中日新聞ニュース【共和党からも新政策批判 米議会、両長官に集中砲火】

【ワシントン11日共同】ブッシュ米大統領が発表したイラク新政策をめぐり、11日の上下両院の公聴会で、共和、民主両党の議員から新政策への批判が続出、証言したライス国務長官やゲーツ国防長官が集中砲火を浴びた。議会の主導権を握る野党民主党のみならず、身内の共和党からも公然と批判が出たことで、ブッシュ大統領は早くも苦しい立場に追い込まれた。

ゲーツ長官は下院軍事委員会で、2万人超の米軍増派の期間は具体的に決めていないとした上で「18カ月とか2年ではなく、数カ月の問題とみている人が多いと思う」と述べ、1年前後を念頭に置いていることを示唆した。

上院外交委員会ではバイデン委員長(民主)が、米軍増派は戦争を拡大させる「悲劇的な誤りだ」と批判。

共和党からも大物ヘーゲル上院議員らが「ベトナム戦争以来、最も危険な外交的大失態」と明確に反対を表明、ライス長官は防戦に追われた。(以上)

1月13日の朝日新聞「天声人語」は、(前略)▼イラク戦争が泥沼化する中、ブッシュ大統領が、兵の増派を柱とする新戦略を発表した。「過ちのあった点については、私に責任がある」と述べた。しかし、増派は、シーハンさんのような母や父、妻子らを更に増やすことになりはしないか▼大統領の過ちとは、大統領の言う、送り込んだ兵の数ではないはずだ。国際社会の多様な声に耳を貸そうとせず、単独行動主義に傾いて先制攻撃をかけたことが、そもそもの過ちではなかったか▼イラク攻撃をして街や国を壊すことは、軍事の超大国にとって難しくはなかった。一方で、破壊による混沌から秩序を作り出すことはできず、日々おびただしい命が失われ続けている▼壊れた街ならば、つくりなおすのも不可能ではない。しかし、壊された命をつくりなおすことは誰にもできない。民族や国籍を超越した生命体を畏れる姿勢が、この戦争でも問われている。その問いは、戦争を始めた国だけではなく、同盟諸国にも向けられている(以上)

安倍首相は、昨年9月3日、日本政府のイラク政策について、「対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信じるに足る理由があった。武力攻撃を支持したのは正しい決定だったと考えている」と答えました。これも事実に「基づかない観念論」です。国際査察機関は、数ヶ月のうちにイラクの大量破壊兵器の存在の有無は判明すると言明していました。

政府部内はイラク戦争をどう捉えているかを1月13日の朝日新聞は、大統領がイラク政策の失敗を認めたことについて、塩崎官房長官は「これまでのイラクでの活動の軌跡を大統領なりに評価を率直にしたところだろう」。外務省幹部は「大統領はイラク戦争ではなく、戦後政策に過ちがあったことを認めただけだ」と伝えています。

自民党政府はイラク戦争が、国連加盟国の多数の意思に背いて行ったこと、国際法違反の先制攻撃の戦争、最大の理由であった大量破壊兵器の存在がなかったこと、テロ行為と同質の非人道的な無差別攻撃でイラクの市民を5万人以上も死亡させたこと、テロとのたたかいという大義も、アラブ世界を敵にまわしかえって国際テロ組織の活動を勢いづかせたことなど、イラクの平和と民主化とはほどとおい国内の分裂と内戦が生まれていること、中東の情勢を以前より不安定化させたことの認識は皆無です。

このような自民党政府では、再びイラク型の戦争に日本が同調する可能性は大いにあります。

日本の進むべき道は憲法に掲げられた人道主義に基づく「国際紛争を武力で解決しない」政策の道です。「天声人語」に述べられた「民族や国籍を超越した生命体を畏れる姿勢」、人命を一番に尊重した正真正銘の美しい国の姿です。

安倍首相はやたらと日本の軍事力による国際貢献を唱えています。たびたび言いますが、国連平和維持活動の基本は、”紛争地に非暴力の原理を持ち込む”ことなのです。停戦成立後の停戦監視、兵力引き離しを穏当な方法で行うことです。

ブッシュ米大統領のイラク新政策は危険な賭け/山崎孝

2007-01-12 | ご投稿
★米イラク政策:新政策発表 米政権、最後の賭け 関与むしろ強化(1月11日付け毎日新聞ニュース)

【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領が10日発表したイラク新政策は、宗派間抗争が激化するバグダッドの治安対策などのため2万人規模の米軍を増派する一方、イラクの軍事的役割拡大を促す「イラク自立化」を明確に打ち出した。残り任期2年のうちに撤退に道筋を付ける狙いがあるが、目玉の増派は過去にも採用されながら成果がなく、逆に抗争激化につながった。ブッシュ大統領にとって「最後の賭け」ともいえる新政策だが、新味は乏しく効果を疑問視する見方が強い。

◇新たな抗争、火種にも ブッシュ大統領は演説で戦略や手法の「変化」を強調したが、内容は戦略的転換には至らず、従来の関与政策の強化・加速に重点が置かれている。宗派間抗争への対応に遅ればせながら本腰を入れたとの印象は否めない。

演説で大統領が、イラク政府に宗派間抗争沈静化に主導権を発揮するよう「最後通告」を突き付けた背景には当初、昨年末までには現在13万人規模の兵力を10万人以下まで減らせると見ていた政権のいら立ちがある。

大統領にとって早期撤退は最大の目的だ。しかし、演説で大統領は「即時撤退はイラク政府の崩壊を招く」と語っている。米議会などからの撤退圧力が強まる中で、あえて増派に踏み切ったのは、イラク政府を支援しながら治安権限移譲を早めることで撤退開始につなげる狙いがあるようだ。

新政策の狙いは、バグダッドの治安対策への米軍の支援強化だ。増派される米軍はイラク治安部隊に同行する形でパトロールや検問、戸別訪問を実施する。しかし、米軍は米軍の指揮下で動く。民兵組織との戦闘で、米軍が主導する場面も予想され、米軍増強によって「短期的に見れば宗派間抗争が激化する可能性は十分ある」(ブッシュ政権高官)との見方が支配的だ。増派論を主張してきたマケイン上院議員(共和党)も「米兵の犠牲が増えることを覚悟すべきだ」と指摘する。

また、昨年夏、マリキ政権発足を受けて米軍を増強してバグダッドの治安対策を図ったが、宗派間抗争は、むしろ激化した。2万人増派を維持できるのは「数カ月間」との見方もあり、短期間で成果が迫られる。

新政策では目標として(1)11月までにイラク全土の治安権限移譲(2)12~18カ月以内のイラク自立達成--を挙げた。撤退スケジュールは示さないが、共和党内の増派論と民主党内の中道派の意見を取り入れた形で政治的妥協の側面もにじむ。(以上)

★イラクに2万2千人増派 米大統領、新政策発表(1月11日付け中日新聞ニュース)

【ワシントン10日共同】ブッシュ米大統領は10日夜(日本時間11日午前)、イラク新政策についてホワイトハウスから国民向けに演説、首都バグダッドでの治安悪化など過去の戦略の誤りについて「責任は私にある」と認めた上で、2万人以上の米兵を一時増派すると発表した。また今年11月までにすべての治安権限をイラク軍に移譲するとの目標を示し、雇用創出など経済復興に向け約12億ドル(約1430億円)の資金拠出を表明した。ホワイトハウス高官によると、一時増派の規模は2万1000-2万2000人。

2003年3月のイラク開戦以来、米政権による抜本的なイラク政策の転換は初めて。米軍撤退の前提となる治安権限移譲を加速させることで「出口戦略」につなげる狙いを鮮明にした。

しかし増派で治安の安定化が実現できるかどうかは不透明。議会で多数派を占める野党民主党は、一時増派に反対する決議案提出を決めるなど徹底抗戦の構えで、大統領と議会の対立が先鋭化するのは必至だ。(以上)

★ 朝日新聞1月12日の社説の指摘

私たちは、この増派は危険な賭けだと考える。

ブッシュ政権はこれまで3回、イラクに増派しているが、いずれも効果は上げられなかった。今回が最後の機会だ、と大統領は言いたいのだろう。

だが、軍事力だけではイラクは再生できないことが、この4年間ではっきりしたはずだ。米軍駐留そのものが事態を悪くしている面もある。

大統領はこの現実にまだ目を閉ざすつもりなのだろうか。増派がさらに犠牲を増やし、混乱を深刻にしないか。事態が良くなる保証は何もない。(社説の抜粋)

安倍首相は英国のブレア首相と会談した時にイラク問題について「国際社会の一致した支援の継続が重要だ」として、4年間の時限立法だったイラク特措法の改変をしてまで、航空自衛隊の米軍支援活動を継続させようとしています。しかもイラク政策の検証もしないままです。安倍首相も「現実にまだ目を閉ざすつもり」なのです。しかし、英国は次のような状況です。

英軍はイラク「増派せず」 外相、米政策は歓迎(中日新聞ニュース)

【ロンドン11日共同】ベケット英外相は1月11日、ブッシュ米大統領が発表したイラク新政策について「困難な状況を打開しようとの決意を示したもので、歓迎する」と述べる一方、イラク南部に約7000人が展開する英軍の「増派はない」と明言した。

ブレア首相は10日の議会での討論で、混乱が続く首都バグダッドと英軍が管轄する南部のバスラとでは「状況は明らかに違う」と指摘。現在バスラで実施している治安向上作戦が「成功しており、今後数週間で終了する見通しだ」と述べ、イラク側への治安権限移譲が近いとの考えを示した。

英政権では昨年11月、ブラウン国防相が1年後には数千人規模で部隊撤退が可能だと言及。ゴードン・ブラウン財務相も今月7日の英BBC放送のインタビューで「年内に数千人削減できる」と語っている。(以上)

安倍首相は「国際社会の一致した支援の継続が重要だ」と考えていますが、イラクに軍隊を派遣していた国で15カ国が撤退しており、撤退の意思を表明している国は4カ国あります。

自民党は、憲法を変えて自衛軍による国際貢献を考えていますが、国連平和維持活動の基本的性格は「武器は持っていくが使わず、非暴力の原理を紛争地に持ち込む」ことなのです。集団的自衛権行使は不可欠ではありません。結局は日本の集団的自衛権行使は米国の有志連合の活動で発動されるのでしょう。

安倍首相 イラク特措法の改定を表明/山崎孝

2007-01-11 | ご投稿
1月10日付け朝日新聞は、英国を訪問中の安倍首相はブレア首相と会談して、イラク問題について「国際社会の一致した支援の継続が重要だ」と述べ、7月に期限が切れる自衛隊のイラク派遣を延長する意向を表明しました。ブレア首相は「日本の取り組みを高く評価している」と応じたが、今後の対応には触れなかった、と報道されています。

ブレア首相が、今後の対応には触れなかったのは、次の報道のような事情があるからです。

2006年11月19日の朝日新聞報道《ブレア首相は17日、中東の衛星テレビ、アルジャジーラの報道番組で、ブッシュ大統領とともに主導したイラク戦争以来の事態を「大惨事」と認めた。1年以内に辞任する意向を表明している首相は、残る任期の最優先課題として中東情勢の改善を掲げており、敵視してきたシリアやイランにも「建設的役割」の期待を表明。与野党からは「対イラク戦略の失敗」を批判する声が強まるばかりだ。首相はイラクの泥沼に足をすくわれたまま、任期切れを迎えそうだ。》

ブレア首相は自らの政策の失敗は認め、英国政府はイラク派遣軍の撤退を視野にいれています。しかし、安倍首相は小泉前政権の政策を何も反省せずに、7月31日で時限立法の期限切れとなるイラク復興支援特別措置法自体を変更しようとしています。

安倍首相は、改憲問題を今年の参議院選挙の争点にしようとしていますが、それ以前に政権与党の進めたイラク政策を事実に基づいて検証すべきです。政策の検証もせずに、その政策の延長である国際貢献に集団的自衛権行使を盛り込むような、国際平和の理念は「百害あって一理なし」であります。

安倍首相が政策を検証しようとしないならば、国民は自民党と公明党の進めたイラク政策の検証を行い、選挙権を行使しなければならないと思います。

参考 2006年11月19日の朝日新聞報道、英国の陸軍のトップ、ダナット参謀総長が、英軍のイラク駐留長期化によりかえって治安が悪化していると異例の警告を発するほど不満が募っている。