いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

米国防長官 「ソフトパワー」を強化すべき/山崎孝

2007-11-30 | ご投稿
【軍事よりも外交予算を/米国防長官/異例の言明】(2007年11月30日付「しんぶん赤旗」)

 【ワシントン=山崎伸治】米国は外交や対外援助、経済再建・開発にもっと支出を―ゲーツ米国防長官は二十六日、カンザス州立大学での講演で、軍事力などの「ハードパワー」ではなく、外交や経済支援などの「ソフトパワー」を強化すべきだと述べました。

 現職の国防長官が国務省予算の増額を求めるのは異例です。

 同長官は、軍事費は引き続き確保するとしつつも、「イラクとアフガニスタンでの戦争で最も重要な教訓は、軍事的な成功だけでは勝利できないということだ」と指摘しました。

 ゲーツ氏は米国の軍事費が年間五千億ドルにものぼるのに、国務省予算は三百六十億ドルだと指摘。米国の職業外交官の数は六千六百人で「空母打撃群一個の人員よりも少ない」と述べました。

 ソ連崩壊後にCIA(中央情報局)や陸軍の現役部隊を削減したことも間違いだったが、国務省の文化情報局(対外宣伝機関)を廃止し、国際開発協力庁(経済協力機関)を縮小したことは「おそらくそれ以上に先見の明がない」と強調。「米国が他国の人とかかわり、支援し、意思疎通する能力を骨抜きにした」と批判しました。

 イラクやアフガニスタンの米軍の役割に触れ、軍隊は「文民や専門性の代わりにはならない」と述べました。(以上)

米国の軍事の最高幹部がイラクとアフガニスタンでの戦争の状況で、突きつけられた教訓は、平和憲法を持つ日本のテロとの戦いのあり方を一層明確にするものです。

九条の会の特質を発揮/山崎孝

2007-11-28 | ご投稿
私はブログに超党派で結集できるのが九条の会の特質です、と先日書きました。この特質を「『九条の会』第二回全国交流集会」で様々に報告されています。

【地道に9条広げる/全国交流集会討論から/戦争体験を語り継ぐ/毎月9のつく日宣伝】(2007年11月27日付「しんぶん赤旗」)

 東京都内で二十四日に開かれた「『九条の会』第二回全国交流集会」では、地道に活動を持続し、運動を広げている各地の経験が活発に交流されました。分散会での発言を中心に紹介します。

 「戦争体験を話すときのお年寄りは、眠そうにしていても急に真剣な口調になる。その体験をきちんと若い世代に伝えなければならない」と強調したのは、さいたま市の男性。静岡市の女性も「戦争体験者の話を聞く活動を重視している」と述べ、地元の静岡空襲の紙芝居を行っていると発言しました。

 今回の交流会では、著名人の講演会などで多数の人を集めるだけでなく、地域に密着して地道に活動を広げている経験が数多く報告されました。

 岩手県の「矢巾(やはば)九条の会」の男性は、毎月九のつく日の宣伝と署名を欠かさず実施。駅頭署名が高校生を中心に二万七千人分にもなったと報告しました。町の行事にも積極的に参加、祭りで会員が増えたと述べました。

 東京の「大田たまがわ九条の会」は、プラカードをもってアピールする「九条ウオーク」を開催。改憲手続き法案反対のなかで生まれた活動で、ベビーカーを押す母親や若者も参加し、盛り上がっています。

 市民の目につく宣伝も工夫がこらされています。新潟県の「九条の会三条」は駅前に横五・四メートルの大看板を設置。山形県白鷹町の男性は「九条カルタ」を大きなパネルにして国道沿いにおいてアピールしています。

■視野広げ 改憲反対の国民の多数派結集をめざして視野を広げている活動も報告されました。

 「みやぎ憲法九条の会」の代表は、県内の首長、元首長にアピール賛同を呼びかける活動を展開。新たに十人の賛同があったことを報告するとともに、近く県民アピールを出すと報告しました。

 宗教法人が九千を数え全国一多い愛知県。「愛知宗教者九条の会」の代表は、すべての宗教法人にアピールを届ける取り組みを続けています。ニュースの発行、講演会・学習会の活動を継続的におこない、住職、牧師に賛同を広げています。

 静岡県「九条の会掛川」は、映画上映運動で市長や教育委員会の後援もうけ、俳優の加藤剛さんのメッセージも直接もらい宣伝。保守系の議員が「おれの周りは、みんな『九条の会』だ」とぼやく状況をつくり出したと胸を張りました。

 組合の違いを超えて運動しているのが東京・国税OB九条の会です。第一組合、第二組合の出身者が一緒に憲法学習を続けています。

 「兵庫県弁護士九条の会」は、会員が二百三十二人。県内の登録弁護士の過半数まであと三十数人というところまで広げています。

 青年の間にどう活動を広げるかも各地の会の悩みであり、重視している点です。北海道名寄市の「名寄九条の会」は、大学の入学式、成人式に「おめでとう」宣伝を実施。ビラに憲法や会の活動を書いて配布しています。また、大学祭のフリーマーケットに出品し、財政を潤すことにもつなげています。

■財政作り 「毎月四百個売らないと家賃が払えないから、『バッジ売りの少女』になっています」。会場の爆笑を誘ったのが、東京都足立区の「江北9条の会」の女性です。

 どこの会でも、財政をどうつくっていくかは懸案事項。この会では一万六千個もの「九条バッジ」を売って、家賃のほか、運動の費用、講師料までまかなっています。

 「鳥取県中部・九条の会」は、フリーマーケットを開催。出品する品物でカンパしてもらい、売るときには名刺サイズのカードを渡して宣伝もしています。

■地域交流 県単位・地域単位で活動交流会がおこなわれたり、ネットワークが活動を大きく広げている経験も出されました。

 地域に約二十の「会」が結成されている北海道旭川市内の「会」代表は、「これまで映画上映会やコンサートの機会に交流はあったが、会の交流集会を地域でやって経験を学びあうことは有益だ。帰ったら自分たちもやってみたい」と語っていました。

 また、全体会で発言した「九条の会・豊中」の代表は、市内十五ある「会」が上下、先後関係もなく協力しあうネットワークをつくっていると報告。大きな催しのたびに実行委員会をつくり、成功させてきた経験を語りました。

四面楚歌のブッシュ大統領/山崎孝

2007-11-27 | ご投稿
【豪総選挙で労働党圧勝 11年半ぶり政権交代】(2007年11月24日付中日新聞)

【シドニー25日共同】オーストラリア総選挙は24日投開票され、イラクからの戦闘部隊撤収を公約とするケビン・ラッド党首(50)の最大野党、労働党が圧勝した。イラク戦争を支持、ブッシュ米大統領の「最後の盟友」とされ、5期連続の政権維持を目指したジョン・ハワード首相(68)率いる保守連合(自由党と国民党)は敗北、約11年半ぶりの政権交代が実現する。

ラッド次期首相の下で、オーストラリアは来年半ばまでに、イラクとその周辺に駐留する部隊約1600人のうち戦闘部隊約600人を段階的に撤兵させる見通し。米国のイラク戦略に影響を及ぼす可能性もある。

公共放送ABCによると、労働党は下院(定数150)で改選前の60議席を大幅に上回る86議席を獲得する見通し。保守連合は62議席と、改選前の87議席を大幅に下回るとみられている。(以上)

米国のニューヨークタイムズは、オーストラリア総選挙結果を「ブッシュ大統領のアジアでの最も強固な支持者の一人が完全な敗北を喫した」と論評しています。ヨーロッパでの最も強固なブッシュ大統領の支持者であったブレア英国首相も退陣しています。

11月24日、ポーランドのトゥスク新首相もイラクから来年中に完全な撤退の意志を表明しました。

日本では野党が自衛隊のイラクからの撤退法案を国会に提出しています。かようにイラク戦争の有志連合への参加の国の国民は、具体的な形でのイラク戦争へNOを突きつけています。

全国 九条の会第2回全国交流集会/山崎孝

2007-11-26 | ご投稿
(九条の会ホームぺシージから転載)

11月24日、東京・日本教育会館で九条の会第2回全国交流集会」が開かれました

11月24日、東京・日本教育会館で「九条の会第2回全国交流集会」が開かれ、大きな成功をおさめました。集会には北海道から沖縄まで47都道府県、520の「九条の会」から1020人の参加がありました。集会では「九条の会」呼びかけ人の奥平康弘さん、加藤周一さん、澤地久枝さん、鶴見俊輔さん、大江健三郎さんが挨拶しました。なお、全国の「九条の会」は24日現在で、6801を数えています。

集会の最後に以下の「九条の会からの訴え」が発表されました。

◎「九条の会」アピールへの賛同の輪を創意をこらして広げ、9条改憲反対、9条生かそうの圧倒的世論をつくろう。

◎職場・地域・学園の草の根で、日本国憲法9条のすぐれた内容と改憲案の危険な内容についての理解を深めるための大小無数の集会を開こう。

◎当面、「すべての小学校区に九条の会」を合言葉に、文字どおり思想・信条・社会的立場の違いをこえた「会」つくろう。地域・分野の「会」のネットワークをつくり、交流・協力しあって運動を前進させよう。

2007年11月24日 「九条の会」第2回全国交流集会(以上)

11月25日の伊勢市での、憲法守る賛同署名運動でもありましたが、署名運動をしているとよく質問されるのは、どのような政党がこの運動をしているのかと質問です。九条の会は、党派を超えた市民組織だと説明すると快く応じてくださいます。日本の社会には何故か、政党に関わりたくないという意識があります。

「九条の会」は、《文字どおり思想・信条・社会的立場の違いを》超えて結集できる、優れた特質を持って、年々広がりを見せています。その数は6801に達しました。

憲法審査会の始動強まる/山崎孝

2007-11-24 | ご投稿
【憲法審査会 始動狙う/自民 民主 恒久法論議で加速も】(2007年11月24日付「しんぶん赤旗」)

 憲法審査会の「始動」へ向け、自民党や民主党でにわかに動きが出てきました。

 五月に強行された改憲手続き法に基づき衆参両院に設置された憲法審査会は、国会が発議する改憲原案の審査権限を持つ機関。参院選での自公の大敗の後、野党の強い反対で、審査会の組織や運営のルールを定める審査会規程の議決すら行えず、活動を開始できずにきました。

【申し出】 ところが二十日の参院議院運営委理事会で西岡武夫委員長は、笹川尭衆院議運委員長から「衆院で憲法審査会の運営規程の制定を検討したいので、参院でも検討をお願いしたい。衆参それぞれで規程を整備しなければ意味がない」と申し出があったことを明らかにしました。しかし、笹川氏は同日開かれた衆院議運委員会の理事会の席上、「憲法審査会規程の制定について、参院の西岡委員長に話をする」と発言したものの、各党に了承は求めていませんでした。二十一日になると西岡氏は、「どうも衆院では議論が確定されていないようだ」と述べ、改めて話すとしていったん論議を引き取りました。

 西岡氏は二十二日の議運委理事会では、民主党の衆院議運委理事から“憲法審査会規程は衆参一緒に議論した方がよいとの旨を参院側に伝えることで一致をみた”との報告を受けたと説明。審査会規程の作成へ向け、衆参合同の協議会の設置の検討を提起しました。各党持ち帰り、継続協議となっています。

 しかし、二十日以降衆院で議運委員会は開かれておらず、衆参合同で審査会規程を協議することが改めて議論された経緯はありません。

 この点に関連して、民主党国対関係者は二十日、「(自民・民主の国対会談で)与党の呼びかけに、審査会規程を決めるなら衆参そろってではないかと返答してきた。安倍首相とは改憲論議は絶対しないという立場だったが、福田内閣になり状況は動いてきた。しかし、まだ早いのではないか」などとのべていました。

【背景に】 改憲派議員でつくる「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根康弘元首相)は八日、都内で緊急総会を開き、審査会の活動開始を求める決議をあげました。議員同盟では、決議への賛同を募っており、既に二百人近い国会議員の賛同を得たとして、十二月早々には衆参議長に対し憲法審査会の始動を求める申し入れを計画しています。

 事務局によれば、同議員同盟には、自民党、国民新党のほか、民主党、公明党の議員も参加しているといいます。

 民主党憲法調査会の幹部の一人は、「解散・総選挙前に、どこまで議論を進めるかは問題だが、審査会規程の議決についてはそろそろ考えないといけない」と語ります。同氏は、自衛隊の海外派兵をいつでも可能にする恒久法や、民主党の主張する国連決議のもとでの自衛隊の海外派兵について「憲法上の問題は、憲法審査会で議論すべき問題だ。参院では民主党が主導権を握っているのだから、そこの議論はしてもいい」とのべます。

 憲法審査会は、集団的自衛権の行使をめぐる憲法解釈の変更の問題など、解釈・立法改憲の舞台としても機能する仕組みです。テロ新法案への対案づくりや、恒久法論議を通じて改憲の動きを促進する流れが新たに強まる恐れがあります。(中祖寅一)(以上)

報道が、《テロ新法案への対案づくりや、恒久法論議を通じて改憲の動きを促進する流れが新たに強まる恐れがあります》と指摘しているように、民主党の小沢代表が、自民党と連立を組み、国連決議があれば、海外で武力行使をする恒久法制定を福田首相と談合した考え方は、自民党新憲法草案に示されている、自衛軍による国際協力活動という考え方と大きくは隔たってはいません。

私たちは小泉政権がイラク戦争を支持した口実に国連決議1441を持ち出したことを忘れてはいけないと思います。また、小沢代表が参加の意欲を示したアフガニスタンの国際支援部隊が住民を犠牲にしたタリバン勢力との戦いを展開していることも忘れてはいけないと思います。

そのゆえに、本年7月、潘基文国連事務総長は、米軍や国際支援部隊の中核、NATO軍の空爆で民間人の死傷者が相次いでいることについて「事故であったとしても、敵を強化し、われわれの努力を損なう」と言わざるを得ませんでした。

日本は国際紛争を武力で解決しないとした憲法の精神を生かした国際貢献をすべきです。この分野の国際貢献は限りがありません。

ジョゼフ・ガーソンさんの言葉/山崎孝

2007-11-23 | ご投稿
米国の平和活動家で、1947年にノーベル平和賞を受賞したジョゼフ・ガーソンさんは、日本の改憲をめぐる動きと、憲法9条を次のように論評しています。(「世界」2007年12月号「帝国の中国包囲網と憲法九条」より抜粋)

米国の指導者層は、憲法を変えさせるためには、その前に社会的、知的、政治的な深い変化が必要であることを知っている。だからこそ、自民党の年長組が支援する右翼イデオローグが歴史教科書を書き変え、日本の十五年戦争は犯罪的侵略ではなく、南京大虐殺は起こらなかったし、沖縄の住民が日本軍に自決を強制されたこともなかったのだと子どもらに教えても、米国は沈黙を守っているのだ。教師たちが、天皇を讃える国歌を歌うことを拒否したり、戦争の記憶を引きずる旗を掲揚しないために処罰されても、彼らは沈黙を守っている。首相や閣僚が靖国神社を参拝し、一八九五年の日清戦争から破滅的な十五年戦争に至るまでの日本の帝国主義と軍団主義の伝統を礼賛しても、ワシントンは目をつむっている。それだけでなく、ワシントンも東京も、失敗に終った北朝鮮のミサイル発射実験や、成功とはいい難い核実験を、日本国内の政治的ヒステリーを煽り、日米両国の軍団主義を支持させるために利用しているのである。

 日本の国民と国家は、半世紀以上にわたり、自分たちだけでなくアジア、そして世界に九条の存在を示してきた。繰り返し侵犯されているとはいえ、九条は日本の軍国主義に重要な一線を引き、日本と東アジアの戦後の平和と繁栄に不可欠な役割を果たしてきた。地球上のすべての人に希望と勇気を与えてきた。最近の世論調査でも、日本国民の七〇パーセントが九条は変えるべきではないと答えている。それなのに、米国に促され、自民党、民主党、読売新聞や、かつての軍国主義の系譜に連なる政治エリートたちは、軍団主義と金儲け、そして米帝国と共通の利害に奉じるために日本の民主主義を破壊する道を邁進している。

 アジアと世界の多くにとっての希望の綱は、民主的で平和を志向する日本のカウンターパートである。我々にとっての闘いでもある日本の皆さんの闘いに、どうか力と知恵が授けられますように。【翻訳=青木玲】

ジョゼフ・ガーソンさんは《日本の国民と国家は、半世紀以上にわたり、自分たちだけでなくアジア、そして世界に九条の存在を示してきた》と、アジアのためにも9条の存在を示してきたと述べたように、9条の存在こそ、アジアと共生する外交にとって不可欠なものだと思います。

日中・日韓首脳会談について/山崎孝

2007-11-21 | ご投稿
【「自立と共生の関係を」日中韓首脳が会談】(2007年11月20日付中日新聞)

【シンガポール20日共同】福田康夫首相は20日午前、シンガポールで中国の温家宝首相、韓国の盧武鉉大統領と首脳会談を行った。冒頭、福田首相は3カ国の関係について「自立と共生の関係を築いていきたい」と述べ、アジア外交を重視する考えを強調。温首相は「3カ国首脳の共通の努力で、関心ある事項を話し合いたい」と応じた。

北朝鮮の核問題に関する6カ国協議でまとめた10月の合意文書に基づき、北朝鮮に核無能力化やすべての核計画申告を履行させるため、日中韓を含めた各国が連携を強化していくことを確認。福田首相は核、ミサイル問題とともに拉致問題を解決し「不幸な過去」を清算、日朝国交正常化を図るとの日本の立場を説明し、中韓両国の協力を求めたい考え。(以上)

この会談で「日中韓を含めた各国が連携を強化していくことを確認」と報道されていますが、日本政府には拉致問題が解決しない限り、北朝鮮に対する6者合意の第2段階の支援をしないという方針があります。日本政府がどのような連携をはかるのか注視しなければなりません。福田首相は核、ミサイル問題とともに拉致問題を解決し「不幸な過去」を清算、日朝国交正常化を図るとの日本の立場を説明したと報道されますが、拉致問題を北朝鮮核施設の無能力化などの問題とのバランスを考え、包括的に捉えて解決する方針に変えたのでしょうか。

福田首相は、中国と韓国と「自立と共生の関係を築いていきたい」。また、朝日新聞は、日中・日韓首脳会談の報道と関連して、10月の首相の所信表明にあった、共鳴(シナジー)外交と言われる、日米同盟の強化とアジア外交の推進が共鳴し、すべてのアジア諸国で安定と成長が根付くよう、積極的アジア外交を進めることを指摘しています。

自民党の改憲の目的である日米同盟を強化するために日米同盟において、集団的自衛権行使の可能には、中国と韓国は強い警戒心を持っていますから、改憲を含めた”日米同盟の強化とアジア外交の推進が共鳴”することにはならないと思います。福田首相の進めようとする共鳴(シナジー)外交を成功させるためには、改憲を止めなければならないと思います。

大江健三郎氏の「定義集」を読んで/山崎孝

2007-11-20 | ご投稿
【人間をおとしめることについて/「罪の巨塊」に込めた思い】

 新幹線に乗ると遠近の紅葉を眺めるのが楽しみの年齢ですが、今度は被告として大阪地裁の法廷に立つ旅で、車中おもに原告側の陳述書や大量の書証ほかを再読するのに手一杯でした。

 とくに原告側の弁護人徳永信一氏が「正論」(平成18年9月号)に発表されている論文が、私個人への挑戦ともいえるもので、注意深く読みました。証言で答えたところを引用します。

 《平成12年10月の司法制度改革審議会において曽野綾子氏は、大江氏が『沖縄ノート』で赤松元大尉を「罪の巨塊」などと《神の視点》に立って断罪したことを非難して、こう述べている。

 「それは『沖縄県人の命を平然と犠牲にした鬼のような人物』という風評を固定し、憎悪を増幅し、『自分は平和主義者だが、世間にはこのような悪人がいる』という形で赤松元大尉を断罪し、赤松隊に所属した人々の心を深く傷つけた…それはまさに人間の立場を越えたリンチでありました」 (同審議会議事録)。》

☆☆☆☆☆☆

 曽野氏の『ある神話の背景――沖縄・渡嘉敷島の集団自決』から直接写すと、こう書かれているのです。

 《大江健三郎氏は「沖縄ノート」の中で次のように書いている。

 「慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己欺瞞と他者への瞞着の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。人間としてそれをつぐなうには、あまりに巨きい罪の巨塊のまえで……(後略)」

 このような断定は私にはできぬ強いものである。「巨きい罪の巨塊」という最大級の告発の形を使うことは、私には、二つの理由から不可能である。

 第一に、一市民として、私はそれほどの確実さで事実の認定をすることができない。なぜなら私はそこにいあわせなかったからである。

 第二に、人間として、私は、他人の心理、ことに「罪」をそれほどの明確さで証明することができない。なぜなら、私は神ではないからである。》

 私に先だって証言された原告赤松秀一氏は、『沖縄ノート』のことを知ったのは曽野氏の著書をつうじてであり、『沖縄ノート』を入手はしたが、飛び飛びにしか読んでいない、と明言されました。

 もうひとりの原告梅沢裕氏が怒りを覚えられたのも、『沖縄ノート』を直接読まれてというより『ある神話の背景』に導かれてと見るのが妥当に思えます。両原告は、慶良間列島の守備隊長を、私が「極悪人」としているといわれますが、『沖縄ノート』には、極悪人はもとより悪人とも、一度も書いていません。

☆☆☆☆☆☆

私は日本の軍、沖縄の第32軍、そして二つの島の守備隊が、そのタテの構造ぐるみ、700人にも及ぶ島民に「集団自決」の死を強制した「罪」を、「神の視点」に立ってでなく、人間の目で批判しました。この戦争犯罪が、一個人の(かれが悪人だったゆえの)仕業だった、とは考えないからです。

 私は、曽野綾子氏の立論が、テクストの誤読によるものであることを説明しました。まず『沖縄ノート』から、問題部分に傍点して引用します。(傍点はブログでは省略)

 《人間としてそれをつぐなうには、あまりにも巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気で生き伸びたいとねがう。》

かれとは渡嘉敷島の守備隊長です。罪の巨塊は、「巨きい数の死体」です。その前に立つかれが罪の巨塊だ、と読みとるのは文法的にムリです。

 私は渡嘉敷島の山中に転がった329の死体、と書きたくありませんでした。受験生の時、緑色のペンギン・ブックスで英語の勉強をした私は、「死体なき殺人」という種の小説で、他殺死体を指すcorpus delictiという単語を覚えました。もとのラテン語では、corpusが身体、有形物、delictiが罪の、です。私は、そのまま罪の塊という日本語にし、それも巨きい数という意味で、罪の巨塊としました。

 巨きい巨魂なら、同義語反復ですが、あまりにも巨きいとすれば、巨塊の巨という漢字の強調であることが、はっきり示せます。

 反対尋問も最後近く、徳永信一弁護人は、書証から『ある神話の背景』の一節を読むよう私に求めました。

 曽野氏は、「集団自決」が行われた際、赤松嘉次大尉のもとで中隊長だった富野稔少尉が、自衛隊一佐として勤務する土地を訪ね、次の談話をとって、氏の本の核心に据えています。

 「むしろ、私が不思議に思うのは、そうして国に殉じるという美しい心で死んだ人たちのことを、何故、戦後になって、あれは命令で強制されたものだ、というような言い方をして、その死の清らかさを自らおとしめてしまうのか(自らは、原文のママ)。私にはそのことが理解できません」

 ――このようにいう者らこそ、人間をおとしめていると信じます。そういって私は証言を終えました。(2007年11月20日の朝日新聞より)

「定義集」の文章を読むと、大江健三郎氏は、自分に対する攻撃を文学者らしい方法で反論をしています。

曽野綾子氏は『ある神話の背景』で《私はそれほどの確実さで事実の認定をすることができない。なぜなら私はそこにいあわせなかったからである。また、私は、他人の心理、ことに「罪」をそれほどの明確さで証明することができない》と述べながら、沖縄戦で集団自決をした人たちの心を《国に殉じるという美しい心で死んだ人たち》と論評しています。これでは大江健三郎氏への批判の論理と整合性が保てません。

9・29沖縄県民大集会の決議が、沖縄戦を「一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた」とあるように、曽野綾子氏の評価を否定しています。曽野綾子氏のような考え方を日本社会に広めてはなりません。これはいうまでもなく、日本が再び軍隊を持つためのイデオロギーです。

大いに励まされる出来事/山崎孝

2007-11-18 | ご投稿
【朝鮮半島に平和憲法を 韓国で「9条の会」発足】(2007年11月17日付中日新聞)

【ソウル17日共同】憲法9条を守ろうと作家の大江健三郎氏らがつくった「9条の会」の趣旨に賛成する韓国の学者や市民ら約100人が17日、ソウルで「韓国9条の会」を結成した。

日本の護憲運動を応援するとともに、朝鮮半島で平和憲法を実現することが目標。結成式には日本からも9条の会や被爆者団体のメンバーら約30人が参加した。

結成の中心になった尹海東・成均館大教授は「平和憲法は日本に侵略された国の人々の平和への願いも含まれた世界の希望だ」と評価。その上で「自らの社会で平和を追求しない者は他国のことにかかわることはできない」と、韓国での平和運動の拡大を呼び掛けた。(以上)

もう一つの明るいニュースです。

【来月11日から鉄道貨物輸送 南北首相が合意書発表】( 2007年11月16日付中日新聞)

【ソウル16日共同】ソウルで開かれていた韓国の韓悳洙首相、北朝鮮の金英逸首相による南北首相会談は16日午前、会談成果をまとめた8項目からなる合意書を発表、閉幕した。南北をつなぐ京義線を使った開城工業団地への鉄道貨物輸送を来月11日に開始することや、黄海での共同漁業事業と安辺での造船工場建設に来年前半に着手することを盛り込んだ。10月の南北首脳宣言の履行に向けた行程表となり、南北の経済協力拡大が一気に本格化する。

首相会談を半年に1回開き、定例化することでも合意。次回は来年前半に平壌で開催する。12月19日に迫った韓国大統領選で保守政権が誕生する可能性も考慮し、後戻りのできない道筋をつける狙いがある。

ただ、実際の事業推進には軍事的な安全保障措置が不可欠。焦点は今月下旬に予定される平壌での国防相会談に移る。(以上)

尹海東・成均館大教授は「平和憲法は日本に侵略された国の人々の平和への願いも含まれた世界の希望だ」と評価と評価していますが、私は南北朝鮮の対話と交流が進んでいくことを喜んでいます。軍事的な抑止力よりも穏やかな話し合いと交わりが平和への道を歩めることは、日本国憲法の理念と合致し、それを実践していると思うからです。6者協議の考え方も武力で国際問題を解決しないという、日本国憲法の理念と一致していると思います。

日本の軍産複合体のような組織の萌芽か/山崎孝

2007-11-17 | ご投稿
【日米防衛人脈、明るみに】(2007年11月16日付朝日新聞抜粋)

 防衛産業も含めた「政・官・業」の不透明な防衛人脈が、15日の証人喚問で、うっすらと浮かび上がってきた。

 守屋氏は、宮崎容疑者との宴席に同席していた防衛庁長官経験者が久間元防衛相と額賀財務相だったと証言した。そのうえで、社団法人「日米平和・文化交流協会」常勤理事の秋山直紀氏と、ジェームズ・アワー元国防総省日本部長(米パンダービルト大日米研究協力センター所長)らも、その宴席に同席していたことを明らかにした。

 同協会は、元防衛庁長官の瓦力氏が会長を務め、久間氏や民主党の前原誠司前代表ら与野党の国防族、日本の軍需産業幹部、さらにはコーエン元国防長官など米国防関係者も理事に名を連ねる。いわば「日米政界と軍需産業をつなぐパイプ役」の団体だ。15日の参院外交防衛委員会で参考人招致された山田洋行の米津佳彦社長も理事を務める。

 「交流の場」の中心人物が、その世界で「フィクサー」と呼ばれる秋山氏。秋山氏は金丸信・元自民党副総裁(故人)と近く、旧経世会人脈に強いと言われている。

 この日の喚問で守屋氏は、久間、宮崎両氏との会合に出席した経緯について「大臣と飲むから来ないかと言われた」と語り、秋山氏の呼びかけだったことを明かした。

 同協会は、毎年5月の大型連休中には米国、秋には東京で、日米国防族議員らが交流する「日米安全保障戦略会議」を開催している。今年5月には額賀氏を団長に「訪米ツアー」を実施した。

 今月上旬に東京で開かれた同会議では、参加者リストにあった石破防衛相や前原氏ら主な政治家が出席を見送るなか、入院中の久間氏からはビデオメッセージが届いた。(中略)

同会議の目的について、瓦氏は「政官学産の枠を超えた交流」としたが、癒着の温床との指摘もある。

一方、額賀氏との会合に出席したアワー氏について森屋氏は、23年前に付き合い始めた宮崎氏から「海外の人とも知り合った方がいい」と言われ紹介された人物の一人だったことも証言。15日の委員会では山田洋行の米津社長が、アーミテージ元米国務副長官が経営するコンサルタント会社と同社が契約していたことも明らかにした。

 日米の政界と、それに連なる軍需産業。「防衛利権」の構図の一端が垣間見えつつも、守屋氏は会合の中身について「まったく覚えていない」と明かさなかった。(以下略)

防衛族議員団の「訪米ツアー」を詳しく報道した新聞記事を紹介します。

【米軍需産業と連日食事会/米国側主催 自民・民主の防衛族訪米団/「会費は払っていない」】(2007年11月15日付「しんぶん赤旗」)

 軍需産業と政府・政治家の癒着が問題になっています。自民党、民主党の防衛族議員訪米団が今年四―五月にかけて米国を訪れた際の詳しい日程がわかりました。昼は米政府高官、米軍需産業幹部らと防衛政策をめぐるディスカッションに出席し、連日、米軍需産業との夕食会が米国側主催で開催されていました。議員の一人の事務所は「食事会の会費は払っていない」と回答しています。(軍事利権取材班)

 日程表によると、訪米団は四月二十七日に東京をたち、五月七日に帰国。五月一日にはワシントンで開かれた「第九回日米安全保障戦略会議」に出席しています。

議題は「双務的日米関係―現状と問題」「地域安全保障環境の変化と日米協力の展望」など。ミサイル防衛(MD)がテーマの非公開会合なども予定されています。

 会場では米軍需産業から、各社の得意とする軍事技術、装備のプレゼンテーションが行われたと見られます。過去の会議でもロッキード・マーティン社やボーイング社などが実施しています。

 訪米団は米軍基地を視察してからワシントン入りします。食事会は会議前日の三十日から。世界有数のミサイル製造会社「レイセオン」関係者との昼食会がありました。夜はロッキード社との夕食会。日程表には「米側主催」とあります。会議当日(一日)の夜には同じく米側主催でボーイング社・アルボー副社長との夕食会が開かれています。

 翌日(二日)はアーミテージ元国務副長官との朝食会、コーエン元国防長官との昼食会をこなします(主催の記述なし)。移動などで一日過ごした後、四日にはエドワード空軍基地を視察。その夜はノースロップ・グラマン社との夕食会が米側主催で開かれました。

 訪米したのは額賀福志郎氏(現財務相)ら防衛庁長官経験者、自民党の西銘恒三郎衆院議員、民主党の前原誠司前代表ら。三菱重工や川崎重工、山田洋行などの軍需関連業者の名もみられます。

 日米安全保障戦略会議は毎年、日米で各一回開催。国会議員や防衛省、米国防総省関係者が参加、両国の軍需産業が後援、協賛しています。

 日本の防衛政策決定に強い影響力を持つ防衛族議員らが、利害関係者である日米両国の軍需産業や米高官と軍備や防衛政策の行方を話し合い、夜はもてなしを受ける―。この訪米の費用は、誰が負担したのか。

 「主催した社団法人に参加費を払って参加した」。額賀氏は今月六日、参院財政金融委員会で日本共産党の大門実紀史議員にこう答弁しました。

 日本側の主催団体は、逮捕された宮崎元伸・山田洋行元専務も理事を務めていた社団法人「日米平和・文化交流協会」(その後、米津佳彦・山田洋行社長が理事)、防衛族議員らでつくる「安全保障議員協議会」などです。

 西銘氏の事務所は本紙取材に「社団法人に払った参加費は二十万円。食事会の会費は(参加費と別には)払っていない。経費の総額は承知していない」と説明しています。ほかの参加議員は十四日までに明確な回答をしていません。(以上)

二つの新聞記事を読んで思い浮かべるのは、1961年1月にアイゼンハワー大統領が退任演説で指摘した、米国軍事産業、米国防総省の官僚、議会や行政が癒着、連合して、政治的・経済的・軍事的政策に強い影響力を及ばす「軍産複合体」のことです。現在の米国の「軍産複合体」は国防総省にいろいろなプランを持ち込む各種のシンクタンクの存在も複合しているとされます。

日本の軍産複合体のような組織の萌芽は、米国の兵器を調達する商社や米国の軍事産業が加わっていることが特徴だと思います。

米国はアイゼンハワー大統領が退任演説の警告にもかかわらず「軍産複合体」の存在の影響も受けて、ベトナム戦争を行い、その教訓を生かせずにアフガニスタン戦争についでイラク戦争を行い、大量の兵器を消費します。そして多くの人命を犠牲にしています。しかし、軍事的な勝利を得られてはいません。

日本国民は軍産複合体のような組織の萌芽に警戒心を持ち、軍事で国際紛争を解決しないとした憲法理念を生かす政治宣伝がますます必要になっていると思います。