いせ九条の会

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親分の尻拭いの手伝いをさせられかねない/山崎孝

2006-01-31 | ご投稿
1月30日の共同通信電子版によりますと、米国ワシントンで1月18日(日本 時間)に開かれていた日米防衛首脳会談で、ラムズフェルド国防長官は額賀防衛庁長官に対して、イラクの治安維持やイラク人部隊訓練に自衛隊も参加してほしいと打診していたことが明らかになった。額賀防衛庁長官は「現行法では困難」と述べて断っています。

この会談内容から、イラク特設法では自衛隊は、非戦闘地域で活動して、武力行使の伴うような活動は出来ませんから、憲法の歯止めが明瞭となります。

ラムズフェルド国防長官は会談の中で「各国は医療や食糧支援に魅力があるようだが、治安維持任務には躊躇する国が多い。治安なしには経済発展はありえないことは、日本 も十分に理解しているはずだ」と述べて、治安維持などの活動に参加を要請しています。

米国は自ら起こした戦争でイラクの社会を混乱させた。フセイン政権に打撃を与えるためにイラクのインフラを破壊し、イラク人の通常生活を困難にさせた。もともとイラクにはいなかった国際テロ組織も呼び寄せてしまう。他者の命を考慮しない自己陶酔で宗教的自己表現をするテロリストに自爆の場を与えた。

テロとの戦いという大義名分で乱暴な作戦を行ない、イラクの民間人3万人以上を死亡させた。その結果として新たな反米武装勢力やテロリストを生み出しています。

先にブログで紹介していますが、麻生太郎外相は名古屋の講演で「世界でけんかが一番強い国は、アメリカ。いじめられっ子は、ジャパン」とした上で、「日本 はいじめられないように、けんかの一番強いやつと手を組んだ」と話しています。

憲法を変えて自衛軍を持った場合、麻生太郎外相の考え方に基づいて外交を行えば、主従関係にある親分の乱暴狼藉の尻拭いの手伝い、反米勢力の標的にされる大変危険な手伝い、手伝いをしている国の人たちには、感謝より反感を持たれる手伝いをさせられる可能性があります。

麻生太郎氏のセンスと知性/山崎孝

2006-01-30 | ご投稿
◆感覚・分別・品性・歴史認識を読み取る

「中日新聞」電子版より 麻生太郎外相は二十八日午後、名古屋市で講演し、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題に関連し「英霊からしてみれば、天皇陛下のために『万歳』と言ったのであって、総理大臣万歳といった人はゼロだ。天皇陛下の参拝が一番だ」と述べ、天皇の参拝実現が望ましいとの認識を示した。

天皇の靖国参拝は一九七五年十一月以来、行われていない。麻生氏は「なぜ(参拝)できなくなったのかと言えば、公人、私人の話(問題)だから、それをどうすれば解決できるかという話にすれば、答えはいくつか出てくる」と指摘、A級戦犯の合祀(ごうし)が天皇が参拝しない理由ではないと強調した。

参拝実現の環境整備として宗教法人格の見直しなどが必要との認識を示したものとみられる。首相参拝で悪化している中韓両国との関係がさらに冷え込むのは必至だ。

麻生氏は講演で、小泉首相の参拝について「中国が(反対と)言えば言うだけ、行かざるを得なくなる。『たばこを吸うな、吸うな』と言われ、吸いたくなるのと同じ。黙っているのが一番だ」と述べ、参拝に反発している中国や韓国をけん制した。

行かざるを得なくなる。『たばこを吸うな、吸うな』と言われ、吸いたくなるのと同じ。黙っているのが一番だ」と述べ、参拝に反発している中国や韓国をけん制した。

靖国神社の法人格見直しは、中韓両国などに配慮する形で、九九年に野中広務官房長官(当時)が、宗教法人の靖国神社を特殊法人に改め、A級戦犯を分祀(ぶんし)する考えを示したが、具体化はしなかった。二〇〇四年には自民党の山崎拓前副総裁も神社側に分祀を打診。神社側は神道の信仰上、否定している。

「しんぶん赤旗」電子版より 「国民の安全を確保するため、一番けんかの強いやつと組んだ」―。麻生太郎外相は二十八日、名古屋市内で行った講演で、日米関係を小・中学生の“番長”や“いじめられっ子”に例え、述べました。

麻生氏は、「世界でけんかが一番強い国は、アメリカ。いじめられっ子は、ジャパン」とした上で、「日本 はいじめられないように、けんかの一番強いやつと手を組んだ。それを『対米追随外交だ』と書くマスコミは、現実を見ていない。おかげさまで、日本 は軍備費にほとんど金を使わずすんだ」と、アジアで孤立を深める日米軍事同盟を正当化。

少子高齢化に関し「(高齢者は)ものすごく元気がいい。そして、(金を)持っとる。貯めるしか趣味がない、能力がない。貯蓄ではなく投資だ」と、老後の貯蓄を株投機に運用するよう促しました。また、退職後の高齢者雇用について、「(高齢者を)うまいこと、おだてて使う。誰も文句言いません」と述べ、失笑がもれました。

2005年10月15日 九州国立博物館開館記念式典の来賓祝辞

麻生総務相は、「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本 のほかにはない」と話した。

私は博物館がそのような歴史認識で展覧しているとは思えずホームページを見た。九州国立博物館は「日本 文化の形成を、アジア史的観点から捉える」コンセプトで展示を行う方針を示していた。

麻生太郎氏は、酒を飲んで名古屋で講演したのかと思いたくなります。このようなセンスの政治家によって、日本 国憲法は、傷つけられ、汚され、葬りさられようとしています。

本土防衛と海外派兵を同格の任務に/山崎孝

2006-01-28 | ご投稿
自衛隊の「国際平和協力活動等の本 来任務化について」と題した防衛庁作成の文書は、「(自衛隊法)改正のイメージ」として、「自衛隊の任務」を定めた第三条に、これまで「本 来任務」とされてきた「わが国防衛」(第一項)に加え、第二項を追加。この中で(1)「周辺事態に対応して我が国の平和及び安全の確保に資する活動」(2)「国際社会の安全保障環境の安定化に資する活動」―を挙げています。(1)に周辺事態法、(2)にPKO法やテロ特措法、イラク特措法に基づく活動を本 来任務と位置付ける方針です。

政府 はこれまで「わが国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものでない」という見解により、PKOなどの海外派兵は「わが国防衛のために培ってきた自衛隊の能力を平時に活用する」ものとし、自衛隊の任務としても「付随的任務」と位置付けてきました。この考え方を変更するものです。(「しんぶん赤旗」電子版の記事を参考)

自衛隊の海外派兵の本 来任務化は、自衛隊のイラク派遣をめぐる議論の中でいわれはじめて、恒久的な自衛隊の海外派遣の法律も制定すべきだという意見も出ていました。

テロ特措法、イラク特措法では他国軍の後方支援活動を行なっています。イラク特措法では、航空自衛隊がイラクで米軍などの兵員と物資の輸送、テロ特措法では海上自衛隊が他国艦船に無料の給油を行なっていて、給油を受けた米国艦船はペルシァ湾に行ってイラク戦争の任務を果たしています。

周辺事態法は、政府 は、周辺事態に際して、適切かつ迅速に、後方地域支援、後方地域捜 索救助活動、船舶検査活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置を実施 する。但し対応措置の実施 は、武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」と規定しています。自民党は改憲に成功すれば必然的に武力行使も含まれることになります。

周辺事態は日本 攻撃の状況と関係なく、米国が他国に対する軍事介入によって起こされるケースに、自衛隊が後方支援を行なうことが想定されています。

自衛隊のPKO活動も本 来任務に入るとされていますが、PKO活動は内戦が起こった国に対しての国連の人道的な平和維持活動で戦闘状態が基本 的には終結している所への自衛隊派遣ですから、他国に軍事行動を起こした米軍に対する後方支援活動であるテロ特措法やイラク特措法による活動とは性格が違います。

自民党の考え方はPKO活動もテロ特措法やイラク特措法の活動も同じように国際貢献という概念で束ねようとしていますから、本 来任務を考える上では区別する必要があります。

自衛隊の海外派遣が本 土防衛の任務と同格の任務の位置付けをして、恒久的な法律を制定すれば、政府 は国民に遠慮することなく米軍の要求を受け入れることになるでしょう。

但し、憲法の規定を変えない限り派兵をしても戦闘は行なえません。憲法を守り国際紛争の解決に武力を使わないとした理念を生かしていかなければと思います。

自民党の軍事依存症が昂じる/山崎孝

2006-01-27 | ご投稿
2006年1月25日、自民党政務調査会の宇宙開発特別委員会が、1969年に国会決議の宇宙平和利用原則の転換して、宇宙開発を防衛目 的に利用出来るようにするための働きかけを始めるという、新聞報道がありました。

 1967年に発効した国際宇宙条約は、偵察衛星など非侵略の軍事利用は可能という解釈をしているから、宇宙開発特別委員会は日本の解釈は狭すぎると主張している。宇宙条約に準ずる形で解釈を見直して、フリーハンドで安全保障を含む国家戦略をできる環境つくりが必要と、同委員会委員長代理の河村建夫・元文科相は述べているといいます。建前は防衛目 的といっても、防衛力は攻撃力に転化しうるものです

 日本 はミサイル防衛網(MD)を構築するために米国と共同して開発・配備を行ないつつあります。このために武器輸出禁止の原則を例外的に扱い日本 の技術を米国の軍事用に供与することまで行ないます。

米国は宇宙から攻撃できる兵器の開発と配備を行なう計画を持っているといわれます。2005年2月にカナダも米国にMD計画に誘われていますが、宇宙への兵器は配備に道を開くとして参加を拒否しています。

カナダは米国との経済的つながりは日本 より強い国ですが、イラク戦争に反対しています。視野の広い見識のある国だと思います。

日本 人は平和憲法の精神に基づき、非核三原則、武器輸出の禁止、宇宙平和利用原則という軍事に対しては制約をかけてきて、世界平和への見識を示してきました。

自民党は自衛軍を持つ憲法改定、武器輸出の解禁願望、そして宇宙の平和利用から軍事への転換願望などを抱き、軍事依存症というべきものがだんだんと昂じてきて、その症状が顕著になっています。これに対処するために日本 人は平和憲法の理念を守り生かすことがとても大切になってきています。

将来が楽しみだ 日米合同訓練/山崎孝

2006-01-24 | ご投稿
鉄拳のごとく強靭な意志と体力で厳しい訓練をやり遂げるという意味で名付けられた」「鉄拳(アイアン・フィスト)作戦」と名付けられた陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練が9日から27日まで、米海軍コロナド基地(カリフォルニア州サンディエゴ)などで行われています。

自衛隊の準広報紙「朝雲」19日号は、その「厳しい訓練」の「『水陸作戦の基礎を徹底的に叩き込んでやろう』とする教官役の海兵隊員と、技術をどん欲に学ぼ うとする陸自隊員」と紹介。

訓練に参加した海兵隊一等軍曹は、同紙で「陸自隊員はよく学び、素晴らしい。将来が楽しみだ」と語っています。

陸自は昨年10・11月、フォート・ルイスで、第一軍団所属の海外“殴り込み”部隊=ストライカー旅団から、イラクでの戦闘の教訓や方法などを実地で学ぶ市街戦訓練を行っています。同年7月には航空自衛隊が、グアムの米空軍アンダーセン基地とその近くにある空対地射爆場で、海外で初めての実弾を使った爆撃訓練も行っています。(「しんぶん赤旗」電子版1月23日付より抜粋)



「水陸作戦の基礎を徹底的に叩きむ」訓練、「イラクでの戦闘の教訓や方法などを実地で学ぶ市街戦訓練」、「空対地射爆場での訓練」が、日本 を防衛するというより能動的な他国での戦闘を想定しているように思えます。

改憲して海外で武力行使が出来るようにして、米国の覇権主義に同調することを前提にすれば、このような訓練は生きてくるのでしよう。

米海兵隊一等軍曹の語る、陸自隊員はよく学び、素晴らしい。“将来が楽しみだ”という感想は、この方向を暗示しているように思えてきます。

再び、「あたらしい憲法のはなし」/山崎孝

2006-01-23 | ご投稿
私は、この本 について「いせ九条の会」の掲示板で取りあげていますが、1月22日の朝日新聞「読書欄/話題の本 棚」に紹介されていましたので、再びこの本 について触れたいと思います。

「話題の本 棚」はこの本 について「みなさん、あたらしい憲法は、日本 国民がつくった、日本 国民の憲法です」と、語り言葉で記す文の格調は感動的だ」と紹介しています。

この本 を2001年に復刊した「童話屋」の編集者は、

 この「あたらしい憲法のはなし」は、「日本 国憲法」が公布された翌年に、文部省が作った中学一年用の社会科の教科書を復刊したものだ。「日本 国憲法」には、人が正しく生きる道が書かれている。人はだれも差別されずに平等であり、自由であり、幸せに一生を送る権利があると説いている。民主主義と国際平和主義が、この小さな地球の上で人類が生き残ることのできる唯一の道だということを、この教科書からぜひ学んでほしい。

 未来の子どもたちにこの青い地球を遺していこう――そうぼ くたちが決心し、勇気ある行動をとれば、地球は悠久のいのちの星として、青く輝きつづけるだろう。

と述べています。

朝日新聞の「話題の本 棚」の筆者、「童話屋」の編集者の、日本 国憲法に抱く熱い思いが伝わります。

「あたらしい憲法のはなし」の中で戦争放棄について次のように述べています。

(中略)よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼ すようなはめになるからです。また、戦争とまでゆかずとも国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本 の国は、さかえてゆけるのです。

みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。

2005年10月に発表された自民党新憲法草案は、現憲法前文の侵略戦争の反省と二度と戦争を起こさないとした政府 の決意を削除してしまう。第9条は、1項の戦争放棄の条文は残していますが、第2項は削除しています。

敵対関係になる国を前提にして「我が国の安全と独立並びに国及び国民の安全を確保するため……自衛軍を保持する」と、武力に依拠して、現憲法の基本 の精神・「あたらしい憲法のはなし」で述べている精神を変えてしまっています。そして海外で武力行使が出来るようにしています。

自民党新憲法草案は、戦争の放棄という条項は残していますが、第2項でこれを実質的に否定する理念を掲げています。
「相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしない」、「よその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにする」この精神が薄れているために、隣国と対立関係に陥り、昨年12月から本 年1月にかけて、中国に対抗意識を持った閣僚から、中国脅威論が述べられるのだと思います。

連合の動向(2006年1月)/山崎孝

2006-01-22 | ご投稿
9条「改正」集約せず 連合、加盟労組の批判で変更

 連合(高木剛会長)は1月19日、東京都内で開いた中央執行委員会で、憲法九条「改正」に踏み込んだ「国の基本 政策に関する連合の見解」案について、加盟組合の批判が強く、意見の一致がみられないことから、「一元的に考え方を集約すること、統一的に対応することは現段階では控える」と確認。「憲法の平和主義、主権在民、基本 的人権の尊重」を重視し、「憲法改正を俎上(そじょう)にのせることは、時期尚早」とした2003年の現行政治方針を統一した考え方とすることで合意しました。

 見解案は、日本 が攻撃された場合に自衛権を発動するなどとし、そのために、(1)憲法九条を改正し、詳 細を規定する「安全保障基本 法(仮称)」のような法律を制定する、(2)憲法九条の改正はあえて行わないが、同じく「安全保障基本 法」のような法律を制定する―と両論を併記。民主党の提起も受け、三役会でまとめ、昨年10月の定期大会で採択を予定しましたが、連合内で「改正すべき」という意見と「堅持すべき」との意見に真っ二つに分かれていました。(2006年1月20日「しんぶん赤旗」電子版より)

昨年の連合の会長選挙で、対立候補者は憲法擁護の立場を表明して立候補しています。立候補者は小さな組織出身であったにもかかわらず、予想外の得票を獲得して組合全体を驚かせました。連合の指導部は多くの組合員が憲法擁護の声を無視することが出来ないでいます。

連合の政治方針案にあった「(1)憲法九条を改正し、詳 細を規定する「安全保障基本 法(仮称)」のような法律を制定する」は、自衛権発動に関る歯止めを設けるとも思われますが、報道では不明です。自衛権の発動に関するものであれば内閣法制局の見解がありますから、憲法を変えなくてもよいと思います。

今回の連合の決定は、油断は出来ない側面は持ちますが、連合内の改憲派が組織ごと改憲への潮流に乗れなかったのは、今日の世論の反映でもあると考えられます。

内閣法制局の見解は、2004年10月の朝日新聞で、内閣法制局長官は解り易く述べています。

我が国が武力攻撃を受けて、国民の生命、財産が危機にある時に、黙ってみていることは国家としてはありえない、という立場をとってきました。国家の最低限の義務として自衛権は行使できる。ただ、集団的自衛権はそれを超えていると考えます。とりあえず国民に被害が及んでいない。国民の生命、財産が危険にさらされている場合と違います。

内閣法制局長官は更に、現憲法下で集団的自衛権行使が出来るとした意見(註 小泉首相は就任当初この考え方であった)について、わざわざ9条があるのは何のためだろうか。おそらく日本 国民が「平和憲法」と考えてきた感覚と違うし、歴代政権の理解とも違う。

これが多くの日本 人の気持ちや考え方ではないでしょうか。万が一の備えは必要だが、武力で紛争を解決してはいけない。この考え方と結びついて、外国に自衛隊を派遣して軍事行動はしないという考え方を強く持っていると思います。

北条時宗が権力を握っていた時代に蒙古の軍隊に侵略を受けただけで、明治からは日清戦争、日露戦争、日中戦争、太平洋戦争は、日本 が攻められたのではなく、逆に外国に軍隊を派遣して戦争をしています。日中戦争は日本 が中国に軍隊を駐留させていて、関東軍の暴走から戦争が大きくなっていったことを、まだ多くの日本 人は忘れてはいないと思います。

振り返って見れば、参議院は1954年に自衛隊を発足させた時に「自衛隊の海外出勤を為さざることに関する決議」を採択しています。この決議が国際協力という美名で破られ、とうとう戦争をしているイラクの「非戦闘地域」にまで派遣されるまでになっています。自民党は米国の要求を受けて、改憲して戦闘地域でも軍隊を派遣しょうと目 論んでいます。

このような方向に進む日本 の状況の中で、連合が改憲の潮流に乗らなかったのは「九条の会」の運動にとっても有利な状況だと思います。

3代目 海沼実さんの話から/山崎孝

2006-01-21 | ご投稿
1月20日の「NHKラジオ深夜便」は、童謡作曲家の海沼実さんを祖父に持ち、童謡歌手の川田正子さんを叔母に持つ、3代目 海沼実さんのお話を放送していました。

海沼実作曲・斎藤信夫作詞「里の秋」は有名です。戦地に行って帰らぬ父を案じながら待ちわびている詩で、当時の多くの国民の気持ちを代弁していました。

3代目 の海沼実さんは斎藤信夫さんについて、

軍国主義の教育を行なってしまった自分を恥じて、教師を辞めた。子どもたちが新学期を迎える頃には、悶々の日々を送っていた。その頃に蛙の声を聞いた。蛙の声をとてもきれいな声と感じて「蛙の笛」を作詩したと話された。斎藤信夫さんは気持ちを取り直しやがて教師に戻ります。

詩は蛙の鳴く様を、月夜の田圃で鳴る笛は、あれは蛙の銀の笛

蛙の声を コロロコロコロ と表現します。

素晴らしい想像力です。この素晴らしい想像力・表現力を元に1947年には「夢のお馬車」を作っています。

戦前は童謡・唱歌の世界も軍国主義の統制を受けていました。初代海沼実さんも、太平洋戦争1周年記念に標語が募集され、12歳の少女の作で最優秀の標語「欲しがりません 勝つまでは」をもとに作詞された歌に作曲をしています。

戦後は童謡・唱歌の世界も自由で想像力のあふれる世界になりました。国のあり方が変わったからでした。

戦前は神の国というような虚構の思想が猛威を振るっていた。この有様を反省して日本 国憲法と、憲法と不可分の関係にある教育基本 法を基本 理念にしました。

しかし、自民党は2006年1月18日、2006年度運動方針を決めました。運動方針は、自民党の新憲法草案を「わが国の平和と繁栄の道しるべとして、実現に邁進する」。重点政策として教育基本 法の改定が入っています。

日本 国憲法の前文は、政府 の行為によって再び戦争の惨禍が起こらないことを決意しています。自民党の新憲法草案では、自衛軍を持ち海外でも武力行使を出来るようにするとして、前文に定めた政府 の戦争はしないという決意を反故にしています。

教育基本 法は、

(前略)「ここに、日本 国憲法の精神に則り、教育の目 的を明示して、新しい日本 の教育の基本 を確立するため、この法律を制定する。

(教育の目 的)第1条 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

(教育の方針)第2条 教育の目 的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目 的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養 い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」(以下略)

と定めています。

素晴らしい規定です。この規定の何処が悪くて何処を変えなけばならないというのでしょうか。日本 の国の、真の道しるべは、現憲法の理念と現在の教育基本 法です。

日米同盟の将来図/山崎孝

2006-01-20 | ご投稿
訪米中の額賀福志郎防衛庁長官は2006年1月17日(日本 時間18日)、国防総省でラムズフェルド米国防長官と会談しました。昨年10月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した在日米軍再編計画について、「最終報告」を3月末までに取りまとめるため、作業を「加速化する」ことを確認しました。(中略)

額賀氏は、「最終報告」の取りまとめに向け、自衛隊海外派兵の拡大や「ミサイル防衛」での日米協力など「日米同盟が新たな次元に発展しているという将来の姿を示すため、何らかの政治的なメッセージを国内外に示すことが重要だ」と表明した。日米同盟をアジア太平洋地域に拡大した1996年の「日米安保共同宣言」に代わり、地球規模に拡大した「日米同盟の将来図」を示す新たな合意文書をまとめるよう提案し、ラムズフェルド氏も賛意を表明しました。

 イラク情勢に関連して、ラムズフェルド氏は「日本 が世界でより大きな役割を果たすことは良いことだ」と強調しました。(後略)(「赤旗」電子版から)

この会談で示したことは“地球規模に拡大した「日米同盟の将来図」”で、そこには、“自衛隊の海外派兵の拡大”が含まれ、それが“新たな次元に発展している”という日米同盟の姿です。

これは、世界的な覇権を狙う米国にとって望ましい姿ですが、日本 の専守防衛に取っては不必要で、戦争に接 近していく危険な姿です。

防衛庁長官も国防長官も、イラク戦争のような事態で、現在のような「非戦闘地域での活動」の次元ではなく、戦闘行動をする“新たな次元の協力関係”を想定していると思います。

この方向に進む限り、改憲はこの新たな次元の日米同盟にとって不可欠となる政治課題です。

中国脅威論の続出/山崎孝

2006-01-19 | ご投稿
2005年12月8日の、前原民主党の軍事費を拡大する「中国は現実的脅威」から始まり、22日は麻生外相の「かなり脅威」と同調論が出ました。

2006年に入ってからは、1月15日に安倍 官房長官はNHK報道番組で、中国について「軍事面で10年以上2ケタの伸びを示している。中身については、しっかりと透明性を高めてもらいたい。人権問題についても考えてもらいたい。懸念は確かにある」と述べました。

1月19日には中川農水相は日本 外国特派員協会での質疑で、「日本 が米国に防衛や外交面についてノーと言えないのは理由があるのか」という質問に答えて「軍事的な脅威は日本 にあるわけで、日米同盟は我々は選択している以上、日本 が日米同盟に基づいて米国と対等の関係で防衛していく」と述べた上で、脅威の具体例として「北朝鮮と中国だ」と指摘しています。

外国の記者の質問は日本 を観察していて米国にノーと言えないと感じていたことがわかる。それに対する中川農水相の答えは「対等の関係で防衛してゆく」と答えるが、今までの自民党政府 の姿勢から引き出されるものは、国民の声を聞いて対等に主張するのではなく、義務だけは対等に負ってしまう可能性の方が高い。これから考えても専守防衛の壁を取り除くべきではない。

軍事的脅威も、軍事的抑止も相対的な性格のものです。敵対関係とか対抗意識を持った間柄の国家間では、双方が脅威を感じて、その対応として軍備拡大を強めあうことになります。究極的な安全保障にはなりえません。

日本 も世界有数の軍事力を備え、しかも国内に軍事超大国の米軍基地があり、米軍は世界に発進しています。そして日米共同で、宇宙から監視して敵のミサイルを迎撃する次世代型のシステムの研究開発に乗り出しています。敵のミサイルを無力化し、攻撃にもとても有利になるシステムです。

対立状態になった国がこの日米の軍事力やミサイルシステムに脅威を感じないはずがありません。

究極的な安全保障は、対立関係に陥らない外交を徹底する。国家間や民間レベルの文化や人的交流を深め理解しあう方法が一番効果的となります。そして友好と相互扶助を基本 とする多国間による安全保障体制の構築だと思います。

日本 国憲法はこれらの理念と一致していると思います。