いせ九条の会

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ジーノ・ストラダさんの平和思想/山崎孝

2007-01-03 | ご投稿
朝日新聞は「平和をつくる」というテーマでシリーズ記事を連載しています。1月3日はジーノ・ストラダさんについて書いています。その記事の抜粋です。

エマージェンシーは、戦争・紛争地で無料の医療支援をしているイタリアの民間組織だ。「戦争犠牲者の9割を占める市民を救え」と94年、外科医のジーノ・ストラダ(58)が創設した。これまで中東、アフリカ、アジアの13カ国に病院やリハビリセンターなどを作ってきた。(中略)

 アフガンでは99年に活動を始め、すでに約100万人を治療した。「市民でもテロリストでもタリバーン兵士でも、負傷者ならみんな診る」という姿勢は、現地でも広く信頼されている。(中略)

一切の戦争を否定するストラダの転機は、心臓・肺移植の専門医だった80年代。赤十字の仕事で行ったアフガンで、おもちゃのような外見をした地雷の犠牲になった子どもたちに接した。

「いじった子どもを殺す目的の兵器があることが信じられなかった」。その怒りが「もっと多くの命を助けるため、柔軟に動けるNGOを作ろうと決意させた。国際支援の届かない場所へ行くことにこそ意味があると、あらゆる手段で危険地域へ入っていく。

01年9月11日、ミラノの自宅で米同時多発テロを知ったストラダは「米国がタリバーン政権への攻撃を始め、多数の市民が負傷するだろう」と直感し、すぐイスラマバードヘ飛んだ。

 トラックで七つの検問所を抜け、標高3メートルの山中で夜を明かした。翌朝、馬で5千メートル近くまで登って国境を通過。タリバーン政権を説得し、閉鎖されていた病院を再開した。

 数人の友人と始めたエマージェンシーはいま、医師や看護師ら50人以上の国際スタッフを抱え、年間予算は20億円を超える。若者世代に「最高の英雄」を尋ねた伊の世論調査で、ローマ法王や南アの元大統領マンデラらを抑え、ストラダが1位になったことも。

個人や企業からの寄付が収入源だが、戦争や軍事介入にかかわる政府からの援助は受けない。99年にはコソボへ派兵した伊政府に反発し、40億円近い助成金を断った。

ストラダは言う。「すぐに『何人、兵士を送ろう』と検討したがる政府には、ちょっと待ってくれと言いたい。戦争がもたらすのは別の戦争だけだ。私が欲しいのは、エマージェンシーのいらない世界なんだよ」(筆者 郷富佐子記者・敬称略)(以上)

安倍首相と同じ考え方の元日に発表した経団連のビジョンの「国益の確保や国際平和のために集団的自衛権を行使できることを明らかにする」という考えは、《「すぐに『何人、兵士を送ろう』と検討したがる政府」》と同類、あるいはそれ以上に軍事的な志向の考え方です。なぜなら現行憲法では出来ないことを、憲法を変えてまでそれを行うと言うからです。