いせ九条の会

「いせ九条の会」の投稿用ブログです(原稿募集中)。
会の趣旨に賛同される方、メールでご投稿ください。

「あの戦場体験を語り継ぐ集い」 /山崎孝

2008-09-30 | ご投稿
(北海道新聞のHPより)元日本兵らが太平洋戦争の戦場での体験を語る「あの戦場体験を語り継ぐ集い」が9月28日、東京・日比谷公会堂で開かれた。元兵士21人が戦地の体験を生々しく語り、「二度と戦争はしてはならない」と平和の大切さを訴えた。

 戦場体験の証言を映像保存する活動に取り組むボランティア団体「戦場体験放映保存の会」(東京)などが、昨年に続き開催した。

 78~96歳の元兵士らが壇上で証言。88歳の男性は「中国戦線で中国人の少年を連行する時、追い掛けてきた病弱の父親を別の兵士が銃剣で刺し殺した」と語った。82歳のシベリア抑留経験者は「腹が減って減って食う物が何もなく、自分の排せつ物まで食わなければ生きていけなかった」と告白。証言の最後に亡き戦友に詩吟や短歌をささげる元兵士もいた。(以上)

【コメント】30日のNHK朝7時台のニュースのコーナーでこの集会に関連する報道をしていました。中国戦線に派遣された男性は、新兵の訓練として中国人捕虜を銃剣で刺し殺し、眠ることが出来なくなった。ある男性は米軍と戦闘中に負傷して捕虜となったが、このことを家族や他人にも今まで話したことはなかった。戦死した戦友に申し訳ない気持ち、捕虜になり生き残った自分を恥じる気持ちを持ち続けたと語りました。

今まで自分の戦争体験を語らなかった人たちの共通する考えは、戦争を語れる世代の人が減っていく中で、二度と戦争をしないため、戦争の残酷さを次世代に伝えなければということでした。

戦争の残酷さを語ることは、靖国史観を持ち戦争を肯定・美化する人たちへの抵抗でもあります。

9月28日の憲法を守る賛同署名行動の中で、憲法を変えても戦争にはならないという青年に出会いました。このときは余り話しが出来ずに終わりましたが、このような考えを持っている人には、米国が系統的に日本政府に集団的自衛権行使の可能になる憲法を要求していること。麻生首相が米国との関係を国連での演説で「日米同盟を不変の基軸」と述べ、演説後の記者会見で、解釈改憲で集団的自衛権行使を可能にしたい意思を表明したことを話しする必要があると思いました。

中山国土交通相は発言内容が悪かったと認識して辞任するわけではない/山崎孝

2008-09-28 | ご投稿
【中山国交相、28日辞任 一連の問題発言で引責】(2008年9月28日付東京新聞HPより)

 中山成彬国土交通相(65)は27日、日本教職員組合(日教組)などをめぐる一連の発言に関し「自らの発言が国政の停滞や国交省行政に悪影響を及ぼしてはならない」として、辞任する意向を固めた。関係者が明らかにした。28日朝にも麻生太郎首相に正式に伝え、首相も認める見通しだ。

 首相は辞任で事態の沈静化を図りたい考えだが、任命責任を問われるのは必至。内閣発足早々の閣僚辞任は政権運営に大きな打撃で、11月に想定する次期衆院選への影響は避けられない。

 中山氏は「日本は単一民族」発言や、成田空港反対闘争を「ごね得」とした発言などについていったん撤回したが、27日、宮崎市での自民党会合などで「日教組を何とか解体しなきゃいかんと思っている」「日本の教育の『がん』である日教組をぶっ壊すために私が頭になる決意を示した」と述べた。

 これに関連し、民主党の小沢一郎代表は京都市での記者会見で「不見識で軽率、偏った発言だ。国務大臣としての資質と見識が問われる」と批判。与党内でも笹川尭自民党総務会長が共同通信の取材に「国会審議が止まるとなると責任がある。残念だが、本人が進退を決めるしかない」と述べていた。

 中山氏は25日の報道各社とのインタビューで大分県の教員汚職事件に関し「体たらくは日教組(が原因)。日教組の子供は成績が悪くても先生になる」と述べたほか、「日本は随分内向きな単一民族」「(成田空港反対闘争は)ごね得というか、戦後教育が悪かった」などと発言。その後、発言を撤回するコメントを発表していた。

 27日の宮崎市での会合で中山氏は「日教組には一生懸命にやっている方もいるが、一部の方々は考えられないような行動を取っている。国会を取り巻いたり、過激な性教育も行われている。国旗国歌についても教えない。何よりの問題は道徳教育に反対していることだ」とも述べた。この後、都内に戻り記者団に「国交相を離れて一政治家として発言した」と強調した。(共同)

【コメント】新聞報道に、中山成彬氏は、《一連の発言に関し「自らの発言が国政の停滞や国交省行政に悪影響を及ぼしてはならない」として、辞任する意向を固めた》とか、笹川尭自民党総務会長は《「国会審議が止まるとなると責任がある。残念だが、本人が進退を決めるしかない」》と述べているように、今回の中山成彬氏の発言が悪いと言う認識で、大臣職を辞任するのではありません。中山成彬氏のような考え方をもった議員たちが自民党には存在していると言うことです。

中山成彬氏の発言の教師が「国旗国歌についても教えない。何よりの問題は道徳教育に反対」している問題の本質は、人と人との調和をはかる道徳教育ではなく、国家とか政府の権威・指示に服従させる意図を持った君が代や日の丸の強要や道徳教育の名を借りた愛国心教育であると言うことです。

麻生太郎氏自体が、2005年9月、総務相の時、九州国立博物館において「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族」と、事実に合わず独りよがりの誇りと受け取れる発言しています。九州国立博物館の展示や研究の態度は、日本は2000年の前から大陸文化と交流して、日本の文化を整えてきたと言う考え方です。麻生氏の発言は九州国立博物館の考え方とは添ってはいません。

事実や現実と添わないことと言えば、麻生首相は国連での演説で「日米同盟を不変の基軸」と述べています。現在の国際情勢は、イラクを大混乱に陥れた米国は、世界の中で威信を大きく失墜させています。

冷戦構造時代にはあった米国中軸ではなく、政治的にも経済的にも多極化や多国間連合や連携が行なわれています。これを認識せず米国での記者会見で、更なる日米同盟の強化のために、集団的自衛権行使が出来るように、無法な解釈改憲を行なう意志を表明しました。これは国際情勢の現実・事実に添わない考え方です。中山成彬氏のように自らの教条に囚われています。

麻生首相、地金を表す 解釈改憲願望を表明する/山崎孝

2008-09-27 | ご投稿
【麻生首相 将来的には解釈改憲で集団的自衛権行使可能を】(2008年9月26日午後4時のBSニュース)

麻生総理大臣は、訪問先のニューヨークで、記者団に対し、政府が憲法解釈上認められないとしている集団的自衛権の行使を認めるかどうかについて「基本的に解釈を変えるべきものだと、ずっと言っている」と述べ、将来的には認めるべきだという考えを示しました。

この中で、麻生総理大臣は、国連総会での一般討論演説について「経済的繁栄と民主主義を通じて平和と幸福があるということをきちんと伝えるのがポイントだ。アメリカのライス国務長官らと会ったが、『外務大臣のときに言っていたことを聞いたことがあるが、総理大臣になってから聞くと全然違う』ということだった」と述べました。また、麻生総理大臣は、インド洋での海上自衛隊の給油活動について「国内的な政治の事情の難しさはあるが、結果的に継続してきた。世界が期待しているもので、こちらができるものは、やはり油の補給がいちばんだと思う」と述べ、継続の必要性を強調しました。さらに、麻生総理大臣は「集団的自衛権は基本的に解釈を変えるべきものだと、ずっと言っている。ただ、給油活動は憲法違反ではなく、直ちに集団的自衛権の解釈を変える必要はないと思う。集団的自衛権というのは大事な問題だと思う」と述べ、将来的には集団的自衛権の行使を認めるべきだという考えを示しました。

【首相、憲法解釈の変更検討 集団的自衛権行使で】

 【ニューヨーク25日共同】麻生太郎首相は25日夜(日本時間26日午前)、自衛隊の国際貢献に関連し、政府見解で禁じられてきた集団的自衛権行使について「重要な問題で、これまで解釈を変えるべきだと言ってきた。大事な問題だ」と述べ、容認へ向け解釈変更を積極的に検討していく考えを表明した。ニューヨーク市内で記者団の質問に答えた。

 集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈変更については安倍晋三首相が在任中に行使容認に意欲を示したが道半ばで挫折した経緯がある。首相の発言は自衛隊の新たな海外派遣に向け、議論を再び活発化させる狙いがありそうだ。

 集団的自衛権をめぐっては今年6月、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が行使容認のために憲法解釈の変更を求める報告書を提出したが、当時の福田康夫首相は解釈変更を否定した。

 これに関連し、浜田靖一防衛相は26日午前の記者会見で「衆院解散・総選挙があるかもしれない中で、表面上だけの議論はよくない。腰を落ち着けてゆっくり話した方がいい」と述べ、集団的自衛権の問題を議論する環境にはないとの認識を示した。

【コメント】麻生氏は北朝鮮のミサイル発射実験の時、国連加盟国が米国を含め、国連憲章第42条の規定 経済制裁や軍事制裁をしない方向の時に、安倍氏とともに外務省に檄を飛ばし、採決ぎりぎりまで42条の適用を主張するよう指示しました。麻生氏は、かようにもともと軍事指向が強い人物でした。

浜田靖一防衛相は、集団的自衛権の問題を議論する環境にはないとの認識を示しましたが、これはあくまでも「憲法を守れ」の声が高い現在時点ではという考えです。私たちは憲法を守り活かす声を高めていかなければと思います。総選挙で自民党に打撃を与えなければなりません。

本年下された名古屋高裁判決は、現実に戦闘行為を行う他国軍兵士の輸送することは「他国の武力行使と一体化し、自ら武力行使を行っている(自ら戦争を行っている)との評価を受けざるを得ない」として、イラクにおける後方支援活動を憲法9条1項に違反するとしています。また、バクダットに兵士を輸送することを、憲法9条の制約を受けたイラク特措法の自衛隊の活動は「非戦闘地域」に限るとした規定にも違反すると判断しています。

裁判所は憲法の規定は、具体的には自らが他国で戦闘行動を行なうこと、戦闘行動をする他国軍の兵員輸送・武器輸送をしてはならないです。

安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の柳井俊二座長は、2007年7月10日、朝日新聞社のインタビューで、集団的自衛権の行使容認を安倍首相に求める報告書を今秋まとめる意向を表明した際に、解釈改憲をして(1)公海上で自衛艦と並走中の米艦船が攻撃された際の反撃(2)第三国が発射し、米国を狙った弾道ミサイルに対するミサイル防衛(MD)システムで迎撃する(3)国連平和維持活動(PKO)などで、他国軍が攻撃を受けた場合、自衛隊が応援に駆けつけ支援するなどを可能にすることを言明しています。これらは、自らが武力行使を行ない、他国の軍隊の武力行使と一体となる活動です。

憲法9条1項の精神は、国際紛争を武力で解決しない=戦争放棄です。この憲法9条1項は2005年の自民党新憲法草案にもそのまま盛り込まれています。要するに自民党はあからさまには国民に「戦争を放棄する」とは言えないのです。

解釈改憲は、三権分立の原則を破壊して、憲法制定以来、一貫して海外での武力行使は出来ないとする内閣法制局の見解を破壊する大きな無法行為です。

自民党の国民の権利にたいする考え方/山崎孝

2008-09-26 | ご投稿
【国交相、成田反対闘争は「ごね得」 日本は単一民族発言も】(2008年9月26日付中日新聞)

 中山成彬(なりあき)国土交通相は25日、報道各社とのインタビューで、成田空港建設への反対闘争について「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」と批判。外国人観光客の誘致策に関連しては「日本は随分内向きな、単一民族といいますかね、あんまり世界と(交流が)ないので内向きになりがち」と発言した。

 さらに大分県の教員汚職事件にも言及し、日本教職員組合(日教組)と絡め「大分県教委の体たらくなんて日教組(が原因)ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ」と話した。しかし数時間後の同日夜になり、いずれの発言も「誤解を招く表現であったので撤回します」とのコメントを発表した。

 成田空港は2010年春に、2500メートルに延伸する2本目の滑走路が供用される予定。供用に向け、国が地元自治体や住民と騒音対策や公共施設整備など地域振興策の話し合いを進める中での新しい所管大臣の発言だけに波紋を広げそうだ。

 中山氏は反対闘争について「公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮の中で、なかなか空港拡張ができなかったのは大変残念」と述べた。

 政治家の「単一民族」発言では、麻生太郎首相も総務相時代の05年、「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族」と発言した。(以上)

【コメント】麻生太郎氏の過去の発言をブログで紹介しましたが、麻生首相の選んだ閣僚の中山成彬国土交通相の考え方も、発言を撤回しましたが、発言から窺えた「単一民族」の本音は、麻生氏と同様の考え方を持っていると言えます。

中山成彬国土交通相らの考える「公」とは国家・政府と考える傾向が強いようです。政府の意志が国民の意志より上位にあるとする考え方です。

2007年2月に安倍内閣の伊吹文部科学相は、食べ過ぎれば日本社会は「人権メタボリック症候群となる」という発言。2008年8月10日、NHK番組で、「食の安全」について、「消費者としての国民がやかましくいろいろいうと、それに応えざるをえない」と、国民が横着を言っているかのように受け取れる発言をして問題になりましたが、これらの発言も共通するものがあると思います。

このような考え方が収斂されるものとして、自民党の改憲草案は第12条 ……国民はこれ(註権利)を濫用してはならないのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う、と国民が権利を行使する場合は抑制的にせよとする規定があります。

ビラ配布に国家権力が介入することの本質を考える/山崎孝

2008-09-25 | ご投稿
2005年9月に国家公務員が警視庁官舎の集合ポストに勤務外でビラを配布していて、最初は住居不法侵入で警察に検束され、公務員の身分が分かると国家公務員法にも問われ、そして検察に起訴されていた裁判の判決が東京地裁でありました。東京地裁は起訴されていた元公務員の方に、公務員の中立性を犯したとして有罪にし、罰金10万円を課しました。

日本政府が米国の戦争に協力するに伴い、東京の立川や葛飾区、世田谷区などで、ビラ配布に対して警察が介入し検察が起訴する事件が起こっており、社会は今回の裁判の、公務員の政治的中立性の問題だけを考えるだけではいけないと思い新聞に投稿しました。幸いにもこの文章が編集者の目に止まり掲載して貰えましたのでお読み下さい。

2008年9月25日付け朝日新聞「声」欄掲載文【勤務外の行為問題視は疑問】

 2005年に、警視庁官舎の集合ポストに政党機関紙の号外を配布したとして、19日、国家公務員法違反の罪で元公務員が東京地裁で有罪判決を受けた。

 東京地裁は「公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行為を禁止することは、必要やむを得ない範囲で憲法上許される」と判断し、公務員の政党ビラ配布はこの範囲に入るとした。

私は公務員の政治活動を禁止する範囲は、公務員の地位を利用して政治活動を行なった場合のみにすべきだと考える。起訴されていた公務員は勤務外でビラ配布をしていた。この行為は社会に潜在的にある公務員の信用とか権威とかの影響力を行使して政治活動をしていたのではない。高級官僚が在職中のキャリアを掲げて選挙に立候補する方がよほど公務員であった地位を利用しているのではないか。

 日本がアフガンやイラク戦争に協力するに伴い、ビラ配布に対する警察・検察の介入事件が何件か起きている。国民はこのことに注意を向けるべきだ。歴史は政治活動への介入事件の本質は、国家の意志に国民を従わせることであったことを教えている。

安倍晋三氏にもひけをとらないタカ派的な麻生太郎氏の発言/山崎孝

2008-09-23 | ご投稿
前回も麻生太郎氏の発言をお伝えしましたが、9月23日付「しんぶん赤旗」に載っていた麻生太郎氏の発言を抜粋してお伝えします。

改憲と軍拡関係

 (海外での武力行使を可能にする集団的自衛権について)「権利はあるが使ってはいけない、というのは無理がある。世界中で認められていない国はない」(〇一年十一月四日、学習院大学での講演)

 (「核武装」をめぐる議論について)「いろんなものを検討したうえで持たないというのも一つの選択肢だ」。核武装の議論を否定せず(〇六年十月十七日、衆院安全保障委員会)

 靖国神社関係

「遊就館には何度か行ったことがあるが、戦争を美化するという感じではなく、その当時をありのままに伝えているというだけの話だ」(〇五年十一月二十一日、米ブルームバーグ・テレビの番組)

 「(靖国神社に)祭られている英霊は、天皇陛下万歳といった。天皇陛下の参拝が一番だ」(〇六年一月二十八日)

 (小泉純一郎首相の靖国参拝について)「祖国のために尊い命を投げ出した人たちを奉り、感謝と敬意をささげるのは当然。首相としても簡単に譲るわけにはいかないと思う」(〇五年十一月十三日、鳥取県湯梨浜町での講演)

 「『大変だ、大変だ』と言って靖国の話をするのは基本的に中国と韓国、世界百九十一カ国で二カ国だけだ」(〇五年十一月二十六日、金沢市内での講演)

【コメント】麻生太郎氏の靖国神社に関する発言から伺えるのは、相対的に物を考えるのではなく、自国中心の物の考え方から出来ないようです。

以前お伝えしたノーム・チョムスキー氏の言葉、自らを鏡に写してみてください。自分の国が侵略され占領されることを納得できますか。他に人の立つ基準を自分にも当てはめなければ誠実とは言えません。

このインタビュー番組を制作したNHKのナレーションは「自分に当てはめられない基準を他人に押し付けるべきではない。国家の間でもこの原則を無視すると世界のモラルは、たちまちに崩壊してしまうと、チョムスキーさんは訴え続けていると警鐘を鳴らしている」と述べていました。

皇室の安泰ばかりで国民の命のことは顧みられなかった/山崎孝

2008-09-22 | ご投稿
NHKテレビ「歴史はその時動いた/日本降伏」前編を私は見ました。以下はこの番組の情報に基づき書きます。

1945年8月9日に最高戦争指導会議が開かれ、9日には長崎に原子爆弾が落とされてもポツダム宣言の受諾の条件を巡って意見が別れまとまらず、9日に天皇の裁可を経て連合国に通告した、ポツダム宣言の受諾の唯一つ条件とした国体護持の解釈について、連合国からの回答文章について意見の一致を見ず、ポツダム宣言受諾を受容れるのに5日間の時間が費やされしまいました。

その間に日本の各都市が米軍の一斉の空襲を受け、2500人の命が失われ、15日の玉音放送の2時間前に、千葉と茨城から特攻出撃を命令された若者たちがいました。

連合国の回答文章の中に、日本国政府の最終形態は、日本国国民の自由意思により決定されるという箇所がありました。

この箇所の文章の意味について、阿南陸軍大臣は、国体とは天皇が統治権を総攬し、天皇が日本民族と国家の神髄であるという国のあり方である。国民の自由な意思で国体を決めることは国のあり方を根本から崩すと主張した。

東郷外務大臣は、陸軍の考える国体を維持することは難しく、皇室の安泰のみを守ることに絞るべきだとする意見であった。東郷外務大臣は、国民の自由な意思で国体を決めるならば、皇室の安泰は可能だと考えた。

8月14日、会議では意見の一致が得られず、天皇の再度の裁可を仰いだ結果、東郷外務大臣に事前に国体の解釈について説明を受けていた天皇は、連合国から回答してきたポツダム宣言の受託を受いれる裁可・聖断を下した。

これらの事実から伺えることは、皇室の安泰は最大限考慮追求されましたが、戦争終結がのばされることにより失われる国民の命は顧みられることはありませんでした。まさに汝臣民(国民は天皇の家来)だったのです。

そして、敗戦後、GHQに出された政府の憲法草案要綱の中に、阿南陸軍大臣が主張した「国体とは天皇が統治権を総攬する」という考え方と共通する天皇大権を温存させた部分がありました。このような政府の憲法草案要綱であったために、GHQが業を煮やして自らが憲法草案の作成を手がけることになりました。

2006年9月26日になった安倍総理大臣は「戦後レジームからの脱却」を唱え、戦前への回帰の情をにじませ、政治家の中には日本の戦争の歴史を肯定する人たちが一定数存在します。

そして9月22日に、自民党総裁に選ばれた麻生太郎氏は、日本を「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と、アイヌや沖縄の文化を無視し、事実に合わないことを述べて日本民族の優秀さを誇りたい人物です。

北朝鮮のミサイル発射の時は小泉政権下で、麻生外相は「(核が)ミサイルにくっついて日本に向けられているのであれば、被害を受けるまで何もしないわけにいかない」と先制攻撃論を述べています。

国の復興を担うルワンダの女性たち/山崎孝

2008-09-19 | ご投稿
NHKの番組9月18日の「きょうの世界」は、アフリカの国ルワンダを特集していました。以下、その番組の情報に基づいて文章を書きます。

ルワンダは農業国で、国民の構成はツチ人が15%、フツ人85%の割合でした。植民地時代に植えつけられた部族対立意識を背景に、政治の主導権闘争が起こり、1994年フツ人がツチ人を組織的に攻撃する事態が起こり、紛争期間の3ヶ月余りで国民の7分の1にも上る80万人の犠牲者が生まれ、その多くは男性でした。その結果、国民の7割を女性が占める状況になってしまいました。

虐殺事件でルワンダの女性たちは生活の柱であった夫を失い、生きるために打ちひしがれ泣いている時間などはなく、家族の柱となって働き、番組では虐殺された夫のコーヒー園を継ぎ経営手腕を発揮して良質のコーヒー豆を生産して売り上げを伸ばした女性が紹介されていました。コーヒー園では夫を失った女性たちに働いてもらっていました。

2003年発足した政権は、新憲法を制定して議会や役所の意思決定を行なう役職の30%は女性でなければならない規定を設け、女性の力を積極的に国の復興に取り入れる方針を打ち出しています。

本年9月の国会選挙で、女性議員が44人当選して、世界で初めてのケースである議会の過半数を占める出来事が生まれました。

選挙期間中、女性候補者たちは国民の間の和解を訴えていました。選挙のスタイルはとても陽気で、選挙の応援者と共にしなやかに体を動かす踊りを踊っていました。

虐殺事件後、女性たちは、ツチ人とフツ人の両方から話を聞いて和解を図る機会を設けたり、農業協同組合を作りツチ人とフツ人両方を参加させ、和解の促進に取り組みました。単に女性ということではなく人間として立派な活動をしていました。

ルワンダの女性たちは熱い心で憲法の理念を実践していました。ひるがえって日本の女性たちも日本国憲法の理念を実践している方たちは多くおられますが、権力に近い位置にいる女性議員を見るとそうとは言えません。

映画「靖国」を糾弾した稲田明美議員は、大江健三郎氏と岩波書店を名誉毀損を行なったとした訴訟の一審の原告弁護人でした。控訴審では弁護人を降りています。一審では稲田明美議員たち原告を支援する人たちは、わが子を手にかけて死なし自らも自決した父や母たちを、美しい心の死、清らかな死、殉国の死と賛美しています。日本国憲法の人間の尊重精神から逸脱して、人の命より国家という組織を重んずる考え方です。

現在、自民党総裁選挙に立候補している小池百合子議員は、本年5月3日「新しい憲法をつくる国民会議」で、現行憲法は「自衛隊は軍の位置づけになっていない。軍法会議の設置が急がれる」などと述べて、国民を戦争に動員する時に抵抗したと見なした人を、軍隊で処罰出来るように主張しています。

日本の新聞各社の論調は名古屋高裁判決を論点に取り入れた/山崎孝

2008-09-17 | ご投稿
政府の自衛隊イラク撤収の方針を受けて論じた日本の新聞各社の論調を紹介します。何れもが名古屋高裁が航空自衛隊の空輸活動は他国の武力行使と一体となったものとして違憲判決を下したことを論点に取り入れています。そのことに関連する部分を抜粋して紹介します。

名古屋高裁の判決は、改憲問題を国民が考える上での有力な判断材料になると思います。

★北海道新聞 2008年9月15日付【イラク撤収 活動の検証が不可欠だ】
(前略) 開戦の「大義」だった大量破壊兵器の存在はついに立証されなかった。戦争の正当性は否定された。これが国際社会の共通認識だ。
 にもかかわらず、小泉純一郎政権以降の日本政府は自衛隊派遣による対米協力を継続してきた。
 今年四月には、名古屋高裁が空自の活動に対して明確な違憲判断を下した。
 武装した多国籍軍兵士を運ぶことは、他国による武力行使と一体化したものだ。この司法判断にも、政府は正面からこたえていない。
 問題なのは、自衛隊のイラクでの活動実態が国民の前に明らかになっていないことである。
 空自について政府は多国籍軍や国連の輸送支援を行っていると説明しているが、具体的に何を運び、どんな作戦に従事していたのか。詳細は不明のままだ。
 さらに陸自の活動も現地の人々のニーズにこたえたものだったか。
 米国は今後、イラク駐留軍を削減し、テロとの戦いの重点をアフガニスタンに移そうとしている。
 日本政府に対し、来年一月に期限切れとなるインド洋での給油活動の継続だけでなく、要員派遣や資金援助を求める声も出ている。
 憲法の下で、日本がどのような協力を行い、国際的な責任を担うべきなのか。米国の要求に付き従い、無理を重ねた自衛隊の派遣によらずとも、民生や地域の復興活動など幅広い選択肢があるはずだ。
 国際貢献の在り方を考え、今後に生かすため、イラクにおける自衛隊の活動の検証が欠かせない。(以上)
★信濃毎日 2008年9月14日付【イラクの空自 何をしたのか検証を】
イラクで空輸活動にかかわる航空自衛隊部隊を年内に撤収させる方針を政府が発表した。2004年3月に始まった活動は、約5年で幕を閉じる。
 すでに撤収した陸上自衛隊を含め、イラクへの自衛隊派遣は、日本の外交・安全保障政策にとって曲がり角となった。自衛隊が初めて、事実上の戦地に足を踏み入れたからだ。
 空自派遣には初めから疑問符が付いていた。その1つが憲法との兼ね合いである。
 空自は現在、隣国クウェートを拠点に輸送機3機でイラクのバグダッド空港などに、国連と多国籍軍の人員や物資を運んでいる。
 米軍を中心とする多国籍軍が武装勢力の掃討作戦を進め、空自機がその兵士を運ぶ。これでは当然、軍事的な色彩は濃くなる。憲法で認められない集団的自衛権の問題にかかわってくる。
 名古屋高裁も4月に「空自の空輸活動は他国の武力行使と一体化し、憲法九条などに違反する」と警鐘を鳴らした。それを政府はまったく無視した。(中略)
 空自派遣は、イラク復興支援特別措置法に基づく。07年6月の法改正で、活動期限は来年7月末に延びた。期限前の空自撤収は▽国連決議が年末で期限切れとなる▽イラク国内の治安状況回復-が理由とされている。
 果たして、それだけだろうか。政府の発表直前に、ブッシュ米大統領がイラク駐留米軍を来年2月までに計約8000人削減する方針を表明した。あうんの呼吸ともいえる日米の動きを、切り離して考えることはできない。
 米国の関心はアフガニスタンに移っている。日本がイラクからの空自撤収と引き換えに、インド洋での給油活動を延長する。そんな筋書きも考えられているようだ。アフガンでの軍事作戦が、地域の安定をむしろ損なっている可能性がある。給油の継続を簡単に認めるわけにはいかない。
 空自派遣について、政府の説明はこれまで十分ではなかった。空輸物資に武器弾薬は含まれていないか、武装の有無はどうか。隠されたままの情報が多すぎる。
 空自がイラクでやってきた中身の検証が欠かせない。政府には情報を開示する義務がある。(以上)
★中国新聞 2008年9月13日付【空自イラク撤収 支援の検証が不可欠だ】
イラクで空輸活動を続ける航空自衛隊の部隊が年内に撤収する。派遣をめぐって国論が二分され、司法の「違憲判断」も出ていた。引き揚げるのは当然だろう。そもそもイラクへの自衛隊派遣は平和国家にふさわしい貢献策だったのか、本当に復興に役立ったのか。徹底的な検証が必要だ。
 撤収の理由について、政府はイラク国内の治安が回復傾向にあり、多国籍軍の駐留根拠である国連決議の期限が年末で切れることを挙げる。ブッシュ米大統領も駐留米軍八千人の削減方針を示し、各国軍の撤退も相次いでいる。今回の政府判断はそうした流れに沿ったといえる。(中略)
 空輸の回数や量などの情報は公表されてきたものの、中身や目的についてはほとんど明らかにされていない。軍事作戦に加担しているのではないか、といった疑問や批判が出ていたのはこのためだ。
 今年四月に、イラク派遣をめぐる裁判で名古屋高裁が違憲判断を示した。バグダッドは特措法が認めていない「戦闘地域」にあたるとしたうえで、武装兵士の空輸は自ら武力行使したことと同じ行為であるとして、憲法九条に違反するとした。
 政府は従来、武力行使を伴う多国籍軍には参加できないとの立場を堅持してきた。しかし当時の小泉政権は国会で十分な議論のないまま自衛隊派遣を強行した。憲法に照らし合わせて無理はなかったか。陸自のサマワ派遣について「自衛隊が活動する地域が非戦闘地域だ」と小泉純一郎首相が強弁せざるを得なかったことに、問題の本質が表れていたように思える。
 フセイン政権は崩壊したが、米英が主張していた大量破壊兵器は見つからなかった。米中枢同時テロを実行した国際テロ組織のアルカイダと関係ないことも確認された。一貫して米国のイラク政策に追従してきたことに間違いはなかったのか、政府は国民が納得できるような説明をするべきだ。
 米国は今後、アフガニスタンを中心としたテロ対策に軸足を移すことになりそうだ。それに伴い日本政府は、インド洋での海上自衛隊による給油継続を目指している。ただ、来年一月に期限が切れる新テロ対策特別措置法の延長に対し、参院で多数を占める野党が強く反対。自民党と連立を組む公明党は衆院での再議決に慎重姿勢を示すなど先行きは不透明だ。
 十一月にも予想される衆院選では、給油継続が争点になるのは間違いない。政府は「国際社会の一員として継続を」と主張するが、それしか国際貢献の手だてはないのか。国民的な議論を深めることが政治に求められている。そのためにはまず、イラクでの自衛隊の活動を速やかに検証し、功罪を明らかにすることが不可欠だ。(以上)
★琉球新報 2008年9月13日付【空自イラク撤収 復興支援の論議深めよう】
 政府は、イラクで空輸に当たっている航空自衛隊を年内にも撤収する方針を発表した。陸上自衛隊の2006年のイラク撤収以降も続いていた空自活動が終われば、04年に始まったイラクでの自衛隊活動は完全に終了する。
 イラク復興支援特別措置法に基づく空輸活動は、空自が参加する多国籍軍の駐留根拠となっている国連決議が年末に期限切れとなる。このため、政府は年明け以降も活動に必要な、イラク政府との新たな地位協定の締結を模索した。
 が、参院の与野党逆転による国会審議が紛糾することを懸念したものとみられる。
 空自のイラク活動はC130輸送機3機がバグダッド空港など3空港で国連と多国籍軍の兵士や物資を空輸。任務飛行は700回を超え、600トン超の物資を輸送した。
 イラクでの空自活動をめぐっては、4月に名古屋高裁が憲法9条に違反すると判断した。高裁は、バグダッドが戦闘地域に当たるとして、空輸活動も外国軍の武力行使と一体化だと指摘した。
 高裁判断に対し、政府は傍論部分の指摘だとして拘束力はない、とその後も活動を継続してきた。
 ここにきて撤収方針を発表した背景には、空自活動を終えることで、テロとの戦いへの貢献策は「インド洋での海上自衛隊による給油活動しかない」とする狙いがあるとされる。自民党総裁選や次期衆院選で給油問題を争点化し、継続への国民理解を促そうというシナリオが透けて見える。
 憲法9条に違反すると高裁が判断した空自のイラク撤収は歓迎したい。国論を2分した復興支援に対し、あらためて憲法論議を含め検証すべきだろう。よもや空自撤退を給油活動につなげるカードにしてはならない。
 次期衆院選で、与党が過半数を占めても衆院再議決に必要な3分の2以上の勢力維持は厳しいとする見方がある。与党だけで衆院選後の対テロ新法改正案の成立は厳しい。空自撤退の検証を含め、徹底的な国会論議を求めたい。

日本経団連の政治認識/山崎孝

2008-09-16 | ご投稿
2008年9月14日付朝日新聞の「補助線」というコラムで、安井孝之編集委員は次のように書いています。

(前略)日本経団連の御手洗富士天会長は8日の記者会見で、問わず語りに発言した。来年1月に期限が切れる補給支援持措法の延長を「断固支持する」と強い口調で語った。

 経済政策への注文はそこそこに「本日、あえて申し上げたいのは外交政策」と強調したうえで、補給支援持措法に触れたのだ。

 「テロとの戦い」の主戦場はイラクからアフガニスタンヘと移りつつある。そこでの日本の存在感がなくなれば、中東から日本に原油を運ぶシーレーンの安全確保に諸外国が協力してくれなくなる。エネルギーの安全保障上、深刻御手洗氏の危機感の背景には、そんな理屈がある。公明党が特措法の再議決に難色を示し始めた8月下旬ごろから、御手洗氏は危機感を強めたという。

 財界関係者は「経済政策の選択肢は与野党で大きく違うわけではない。年金問題、財政再建に手を付けなくてはならないのはみんな分かっている。むしろ外交政策における政治不全への危機感が強い」と話す。

 与野党とも歳入歳出の抜本的改革を主張するが、景気が失速している中で、来年度からすぐに大幅な歳出削減や消費税率引き上げに踏み切るのが難しいというのは、経済界では暗黙の了解事項。財政再建などを提言するが、本音は「すぐには抜本改革は無理」と冷めている。一方で、アフガン問題、グルジアを巡るロシアと欧米の対立、北朝鮮の行方と、日本の世界の中での立ち位置がすぐさま問われる外交問題は目白押し。だが、総裁選での大きな争点にはなっていない。

 経済と政治は車の両輪といわれる。グローバル化の中で日本の経済も政治も、さらに埋没してゆく危機にある。(以上)

【コメント】私は現在の政局では自民党と民主党はテロ持措法の延長では対立していますが、海外で武力行使を可能にする改憲では一致しています。御手洗冨士夫日本経団連会長は改憲の旗振り役を努めています。コラムでは財界関係者は「経済政策の選択肢は与野党(民主党)で大きく違うわけではない」と書かれていますが、安全保障政策でも自民党と民主党は基本点では大きな違いはありません。だから自民・民主の議員たちが議員連合を作り改憲を進めています。

それゆえに財界は民主党にも政治献金をしています。

総務省が9月12日付の官報で公表した2007年分の政治資金収支報告書によると、自民党本部の政治資金は、政治資金団体の「国民政治協会」を通じた企業・団体献金が6%近く増え、31億4千万円に上っています。税金でまかなう政党交付金も166億円近くに上ります。

 民主党本部の政治資金は約235億円で、昨年一年間の収入のうち84・2%を政党交付金が占めるという税金頼みの異常な実態です。政治資金団体の「国民改革協議会」を迂回した企業・団体献金も25%近く急増しています。

 自民党や民主党に多額の献金をしているのは、自動車工業会などの業界団体や、トヨタ自動車、キヤノン、三菱重工業、新日本製鉄など、日本を代表する大企業です。なかでも日本経団連会長の御手洗冨士夫氏が会長を務めるキヤノンの急増ぶりが目立ちます。(しんぶん赤旗の情報)

企業のお金の使い方は、基本的には株主の利益に反する使い方は出来ませんから、政治献金は株主の利益となる使い方となるものです。